【連載】ロシアの実像を探る(11)ロシアとっての民主主義

   

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ロシアにとっての民主主義

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ロシアの経済についてはまだたくさん述べたいことがありますが、そろそろ外交や政治の問題に移ることにしましょう。

 

「ロシアの今の政治はどうなっているのか」と聞かれたならば、多くの方は、何やら非民主的な独裁国家で国民の自由が日本などに比べれば大きく制限された国、という像を思い浮かべられることでしょう。ロシアについての日本での報道が、ほぼ100%と言って良いほどにこうしたイメージを基本としているからだと思われます。

 

メディアがそのように伝えるのも、実際にどうなのかを見ていくと、こうしたイメージがあながち間違いでもないからなのです。

 

ソ連時代の規制への反動も手伝って、1990年代(まだネットの時代ではありませんでした)にロシアのメディアは「勝手気まま」と言えるほど自由に書いていました。毎朝の記事が面白過ぎて読み出すと仕事にならず、無理にでも新聞を読むのを止めた人すらいました(物事の内情が次々と暴露されていくのは、カネでメディアにそう書かせている向きが居るから、という不信感も同時に広がっていましたが)。

 

しかし、その後は特に2010年代に入ると、言論の闊達さが明らかに失われてゆきました。たとえば、1990年代後半から2000年代初めに懸けて内戦まで起こしたチェチェンに関して、報道はほぼ完全にシャットアウトされてきています。そして、このチェチェン問題の真相に迫ろうとしていた女性ジャーナリストが射殺されるなど、ロシアではメディア関係者の殺害事件が後を絶ちません。言論の自由が民主主義にとって不可欠な要素と主張する西側の論調は、こうした実態を厳しく非難します。

また、選挙制度は一応民主的な形を整えてはいるものの、その運用に当たっては不正が頻繁に行われ、公平な選挙が確保されているとは言いがたいと評されます。そうした選挙の結果で野党が議会の少数派に転落し、デモなどの反プーチン派の行動も規制の対象になるという実情は、民主主義が正常に作動していない結果だとされています。

 

さらに、プーチンが2000年に大統領になってから現在に至るまで、国の最高権力者として20年近くも君臨していること自体がそもそも民主主義には馴染まない、という指摘もあります。

 

西側のこうした批判は、一つにはソ連という非民主的国家が崩壊して民主主義的な国に歩み始めるという大きな期待が裏切られた、という気分にも支えられているのでしょう。

 

ソ連体制下では、流石に結婚や出産は自由でしたが、就職も、引っ越しも、そして表現や言論の自由も大いに制約されていました。その制約がなくなって「さあこれから」という筈だったのに、ソ連を倒したエリツィンの時代は自由化・民主化政策が不幸な経済混乱を招いて、それどころではなくなってしまい、プーチンの登場で民主化は大きくねじ曲げられてしまった、と西側では解説されます。

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