【連載】「一帯一路」の輪郭(3)変化する物流(福島大・朱准教授)

   

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中国にとっての海運

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しかし、これら鉄道の輸出入コストの削減が経済的に大きな意味を持っているかと問われれば、私の答えはノーだ。その理由は、中国の対外輸出入の90%以上が船によるものだからだ。鉄道による輸出入は、主要にはなり得ない。

では、一帯一路の拡大によって、中国は今後海の主導権を握ることができるのだろうか。前回も触れたが、海上輸送では国際的なルールが統一されており、陸路と違って国同士の差異はほぼない。海のルールは中国だけで決めることはできず、またその力もないのが現実だ。

海洋国家としての力は圧倒的にアメリカが強く、伝統的にはヨーロッパ、そして日本も強い。例えば、日本が持つ海域は日本列島の面積の約11倍であり、世界で有数の海洋大国だ。日本の三大海運会社は、世界的にも競争力を持つ。自国の経済成長が平行線をたどる中、日本の大手海運会社は最近まで合併せずに生き残ってきた。

この点、中国の海運会社は今、大きな赤字を抱え、経営上の困難に直面している。理由は単純で、中国の海運会社が国際的な競争力を持ち得ていないからだ。「成長が止まった日本、成長を続ける中国」という一般的な構図には、必ずしも当てはまらないのが物流の世界だ。

「海洋大国」を目指す中国だが、海運の競争力は必ずしも強くなったというわけではない。他方、世界に目を遣れば、海運業界全体が苦しい状況にある。2015年以降、中国を含む世界の貿易総額は減り続けている。中国の巨大海運会社が苦戦している理由の1つには、世界的な貿易の縮小の影響が挙げられるだろう。

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