分離独立を目指す各国の動向~クルド、カタルーニャ

   

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昨今、分離・独立を掲げる動きに世界の注目が集まっている。まず筆者が原稿を書いている今日、イラクからの分離独立を掲げるクルド自治区において、独立を問う住民投票が実施される。現時点(25日午後)において、独立派が多数となる見方が圧倒的で、クルド自治政府のバルザニ議長も、投票の結果独立派が勝利した場合、独立に向けて政治プロセスを前進させる意志を示している。

イラクやイラン、トルコ、シリアに跨がる国境なきクルド人

しかし、それに対しては、武力介入を辞さないとするイラク中央政府だけでなく、イランとトルコなど周辺諸国も強く反発している。なぜイランとトルコが強く反発するかというと、クルド人はイラクだけでなく、トルコやイランにも跨がって住んでおり、今回の投票結果を機に、クルド人による独立機運が自らの国内で高まることを強く警戒しているからである。

例えばトルコにおいて、南東部に多く住むクルド人は長年中央からの抑圧・差別に遭ってきたが、クルド系武装勢力「クルド労働者党(PKK)」のよるトルコ権益を狙ったテロ事件が断続的に発生していることから、両者の対立は根深いものがある。

今後の動向を予測することは簡単ではないが、イスラム国(IS)後の中東情勢においては、クルド問題を機に民族対立が高揚し、新たな中東リスクになる恐れも否定できない。

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来月1日に投票が実施されるカタルーニャ地方

出典:Twitter[@michelecatena]

そして、バルセロナがあるカタルーニャ自治州でも、来月1日にスペインからの独立を問う住民投票が実施される。当然のことながら、カタルーニャ自治州政府は投票を実施するつもりで、マドリード中央政府はそれに断固として反対している。投票が迫る中、中央政府は今月20日、自治州政府の複数の官庁を捜索し、政府高官12人を逮捕するなど、その対応がより強硬になっている。また憲法裁判所も今月7日、6日に同自治州議会が可決した住民関連投票法を無効にするとの決定を下している。一方、独立賛成派も昨今の中央政府の対応に強く抗議し、バルセロナでは賛成派数千人による抗議活動も行われているとされる。

今回の投票によって、バルセロナを中心とするカタルーニャ地方、スペイン国内の治安が急激に悪化するとは考えにくいが、この運動は長年の独立運動であることから、今後の動向を注視する必要があろう。

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和田 大樹(わだ・だいじゅ)オオコシセキュリティコンサルタンツ シニアアナリスト兼アドバイザー/清和大学講師。国際政治学や安全保障論を専門とし、国際テロ分野においてアカデミアを中心に、シンクタンク、コンサルティング会社など幅広く活躍。2014年5月に主任研究員を務める日本安全保障・危機管理学会から奨励賞を受賞。著書に『テロ・誘拐・脅迫 海外リスクの実態と対策』(2015年7月 同文舘出版)など。

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