日米同盟の安定と北朝鮮情勢ー2017年の安全保障をふりかえって

   

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今年もあと10日ほどで終わろうとしているが、日本を取り巻く安全保障環境から観ると、今年はどのように評価できるのだろうか。ここでは、今後の日本の安全保障を見据え、今年を筆者なりに評価してみたい。

緊密な安倍-トランプ関係

まず、日本の安全保障の根幹をなす日米関係である。去年の今頃、トランプ政権の誕生が決まり、世論の一部で日米関係の先行きを危惧する声が高まった。しかし、これは安倍政権の外交努力もあり、今日ではトランプ氏にとって安倍氏は最も仲が良い外交上の友人となっている。この1年において、日本は危惧されてきた懸念を払しょくでき、最も必要とする隣国との新たな関係を構築できる土台を得たと言えるだろう。

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緊張が高まる北朝鮮情勢

しかし、北朝鮮による脅威が高まったことで、日本の安全保障は新たな危機を迎えている。今年1年を通して北朝鮮情勢を振り返ると、“言葉の戦争と自然に高まる軍事リスク”と表現できるだろう。金正恩氏とトランプ氏による言葉の戦争によって、極東アジアの巡る情勢は一層緊張感が増し、政治・経済的にも大きな影響が出た。それによって、在韓邦人の保護が大きな議論となったのはその証左だろう。しかし、言葉の戦争とは別に、北朝鮮の核・ミサイル開発は着々と進んでおり、それだけでも極東アジアの安全保障バランスを不安定化させる要因となっている。来年以降、おそらく金正恩氏は、1年が経つトランプ政権の米国第一主義や不確実性といった外交的特徴を分析し、自ら優勢になるべく戦略的な対応をとってくるだろう。

今後起こりうること

では、具体的にどのような出来事が起こるのだろうか。これについて、既に多くの朝鮮専門家がさまざまな発言をしてきたことから、敢えて国際テロ分野を研究する筆者が主張することではないかも知れない。しかし、筆者なりにこの1年の北朝鮮情勢を観てきて、
1つのことが想像できる。
それは、簡単に言うと、”北朝鮮は緊張を高めては、事を一旦は冷めさせると同時に、自らの核心的利益は密かに追及し続ける“ということだ。この瀬戸際外交という表の部分と、譲れないミサイル開発という裏の部分を同時並行で勧めている時点では、ボール(主導権)は北朝鮮側にあると言わざるを得ない。おそらく、北朝鮮としては、このままのペースを維持すれば、いつの日か米国が我々を核保有国として認めざるを得ない時が来ると考えているのかも知れない。極東アジア地域における米国の影響力の相対的低下や、トランプ政権の一貫性の無さというものは、それを助長する要因にもなっていることだろう。
この負のペースをどう打開していくか、周辺諸国の外交手腕が問われている。

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和田 大樹(わだ・だいじゅ)オオコシセキュリティコンサルタンツ シニアアナリスト兼アドバイザー/清和大学講師。国際政治学や安全保障論を専門とし、国際テロ分野においてアカデミアを中心に、シンクタンク、コンサルティング会社など幅広く活躍。2014年5月に主任研究員を務める日本安全保障・危機管理学会から奨励賞を受賞。著書に『テロ・誘拐・脅迫 海外リスクの実態と対策』(2015年7月 同文舘出版)など。

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