WeChatペイが加速させる中国のインフラテック化ーあなたが知らない「WeChat」

   

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近年、フィンテックによる電子決済のイノベーションが驚くほどのスピードでアジア市場の中に広がっている。特に中国ではアリペイとWeChatペイを中心とする電子決済は世界におけるフィンテックの流れで先頭を取っている。

また親会社であるアリババとテンセントによる電子決済市場を狙った市場競争が熾烈になりつつある。アリペイもWeChatペイも消費者の利便性の最大化を実現しているので、中国では現在財布を持たなくても外に出かけるのがほぼ一般的になっている。

なおかつ、WeChatペイに多くの料金支払い機能があり、外に出かけなくても、取引を完了できる。また位置情報サービス技術が搭載され、WeChatペイで交通渋滞状況をリアルタイムに確認できる。今日のWeChatはまさに中国の社会インフラとして機能している。

今日は、WeChatペイの知られざる機能を皆さんに紹介する。

あなたが知らない「WeChatペイ」

(WeChatペイでテンセントが提供するサービス画面)

(WeChatペイでテンセントが提供するサービスの画面)

WeChatペイは中国語で「微信支付(ウィシンジフ)」または「微信銭包(ウィシンチェンバウ)」と呼ばれる。アカウント画面を起動したら、「ウォレット」というWeChatペイの画面を見ることができる。

ウォレットの中に搭載するサービスは、主にテンセント自社のサービスと、他の企業とのO2O連携により提供されるサービスである。WeChatペイは銀行カードとつながるので、個人情報が登録すれば、銀行口座からWeChatペイにお金を振り替えできる。それによって様々な料金支払いを済ませることができる。

例えば、クレジット返済も、クレジットカードの情報を登録すれば、WeChatペイで返済できる。また公共料金支払いも可能だ。料金請求書のナンバーを入力すれば、電気代、水道料金、電話代などの公共料金を支払えるだけではなく、また給油カードやQQゲームもチャージでき、交通違反の罰金を支払うこともできる。

各種料金支払いだけではなく、WeChatペイには資産運用やNPO支援の機能も追加されている。資産運用機能ではWeChatペイを通じて、テンセントによる開発した資産運用商品である「理財通(リサイツウ)」にアクセスできる。

身分証明書と銀行カードを登録すれば、証券、ファンドの取引をやりとりできる。たとえ銀行カードがなくても、普段WeChatペイ内のウォレットに預ける小銭でファンドを購入できる。10,000元を入れた場合、一日あたり1元の利上げだ。

NPO支援では、「テンセント公益」というプラットフォームにアクセスすると、中国における障がい者や農村の留守児童といった社会的弱者層の情報が集まっている。WeChatペイで寄付できるし、なおかつ、寄付金の行き先をはっきりと確認できる。

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財布が要らない!WeChatだけがあればいいライフスタイル

現在中国では、WeChatペイとアリペイによる競争がとても激しく、エピックのような話である。WeChatはユーザの選好を分析し、プラットフォームの機能を充実させるために、多くの第三者と連携して、商品の検索・交流・取引などのプロセスがすべてWeChatペイで済ませられるようになった。これがいわゆる「O2O」戦略である。

(WeChatペイと連携する第三者企業)

O2Oとは「Online to Offline」の略語で、 オンラインからオフラインでの行動へと促す施策や、 オンラインでの情報接触行動をもってオフラインでの購買行動に影響を与えるような 施策を指す。

例えば、WeChatペイは自転車シェアの「モバイク」、ライドシェアの「滴滴出行(Didi)」といった企業と協力し、位置情報サービスによるユーザのサービスの積極的な活用を促している。

また、現在WeChatとスターバックスが連携して、WeChatでコーヒー割引券を購入できるようになった。それはまさに来店を促進するO2O戦略のケースの一例である。

日本では新幹線、飛行機チケットを購入したり、ネットショッピングしたり、映画チケットを購入したりする場合、ほとんど指定される場所や専用のウェブサイトで買うしかないし、とても時間がかかる。

それにひきかえ、中国では現在WeChatさえあれば、全部実現できる。

WeChatペイの画面を開けば、「第三者サービス」というカラムが見える。アリババが運営する「タオバオ」と並ぶECサイト大手JD.comでのネットショッピングは勿論、交通チケット、ホテル、映画、食事、カラオケなどのエンターテイメントの検索、予約、購入の機能も充実している。また、WeChatを通じて、「美団」というオンライン出前サービスをも利用できる。

第三者企業がWeChatに熱い視線を送る理由

WeChatは今O2O戦略を広げ、積極的に店舗や他のプラットフォームとの連携を求めている。その一方、WeChatペイで現れる第三者企業のブランドや情報が増えてきた。ではこの密接な相互関係の中にどんな原動力が秘められているのか。なぜわざわざ第三者企業はWeChat上でも機能を提供したがるのか。

それについての理由は三つあると思う。

まず、第三者企業は、WeChatのデータベースを通じて、ユーザ属性を参照しながら、プロモーションを実現できる。また、WeChatのSNS機能を利用して、新規ユーザを獲得したり、既存ユーザをフォローアップしたりすることができる。WeChatは2017年時点で登録アカウント数が11億人を超えており、月間利用者数は5億4,900万人となっている巨大なマーケットであり、データベースである。そして今後、SNSでネットショッピングする人が増えていくにつれて、WeChatにおけるマーケティングは企業にとってますます必要不可欠なものになる。ゆえに、第三者企業はビジネスチャンスを効果的なものにするために、WeChat上で機能を提供しているのである。

またWeChatを通じて、取引の安全を確保できる。昔、中国にも偽造貨幣の事件が起こったことがある。しかし、WeChatペイやアリペイがあれば、偽造貨幣を防止できる。また取引のための手数料や決済コストの大部分を削減できる。それはまさにブロックチェーンやフィンテックが取り上げられる理由ではないか。

それ以外にもう一つの理由はWeChatによる運営支援が得られるためである。一般的に、プラットフォーム企業の間では、ユーザを競合企業から奪うために、クーポンの配布や割引などを活用するディスカウント戦略が常に使われている。例えば、中国での滴滴出行とUberの競争が挙げられる。WeChatのモバイル決済の分野もその例外ではない。現在、WeChatではO2O戦略を始めたばかりなので、O2O戦略を順調に実行するために、大金を投資して第三者企業の運営を支援しているのである。自分の利益を削るようなディスカウント戦略は長期的には継続が難しい話だが、短期的には第三者企業を引き寄せるための最適な手段と言えるだろう。

WeChatペイはサービスの利便性を高めるとともに、ユーザのプラットフォームに対する依存度を高めている。その背景でテンセントはユーザの潜在ニーズを見極め、プラットフォームにおけるサービスを着々と整えている。

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婷竹
婷竹(テイチク) 1991年生まれ。牡羊座。O型。中国東北地方瀋陽市出身。東北財経大学卒業。現在東北大学経済学研究科在学中(修士1年生)。趣味は読書、星座占い、ACG(アニメ・マンガ・ゲーム)音楽を歌うこと。ヴォーカルユニット・Kalafinaの熱狂的ファン。自慢の料理は中華風豚足の煮込み。

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