【特集】中国経済はどこへ向かうのか 前編(慶応大・大西広)

      2019/01/25

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米中による貿易戦争が長期化する中、ファーウェイ(華為技術)など中国通信企業を巡る問題は日本にも飛び火し、先行きは見えない。今や世界は、巨大化する中国経済にどう向き合うべきかという課題に直面している。米中摩擦、技術競争、そして中国経済はどこへ向かうのか。マルクス経済学・中国経済に詳しい慶應義塾大学・大西広(おおにし ひろし)教授に聞いた。

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 米中摩擦はどうなっていくのか

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まず、世界的な注目を集めている米中摩擦について考えてみたい。

米中摩擦は貿易戦争と言われるとおり、ある種勝ち負けのような形態になっている。

勝敗の判断は難しいが、私はこの戦争をより優位に乗り切るのは中国であるとみている。

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その根拠の1つは、「伸びている国」(中国)と「リクライニングしている国」(米国)の差だ。

無論、米中間で見れば中国側の輸出額の方が大きいが、互いにダメージを受けあったりしても、長期的に見れば、経済成長によってそのダメージを相殺しやすいのは中国だと言えよう。

 

もう1つは、かつてのニクソンショック(1971年)や日米摩擦に比べて、その衝撃は小さいという点だ。

ニクソンショックの後1970年代末までの間に、円相場は1ドル360円から二百数十円前後まで円高が進んだ。

対アメリカ輸出で見れば、実質的に約30%の輸出競争力の低下となったが、当時の日本はこの障壁を乗り切った。

今回アメリカが中国に課した関税は25%、同時に対ドルで5%の人民元安となっているため、実質は20%となる。

当時の日本に比べれば、今の中国はまだ余裕があると見るべきであろう。

 

3つ目は、今回、中国が強い危機感を持って対応しているという点だ。

1970年代の日本は、同時に起きた石油ショックに強い危機感を抱き、日本経済全体がそれに対応しようと必死だった。

その結果、特に高燃費車の研究開発が進んだ日本自動車産業の国際競争力は、非常に強力になったのだ。

ニクソンショックと石油ショックを契機とした技術革新と見ることができるだろう。

今回の米中摩擦について、中国政府は危機感を露わにしているが、これは経済的にも健全な反応と言える。

逆に「大きな影響はない」と悠長に構えていたら、中国経済の先行きが危ぶまれる。

米中摩擦を機に、中国では技術革新を含め、経済の足腰を強くしようというモチベーションが更に高まるだろう。

これらを踏まえ、今回の米中摩擦においては、基本的に中国に分があると考えている。

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