中国のシェア経済の爆発的流行のワケ---経済の「リープフロッグ」現象

   

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「リープフロッグ」という言葉は皆さん聴いたことがありますか。日本でいう「馬跳び」を指しますが、転じて、技術・製品などのジャンルに後れを取っている国・企業が追いつく際に、イノベーションによって途中の段階をすべて飛び越して、一足でテクノロジーの最前線に到着してしまうことを表現しています。

中国におけるシェア経済についても、この「リープフロッグ」が起きています。シェア経済はもともとアメリカ発祥で、中国に導入されるのはほかの先進国より遅かったものの、IT技術と本来の市場の優勢が融合して、逆にローカルなシェアビジネスに活性化させて世界のシェア経済をリードしてきたと評価されています。

 例えば、アメリカのライドシェアサービスUberの中国事業は、今年8月に中国の大手企業・滴滴出行(Didi)により買収されました。同じくアメリカ発祥の民泊サービスの元祖であるAirbnbが業務範囲を拡大して、産業転換を求めるために、この9年間全世界で買収戦略を展開していますが、中国への「現地化」の際に、衝撃を受けてしまいました。

 一方中国に生まれた「モバイク」「Ofo」がイギリス、シンガポール、日本などの国に進出しています。なぜ中国では近年シェア経済がこんなに早く成長しているのでしょうか。本日は世界のトレンド及び中国国情を通して「シェア経済の背景」を解明してみます。

(最近中国のSNSにおいて話題になったシェアハイブリッドカーです)

金融危機により生じた「新しい契機」

90年代から中国などの世界における主要な経済大国では技術の成長により生産力が一段と飛躍してきました。それにもかかわらず、需要不足、市場へ過剰な期待及び不適切な政策規制や資本投資により、「供給過剰」という問題が各産業に及んでしまいました。また、2008年、リーマンショックは突発的で大きな需要の減少をもたらしたので、「供給過剰」問題が浮き彫りになってしまいました。フィナンシャルタイムズ中国によると、2016年には鋼鉄、コンクリート、アルミなどの伝統的な産業には少なくとも30パーセントの供給過剰が存在したといわれています。これが、伝統的な「交換経済」がだんだん「シェア経済」によって取り換えられてきた背景です

しかも、リーマンショックをきっかけに、失業率は増加し、ひとりひとりの収入も減少してしまいました。そのため、中国国内でも「開源節流」(編集部注:『荀子・富国篇第十』による。収入を増やし、支出を節約しようという考え)という意識が広がり、人々は消費の観念を見つめなおし、シェア経済を受け入れる土壌が形成されていきました。例えば、ファッション界ではデパートの高級ブランドの洋服が売れなくなり、airCloset‎・BOROなどといった「洋服版Airbnb」もシェア経済に浸透しつつあり、洋服のシェアを使い始めるユーザも増えてきました。また、『中国シェア経済報告書2017年』によると、「2016年に中国全国でシェアサービスの提供者が約6000万人に、プラットフォームで働く被雇用者が585万人に達してきたそうです。即ち、シェア経済は雇用率の増大に大きく貢献しています。

新しく登場したシェア駐車場です

90・95・00年代生まれをはじめとする「新消費者」

95年代生まれの若者がネットショッピングでよく購入するジャンル(アパレル・食品雑貨・電子製品・健康美容)です

21世紀からの消費は「モノの消費」ではなく、「コトの消費」であるという言葉はよく企業のPRページや記事に載せられています。まさにその通りです。生産力の向上により我々が直面する選択肢が増えてきたし、技術導入のコストが減り、参入ハードルが低くなるので、同質な商品が爆発的に増加してきました。だから、これからは提供者が決める市場ではなく、だんだん消費者のニーズにより動き始める市場になっていきます。そのため、どんな事業をスタートしても、消費者の種類やニーズを明らかにしないといけないです。そしてこれからシェア経済が狙う消費者は90年代、95年代・00年代生まれのいわゆるミレニアル世代をはじめとする「新消費者」に他ならないと思います。

ちょうど情報改革時代に生まれた世代の中には、「スマホ族」「インターネット族」「SNS族」がたくさん集まっています。WeChatでツッコミしたり、投稿したり、写真をシェアしたりする若者がとても多いです。若者がSNSの発信者でもあり、受信者でもあります。友達がシェアしてくれた観光地の写真やコメントを見かけたら、自分でも体験してみたい意欲が生じます。あるいは、旅行ガイドの口コミを参考しながら、旅行のプランを作る若者が少なくありません。また、SNSで買い物したり決済したりすることも主にこの世代に集中しています。つまり、中国人の若者は体験が好きで、他人と「シェアしたい」という意識にも恵まれているので、シェア経済に受け入れやすいわけです。例えば、「モバイク」のユーザーは20代が大半を占めているそうです、近年Airbnbが買収したいくつかの会社を見てみると、この世代を狙っていると確信せざるを得ないものがあります

Internet+による「質の変化」

シェア移動電源です

シェア経済という概念は1970年代には既にありましたが、近年ITイノベーションにより、徐々に流行してきました。中国でシェア経済が始まったのは、他の先進国より遅かったにもかかわらず、IT産業の活発化で一気に拡大してきました第一に、クラウド、ビッグデータのおかげで、データへアクセスするコストがずいぶん削減され、需要者と供給者がもっと正確にマッチングできるようになりました。第二に、電子決済技術がシェアビジネスの流行に技術ベースを与えました。そして最後に、LBS(Location-based service)という位置情報技術がなければ、シェアバイク、シェアカーの事業が立ち上げられなかったかもしれません。

2015年中国政府は「Internet+」という政策が公表しました。これはインターネットと伝統的な産業を融合させるという政策です。つまり、インターネットをベースとして工業、金融業、商業にイノベーションを引き起こして新しい経済形態を進めると期待されています。しかも2016年からシェア経済が経済政策として中国政府により認められ、最近の中共十九大でもシェア経済は重要な議題として熱論をかわされています。即ち、政策に支えられている「シェア経済」は、これから堅実に進化していくと期待されています。

本日はここまでにしましょう。寒露の候、麗しい仙台でまた皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。 

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婷竹
婷竹(テイチク) 1991年生まれ。牡羊座。O型。中国東北地方瀋陽市出身。東北財経大学卒業。現在東北大学経済学研究科在学中(修士1年生)。趣味は読書、星座占い、ACG(アニメ・マンガ・ゲーム)音楽を歌うこと。ヴォーカルユニット・Kalafinaの熱狂的ファン。自慢の料理は中華風豚足の煮込み。

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