【連載】「一帯一路」の輪郭(3)変化する物流(福島大・朱准教授)

   

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「一帯一路」とは何か。陸と海における現代版シルクロードとも呼ばれるこの経済圏構想は、2014年11月、中国・習近平国家主席によって提唱され、今やユーラシア大陸にとどまらず世界各地に広がりを見せている。

世界のメディアや研究者らが注目し、様々な言説が飛び交う中、我々は「一帯一路」をどう捉え、そして向き合っていくべきなのか。本連載では各専門家への取材等を通じて、巨大プロジェクト「一帯一路」の様々な側面を切り取ることで、その輪郭・全体像を浮き彫りにしていく。

前回の記事

【連載】「一帯一路」の輪郭(2)変化する「一帯一路」、現在地とこれから(福島大・朱准教授)

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物流(Logistics)について

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物流とは、生産者から消費者に至るまでの商品の流れを指す言葉だ。

例えば日本の場合、国内物流(トンベース)の90%以上がトラック輸送となっている。島国のため輸出入は船・飛行機しか選択肢はないが、ほぼ全てが船による輸出入であり、飛行機の割合は1%に満たない。飛行機は輸送コストを無視した緊急性が高い商品(医薬品など)、または季節性の商品(果物、ワインなど)などの輸送に用いられる。

輸送スピードは飛行機が最も速く、次いでトラック、鉄道、船という順になる。輸送コストは一般的に船が最も安く、次いで鉄道、トラック、飛行機の順に高くなる。顧客(荷主)のニーズによって、どの輸送手段を用いるかが決まる。

経済発展と物流の関係

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では、経済の発展と物流は、どのような関係にあるのだろうか。

私は、経済の動向(景気)が物流を左右するという立場に立つ。一方で「輸送インフラを作ることが経済発展につながる」という考え方もある。とりわけ、国を問わず一国の政府は後者の立場に立つ傾向が強い。一帯一路はもちろん、かつての「日本列島改造論」もその典型だ。

一帯一路における6本の経済回廊

上図は、中国政府が発表した一帯一路における6本の「経済回廊」を示したものだ。

中国各地を出発点とする「経済回廊」は、物流における輸送ルートとして見ることもできる。都市や国同士の経済をつなげるのは、結局のところ道路、鉄道などの輸送インフラであるからだ。

物流拠点や輸送ルートは、それが大規模であるから大きな競争力を持つ、というわけではない。しかしながら、中国西部、中央アジア、また東南アジアなど交通インフラが脆弱な地域では、実際に大型輸送インフラへの需要があるのもまた事実だ。経済発展が及んでいない地域にとって、こうしたインフラ網は生命線となる場合がある。

一帯一路を進める中国政府の発想は「インフラを整備することで、経済を活性化させる」というものだ。いずれにせよ、経済発展と物流は表裏一体の関係にあると言うべきだろう。

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