中欧、東欧諸国はトランプをどう見ているのか?ーセルビア編ー

   

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2017年1月20日、ドナルド・トランプが第45代アメリカ大統領に就任した。現在、トランプ大統領の動きに世界が揺れに揺れている。

トランプ大統領を思わしくない国が多いなか、好意的に見ている国も存在する。

それでは、中欧、東欧諸国はトランプ大統領をどのように見つめているのだろうか? 今回は旧ユーゴスラビアの要だったセルビアを取り上げる。

選挙時からトランプ氏に好意的だったセルビア

セルビアはヨーロッパ一、いや、世界一のトランプファンの国かもしれない。

多くのセルビア人は大統領選挙の時からトランプ氏を応援していた。それには、対立候補のクリントン氏に対する根強い遺恨がある。

セルビア人にとって、ヒラリー・クリントンの夫、ビル・クリントン大統領は忌むべき存在だ。

1999年、クリントン大統領が主導する形で、NATOによるセルビアへの空爆が行われた。首都ベオグラードを中心に多くの重要施設が破壊された。

また、クリントン大統領はコソボをセルビアから切り離した。このような経緯から、セルビア人はトランプ氏を応援した。

また、トランプ大統領はセルビアの盟友であるロシアのプーチン大統領を支持している。このような背景から現在のバルカン半島の秩序を変えてくれるのでは、というセルビア人の淡い期待も見られる。

つまり、コソボを再びセルビア領に戻してくれるのでは、という期待だ。

実際に、セルビア人が住むコソボ共和国北部ではプーチン大統領とトランプ大統領の似顔絵と共に「コソボはセルビア!」と書かれたスローガンがある。今後、どのようにセルビア・コソボ関係が動くかわからない。

セルビア NATOの攻撃で破壊されたベオグラードにある重要施設跡

NATOの攻撃で破壊されたベオグラードにある重要施設跡

トランプ大統領就任と関係があるのか「列車騒動」

2017年に入り、バルカン半島はセルビアが走らせた列車をめぐって騒然となった。

1月14日、セルビアは首都ベオグラードからコソボ共和国北部への直通列車を走らせた。問題となったのが車体に貼られたスローガンだ。

赤・青・白の国旗色をバックに各国語で「コソボはセルビアです」というスローガンが車体にペタペタと貼られた。もちろん、日本語の表記もあった。また、車内はセルビアの修道院に似せた内装となった。

この列車に対して、コソボ共和国側は「領土の一体性を犯すもの」として反発し、列車を停止させるように指示した。

セルビアのニコリッチ大統領は「(コソボに住む)アルバニア人は戦争を望んでいるようだ」と発言。非難の応酬はエスカレートした。

結局、列車はコソボ国境手前のセルビア南西部でストップした。

この騒動にトランプ氏は直接、関わっていない。しかし、トランプ大統領就任前ということもあり、アメリカがセルビアに対して強いメッセージを出さなかったのも事実だ。現在も、セルビア・コソボ間の対立は続いている。

また、隣国のボスニア・ヘルツェゴビナでも、セルビア人を中心とするスルプスカ共和国とボスニア連邦側で対立が激化している。

スルプスカ共和国の指導者はトランプ大統領を明確に支持している。トランプ大統領の就任、ロシアの台頭、EUの弱体化、これらの要素はセルビア側に有利に働く可能性がある。

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1987年生まれ。神戸市出身。神戸大学大学院国際文化学研究科修了(国際関係・比較政治論コース)。専門はユーゴスラビアといった中東欧の政治・国際関係。 民間企業に勤務後、3ヶ月間の中東欧でのバックパッカー体験を経て、2016年より独立。『Compathy Magazine』『TRIP’S』など複数のメディアで活躍中。

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