トランプ大統領に左右されるのか? 今後のボスニア・ヘルツェゴビナを占う

   

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トランプ

出典:Donald J. Trump Facebook

今まで、ボスニア・ヘルツェゴビナ(以下略:ボスニア)の現状を見てきた。我々の常識から考えられないような複雑で困難な状態が続いている。

今後、ボスニアはどのように推移するのだろうか。いくつかの新聞をチェックすると、結局はアメリカ、トランプ大統領にかかっているように思える。

今回はボスニア、バルカン半島とトランプ大統領の関係を見ていきたい。

トランプ大統領に好意的なスルプスカ共和国

前回でも書いた通り、ボスニアの隣国、セルビア共和国はトランプ大統領の誕生を歓迎した。

同じく、セルビア人が多く居住するスルプスカ共和国でも、トランプ大統領への期待の声が聞こえる。

在ワシントン、スルプスカ共和国駐在事務所、ケシッチ所長はスルプスカ共和国のメディアに答える形で以下のように述べた。

昨日のアメリカ側との会議から考えると、アメリカ側の外交政策の転換は私たちが考えているよりも早いかもしれない。

アメリカ側がスルプスカ共和国の要求を受け入れる可能性は残されている。

この発言は2017年1月のものだが、トランプ大統領へのスルプスカ共和国の期待が感じられる。

しかし、2017年3月末現在、明確にトランプ政権がスルプスカ共和国を支援する方向には動いていない。

現に、トランプ大統領就任式の参加を巡って、スルプスカ共和国、シヴィヤノヴィチ首相はアメリカ側から「招待された」としているが、アメリカ側は否定した。

アメリカがバルカンから離れると戦争?

一方、ボスニアの現状維持を望んでいるヨーロッパ側はトランプ大統領に警告メッセージを送っている。

ユンケル欧州委員会委員長はフィナンシャル・タイムズのインタビューの中で、このように述べた。

アメリカは他国を(EUから)離脱するように誘導してはならない。もし、EUが崩壊すれば、西バルカンで再び紛争が勃発する...

もし、私たちが以下の国々、ボスニア・ヘルツェゴビナ、スルプスカ共和国、マケドニア、アルバニアを放置するなら、再び紛争になる。

この発言からは、トランプ大統領がEU離脱の秋波を送っていることへの強い懸念が伺える。

EUの崩壊とボスニアをはじめとする西バルカン諸国の紛争を結びつけていることがポイントだ。

さらに、アメリカのバルカン半島への影響力の低下も懸念している。また、ヨーロッパ側は、バルカン半島へのロシアの影響力増大も警戒している。

結局は大国に左右されるボスニア、そしてバルカン諸国

サラエボ ラテン橋

サラエボにあるラテン橋。ここから第一次世界大戦が勃発した。(筆者撮影)

形は違えど、歴史を振り返ると、第一次世界大戦前のバルカン情勢に少し類似している。つまり、バルカン半島で大国同士が互いに牽制、警戒している。

そして、大国の下にあるボスニアでは国が二分する事態になっている。

どうすれば、ボスニアに真の平和がもたされるのだろうか。もしかすると、セルビア人、ボスニア人、クロアチア人から好かれている経済大国、日本がイニシアチブを取ったほうがいいのかもしれない。

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1987年生まれ。神戸市出身。神戸大学大学院国際文化学研究科修了(国際関係・比較政治論コース)。専門はユーゴスラビアといった中東欧の政治・国際関係。 民間企業に勤務後、3ヶ月間の中東欧でのバックパッカー体験を経て、2016年より独立。『Compathy Magazine』『TRIP’S』など複数のメディアで活躍中。

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