そもそも「ポピュリズム」とは何か?「ポピュリズム」の正体を考える

   

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今月は中欧・東欧における「ポピュリズム」を取り上げる。ところで、「ポピュリズム」とは一体なんだろうか。今回は普段の生活において意識しない「ポピュリズム」の正体を考える。

「ポピュリズム」は悪か?

中曽根康弘氏(パブリックドメイン)

中曽根康弘氏(パブリックドメイン)

「ポピュリズム」と聞くと多くの方がマイナスのイメージを持たれるだろう。「大衆迎合主義」「独裁的」「人気取り」ポピュリズムにはそのようなワードがつきまとう。
昔から「ポピュリズム」には「反エリート意識」がある。吉田徹氏によると「ポピュリズム」の核心は既存権力の価値体系を丸ごとひっくり返そうとする「否定の政治」にある、としている。つまり「ポピュリズム」には大きく社会を動かす力がある、と言っていいだろう。

そもそも「ポピュリズム」は人民(ピープル)と語源が同じだ。現在、議論はあるが多くの民主主義社会では「人民による、人民のための政治」が行われている。「ポピュリズム」は人民の声を基盤とする以上、絶対悪ではない。人民主権の下では「ポピュリズム」は避けられない現象といえるだろう。

それでは、どのようなときに「ポピュリズム」が台頭するのだろうか。端的に書くと、人々が「自分たちの声が政治に反映されていない」と感じるときに「ポピュリズム」が台頭する。例えば、自分自身を「ポピュリスト」と名乗っている中曽根元首相を考えてみよう。中曽根氏が首相に就任したのは1982年のことである。当時、日本の政局は自民党と社会党との「55年体制」であった。

自民党は農民と自営業者を中心に、社会党は公務員を中心に利益分配をしていた。利益分配に与れなかったのが都市住民である。都市住民に着目したのが歴史が浅い公明党だった。中曽根内閣は都市住民を重要視。税負担の軽減や国鉄民営化によるサービス向上など、都市住民の利益に合致する政策を強力なリーダーシップを持って推進した。中曽根内閣は疎外感を感じていた都市住民からうまく支持を得ることに成功し、長期政権を樹立した。

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「ポピュリズム」の特徴

小泉純一郎氏(パブリックドメイン)

小泉純一郎氏(パブリックドメイン)

「ポピュリズム」の特徴のひとつが「敵を作る」ことだ。最もわかりやすい例が、日本を代表するポピュリスト小泉元首相だ。小泉氏は改革に反対する者を「抵抗勢力」と呼び、対決を国民に見せながら改革を行った。
それでは、なぜ「ポピュリズム」は敵をつくるのだろうか。もともとポピュリストが少数派であることだ。中曽根氏の派閥は小さく、小泉氏は政界では「変人」と言われていた。国民が不満に思っている要素に対してファイティングポーズを見せることで、国民からの多くの支持を集める。国民からの支持を源泉として、ポピュリストは政界で存在感を発揮するのだ。また、国民に直接語りかけ、大きなストーリーを語るのも「ポピュリズム」の特徴といえる。ただし、ポピュリストが訴える大きなストーリーが本当に国民のためになるのか、それは国民が慎重に判断しないといけない。

「ポピュリズム」は硬直した現状を打破する起爆剤にはなる。その一方、大衆に迎合した独裁的な政治に走ることも忘れてはならない。「ポピュリズム」には「いい面」と「悪い面」が存在するのだ。「ポピュリズム」を「絶対悪」とせず、その場に応じて適切に判断したいものだ。

参考文献
吉田徹『ポピュリズムを考える』NHK出版、2011年。

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1987年生まれ。神戸市出身。神戸大学大学院国際文化学研究科修了(国際関係・比較政治論コース)。専門はユーゴスラビアといった中東欧の政治・国際関係。 民間企業に勤務後、3ヶ月間の中東欧でのバックパッカー体験を経て、2016年より独立。『Compathy Magazine』『TRIP’S』など複数のメディアで活躍中。

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