南太平洋地域に忍び寄る中国 高まるチャイナマネーの影響力

      2018/04/30

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南太平洋諸国のイメージ

 21世紀以降、国際社会における中国の政治経済的な影響力は拡大し、それは今後益々顕著になることが予想される。中国の南シナ海や東シナ海への進出や米中関係の行方、また一帯一路戦略におけるアジアやアフリカ、欧州諸国との関係など、毎日のニュースの中で中国を見ないことはほぼないと言っていいだろう。

 しかし、中国の進出はそのニュースではあまり焦点の当たらない南太平洋地域でも近年顕著になっている。多額の経済支援は、広大な海洋管理や海面上昇への対策などで資金を必要とする南太平洋各国にとって魅力的なものとなっており、中国の経済を武器にした影響力拡大は今後も続くことが予想される。

 今年5月に第8回太平洋島サミットを開催する日本としても、近年パプアニューギニアとの間で天然ガスを中心とする貿易関係が深まっていることから、南太平洋地域への関与との関係性はエネルギー・安全保障の観点から一層重要性が増すであろう。

大国からの資金援助に依存する南太平洋諸国

 しかし、中国の影響力拡大はメディアの関心がそれほど当たっていない場所でも近年顕著に見られ始めている。その1つが南太平洋だ。南太平洋地域はミクロネシア、メラネシア、ポリネシアの3地域に分けられ、合計で14の国家が存在する。ミクロネシアにはパラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、キリバス、ナウルが、メラネシアにはパプアニューギニア、ソロモン諸島、バヌアツ、フィジーが、そして、ポリネシアにはツバル、サモア、トンガ、ニウエ、クック諸島がそれぞれ属するが、これら14か国の人口は約1000万人程度である。

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中国の影響力が高まっている南太平洋地域

南太平洋地域のもう一つの特色として、これら14か国の国土面積の合計は日本の約1.4倍と比較的小規模であるものの一方、排他的経済水域(EEZ)の面積は日本の約4.4倍と広大な範囲に及び、如何に自国で海洋管理ができるかが大きな課題となっている。そのような中、近年中国は経済を売りに南太平洋地域への関与を強めている。オーストラリアに拠点を置くローウィー研究所(Lowy Institute)の統計によると、中国は2006年から2016年の10年間で、パプアニューギニア に6億3200万ドル、フィジー に3億6000万ドル、サモア に2億3000万ドル、トンガ に1億7200万ドル、バヌアツ に2億4300万ドルなど巨額の財政的支援を行っている。

 現在台北の中華民国政府を承認しているのはカリブ海周辺諸国、太平洋島嶼諸国、アフリカなどの20か国前後になっているが、カリブ海周辺地域では直近で2017年にパナマが台湾と断交し、中国と新たに国交を結んでいる。新しく国交を結ぶ各国は、言うまでもなくさらなるチャイナマネーへ期待を寄せている。

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和田 大樹(わだ・だいじゅ)オオコシセキュリティコンサルタンツ シニアアナリスト兼アドバイザー/清和大学講師。国際政治学や安全保障論を専門とし、国際テロ分野においてアカデミアを中心に、シンクタンク、コンサルティング会社など幅広く活躍。2014年5月に主任研究員を務める日本安全保障・危機管理学会から奨励賞を受賞。著書に『テロ・誘拐・脅迫 海外リスクの実態と対策』(2015年7月 同文舘出版)など。

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