【特集】日米外交と沖縄の米軍基地(福島大・黒崎准教授)

   

スポンサーリンク

 

日本政府は何を求めているのか

https://ja.wikipedia.org

 

では、日本政府は何を求めているのか。

冷戦後、日本とアメリカは安全保障面で「人と人との協力」を拡大してきた。

安倍政権は、その流れを引き継ぐ形で集団的自衛権の行使を認め、自衛隊の活動範囲を拡大するため、安保法制を制定した。

究極的には憲法9条の改正を目指している。

それによって日米が対等な関係に近づき、「アメリカに対する日本の発言力の強化につながる」というロジックだ。

 

しかし、それによって沖縄が求めるような形で基地問題が解決に向かうとは考えにくい。

この間、日本とアメリカとの関係に変化があっただろうか。

日本の立場は強くなったのか。

少なくとも現在までは、その兆しはない。

戦後、日米間に貫かれた「非対称」な関係は基本的に変わっていない。

日本と周辺国との関係が大きく改善したわけでもない。

憲法9条を改正し、どんなに「人と人との協力」を拡大したとしても、日本がアメリカと対等になる状況は考えにくい。

スポンサーリンク

 基地問題を前に進めるために

アメリカは、NATO(北大西洋条約機構)諸国などにも米軍を駐留させ、日本と同様、各国と地位協定を結んでいる(※1)。

では、他国では地位協定がどのように扱われているのか。

例えば、イタリアではロープウェイが米軍機によって切断され民間人が死亡する事故があり、世論の高まりなどもあって、実際に基地の運用や地位協定の改定が行われたという事例もある(※2)。

現在、普天間基地移設問題は、着地点を見出すのが難しい状況となっている。

そのような中でも日本政府は、日米の「非対称」な関係を前提に、日本の平和と安全を守りながら、沖縄県の基地負担軽減の要求をいかにして実現するかを考えなければならない。

まずは、沖縄にある米軍基地を整理・縮小するための現実的な努力。

また、沖縄の要望を汲み取る形で日米地位協定の運用改善に努めつつ、その改定を真剣に検討すべきだろう。

さらに、日本の周辺諸国との信頼醸成や、日本を取り巻く安全保障環境の改善にも粘り強く取り組んでいく必要がある。

 

(※1)沖縄県HPに「地位協定ポータルサイト」が開設されている。米軍との地位協定について、ドイツ、イタリアなどNATO諸国との比較や、国別の米軍駐留人数が網羅されている。

(※2)チェルミス・ロープウェイ切断事件

1998年2月3日にイタリアのチェルミス山で発生したアメリカ海兵隊航空機によるロープウェイのケーブル切断事件。ロープウェイのゴンドラに乗っていた20名全員が死亡した。事件および一回目の裁判における無罪評決はイタリア国民の感情を刺激し、アメリカとイタリア間の外交問題に発展した。

黒崎 輝(くろさき あきら)

福島大学准教授、博士(法学)。専門は国際政治学、国際関係史。ウィルソン・センター(Wilson Center)フェロー(2017-2018年)。主書に「核兵器と日米関係――アメリカの核不拡散外交と日本の選択1960-1976」(有志舎、2006年、サントリー学芸賞受賞)がある。

スポンサーリンク

https://www.levada.ru/2016/04/07/mezhdunarodnye-otnosheniya-2/

1 2 3

 - アジア・世界ニュース, アメリカ, ヘッドライン, 国内政治, 知の発信 , ,