【特集】中国経済はどこへ向かうのか 後編(慶応大・大西広)

   

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米中による貿易戦争が長期化する中、ファーウェイ(華為技術)など中国通信企業を巡る問題は日本にも飛び火し、先行きは見えない。今や世界は、巨大化する中国経済にどう向き合うべきかという課題に直面している。米中摩擦、技術競争、そして中国経済はどこへ向かうのか。マルクス経済学・中国経済に詳しい慶應義塾大学・大西広(おおにし ひろし)教授に聞いた。

中国の経済政策は誰が決めているのか

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日本の経済体制は、マルクス経済学でいうところの「国家独占資本主義」(発達した資本主義国において国家と密接な関係性を持つ少数の巨大な独占資本が存在し、合法的に巨大独占へ利潤を保障する経済体制。開発段階の「国家資本主義」とは異なる)である。

例えば、今話題になっている外国人労働者の受け入れ、消費税増税などの重要な経済・産業政策には、巨大な民間資本が極めて深くかかわっている。

さて、中国も広義においては「国家独占資本主義」であることは間違いない。が、中国では民間資本ではなく、中国共産党が国家的な経済政策の基本を握っている。この点で、日本とは決定的に異なる道を歩んでいるのだ。

中国の多くの経済研究者、特にマルクス経済学者は「決して、日本のようになってはいけない」と言う。つまり「資本家(巨大民間資本)が政治を動かすことはあってはならない」ということだ。何故だろうか。

 

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例えば、習近平は2017年9月、次世代電気自動車「EV」の普及に向けて大きく舵を切った。すると、中国の自動車各社はすぐさま従った。

中国の自動車市場はおよそ3000万台で、日本の6倍、アメリカの2倍近い規模となっている。この超巨大なマーケットが全て「EV」にシフトするならば、日本はもちろん、世界の自動車メーカーも追従せざるを得なくなる。結果として、中国が自動車産業における世界的な覇権を握ることになる。

 

ハイブリッド車ができた時点で、自動車の世界はいつの日か「EV」に転換していくだろうと、誰しもが予想するところだったであろう。

しかし、日本の自動車政策が大きく転換することはなかった。トヨタがそう決めたからだ。

大企業が産業の方向性を決めて、それをサポートするために経済産業省が動く。これが日本の「国家独占資本主義」の形態だ。

 

一方の中国は、同じ「国家独占資本主義」ではあるが、国(中国共産党)が決めて、企業が従う。

だからこそ「自動車産業の全EVシフト」という大掛かりな方針を決め、実行に移すことができたのだ。

成功すれば10年後、20年後の主要自動車メーカーは、きっと大きく様変わりしていることだろう。

 

更に言えば、中国経済において、競争力の弱い産業分野のうちの1つが自動車だった。

半導体と同じく「この問題をどう解決するか」ということを、国家が国家の利益のために考え、方針を立て、それに独占資本が従った。

中国経済は「社益」ではなく「国益」が最優先されるシステムと言えよう。

 

この結果、次世代自動車の「強国」になるべき準備が進められ、経済的に理に適った政策が打ち出された。

国(党)が産業をリードすることの優位性、これは中国経済を見る上で重要な視点だ。

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