大富豪ソロス氏の大学がハンガリーで閉鎖へ 首相との数奇な関係

   

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2017年に入り、ハンガリーはひとつの大学の閉鎖をめぐって世間を賑わしている。それが、ハンガリー系ユダヤ人の大富豪、ジョージ・ソロス氏が開設した大学だ。一体、この大学をめぐって何が起きているのか。さらに、ソロス氏とハンガリー首相との数奇な関係とは。今回の記事ではこの2点を紹介したい。

保守政権によるリベラルつぶし?

 


(ジョージ・ソロス氏)
ハンガリーでは2010年の総選挙で中道右派フィデスを中心としたオルバーン政権が誕生した。オルバーン政権は新憲法の採択や報道への監視強化など、独自色の濃い政策を次々と打ち出した。2017年に入り、大きな話題となっているのが教育法の改正案である。
今回の教育法の改正案によると、ハンガリーにある外国の大学はハンガリーだけでなく本国でも教育を行うことが義務付けられている。この改正案で真っ先に損害を被ったのがハンガリーにある私立大学院大学「中央ヨーロッパ大学(CEU)」だ。

CEUは1991年に、ハンガリー生まれの投資家ジョージ・ソロス氏によって創設された。本部はアメリカのニューヨークにあるが、アメリカにキャンパスはない。もともと、CEUは民主化後の中欧、東欧諸国のリーダーを育成するために作られた。また、ソロス氏自身は移民の積極的受け入れを支持している。そのため、CEUはリベラル色が濃い。

保守色の濃いオルバーン政権にとって、ソロスは目の上のたんこぶに映ったのかもしれない。そのためか、オルバーン首相はソロス氏を強く批判している。また、ロイター通信によるとハンガリーには「最後に笑うのはソロス氏であってはならない」と書かれたポスターが貼ってある。今回の教育法改正がCEU、ソロス氏つぶしであるのは確実だろう。

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オルバーン首相はソロス氏の団体から奨学金をもらっていた? 


オルバーン首相 
ハンガリー人の友人にオルバーン首相のことを尋ねると、このように答えた。

「オルバーンは昔は反共産主義のリベラル色の濃い人物だった。しかし、政界に入って保守になった」

実はオルバーン首相は学生時代の時に、ソロス氏の団体から奨学金をもらってアメリカに留学している。おそらく、ソロス氏の団体はリベラルな考えを持つオルバーン氏に期待したのだろう。しかし、結果は皮肉なことにオルバーン首相から批判、弾圧される結果となった。

ハンガリー国内では教育法改正に対して大規模な反対デモが行われた。また、アメリカを中心に各国から懸念の声が相次いだ。しかし、4月10日、ハンガリーのアーデル大統領は教育法改正に署名した。

「オルバーン一強」という状況が続く中で、このままオルバーン政権の政策が次々と実行されるのだろうか。

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1987年生まれ。神戸市出身。神戸大学大学院国際文化学研究科修了(国際関係・比較政治論コース)。専門はユーゴスラビアといった中東欧の政治・国際関係。
民間企業に勤務後、3ヶ月間の中東欧でのバックパッカー体験を経て、2016年より独立。『Compathy Magazine』『TRIP’S』など複数のメディアで活躍中。

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