知られざるロシアの情報セキュリティ

   

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近年、ロシアが主導した疑われるサイバー攻撃が増加している。そのような事態を踏まえて、西側諸国の一部ではロシアのセキュリティソフト「カスペルスキー」を公的機関での使用を禁止するほどだ。「攻め」ばかりが印象的なロシアの情報戦略。それでは、「守り」はどのようになっているのだろうか。今回は知られざるロシアの情報セキュリティ事情を紹介したい。

深刻に捉えられている「情報」

赤の広場

ロシア政府は安全保障政策において「情報」にどれほどウエイトを置いているのだろうか。ロシア政府の安全保障政策がわかる最上位の文章が「ロシア連邦国家安全保障戦略」である。

この中で、ロシア政府は情報安全保障を重視。一部の国が情報通信技術を用いて社会操作、歴史の歪曲を行い、国際情勢に影響を与えることを危惧している。また、情報通信技術を使ったインフラ設備への攻撃、テロリズムの増長も驚異とみなしている。とてもザックリとしたまとめ方になったが、要はロシア政府は安全保障政策において、情報セキュリティーを重視している。また、単純なテロリズムだけでなく、インターネットを使った世論操作を驚異とみなしていることに注目したい。

情報・サイバー空間は国家が管理すべきか

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先ほどの脅威に対してロシア政府はどのような政策を打ち出そうとしているのか。ここでは、情報セキュリティに関する政策の一部を紹介したい。ロシアでは「国家安全保障戦略」を踏まえて、具体的な政策が2016年に改訂された「情報安全保障ドクトリン」で明示されている。

「情報安全保障ドクトリン」においても、情報セキュリティに関する脅威が列挙されている。その中で注目したいのが、若年層への影響。つまり、若年層が様々なロシア政府に敵対する外国からの情報に触れることで、伝統的なモラルや愛国心が減退することを恐れている。具体的には、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使った社会運動が挙げられる。

この脅威に対して、同ドクトリンでは、ロシアの伝統的な価値観に対する攻撃を無力化させることをはっきり打ち出した。同時に、国家が率先して情報空間を管理しようとしている。例えば、2015年にはウェブサイトがロシア人の個人データを国内のサーバーに保存することを義務付ける法律が施行された。この法律のあおりを受け、アメリカ発のSNS「Linkdein」はロシアでは使えなくなった。ロシアでは、これまで以上に国家が情報空間を管理する動きが強まることが予想される。もしかすると、SNSに自由に書き込めなくなる時代も来るかもしれない。

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1987年生まれ。神戸市出身。神戸大学大学院国際文化学研究科修了(国際関係・比較政治論コース)。専門はユーゴスラビアといった中東欧の政治・国際関係。 民間企業に勤務後、3ヶ月間の中東欧でのバックパッカー体験を経て、2016年より独立。『Compathy Magazine』『TRIP’S』など複数のメディアで活躍中。

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