欧州における右派主義の台頭(前)|世界のテロの「現在」

   

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2011年、北欧の首都を襲った悲劇

ノルウェー オスロ テロ

テロから一夜明けたオスロの事件現場。

2011年7月、北欧ノルウェーの首都オスロにある政府庁舎が爆破され、またその後近くにあるウトヤ島で銃乱射事件が発生し、77人が犠牲となる悲劇的なテロ事件があった。

この当時は国際テロ組織アルカイダなどサラフィージハード主義を掲げるグループ、またそれらのイデオロギーやブランドに影響を受けた者によるテロが欧米社会を悩ましていた。

よって筆者もこのノルウェーでの事件一報をニュースで初めて聞いた時、またイスラム過激派関連のテロ事件かと直感的に想像してしまったが、

実際にこのテロを実行したのはアンネシュ・ブレイビク(Anders Behring Breivik)という当時32際の金髪白人の男だった。

なぜこのテロを実行したかというと、ブレイビクはイスラム主義から国を防衛するのは自らの使命であり、異文化に寛容な政策を採り続ける政府に不快感を抱いていたからだと述べたが、

要は白人至上主義的、キリスト教原理主義的な極右思想がこの男をテロリストに変貌させたといえるだろう。

イデオロギー上の対立はさらに高揚する

炎上 テロ

それ以来今日まで欧州ではこの種の大規模なテロ事件は幸いなことに発生していないが、昨今の欧州を観ているといつそれが再び起こらないかを筆者は非常に懸念する。

周知のように、近年の欧州はシリア難民の大量流入とイスラム国(IS)によるテロの連鎖に悩まされており、

ブレイビクのような人物の再現によって欧州vsムスリム、キリスト教vsイスラム教などのように、イデオロギー上の対立がさらに高揚する危険性があるといえる。

欧州の“明らかな危機感”

アフガニスタンなどでは当たり前の服装の「ブルカ」。

アフガニスタンなどでは当たり前の服装の「ブルカ」。

今までにも欧州各国内には移民や難民への抵抗や反発は少なからずあったが、今日のそれは今までとは違うものを含んでいるように思われる。

そこにあるのは欧州の“明らかな危機感”と言えるようなもので、フランスやオーストリアでの極右政党の躍進、ドイツ・メルケル首相のブルカ(イスラムの女性衣装)着用禁止への同意、

そして今年6月のBrexit(EUからの英国離脱)のように、国際秩序を主導してきた西洋のパワーが中国など新興国の台頭によって相対的に低下し、

また国内において経済格差や失業の問題が悪化したことで、”自分たちの社会経済的生活が悪化しているのに外部者を受け入れる余裕などない“という危機感が如実に表れている。

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和田 大樹(わだ・だいじゅ)オオコシセキュリティコンサルタンツ シニアアナリスト兼アドバイザー/清和大学講師。国際政治学や安全保障論を専門とし、国際テロ分野においてアカデミアを中心に、シンクタンク、コンサルティング会社など幅広く活躍。2014年5月に主任研究員を務める日本安全保障・危機管理学会から奨励賞を受賞。著書に『テロ・誘拐・脅迫 海外リスクの実態と対策』(2015年7月 同文舘出版)など。

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