【連載】ロシアの実像を探る (8)ロシア経済と日本 [茅野 渉]

   

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ロシア経済と日本

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前回まで、ロシア人とはどんな人々かを見てきました。

これからは、そのロシア人が住むロシアとはどんな国なのか、について触れていきたいと思います。

政治、経済、文化と色々ありますが、経済の部分から始めることにしましょう。

 

ロシア経済というと、日本ではロシアとのビジネスに従事されている一部の人を除けば、恐らくあまり馴染みのないテーマだと思います。

我々の日常生活でロシアの存在を意識させてくれるようなMade in Russiaには先ずお目に懸かりません。

実は日本で毎日使う都市ガスの1/10がロシア産ですが、あまりピンときません。

 

それだけ縁が薄いことは、日露間の貿易額が2017年で日本の貿易全体の1.46%(日本の通関統計)しかないということでも裏付けられるでしょう。

逆に、ロシアの貿易全体から見ても対日は3.13%(ロシアの通関統計)でしかありません。

 

なぜ日露貿易の額が、例えば日中貿易の1/15でしかないのか、の理由を追っていくと、そこにロシア経済の姿の一端が現れてきます。

 

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原材料 ⇄ 製品 = 垂直貿易

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日中と日露の貿易の差を生む理由は幾つかありますが、巨視的には前者が水平貿易に進んだ段階にあるのに対し、後者は未だ垂直貿易の域を出ていないことが指摘できるでしょう。

垂直? 水平?

日本にとって伝統的な加工貿易の形が垂直貿易に当たります。

つまり原材料を輸入してそれを製品に加工し、その輸出によって原材料輸入の外貨を稼いでいくというパターンで、貿易の流れは原材料と製品が夫々一方通行になります。

原材料=川上から製品=川下への流れを辿るという意味で垂直ということになり、今の日露貿易は、日本がロシアから石油やガスなどの資源を買い、自動車を中心とする機械類や他の工業製品を輸出するという、垂直貿易そのものになります。

この製品輸出の規模をさらに拡大しようとすると、相手国によって様々な問題が出てきます。

典型的な例は、1980年代まで見られた日本の欧米への(集中豪雨的な)輸出拡大でしょう。

その勢いのあまり、相手国側の繊維や家電の生産を衰退に追いやったり、鉄鋼や自動車、さらには電子製品で消滅の危機感を嵩じさせたり、で非難轟々でした

そこで、日本から完成品を輸出するのではなく、相手国内に工場を建設し、そこで生産し相手国内で売るという形(対外直接投資)が求められるようになったわけです。

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 製品 ⇄ 製品 = 水平貿易

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この対外直接投資は、最初は米国や他の先進国相手が多かったのですが、1990年代以降のグローバリゼーションの中で輸出が激しい競争時代を迎えると、より安い製品を作るために、より労賃などのコストが安い場所を求めてこれまでの輸出者が動き出します。

その結果、中国に代表される途上国への対外直接投資が増加し、そこでの生産と輸出が拡大する結果になりました。

しかし、機械のような多くの部品を必要とする製品では、直ぐにはそれら全てを相手国内で生産できませんから、日本から取り寄せる形になります。

このため、当該国での生産とそこからの完成品の輸出(向け先は日本でもあり、第三国でもあり)が増えれば、それだけ当該国向けの日本からの部品輸出も増えるという結果になります。

このように、原料―製品の関係ではなく、製品-製品の双方向の流れを持つ貿易構造を水平貿易と呼んでいます。

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