欧米におけるヘイトクライムの状況2 ~英国~

   

スポンサーリンク

英国では反ユダヤ掲げる暴力犯罪が増加

しかしこのような状況が生じているのは何も米国だけではない。大西洋を挟んだ欧州でも同じような状況である。

例えば英国では去年6月のEUからの離脱決定(Brexit)以降、国内で反移民・難民、反ユダヤを掲げる暴力事件が顕著に増加傾向にある。

例えばユダヤ系の慈悲団体「The Community Security Trust」が昨今公表した情報によると、

2016年に国内で発生した反ユダヤを掲げるヘイトクライムが約1300件確認され、

同団体が1984年に統計を開始して以来最悪の数字になったとされる。

Brexit後のヘイトクライム増

またイングランドとウェールズの警察が発表した統計によると、Brexit以降ヘイトクライムが顕著に増加傾向にあり、

去年の7月~9月に発生したヘイトクライムの件数は、EU離脱決定前の同年4月~6月と比較すると、

イングランド南西部ドーセットでは2倍以上の104件と著しい増加がみられ、

以下、同中部ノッティンガムシャーの189件(75%増)、同北部ノースヨークシャーの64 件(68%増)と続き、全体として27%も増加したとされる。

Facebook、Twitter…SNSでつながるヘイトクライム

ネット SNS 闇 サイバー

当然のことながら、この現象の背景を十分に理解するには、誰がどのような目的でやっているのかを個別具体的に観ていく必要があるが、

今日の国際社会はFacebookやTwitterなどのSNSのグローバルな拡大で、個々人同士が瞬時に情報を共有し、ネットワークを構築することが極めて簡単になっている。

よってISが短期間のうちに拡散したように、右派的な保守主義を掲げるグループや個人が相互に協力体制を構築して勢いづき、さらにヘイトクライムが欧米諸国で深刻化する恐れもある。

今後も英国内外で外国人排斥は拡大

首都ロンドンのスタンフォード・ヒルに掲げられた「ユダヤ人に気を付けろ」と警告する標識。伝統的な春の祭り「プーリーム」を楽しんでいたユダヤ人に衝撃を与えた。

そしてそのような事態になった場合、ユダヤ系やアフリカや中東から来た移民・難民だけでなく、日本人を含めたアジア系、さらには大陸ヨーロッパ諸国から来たものを含め、

単純に “外から来た者はお断り”というような外国人排斥を掲げるグループや個人の行動が活発化することも否定はできない。

今年はオランダやフランス、ドイツで議会選挙や大統領選挙が実施されるが、今後もBrexitのように予想外の保守的な流れを助長する政治的出来事が発生すると、

他の諸国でもヘイトクライムの増加に拍車を掛ける恐れがある(既にドイツなどではシリア難民施設への放火や嫌がらせ等は顕著に増加しているが)。

スポンサーリンク
和田 大樹(わだ・だいじゅ)オオコシセキュリティコンサルタンツ シニアアナリスト兼アドバイザー/清和大学講師。国際政治学や安全保障論を専門とし、国際テロ分野においてアカデミアを中心に、シンクタンク、コンサルティング会社など幅広く活躍。2014年5月に主任研究員を務める日本安全保障・危機管理学会から奨励賞を受賞。著書に『テロ・誘拐・脅迫 海外リスクの実態と対策』(2015年7月 同文舘出版)など。

 - 社会ニュース ,