中国におけるモバイル決済浸透の原因とは?-Alipay・WeChatの利便性編

      2017/10/27

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前回は、中国のモバイル決済の概要とモバイル決済が現金やクレジットカードよりも使われるようになった理由を紹介した。

今回の記事ではその続きとして、モバイル決済が爆発的に広まっている直接的な原因・その「利便性」を紹介したい。

前回の記事

中国におけるモバイル決済浸透の原因とは?-中国の決済の常識編

便利さゆえに高まる利用度

北京紫禁城の故宮博物館のチケット購入WeChat用QRコード

(1)0.01元でも支払える

通貨への信頼のなさは、モバイル決済拡大の一面的な原因でしかない。私が考えるにその他にもいくつもの要因があるのであるが、まずは中国の実際の商売という観点からいくつか原因を考えてみる。
中国では、個人でお店を開いて、小さなショップでビジネスをすることが多い。また、その形態はさまざまでカートやトラックに商品(雑貨、農作物、衣服)をのせて移動式に商売場所を変えることができたり、街路のわきで小店を構えたりなどである。
これらの商売では、100元(編集部注:日本円で約1700円)といった大金ではなく、10元や5元、場合によっては1元程度の支払いとなる場合もある。こういった小銭はやはり持っていると重たいし、支払いの際に不便なのはどこの国も同じであるが、モバイル決済を使えば、硬貨などの小銭を店先で出したり、店員もお釣りを多く保有してなくても支払いができるので大変便利である。
特に、モバイル決済なら0.01元から支払いが可能なので、スモールビジネスにとってはかなりありがたいサービスとなっている。中国では、このような形態のビジネスは都市でも農村でも多く存在しているので、レジが不要なモバイル決済は大活躍するのである。

(2)支払いはかなり手軽でお得

中国 モバイル決済

店側の支払い用QRコード(WeChat)

(1)と関連して、街路に店を出して商売をするときの支払い方法の手軽さもモバイル決済普及の原因の一つと言えるだろう。これはかなり簡単で、自分の店の支払い用にQRコードをプリントアウトしておいて、店の壁や入口、レジのところに張り付けておけばいいのである。あとは、支払いの時に商品の値段を計算して、合計金額を客に伝えたら、QRコードをスキャン→支払い金額とパスをスマホで入力→店員が確認というステップで支払いが完了する。レジでお客さんが多く並んでいたとしても、とりあえず合計金額を「あなたは10元、あなたは15元…」という風にどんどん伝えれば、あとはお客が勝手にスキャンして支払いするだけなので、店員の手間がかなり省かれる。
また、Alipayなどはキャンペーンを多く行っており、「Alipayで25元以上の購入支払いをすると、5元安くなる」といった謳い文句がよく見かけられる。こういったキャンペーンもAlipayが出すので、お店としてもお客としても、モバイル決済を使えばお得感がでるのである。
Alipayの場合、QRコード以外にも自分の支払い番号をアプリに登録・取得をするのであるが、それをつかって不特定多数の人と金銭のやりとりもできるのでかなり便利である。WeChatの場合だと、トーク画面で友達同士、あるいはビジネス相手同士で金銭のやりとりもできる。単発のバイトで出た給与や、何か相手が緊急で必要な時の貸出金の支払いなどもトーク画面を通じて数秒でできるので、かなり使いやすい。
さらに、最近都市部で増えてきているのが、レストランに行くとテーブルにQRコードが用意されており、これをWeC
hatかAlipayを通じてスキャンをすると、携帯にメニューが表示されるというものである。そして、スマホを通じて食事をオーダーし、支払いもそのままスマホで席に着きながらできる。つまり、店員の接客は皿を運ぶだけ。
このように、どんどんお金の支払いがスマホ一台で手軽になっていっている。

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(3)インターネットショッピング

中国ではインターネットショッピングが爆発的に広まっている。モバイル決済が広まった原因の大きな一因はこのインターネットショッピングだといっても過言でない。特に、タオバオが中国では知らない人がいないくらいの最大手である。タオバオは、アリババが運営するネットショッピングサイトである。
ネットショッピングは、かなり安い値段で商品が手に入るうえに、街中では手に入らない商品もかなり多く扱っている。ゆえに、モバイル決済を利用するきっかけがここにある。
また、これらのインターネットショッピングでは、クレジットカードなども使えるが、先ほども述べた通りクレジットカードはみんなが持てるものではない。それゆえ、モバイル決済を利用したくなるのも納得だ。
また、ネットショッピングのセールやキャンペーンは、日本では考えられないくらい盛大なもので、そのためネットショッピングを使うきっかけが毎年・毎月多くある。ゆえに、モバイル決済を使うきっかけも毎年・毎月多くある。特に11月11日の「独身の日」は、大学内の体育館で臨時の荷物集積所が造られるほど盛り上がる。

(4)機能の多様化=支払いの多様化

中国 モバイル決済

他にも、WeChatやAlipayのアプリの中には様々な機能があり、ほしいものをすぐに買うことができるようになっている。例えば、タクシー。Uberのようにアプリを通じて一般のタクシーや個人タクシーを呼んで、支払いもそのアプリで乗車中、下車後に支払うことができる。そのため急いでいる人にとっては「融通の利く」機能となっている。
他にも、WeChatを通じて、携帯電話料金や公共料金、さらに今はやりのシェアサイクル、映画のチケット等、すべてがWechatやAlipayを通じて料金を確認してパスワードを入れるだけで支払い可能なのである。このように、スマホの画面の中だけで使える場面がどんどん増えているので、今後も便利な支払い機能はさらに増えていき、使う人にとってもより便利なアプリとなっていくだろう。
また、WeChatでは、「紅包(ラッキーマネー)」もある。これはゲーム感覚で使われる。祝日や何かお祝い事があったときにグループチャット内で友達に向けて送信者が決めた総額を指定された人数が競争して開く。すると、ランダムで総額のうちの数パーセントのお金を送信者からゲットできる。この機能は、上記のスモールビジネスにも使えて、オーナーが自分の商品を売るために作ったグループチャット内で、新しい顧客が来た時や祝日などの時に客への感謝を込めて「紅包」を送信する。特定の人数しかお金はゲットできないのでみんな必死になって「紅包」をゲットするようにWeChatをチェックするのである。
このようにWeChatやAlipayは、様々な機能やアプリと連携をして、モバイル決済を利用したくなるようにユーザーを誘引している。

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橋本 誠浩
橋本 誠浩(はしもと ともひろ) 東北大学法学部法学科卒業(法学学士)、浙江大学公共管理学院AFLSP2015(公共管理修士)修了。専門は、中国政治。特に現代都市社会について政治学の観点から分析を行っている。中国で3年過ごし、現在仙台を拠点に研究活動を継続。

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