中国政府の「独裁」は末端社会まで届いているのか?国家の「影響力」の現在

   

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中国共産党員は、現在約9000万人。この巨大な組織が、習近平政権の「独裁」の中で社会への圧政を敷きつつあると、日本では話題になっている。また、中国でのIT技術産業の発展はすさまじく、これを利用した、信用ポイント制度や人物を瞬時に特定する監視カメラなどの社会の管理システムも「独裁」体制を補完するものとなっている。

しかし、これらの「独裁」が中国の社会全体を覆うわけではない。中国政府の統治には大きな穴がいくつもあることを学術研究や筆者のフィールドワークの成果から紹介する。

伝統的地縁・血縁集団「宗族」が治める農村社会

宗族とは、中国の伝統的なローカルな地域における家族集団である。彼らは同じ姓を持ち、村1つ、時には複数も覆うほどの集団であった。ゆえにある地域に、陳さんが沢山とか、孫さんばかりなどの状況が現在でも生じている。彼らはどんなに荒れた世の中においても、伝統的な中国社会ではこの宗族内においてお互いを助け合う力、「自治」の力で生き残ってきた。

一方、中華人民共和国建国以降、地主や地域の有力者が代表となっていた宗族は、労働者や小作農(プロレタリアート)の国家を標榜する共産党にとって「破壊の対象」であった。それまでの宗族による相互自助に代わって、末端社会でも政府による(準)行政組織(日本に例えると役場や町内会)が組織され、政府による統治が行われる枠組みが造られた。

一見、中国共産党が建国した中華人民共和国全土では、この中国共産党及びその政府が宗族に代わって末端社会を統治したかのように見える。中国共産党の権力が中国全土を覆っているというこのようなイメージが中国人のみならず、日本人の中でも共有されてきたのではなかろうか。

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橋本 誠浩
橋本 誠浩(はしもと ともひろ) 東北大学法学研究科博士課程後期在学。浙江大学公共管理学院AFLSP2015(公共管理修士)修了。専門は、中国政治。特に現代中国都市について政治学の観点から分析を行っている。中国で3年過ごし、現在仙台を拠点に研究活動を継続。

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