再びナイロビを襲った国際テロ事件 イスラム国から主導権の奪還を狙うアルカイダ

   

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アフリカの大国ケニアの首都ナイロビで、再び国際テロ事件が発生した。1月16日、欧米人など多くの外国人が宿泊する高級ホテル「ディシットD2」とその周辺で、自爆攻撃や銃撃などによる一連のテロ事件が発生し、米国人や英国人など少なくとも21人が亡くなった。事件を実行したのは、隣国ソマリアを拠点とし、国際テロ組織アルカイダに忠誠を誓うイスラム過激派組織「アルシャバブ(Al Shabaab)」で、「トランプ政権によるイスラエル・エルサレムの首都容認への報復であり、ザワヒリ指導者からの支持に従った」と犯行声明を出した。

今回のテロ事件はどういった意味があるのだろうか。国際テロ情勢のウォッチャーとして、筆者は以下のような可能性も1つに考える。

イスラム国とアルカイダの主導権争い

ハムザビンラディン

(出典:公安調査庁)

イスラム国は2014年から2015年の全盛期と比べると、現在は見る影もないほど衰退している。全盛期に、その支配領域はシリアとイラクで英国領土に匹敵するまで拡大したというが、現在はその1%にも満たないまでに縮小している。今月もシリア北部マンビジで米軍部隊を狙った自爆テロ事件で犯行声明を出し、シリア東部やイラクのモスルやキルクークなどでテロ活動を継続しているが、復活を遂げる兆しは見えない。

一方、アルカイダはISの弱体化を密かに予想していたかのように、近年、自らの存在力、ブランドを強くアピールするようなり、ISからグローバル・ジハード運動の主導権をISから奪還しようとしている。指導者のアイマン・ザワヒリは、ISの全盛期だった2014年から2015年の間に、ほぼ1年間何も声明を出さなかった時期があったが、2018年初め以降、その音声メッセージは15回を数える。ハムザ・ビンラディン(オサマ・ビンラディンの息子)の声明も増加しており、米国やイスラエルへの攻撃を呼び掛けている。また、ザワヒリは生き残るIS戦闘員やIS支持者たちにアルカイダに加わるよう求める姿勢も見せている。

引き続き残る海外邦人へのテロリスク

幸いにも、今回のテロ事件で巻き込まれた日本人はいなかった。しかし、アルシャバブなどアルカイダ系のイスラム過激派は、欧米人など外国人が多く集まる場所、すなわち大使館や高級ホテル、国際空港や観光名所などを狙っており、日本人がその犠牲になるリスクは十分にある。今回の事件現場近くにも、多くの日系企業の事務所や支店があり、リスクは常に側にあることを忘れてはならない。今後もこういった国際テロ事件は発生する。引き続き、国際テロ情勢の行方を十分に注視していく必要がある。

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和田 大樹(わだ・だいじゅ)オオコシセキュリティコンサルタンツ シニアアナリスト兼アドバイザー/清和大学講師。国際政治学や安全保障論を専門とし、国際テロ分野においてアカデミアを中心に、シンクタンク、コンサルティング会社など幅広く活躍。2014年5月に主任研究員を務める日本安全保障・危機管理学会から奨励賞を受賞。著書に『テロ・誘拐・脅迫 海外リスクの実態と対策』(2015年7月 同文舘出版)など。

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