泡沫候補禁止、少数民族配慮…東欧ハンガリーのユニークな選挙制度

   

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今回は首都ブダペストを持つ国、ハンガリーの選挙事情を見る。ハンガリーは前回紹介したチェコよりも少し人口の少ない、980万人。しかし、選挙制度はチェコとは大きく異なる。チェコ、日本と比較しながら、ハンガリーの選挙制度を紹介したい。

チェコでは「中欧のトランプ」台頭。世界の選挙制度とは?

「泡沫候補禁止」 ユニークな一院制議会


ハンガリー国会議事堂

日本では国政選挙の度に一院制にするか、二院制にするかという議論がある。チェコは約1,000万人と人口はハンガリーとほぼ同規模だが、議会は二院制だ。一方、今回紹介するハンガリーの議会は一院制だ。しかも、日本と少しだけ似ている。

ハンガリーの選挙制度の歴史は1990年~2010年と2010年~に分けられる。ここでは2010年実施以降の選挙制度を紹介したい。選挙制度は小選挙区・比例代表並立制、議席数は199だ。2010年以前の議席数は386なので、大幅に議席数は減少している。

ハンガリー国会の「泡沫候補禁止」規定

個人選挙区(小選挙区)は106区に分けられており、投票形式は日本と同じ1回制。過半数に関わらず、得票数が多い候補が勝利する。ユニークな仕組みとしては個人選挙区の立候補には500人以上の推薦が必要だ。そのため、日本のような宣伝目的の泡沫候補は少ないだろう。

死票が少なくなる仕組み

比例代表(全国名簿)は93議席、全国区になっている。ハンガリーの仕組みは少し複雑だ。個人選挙区で発生した落選者への死票、当選者への余剰票は政党名簿に回される。そして、全国名簿(少数民族名簿と政党名簿)に投じられた有効得票数の5%を超えた政党の中でドント式を使って議席数が決まる。そのため、日本よりは死票の率が少ないはずだ。

少数民族に配慮した比例名簿も

日本やチェコと大きく異なる点は少数民族名簿があることだ。ハンガリーにはハンガリー人以外にも様々な民族が住んでいる。そのため、少数民族への配慮が必要なのだ。少数民族の議席数の決め方もなかなか複雑。まず、少数民族名簿に参加できる民族数は13。政党と同様に比例代表に参加できる。それでは1議席を獲得するにはどうすればいいか。以下の式を見ていただきたい。

(有効得票数の5%をクリアした政党に投じられた票+個人選挙区の落選者への死票+当選候補の余剰票+少数民族名簿への票)÷93=a

aの25%以上の票を獲得すれば1議席が得られる。

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反EUの首相率いる与党が前回選挙で大勝。来年はどうなる?

オルバーン ハンガリー


オルバーン首相(出典:Fidesz Facebook)

直近の選挙は3年前、2014年に行われた。このときはオルバーン首相の政党「フィデス・ハンガリー市民同盟」と右派政党、キリスト教民主国民党が3分の2を収める大勝に終わった。オルバーン首相の反EU的な姿勢は国際的に物議を醸したが、国内では信任を得たと言っていいだろう。来年、2018年は議会選挙が行われる年だ。一体どのような結果になるのか、見逃せない。

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1987年生まれ。神戸市出身。神戸大学大学院国際文化学研究科修了(国際関係・比較政治論コース)。専門はユーゴスラビアといった中東欧の政治・国際関係。 民間企業に勤務後、3ヶ月間の中東欧でのバックパッカー体験を経て、2016年より独立。『Compathy Magazine』『TRIP’S』など複数のメディアで活躍中。

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