今年はどうなるコソボ問題、セルビアから

      2018/01/22

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2017年、セルビア政界では大統領と首相が代わり大きな動きが見られたが、セルビア・コソボ関係ではそれほど大きな動きはなかった。昨年1年、個人的に気になったセルビアのニュースを取り上げた後、ブチッチ大統領のインタビューをチェックする。

列車と大統領・首相の交代が印象に残った2017年

話題となった「コソボ列車」

個人的に「2017・セルビア」と聞いてパッと思いついたのは「列車事件」だ。新年早々、1月14日に事件は起きた。ベオグラード駅からセルビア人が多く住むコソボ北部行きの列車に「コソボはセルビアです」と書かれた。それも数多くの外国語で書かれ、日本語も含まれていた。この列車はコソボ側の抗議にあい、列車がコソボに入ることはなかった。新年早々に起きた事件だけに「今後、どうなるか」と思われたが、セルビア・コソボ関係で大きく悪化することはなかった(特段の前進もなかったが)。

もうひとつは4月に行われた大統領選挙だ。大統領選挙では親EU派のブチッチ大統領が当選した。「親EU」とメディアで書かれていることが多いが、実際のところはロシアや中国との関係も重視する。外交的にはバランス感覚のいい政治家といえるだろう。現実的な目線でコソボ問題を解決しよう、という姿勢が見られた。

簡単にはいきそうもないセルビア・コソボ問題

ブチッチ大統領

今年はセルビア・コソボ関係はどうなるのだろうか。ここではブチッチ大統領のインタビューから予想してみよう。大統領は12月のテレビ番組の中で「(コソボとの)政治的対立と多極化している世界の情勢において、コソボが議席を獲得することは不可能」と断言。「プリシュティナで妥協は望まない」としつつも「得られるものができるだけ多く、失うものはできるだけ小さく、理性的に見ていく」と主張した。今後も、セルビアに有利な形で妥協点を探りながら、コソボ側と話すことになるだろう。セルビアがコソボ側と会談を持つのは3月か4月になる予定だ。

しかし、セルビア・コソボ関係で水を差すのが旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(ICTY)だ。コソボ紛争をめぐってはセルビア側は裁かれだが、アルバニア側は今からだ。しかも、現在のコソボ大統領、サチ大統領がICTYで裁かれる可能性がある。もし、サチ大統領が逮捕されることになれば、セルビア・コソボ関係は重大な局面を迎える。

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1987年生まれ。神戸市出身。神戸大学大学院国際文化学研究科修了(国際関係・比較政治論コース)。専門はユーゴスラビアといった中東欧の政治・国際関係。 民間企業に勤務後、3ヶ月間の中東欧でのバックパッカー体験を経て、2016年より独立。『Compathy Magazine』『TRIP’S』など複数のメディアで活躍中。

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