【緊急寄稿】ブリュッセル同時テロから1年―3.22ロンドン襲撃のもつ意味

   

スポンサーリンク

英国ロンドンにある国会議事堂前で現地時間22日午後2時半ごろ、車を運転する男が歩行者を次々とはね、

その後車外に出て警官らをナイフで襲う事件が発見し、現在のところ犯人を含む4人が死亡、40人以上が負傷した。

今回の事件について、ロンドン警察はテロと断定し、実行犯の男がイスラム過激主義と関わりがあるとの見方を示している。

執筆している今、実行犯の動機やテロ組織との繋がりについては明らかになっていない。よって当然だが、事件の具体的な詳細をここで述べることはできない。

しかしそれと同時に重要な事を、国際テロ情勢のウォッチャーとしていくつか述べたいと思う。

イギリス・ロンドンの象徴を襲ったテロ

ロンドン テロ

ケガを負った市民が手当てされている(出典:Twitter[@npanigrahy])

まず、今回の事件が発生した場所である。テロリストは何ものどかな田園風景が広がる田舎や人気の少ない場所でテロ攻撃は行わない。

過去のテロ事件からも明らかなように、テロリストは国家レベルの政治施設、大使館、国際空港、主要観光施設など、

事件発生後により大きな政治的、心理的、社会的恐怖を残せるものを標的として選ぶ。

よって今回の実行犯も、あえて国会議事堂やその周辺でテロ事件を起こそうと事前に考えていたことだろう。

また今回のテロ事件では、複数の韓国人やフランス人高校生も含まれているとされ、通り魔的に人を襲おうと考えていた反面、

外国人を巻き込むことでテロ事件を国際化することも頭の中にあったのではないだろうか。

ブリュッセル同時テロから1年

ブランデンブルグ門 ブリュッセル市民

ブリュッセル市民の心の平穏を祈ってライトアップされたブランデンブルグ門

次に、今回の事件が発生したタイミングである。事件の一報を聞いた時、筆者はちょうど1年前のこの日に起きたブリュッセル同時テロ、

そしてこの日にワシントンで開催される対イスラム国外相会談が脳裏に浮かんだ。実行犯の動機が分からない中で断定はできないが、

2015年11月のパリ同時多発テロやブリュッセルのテロは、近年欧州で発生したテロ事件でもISと具体的な関係を持つメンバーらが

実行したということで非常に象徴的な意味を持つ。また68カ国の外相が参加する同会合は、ISの打倒を外交・安全保障政策上の最優先課題に位置付ける

トランプ政権にとって政治的に極めて重要な意味を持つ。そして昨今ISの組織的な弱体化が顕著になっていることも相まって、

実行犯はタイミングを狙って犯行に及んだとの解釈もできないわけではない。

さらに私たちの身近になるテロ

近年欧州ではトラックやナイフなど比較的に入手しやすいものを使った小規模な、通り魔的なテロ事件が多くみられる。シリア・イラクのISが弱体化した

からって、その思想の影響を受けた個々人によるテロ事件が減少するわけではない。サイバー空間を聖域として、ISやアルカイダが掲げるサラフィジハード

主義は今日でも流行しており、それに感化された個人による単独的なテロ事件は未然に防止される事件を含み今後とも続くだろう。

スポンサーリンク
和田 大樹(わだ・だいじゅ)オオコシセキュリティコンサルタンツ シニアアナリスト兼アドバイザー/清和大学講師。国際政治学や安全保障論を専門とし、国際テロ分野においてアカデミアを中心に、シンクタンク、コンサルティング会社など幅広く活躍。2014年5月に主任研究員を務める日本安全保障・危機管理学会から奨励賞を受賞。著書に『テロ・誘拐・脅迫 海外リスクの実態と対策』(2015年7月 同文舘出版)など。

 - 社会ニュース ,