経済成長をしてもポピュリズム? ポーランド・PiS政権

      2017/11/20

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ハンガリーと並んで中欧・東欧のポピュリズムの代表格に位置するのがポーランドのPiS(法と正義)政権だ。実はポーランドは順調に経済成長をとげている。にも関わらず、2015年、右派のPiS政権が成立した。いったいポーランドで何が起きているのか。ポーランド人の意見も聞きつつ振り返ってみたい。

庶民に関係のない経済成長?

 

ポーランド4(ポーランドの高速列車 ペンドリーノ)

ポーランド4(ポーランドの高速列車 ペンドリーノ)

1989の民主化以降、ポーランドは紆余曲折を経ながらも順調に経済成長を遂げてきた。2009年のリーマンショックにおいても、ヨーロッパで唯一のプラス成長。日本で行われたポーランド関連のイベントにおいて、ポーランドの代表者はしきりにその事実を自慢していた。この25年で、経済平均成長率は4%を記録した。大げさに書けば、ポーランドは全てが順調に進んでいるように思えた。

しかし、2015年にポピュリズム的政策を訴えた右派、PiS政権が勝利した。確かに、ポーランドでは経済成長はとげていたが、その恩恵が一般庶民に届いていたかは疑問の余地が残る。確かに、データー上では個人消費は伸びているが失業率は周辺諸国と比べると少し高かった。また、2015年9月にポーランドを訪れた際、ポーランド人の友人は「経済は成長しているが、あまり実感していない」と言った。度重なる前政権のスキャンダルも追い打ちをかけた。

選挙戦でPiSは年金支給の引き下げや高齢者への薬の無料支給など、ウケのいい政策を掲げた。その結果、多くの庶民がPiSに投票した。

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憲法改正・メディアの規制をめぐってEUと対立

 

ベアタ・シドゥウォポーランド首相

ベアタ・シドゥウォポーランド首相

2016年、ヨーロッパの人に出会うと、ポーランドの政治情勢を憂慮する声が相次いだ。私が驚いたのは西欧のイタリア人もポーランドの政治に関心を持っていたことだ。PiS政権はメディアの支配に動いた。ポーランドでは国営放送のトップを政府が任命できるようにした。また「反テロ法」の制定により、事実上、国は国民のメールを許可なしに閲覧できるようになった。これらの法案は明らかに政府批判を封じ込める狙いがあるように思える。一方、反移民のデモや集会に対しては政権はとても寛容だ。このようなPiS政権の動きに対して、欧州委員会は強い言葉で批判した。

メディア規制などを行う背景、「大きな物語」は?

それでは、PiS政権がメディア規制など、民主化に逆光すると思えるような政策を行う理由はなんだろうか。実はPiSは「大きな物語」として「第四共和制」という構想を持っている。現在、ポーランド史では、1989年以降のポーランドを「第三共和制」としている。PiSは「第三共和制」を「共産主義と反体制的な左派連中の間にいた時代」とみなし、伝統や伝統的な愛国心を踏みにじられた、と強く批判している。そして「第三共和制」とは別の価値観に基づく新時代「第四共和制」の構築を目指しているのだ。

正直なところ、どの程度ポーランド人が「第四共和制」構想を支持しているかはわからない。少なくとも、一連のPiSの行動の背景には「第四共和制」構想という「大きな物語」があることは押さえておきたいポイントだ。

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1987年生まれ。神戸市出身。神戸大学大学院国際文化学研究科修了(国際関係・比較政治論コース)。専門はユーゴスラビアといった中東欧の政治・国際関係。 民間企業に勤務後、3ヶ月間の中東欧でのバックパッカー体験を経て、2016年より独立。『Compathy Magazine』『TRIP’S』など複数のメディアで活躍中。

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