“第3次アーミテージレポート”に見る今後の安倍・トランプ関係の行方

   

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今月上旬、米国のトランプ大統領が就任以来、初めて日本を訪問した。前回の論考で述べたように、トランプ氏が2016年11月の大統領選で勝利した際、日本国内では日米関係の今後を危惧する声が高まったが、日本による“トランプ氏を日本へ引き寄せる”戦略、“トランプ氏に安倍首相は重要な外交的友人であると認識させる”戦略が上手く機能し、今日に至っている(もちろんいくつかの重要な課題はあるが)。

では、今後の安倍・トランプ関係はどのように進んでいくのか。もちろんそれを予想することは難しいが、筆者は昨今、久しぶりに“第3次アーミテージレポート”を読み返した。そしてそれは、今後の安倍・トランプ関係の行方を戦略的に予測する上で、今でも貴重な資料だといえる。日米関係の今後を読み解く”第3次アーミテージレポート”について、本日は解説していきたい。

第3次アーミテージレポートとは ??

アーミテージ元国務長官(2001-2005)

アーミテージ元国務長官(2001-2005)

第3次アーミテージレポートとは、2012年8月に元国務副長官のリチャード・アーミテージ氏とハーバード大学特別功労教授であるジョセフ・ナイ氏が今後の日米関係のあり方について発表した提言書で、2000年の第1次、2007年の第2次に続くものである。

今日、この提言書を読み返すと、近年の日米関係が驚くほどこの提言書に沿った形で発展してきたことが明らかとなる。アーミテージ・ナイ両氏が言及・提言したことは、要約すると以下のような感じだ。

複雑化する安全保障環境に対処するための、強い絆で結ばれた対等な日米同盟の構築
防衛協力の強化、PKOにおける武器使用条件の緩和、自衛隊海外派遣の促進
・ 日米同盟の発展を阻害する日本の集団的自衛権についての解釈
・ 日本の歴史問題への取り組み、安全保障面における日韓関係の発展
原子力エネルギーや天然ガなど資源・エネルギーにおける日米協力の促進
日本の TTPへの参加や米国との FTA締結の要求
・ 防衛産業やサイバーセキュリティ分野での日米協力の促進

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 “第3次アーミテージレポート”をなぞる安倍政権の安全保障政策

この報告書が発表されてから5年、安倍政権のもとでは、集団的自衛権の解釈変更などを含む安全保障関連法の成立(2015)や、検討中のものでもPKO参加における自衛隊の武器使用緩和など本書で提言されているような形で、日米同盟における日本の役割が拡大している。また、昨今トランプ氏が防衛装備品などの購入を日本に要求したように、第3次アーミテージレポートでは、防衛産業における日米関係の強化、また米国とのFTA締結などが既に提言されていた。

このように捉えると、近年の日米関係は全てではないにしても、この第3次アーミテージレポートに沿うような形で進化してきたと言え、今後の安倍・トランプ関係の行方を戦略的に読み解く上でも重要な資料となるだろう。皆さんは、このレポートを今読むと、どうお考えになるだろうか?

参考
第3次アーミテージレポート(日本語訳)
https://www.spf.org/oceans/analysis_ja02/b121015.html 
英語
https://www.spf.org/oceans/analysis_en/c1208.html

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和田 大樹(わだ・だいじゅ)オオコシセキュリティコンサルタンツ シニアアナリスト兼アドバイザー/清和大学講師。国際政治学や安全保障論を専門とし、国際テロ分野においてアカデミアを中心に、シンクタンク、コンサルティング会社など幅広く活躍。2014年5月に主任研究員を務める日本安全保障・危機管理学会から奨励賞を受賞。著書に『テロ・誘拐・脅迫 海外リスクの実態と対策』(2015年7月 同文舘出版)など。

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