【仙台市長選】「郡和子新市長」誕生の裏側に迫る―「市民の会」新里宏二共同代表 (下)

   

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※本記事は「【仙台市長選】「郡和子新市長」誕生の裏側に迫る―「市民の会」新里宏二共同代表 (上)(中)」の続編です。

詳しい内容は下記リンクをご覧ください。

【仙台市長選】「郡和子新市長」誕生の裏側に迫る―「市民の会」新里宏二共同代表 (上)

【仙台市長選】「郡和子新市長」誕生の裏側に迫る―「市民の会」新里宏二共同代表 (中)

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東京都議選、加計学園問題、村井知事…時流や世論の影響

村井嘉浩 菅原裕典

菅原氏の応援演説をする村井嘉浩知事。

 

―選挙期間中は東京都議選や森友・加計学園が話題となりましたが、当時の時流や世論で、「これは選挙戦に影響したな」といったところがあれば教えてください。

新里 宏二共同代表(以下、新里):政策中心の選挙戦を中盤にやって、終盤にやっぱり国政の影響というのがすごくあった。都議選が都民ファーストに流れた。

(東京都議選の投開票日翌日の)7月3日は、1000人規模の大集会を予定していたが、ただどうも都議選で民進党が壊滅的打撃を受けると予測されていて、その翌日に市民の会の集会をやっても(マイナスの)影響が出るだろうからやめようということで、その集会は7月5日に変更になった。
一方、菅原陣営は7月3日で集会をやっていた。噂では弁士は村井知事・奥山市長、菅官房長官、小泉進次郎さんの4名で、そして本人が話すという流れだったと。ところが都議選の自民党の惨敗があって、菅官房長官と小泉さんは来ないという形になったようだ。
そして、都議選は懸念されていた民進党が思った以上に勝って、一時は2議席になるんじゃないかと見られていたのが、結果的に5~6議席にとどまった。「運も実力のうち」というが、日程的には運にも左右されていると感じた。

ーありがとうございます。加計学園問題や森友学園問題は何か選挙戦には影響がありましたか。

新里:(都議選で)安倍内閣の不信任票が都民ファーストに流れた。今度は郡さんにということで、私たちも終盤の選挙戦を動いた。桜井(充)さんは民進の選挙責任者だったが、当初は桜井さんとも「(市長選の応援弁士として)国会議員は今回無しだよな」「それでいいんじゃないですか」と話していた。

だけど途中で桜井さんから「俺にマイク握れっていう声が結構あるんだよね」と言われた。特に加計学園の問題では、民進党の疑惑調査チームの座長が桜井さんだったので、私は思い切って「桜井さん、あなたは今、いわゆる政党人としてというよりは、加計学園問題を追及している一番の有名人というところで評価されていると思うよ」と言った。「だったら、マイク握るの我慢する必要は全くないですよ、なんぼでも握ってください」と伝えた。

終盤は加計学園問題をどんどん前面に出して、例えば森ゆうこ(参議院議員。新潟県選出)さんや福島みずほさん(参議院議員・社民党副党首。比例区選出)といった国会の弁士にも来てもらって、『加計攻め』をやりながら、仙台から日本の政治を変えようよと選挙戦を展開した。

先日お話を伺った社民・辻隆一幹事長からは「村井知事・奥山市長が応援に回ったことを脅威に感じた」とお話がありました。県政や市政の顔となる奥山市長、また村井知事が対立候補の応援に入ったことによる影響は最終的にどのようなものだったと思いますか。

新里:前半に知事があんまり市長選に前のめりになったということに対して、郡さんからは「政令市の政治というのは県と対等ですよ。その対等なところに手を突っ込んでくるのはおかしいんじゃないですか」という指摘があった。
選挙戦では知事批判もしたが、皆さんそれなりに共感があったようだ。特に知事と菅原(裕典)さんとの二連ポスターが出たときや、インターネットで事前運動があった時に「あれは選挙違反だろう」って指摘が入った。知事と市長がくっついて……という構図を、この選挙戦で少し留まらせることができたんじゃないかなと思う。
奥山さんが菅原さんの支援に回ると言った影響がどれほどあるのかなと思ったが、結果的にそれほど重大な影響ではなかったようだ。やっぱり「なんで今奥山さんが?」っていう思いで皆見てて、それでかえって郡さんに世論の共感が強く傾いたと思う。

ー市長・知事の応援が却って裏目に出たところがあるのかもしれませんね。「東京都議選の流れを仙台にも」「(加計学園問題を踏まえて)仙台から日本の政治を変えよう」といった世論を積極的に取り入れて訴えを展開されましたが、その他選挙運動の手法でこれは参考になったな、といったものは何かありますか。

新里:選挙運動からすると、無党派をどう掴んでいくかというところが重要だったが、都議選がひとつヒントになった。
都議選では共産党が12議席から19議席へと大幅に躍進した。なぜかというと、彼らはいろいろある政策を、駅頭でメガホンを握って宣伝をしていたからだ。メガホン隊は生声でやるので、選挙違反にならない。例えば候補者名のコールばかりやったり、威圧的だったりする場合は選挙違反になるが、基本的には可能だ。市民参加型ということもあり、私たちもメガホンを何百本を使って、3~5人でチームになって街中でビラ配りをながら「郡和子をよろしく」と大きな声を上げて応援した。
この応援は仙台弁護士会の仲間でもやったが、なかなか盛り上がった。市民参加型の運動で、市内のいろいろなところに支援者がいるといった感じになって、選挙戦を盛り上げる要因にもなり、市民受けもしたんじゃないのかなと思っている。

ーありがとうございます。最後に外部的な要因として、選挙戦を分かつ決め手になったものが何かあったら、教えてください。

新里:最後はやっぱり、政治全体の流れっていうのを掴めたというところがあったのではないか。翌日の朝、NHKの全国版のトップニュースで、上から3~4番目くらいに仙台市長選が取り上げられたが、私が万歳三唱をしているところがテレビに映ると、その日の朝すぐに大阪にいる高校時代の同級生が「なんだ新里、お前ずいぶん老けたな~」って連絡をくれた。やっぱりそれだけ、仙台市長選が国政まで影響与えるようなイベントになったんだと思う。今の国民の安倍政権に対する不満を、郡さんが受け皿として機能したって部分が、最後に勝ちぬけた要因でもあるかなと思う。

桜井充 郡和子

郡氏の応援演説でマイクを握る桜井充参議院議員。

「推した候補者が素晴らしかった」

郡和子

ー本特集では社民・共産など今回の選挙戦で重要な役割を果たした政党関係者の皆様からお話を伺っていますが、どの方も「市民の会」の役割の重要性をお話しされています。選挙戦への市民団体への関わり方は全国でまちまちですが、率直に、当初「市民の会」がここまで大きな役割を担うまで成長されるとはお考えでしたか。

新里:初めの段階で、本当に選対を私たち市民の会が担ってやるという決意があったのかと言うと、そこまでではなかったのではないかと思う。ただ活動が盛り上がっていくなかで、市民がこの人だと郡さんを選んで、民進党にも「郡さんでいいよね」って言わせたという意味で、今回の候補者選びの中で、市民の会というのは決定的な役割を果たしたんだと思っている。

私は昔、郡さんの(東北放送アナウンサー時代に担当していた)番組に出たこともあったり、国会の中で院内での集会を企画してもらったり、いろんなお付き合いをさせていただいていたが、公私に渡ってすごく親しいかと言ったらそういうレベルではなかった。お互い国会議員とか弁護士という色んな運動をしている立場で、個人的な「お友達」ではないなかで、巡り巡ってきてこういう選対本部をやることになった。今回はみんなが上手くやってくれて、いい結果が出て一安心したという感じがしている。

中編で「菅官房長官の来仙が対立候補陣営の引き締めになった」とお話しされていましたが、菅原氏などの対立候補の陣営について改めて思うところはありますか。

新里:勝てると思ってはいても、最後に結果が出るまではわからないし、やっぱり与党は強いなと思った。今回選挙戦をやってみて、与党の訴えは全く響いてこないのに、結果はたったの16,000票差。相手は強いんだなと思った。よっぽどきちんと取り組んでやらない限り、与党には勝ちきれない。(他自治体・他県の市民団体や政党関係者が)仙台市長選を参考にしてくれるのは非常にありがたいと思うけれども、本当に勝ちきるというのは大変だなと思った。

まあ、最終的には勝った要因としては、候補者が素晴らしかったからだと思っている。選挙をやるなら、候補者は素晴らしい人がいい。郡さんのように知名度も実績もある人を擁立できたというのが、一番大きかった。そういった意味で私たちの役割はあったんじゃないか、その候補者を選ぶまでがこの選挙の前哨戦だったのではないか、と考えている。

ーありがとうございます。市民の会として最も納得できる候補者を選べた、という形かと思うのですが、その後の政策などのすり合わせはどのようにして行われましたか。

新里:政策については、私たちが掲げた6項目をもとに、民進の岡本あき子(仙台市議会議員。市議会民進系会派「市民フォーラム」代表)さんといった方と協力しながら草案を作った。郡さんは郡さんの後援会で作ったビラがあって、そういった組織同士で調整しつつ、最終的には僕らの思いにも十分踏み込んだ選挙公約を作ることができたと思う。

そしてやっぱり郡さんが日々成長していた。選挙公約などでどういった話をするかも含めて、いつも明るくふるまって「よし、この人のために頑張るぜ」と思わせるような人柄だった。あんなに朝早くから選挙をやって、次の日もまた同じことをやるでしょう。「郡さんが頑張るんだったら、俺たちも頑張るよね、頑張らなくちゃいけないよね」と思った。

総じて、候補者が素晴らしかったんだと思っている。そういう人を擁立出来たというのはひとつある。どんなに頑張るといっても―相手方がどうだったとは言いませんが―、実績であったり、候補者の力っていうのが出ていたから、巨大な与党や知事、市長にすら勝つことができたんじゃないかな。

「長い目で郡さんを支えていきたい」

ー接戦を制して郡氏が当選されました。今後の市政運営に向けて、現時点で課題に感じられていることはありますか。

新里:与党いわゆる市長の与党が10数人しかいない。そこで上手く政策を通して行かなければならないので、そこらが今後の大きな課題ではないか。

例えば副市長がひとつ空席になっているので、そこをどう埋めていくかが問題だ。その人事のためには自民党も公明党も賛成してくれる案でなければ通らない。そういう「この人だね」って人を郡さんが選べるのかどうか。今は(一人の副市長と)二人でやっているが、いい人を選んでやっていけるのかどうか。

でも、私は焦る必要はないと思っている。任期は4年あるわけだから。私たちの仲間にも言ってるのは「すぐに結果を求めない方がいいよ」ということ。色んな議会の問題があったり、市役所の職員の関係もあるわけだから、この公約全てが郡さんになったらすぐ実現するかと言ったら、できることとできないことがある。こういうことをやりたいって予算を作っていくのは次の予算で、来年の2月議会のその次が本格的な予算になるわけだから、少しずつ郡カラーを出していけばいい。

それと現場に行くことが大事なのかなと思う。この前の冷夏の関係で出て行ったり、そういう風に奥山さんと違うところを見える格好で現場を大事にしてるってところを出していければ、それはそれで皆さん「ああやってるんだな」と思ってくれるのではないか。市長会の問題など色々あるが、一つ一つクリアしていけばいいので、それは僕らゆっくり支えてあげたいなというところですかね。9月11日から始まる所信表明演説もある。(編集部注:本インタビューは、所信表明演説前の9月1日に実施された)その中で少しずつ独自色を出していければいいかなと思う。

ー最後に、10月に行われる県知事選について伺いたいと思います。「県民の県民による県民のための新しい知事を選ぶ会」(県民の会)が立ち上がり、新里先生はそちらの共同代表のお一人ですが、そちらの状況はいかがですか。

新里:「県民の会」は、さっき会議に出席してきたのだが、佐久間敬子弁護士らが中心になり運営していて、私も可能な限り取り組んでいる。郡さんを市長にしたというだけではダメだと思っている。私たちが求めたような市長になってほしいわけだから、今後ともサポートをして、孤立させないでいきたい。「一人で行ってきて。俺ら知らないよ」とは言えないわけだから。色んなお手伝いをしながらサポートしていきたいし、そこが僕らの一番の役割なんじゃないかなと思っている。やっぱり郡さんを市長として外からきちんと支えていくのが、一番の今の私の役割だろう。

ただ。郡さんは選挙戦で「知事がなんで市政に手を突っ込んでくるんだ。おかしいじゃないか」って言っていたので、だとすると逆のこともある。108万都市の政令市の市長が何で知事選に首を突っ込んでくるんだっていうこともあり得るし、そういう自分が言ったことは自分に跳ね返ってくるものだ。まずはやっぱり郡さん自身がきちんと市政を安全運転していくってことが大事なんじゃないか。ただ、自らの仲間から候補者が立ったら、当然人の道として、応援することは十分あると思う。

これから4年間、私としては郡さんが相談出来る後援者でありたいし、外から見てる弁護士の立場としても支えていきたいと思っている。

ー郡市政の今後の4年間によりいっそう注目していきたいですね。新里先生、本日はお忙しい中ありがとうございました。

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