【特集】日米外交と沖縄の米軍基地(福島大・黒崎准教授)

   

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国内政治における在沖米軍基地の存在

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在沖米軍基地の問題には、政治的な要因も重要な影響を与えている。

懸案になっている普天間基地移設に関して言えば、普天間代替地を沖縄県外あるいは国外で見つけることが政治的に難しいという問題がある。

基地問題に関心のある日本国民の多くは「沖縄には基地が集中しすぎているので、沖縄の基地を軽減すべきだ」と考えている。

しかし、自分が生活する地域に米軍基地を受け入れるかと問われれば、当然ながらそれを望まない。

また、アメリカにとっては沖縄での米軍駐留の継続がいわば既得権になっており、それを手放すようにアメリカを説得することは容易ではない。

このような状況の下、日本政府は普天間基地を辺野古へ、つまり沖縄県内に移設することで米国政府と合意し、その履行に努めている。

県外移設をめざすより、政治的リスクやコストが小さいからだ。

 

政治外交的に可能な範囲で基地負担の軽減に努めつつ、沖縄経済振興の名目で財政的措置を講じて基地負担を受け入れてもらう。

これまで日本政府は、このようなやり方で沖縄に基地負担の受け入れを求めてきた。

沖縄県外で基地の代替地を無理に探すより、政治的に楽なやり方を日本政府は踏襲してきたといえる。

自民党政権が続く間、沖縄は基地負担に不満を感じつつ、この取引を甘受するしかなかった。

民主党政権は、この手法を変え、普天間基地の県外移設を模索したが、それは失敗に終わった。

それによって普天間基地県外移設への沖縄県民の期待は高まったが、やがて失望と怒りに変わってしまった。

安倍政権は「民主党政権の過ち」を批判し、既にある日米間の合意に基づいて普天間基地の辺野古移設を粛々と進めようとしている。

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基地問題をめぐる沖縄県の現実

https://ja.m.wikipedia.org

 

沖縄県は、基地負担の軽減や日米地位協定の改善・改定を求めている。

よく誤解される点ではあるが、沖縄県はすべての在日米軍基地の撤退を求めているわけではない。

しかし、長年にわたって沖縄だけに基地負担が過大に押し付けられてきたことへの不満は高まっており、近年では「構造的差別」という言葉が使われるようになった。

基地問題が日本国内における沖縄差別の表れとして認識されている。

このような民意を踏まえ、ある種のカウンターとして登場した翁長雄志前知事は、普天間基地移設問題をめぐって「沖縄県民の人権・アイデンティティーを守れるかどうか」という問いを投げかけた。

誤解を恐れずに言えば、それまで「基地負担と経済振興の交換」という構図が成り立っていたところ、

「人権」や「アイデンティティー」といった金銭では代替し得ないものを守るという風に、問題の捉え方自体が変化したのだ。

その結果、日本政府にとって基地問題への対応が一層難しくなったことは間違いない。

9月末の知事選では翁長氏の後継である玉城デニー氏が当選した。

民意として、在沖米軍基地のあり方に改めて疑問が投げかけられた格好だ。

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