2019年の世界情勢はどう動くのか?

   

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去年は、北朝鮮情勢が大きな動きを見せた。今年の世界情勢はどんな変化を見せるのだろうか。今年の情勢変化について、完璧に当てることができる人はまずいないと思われる。今年初めの論考では、今年の世界情勢を見て行く上で重要なポイントを3つほど簡単に紹介したい。なお今回は日本を取り巻く安全保障に焦点を置いている。

 

米中の対立・競争の高まり

 

まず、筆者が懸念するポイントとして、米中の対立・競争の高まりがある。米中の対立という言葉はかなり前から聞かれるが、昨今、特にその対立が表面化しているように感じる。米中貿易戦争や宇宙・サイバー空間での米中競争など、米国による中国への対抗意識は明らかに今まで以上に強くなっている。中国の台頭がこの10年で特に顕著になる中、米国は以前から中国脅威論を胸の内に閉めていたが、それが現実味を増す中、徐々にその脅威論を公に場で具体的に示すようになった。今年はその対立、競争が一層激しくなるだろう。

 

米ロの対立の高まり

2018年末の記者会見の様子(photo from en.kremlin.ru)

 ロシアが中国のような米国の競争相手になることはないが、世界秩序における米国のパワーが相対的に低下する中、ロシアによる覇権にも一層拍車が掛かることだろう。トランプ大統領は今月、シリアからの米軍撤退を突然発表したが、それが本当に進むかは別として、近年のシリア情勢で米国の存在力は低下し、ロシアやイランの影響力が圧倒的優勢にある。またアフガニスタン情勢でも、ロシアは米軍撤退による力の空白を埋めるべく、同地域への関与にも強い関心を示している。さらに日本との領土問題である北方領土でも、ロシアは政治的な妥協は一切しない姿勢を崩していない。プーチン大統領も1220日、年末恒例の記者会見で、北方領土に米軍基地が置かれる可能性に言及し、安全保障上の問題として一切妥協しない姿勢を示した。今年も米ロを巡る政治的対立は続くことだろう。

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依然として先行きが読めない北朝鮮情勢

 


そしてそれら大国間関係も影響して、先行きが読めないのが北朝鮮情勢だ。一体、北朝鮮はどこに向かおうとしているのだろうか。1つ考えられることは、北朝鮮は上記に挙げた米中対立、米ロ対立など大国間関係を上手く利用することで外交を自らに有利に働くように進めるだろう。特に、去年は米中関係を利用する、いわゆる“天秤外交”を展開したが、おそらくこの姿勢は今年も続くと思われる。米国との交渉が上手く行かないときは中国に接近し、中国と交渉が上手く行かないときは米国に接近するという金正恩氏のスマートな外交手法は、米中対立という中では非常に有効な手段だろう。今年もこの姿勢がまずは取られ、それが日朝関係にも影響を与えてくることだろう。

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和田 大樹(わだ・だいじゅ)オオコシセキュリティコンサルタンツ シニアアナリスト兼アドバイザー/清和大学講師。国際政治学や安全保障論を専門とし、国際テロ分野においてアカデミアを中心に、シンクタンク、コンサルティング会社など幅広く活躍。2014年5月に主任研究員を務める日本安全保障・危機管理学会から奨励賞を受賞。著書に『テロ・誘拐・脅迫 海外リスクの実態と対策』(2015年7月 同文舘出版)など。

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