シリア・ラッカの陥落は何を意味するのか?

   

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ロシア軍・フランス軍などによる激しい空爆が行われたラッカの市街地。

イスラム国(IS)が一方的に首都と定めてきたラッカの陥落が、シリア民主軍(SDF)によって17日宣言された。まだ僅かながら生き残るIS戦闘員への掃討作戦が続いているとされるが、ラッカの陥落が宣言されたことは、ISに与える衝撃は大きいことだろう。ではどのような衝撃があるのか、大きく2つある。
       

ラッカの陥落が与える2つの衝撃

1つは、“物理面での衝撃”である。ISにとってラッカはイラク・モスル(既に陥落)に次いでの要衝であっただけに、その喪失はISが売りにしてきた“領域支配”の事実上の崩壊を意味する。これによって、ISはさらに“一般のテロ組織化”を余儀なくされることだろう。

もう1つは、“イデオロギー面での衝撃”である。上述したように、ISは領域支配を売りに、その上でラッカを首都としてISなりの繁栄を築いてきた。そして、それによって同調する組織や個人を獲得してきただけに、ラッカの陥落はISの思想的求心力を低下させることが考えられる。

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今後のテロ情勢での3つのポイント

しかし、それによってISのテロがシリア・イラクでなくなるわけではない。領域支配は失ったとしても、ゲリラ的なテロ活動を継続することは可能で、今後もシリア内戦やイラクの宗派・民族対立に依存する形で活動を継続することだろう。

またそこで活動していた外国人戦闘員の帰還、第三国への移動が懸念されている(既に帰還、逃亡した戦闘員も多くいるが)。ISの今後の思想的求心力にもよるが、今日ではそれに忠誠を誓うグループが中東や北アフリカ、南アジア、東南アジアなどに存在しており、今後はそういった組織が活動する場所に逃亡し、そこから彼らなりの新たな聖戦を開始することが考えられる(しかし、各国のテロ対策が厳重になる中、帰還や移動が果たしてうまくいくかは不透明だ)。

そして、最後に指摘しておきたいのがアルカイダ系組織との関係だ。昨今、世界中のテロ対策研究者の間では、オサマビンラディンの息子であるハムザビンラディンの動向に加え、シリア国内でその影響力を示し始めているHTS(Hayat Tahrir al-Sham)の動向に注目が集まっている。専門家の間では、一部のIS戦闘員がHTSに加わっているとの情報もあり、今後はISと並行してアルカイダ系ネットワークの動向にも注視する必要があると思われる。HTSの幹部等は、アサド政権の打倒を前面に掲げているが、欧米当局はオサマビンラディンに尊敬の意を示すなどアルカイダのDNAを持っていることから、いつの日か欧米への攻撃意思を如実に示すようになるのではと警戒を強めている。

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