「本が売れない時代に儲かっちゃう!」---中国本屋チェーン「西西弗(シシフ)書店」の「匠」

   

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「荷物が重ければ預けよう!」

「立ち読みに疲れたら座ろう!」

「本が高いと思ったら書き写そう!」

「意見があれば話そう!」

と言う四か条のポリシーが書いてある看板は西西弗書店にはじめて顔を出したときの印象でした。

(西西弗書店の壁に書いてある「四か条のポリシー」です)

去年の冬休みに故郷である瀋陽市に帰った時に、自習ができるカフェを探したことをきっかけとして、私は喧噪なショッピングモールに秘められた「西西弗書店」の存在を知りました。日本に留学してから、ブックカフェ巡りをするのは一つの楽しみになっていました。そのため、木目を基調とした、落ち着いた雰囲気が漂っている西西弗書店に一目ぼれしました。日本では個人経営のおしゃれなブックカフェが多く見られますが、西西弗書店は、カフェ、雑貨、書籍、出版、文化クリエート等のブランドを併設して中国全土を席巻して90軒以上の店舗があるチェーンです。では、本日は西西弗書店を巡りながら中国書籍実店舗の経営文化を一緒に堪能しましょう。

実店舗を一変する「コンセプト書店」

ギリシア神話の登場人物シシフスに由来する西西弗書店は1993年、中国貴州省の遵義市に生まれました。西西弗書店は一般的に大都市のショッピングモールに立地しており、バタバタとした仕事帰りの社会人にとって立ち寄って一息つくのにもおすすめな空間と言えます。ギリシアの神話にあやかった店名、レトロモダンで洋風なレイアウト、机の上に置きたくなるような雑貨、凝ったデザインがある書籍のカバーを観たら、まるで一昔前の異国にタイムスリップしたかのように感じます。

(本屋と喫茶店を併設していることが若者を引き付ける魅力です)

本棚には文学、社会科学、ビジネス、生活、芸術などのジャンルの本が多く収まっています。そして、どんな本でも必ずプラスチックの包装がついていないサンプル本があります。また、店内に入ったら、「店長のオススメ」という書籍コーナーがすぐ見えます。もし何を読むか迷ったら、そこに並んだ本を眺めてみたら面白いと思うかもしれません。「本が高いと思ったら書き写そう」というポリシーの通りに、店内にはお客様が座り読み、書き写せる長いテーブルがセットされています。平日でも夕方でも真面目に本を読んだりメモを取ったりしている若者がテーブルに集まっています。ただ「書籍を購入する」本屋と比べて、西西弗書店では人間性、感覚性が十分に尊重されるやさしさを感じます。

(落ち着いた空間で本を読みながら集中してメモを取っているお客様です)

書店の概念を見直した「第三空間」

(本屋と喫茶店をつなげる可愛い「扉」です)

西西弗書店は「矢量珈琲」(シリァンカフェ)という喫茶店を併設するという特徴があります。書店の中の小さな扉を開いたら、コーヒーの香りがあふれる空間に入ります。本を買わなくても、コーヒーを片手に無料で本一冊を借りて満喫できます。また、店内にはWiFiがあるので、パソコンやスマホを持ち込むことができます。だから、週末でも平日でもピークの時間帯に行ったら、満席することがよくあります。私は瀋陽の西西弗にいつも営業開始時間の10時より前に行きました。居心地がよく自宅のように寛げて、本当に癒されていました。

(書店の中で開催した作者の講演会です。真面目に聴講している読者です)

西西弗書店は「ローカル精神生活を形成させる」という経営理念に基づいて、「全民読書」を支えるために、作家の講演会、トークショー、読書感想シェアサロンなどのイベントが頻繁に開催されています。イベントについての情報がすべてWeibo、WeChatのパブリックアカウントといったプラットフォームで公開されているため、参加者がいつも多く集まります。また、交流会を通して、意気投合する友達を作れるし、普段忙しい社会人にとって生活を充実させ、新しい出会いを作れる空間と言えます。そしてスペースの利用率を最大化するために、特別なイベント室を設定するのではなく、すべてのイベントや読者交流会は「矢量珈琲」や書店の中で開催されています。

日本への提案‐‐‐「ならでは」の経営戦略

オンラインブック及びネット販売が普及して以来、日本でも中国でも書籍実店舗が経営不振、閉店、倒産に追い込まれるのが共通している問題です。例えば、東京商工リサーチの業界調査によると、全国の書店の売上高は2年連続で減少をたどり「増収」企業数は2割にとどまりました。また、2016年に書店の倒産は25件で、2015年度より6件増加しました。だから、売上減地獄で苦戦している実態が浮き彫りとなっています。日本で本屋巡りを何回もやったことがあります。紀伊國屋、TSUTAYA及びブックオフなどの大型本屋は広くて、買いたい本を見つけるのに時間がかかります。また、喫茶店や文房具屋と連携して共同運営する書店がありますが、西西弗書店のようにコーヒーを持ちながら本を読むことはできないです。更に、知識所有権を厳しく扱われている日本では、書店で座って本を書き写すことは難しいです。しかし、それはある程度知識の流通を邪魔する原因の一つになるかもしれません。だから、日本の書店は「ただ本を販売する」というイメージが強いです。

ではどうやって書店の危機を解決すべきでしょうか。

(どこの空間も効率的に利用して、西西弗書店「ならでは」のデザインになっています)

例えば、書店のならではの販売に注力して、書店の機能を見直してみるのはいかがでしょうか。本のジャンルをユーザのニーズ、時代流れによって専念したら、ただぶらぶら巡りではなく、目的で本屋に来てくれるお客様が増えるのではないかと思います。また、WiFiを設置したコーヒーショップを併設したりして、ただ本を読めるではなく、お客様を本の世界でリラックスできるようにしたら、お客様の満足度が高められるかもしれません。即ち、「モノの消費」から「コトの消費」に移入している現代では、どうやってユーザ体験を充実させて差別するのは書店が生き残る肝だと思います。

 

本日はここまでにしましょう!秋涼の候、麗しい仙台でまた皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。

 

婷竹
婷竹(テイチク) 1991年生まれ。牡羊座。O型。中国東北地方瀋陽市出身。東北財経大学卒業。現在東北大学経済学研究科在学中(修士1年生)。趣味は読書、星座占い、ACG(アニメ・マンガ・ゲーム)音楽を歌うこと。ヴォーカルユニット・Kalafinaの熱狂的ファン。自慢の料理は中華風豚足の煮込み。

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