なぜ、ロシアは北朝鮮との関係を重視するのか?

   

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9月11日、国連安全保障理事会は全会一致で9回目の北朝鮮制裁決議案を採択した。反対の噂がささやかれたロシアと中国も今回の制裁決議案には賛成した。一方、ロシアは北朝鮮との対話も重視している。北朝鮮に対するロシアの狙いは何だろうか。

対話重視の姿勢を示すプーチン大統領


プーチン大統領

「安全を約束されたという感触を得ない限り、北朝鮮は草を食べても核開発をやめないだろう」9月5日、プーチン大統領はBRICS首脳会議で行われた中国・アモイで記者団に向かってこのように発言した。ロシアは中国と同じく北朝鮮に対しては制裁一辺倒ではなく、対話を重視している。

しかし、ロシアは決して北朝鮮の核開発を容認しているわけではない。「核開発を容認しない」というメッセージが今回の北朝鮮制裁決議案に賛成に回った理由だろう。これからは決議で決められた制裁を履行することで「核開発反対」のポーズを示しつつ、対話を模索することが予想される。

ところで、なぜロシアは対話を模索するのであろうか。ひとつにはプーチン流の合理的な考え方があるのだろう。今まで北朝鮮に制裁をしても、北朝鮮は核開発をやめなかった。これ以上制裁をすれば、北朝鮮が暴発するのでは...そのような思いがあるからこそ「対話」を打ち出すのだろう。しかし、筆者はロシアが北朝鮮との関係を重視するもうひとつの理由があると考える。

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北朝鮮を利用したロシア極東開発

ウラジオストクにある北朝鮮レストラン

ウラジオストクにある北朝鮮レストラン

前回の記事でも書いたとおり、ウラジオストクやハバロフスクをはじめとするロシア極東地域はピンチを迎えている。ソ連崩壊後、人口が減少し、次々と中国人が商売目的で極東ロシアに流入している。極東ロシアに住む人々は「中国に吸い込まれるのでは」という中国に対する危惧を持っている。一方、日本との交渉は北方領土問題もあり、スムーズに進んでいるとは言い難い。

そこで、ロシアは朝鮮半島の国、北朝鮮と韓国も取り込もうとしている。近年、ロシアと北朝鮮は積極的に経済協力を進めている。2013年に北朝鮮の羅津とロシアのハサンとの鉄道路線が開通した。また、今年6月にも北朝鮮はロシアに対して鉄道建設を持ちかけた。一方、ロシアも北朝鮮、韓国への電力の供給を検討している。現在、中国東北部へ電力を供給している。中国と同じビジネスを朝鮮半島でもやりたいのだろう。

北朝鮮から見ると、中国との関係が悪化しているのでロシアに接近せざるを得ない。北朝鮮はロシアとのビジネスを通じて、少しでも外貨収入を得たいのだ。このように、核問題はありながらもロシアと北朝鮮とはある程度、ビジネスの利害関係が一致している。案外、日本による積極的な極東ロシア開発ががロシアと北朝鮮との関係を弱くする特効薬になるのかもしれない。

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1987年生まれ。神戸市出身。神戸大学大学院国際文化学研究科修了(国際関係・比較政治論コース)。専門はユーゴスラビアといった中東欧の政治・国際関係。 民間企業に勤務後、3ヶ月間の中東欧でのバックパッカー体験を経て、2016年より独立。『Compathy Magazine』『TRIP’S』など複数のメディアで活躍中。

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