中国全人代 「習近平強軍思想」からみた中国の「海洋進出」の射程と限界

      2018/04/07

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習近平 李克強

3月5日の中国全人代開幕日、李克強首相は、日本でも注目された2018年の国防予算案について発表した。国防費用について共産党の意図を正確に探るためには、李首相の発言の中でも言及された「習近平強軍思想」、つまり、昨年10月に行われた十九回党大会の分析が必要不可欠だ。

十九回党大会の「習近平強軍思想」には四つの側面がある。第一に、党による軍隊への指導的な地位の確認と増加。第二に、2020年まで軍の機械化、情報化の達成などを含む軍隊の現代化の達成。第三に、海外進出に相俟った、相応しい武力の構築。第四に軍人の社会的地位の向上と福利厚生の充実。

1980年改革開放とともに決定されていた尖閣、南シナ海への解放軍進出

とりわけ第二、第三の目標は、1980年鄧小平の解放軍の「現代化・正規化」の政策を打ち出した時から既に始まっていたものだ。これが海洋進出として具現化した最大の契機は、何といっても1991年中国にとって陸上の最大の脅威となるソ連が崩壊したことである。それまでソ連を想定した陸上防衛に注がれていた意識が海洋へ集中するようになった。その背後にあるのは、失地回復の意味を含めた(国民党ら共産党以外の支配者からの)台湾の「解放」であった。

「現代化・正規化」の政策の下で、海軍は今までより近代的な武器と作戦体制の方面の革新をはかることが可能となった。そのため、解放軍の海軍の戦略は昔の「沿海防衛」から「近海防衛」と転換し、地理的な射程の拡大に至った。ゆえに、現在の習近平政権下における海洋進出は、台湾が領有を主張する尖閣諸島や、南シナ海まで拡大しているのである。

周到に準備された中国政府による海洋進出の「法制度化」と「正当化」

ソ連崩壊後まもなく1991年、南シナ海にある島を中国の固有領土として含めた「国防法」が発布された。1993年には、李鵬首相が全国人民代表大会で「防御の対象に海洋権益を含める」と表明し。さらに、1997年、海洋権益を含めた「国防法」が実行された。

つまり、ここ数年で突如、外交部の声明と抗議により行使されたように見える南シナ海への主権は、ソ連崩壊後、段階的に上記法制上で確実に理由付けされた上でのものだった。スプラトリー諸島、尖閣諸島などの領土問題は、中国国内で進められた法制の整備に伴って日本のメディアでも取り上げられるほどの具体的事件として表面化した。

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