韓国、超就職難のなか若者の独立・開業が急増している?

   

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(photo by Photos for Class)

韓国の若者は就職をあきらめてしまったのだろうか。世界各国で雇用情勢が回復するなか、韓国では若者の失業率が深刻だ。韓国統計庁によると約120万の失業者のうち30歳未満の若年失業者数は50万人で40%以上を占めている。サムスン電子やLGエレクトロニクスといった財閥企業は変わらず好調だが、入社できるのはほんの一握り。残りの9割以上は中小零細に就職せざるを得ない。就職をあきらめカンガルー族となる学生も後を絶たないという。

韓国ではニートは「カンガルー族」と呼ばれている。カンガルーの育児嚢(お腹にある袋)の中で育てられている様子と似ていることからそう言われるようになった。「自分はカンガルー族だと思うか」とのアンケート調査では、20代の約6割、30代の4割超が「そう思う」と回答した。理由の多くは「親から経済的援助を受けているから」だった。たとえ就職できたとしても中小の給料では家賃を払えず、両親のもとで暮らすケースも多いのだ。

さらに、「結婚を急ぐ必要がない」「する余裕もない」といった若者の意識の変化から晩婚化も進んでいる。首都ソウルの25〜34歳の青年層のうち約7割が未婚である。

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夢の独立と待ち構える現実

このように就職難がさまざまな社会問題を引き起こす中、「起業・開業」に切り替える若者が増加しているという。韓国の中小企業庁によれば、2015年、法人を新設した30歳未満は前年比30%近く増加し、他のどの年代(30代7.9%、40代7.9%、50代11.7%)よりも高くなったのだ。韓国では通常、40代と50代の経営者が多くを占めるが、史上最悪の失業率を背景に若者の間で「雇用されない働き方」に注目が集まっているというのだ。

安定した起業を求めてフランチャイズに加盟する青年も多い。加盟説明会を開けば約3割が20〜30代の若者で、特にコンビニに関する問い合わせが増えているそうだ。聯合ニュースによれば、韓国のコンビニエンスストア数は人口比で既に日本の約1.5倍だ。日本は約2200店舗あたり1人なのに対し、韓国では約1500人あたり1店舗あるとされている。

しかし、若者の独立・開業に歓迎する声ばかりが聞こえてくるわけではない。30歳未満で創業・開業した5年以内生存率は16.6%と他年齢層のなかでも最も低いからだ。50代(33.6%)と比べればおよそ半分である。経営未経験者がいきなり創業して上手くいくほど現実は甘くない。韓国政府は創業支援として融資枠の拡大を図っているが、安易な起業の催促はむしろ若年失業者を増やしかねない。それよりも国際的に見て弱いとされる韓国の中小企業に対する支援・強化が喫緊の課題ではないだろうか。「(中小は)給料が低い」という理由で避けられる現状を改善せずして、学生の大企業志向は永遠に変わらないだろう。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は5月の選挙時に80万人の新規雇用創出と格差是正を掲げて当選した。特に青年雇用対策では史上最大となる3兆1000億ウォン(約2兆円)の巨額予算を投入する予定だ。求職中の若者に対して月30万ウォンを3ヶ月間支給するという。2019年からは期間を延長し支給額も増やす方針だ。

日本より物価が安いとはいえ、毎月3万円なら生活費の足しにはなりそうだ。しかし、これが根本的な解決策になるかは別の話しである。公機関含め大企業が受け入れ枠を拡大しない限り急場しのぎにもならないだろう。まさに人手不足の日本とは真逆の状況にある韓国。日本で就職先を探す学生も増えているようで、日本語が堪能で優秀な韓国人学生が来るなら日本にとっては願っても止まないことである。しかし、韓国にとって人材流出が果たして国益につながるのか、これもまた別の話である。

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古久澤 直樹
大学卒業後は特許事務所、出版社勤務を経てライター・ジャーナリストに転身。韓国を中心とした東アジア情勢を専門に扱う。各メディアに記事を多数寄稿している。

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