トランプ大統領初の訪日に見る、日本の対米戦略

   

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周知の通り、今月5日から7日にかけて米国のトランプ大統領が日本を初めて訪問した。5日午前、福生市にある横田基地に到着後、すぐに川越で安倍首相とゴルフ外交セカンドラウンドを開始した。それから6日夜の晩餐会まで、安倍・トランプ両氏は食事を4回共にし、その関係の緊密さを強くアピールした。では、今回のトランプ氏の日本訪問、安倍・トランプ関係は安全保障上の視点からみると、どのような意図、戦略が見え隠れするのだろうか。

今まで以上に米国を必要とする日本


今年9月 国連総会で北朝鮮への制裁決議を訴える安倍首相。

まず、現実的な観点から考えると、極東アジアの軍事バランスが明らかに変化する中、日本は今まで以上に米国という同盟国を必要としている。中国の大国化と海洋進出、北朝鮮の核・ミサイル能力の向上というものは、どういう意図かを別にして、極東アジアの軍事バランスを大きく変化させる要因となっている。一方、日本はそれに独自で対応する能力を持っておらず、今後もその能力を保持することは現実的ではない。そうなれば、日本としてとれるオプションは、そういった不安定要因に対して十分に対応できる機能的な日米同盟の構築しかない。

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トランプを引き寄せる日本


昨年11月、安倍首相は大統領選直後にニューヨーク・トランプタワーで会談を行った。

そのために日本は、トランプ氏を上手く引き寄せる戦略を採っている。トランプ氏の大統領選挙中における発言や行動、また大統領就任後における政策について、日本国内でも賛否両論であるが、その中でも現在の安倍外交には、“長期的な日本の安全保障を考え、現実的に、戦略的に、計画的に動く”外交姿勢が見える。去年トランプ氏が大統領選挙に勝利した直後、安倍首相は真っ先に会いに行き、それから今回で5回目の日米首脳会談となったことからも、米国との関係を維持し、さらに発展させていこうとする強い意図が見て取れる。

一方、トランプ氏は不動産王と言われてきたように、これまで政治経験がなく、米国大統領が政治家としての初めてのポジションであり、またこれまでの発言や行動から、外交面のおける友人も少ないといわれる。そのような意味で、トランプ氏にとっても今日の安倍首相は貴重な存在で、政治経験が豊富な外交的友人となっている。
トランプ氏が大統領選に勝利した時、日本国内にも今後の日米関係を危惧する声が多かった。トランプ氏の米国第一主義のイデオロギーは何も変わっておらず、何をするか分からないという不透明性も依然として残る。しかし、現在までのところ、日本のトランプ氏を引き寄せる戦略はうまく機能しているように感じられる。

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和田 大樹(わだ・だいじゅ)オオコシセキュリティコンサルタンツ シニアアナリスト兼アドバイザー/清和大学講師。国際政治学や安全保障論を専門とし、国際テロ分野においてアカデミアを中心に、シンクタンク、コンサルティング会社など幅広く活躍。2014年5月に主任研究員を務める日本安全保障・危機管理学会から奨励賞を受賞。著書に『テロ・誘拐・脅迫 海外リスクの実態と対策』(2015年7月 同文舘出版)など。

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