なぜ北朝鮮問題の交渉、解決への道が遠いのか〜核の意味、大国間の利害衝突〜

      2017/09/06

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第6回目の核実験を実施した北朝鮮

9月3日午後12時半ごろ、北朝鮮が第6回目の核実験を行った。2006年、2009年、2013年、2016年1月と9月に続く実験であるが、大陸間弾道ミサイル(ICBM)用の水爆実験に成功したとされる。日本の気象庁はマグニチュード6,1の地震波を観測し、爆発規模は広島の原爆の4倍以上になるという。2016年から3回目の核実験で、近年明らかにその回数が増えている。
 

経済的に不利な北にとっての核

核・ミサイル開発を続ける北朝鮮ではあるが、決して核兵器を使いたいわけではない。核の目的は体制の維持、国家の防衛のためであり、周辺諸国からの外圧に対抗する手段としての役割もある。また四方を大国に囲まれる北朝鮮にとっては、核が対等に、もしくは自ら有利な形で交渉を進めていく上での生命線的な手段となっている。 

北朝鮮のそれへの野心は目を見張るものがある。例えば、最近上海にある復旦大学のJustin FendosがCSISパシフィックフォーラムに寄稿した論考によると、北朝鮮の国民平均所得は、韓国(国民の平均所得)の5%、米国の2,3%にしか及ばないにも関わらず、国家予算の3分の1が軍事費(日本はGDP比で1%、米国は3,3%、中国は1,9%、韓国は2,7%)に当てられているとされる。よって、核を交渉の武器として他国と向き合うことは一種の至上命題であり、それを妥協して他国と向き合うことは、今までの金政権による国家政策の失敗、もしくは偉大なレガシー作りの失敗を意味する。

よって北朝鮮にとって、非核化などは到底受け入れられない選択肢であり、北の非核化を求める米国など周辺諸国との交渉は非常に難しいものになっている。

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大国の利害関係が衝突する北朝鮮

このような事態において、中国の役割が重要だとされてきた。中国は北朝鮮が行う貿易の実に92%を占めているとされ、その停止は北朝鮮経済に大打撃になる。しかし、それによるリスク、例えば核汚染物質の拡散や難民の流入などを考えると、中国としても慎重にならざるを得ない現実もある。またそれと同時に、北朝鮮は米国の勢力圏が北緯38度線を超えない防波堤的な役割を果たしてきた。仮に米朝関係が改善し、北朝鮮が米国の勢力圏を望むとすれば、それは中朝国境にまで米国の勢力圏が到達することを意味し、中国としては何としても避けたいシナリオである。

またそれは北朝鮮と国境を接するロシアについても同じ事が言え、米国の影響力が自らの国境にまで及ぶことは、ロシアとしても避けたいシナリオである。要するに、北朝鮮問題においては、当事者である北朝鮮が抱える問題だけでなく、米中露という大国の駆け引き、利害関係の衝突が少なからず内在しているのである。

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和田 大樹(わだ・だいじゅ)オオコシセキュリティコンサルタンツ シニアアナリスト兼アドバイザー/清和大学講師。国際政治学や安全保障論を専門とし、国際テロ分野においてアカデミアを中心に、シンクタンク、コンサルティング会社など幅広く活躍。2014年5月に主任研究員を務める日本安全保障・危機管理学会から奨励賞を受賞。著書に『テロ・誘拐・脅迫 海外リスクの実態と対策』(2015年7月 同文舘出版)など。

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