欧州におけるテロの脅威(1)-イタリアとフランスを訪れて考える

      2018/10/04

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近年、欧州各国ではイスラム過激派組織イスラム国(IS)が関連するテロ事件が後を絶たない。パリやロンドン、ブリュッセル、バルセロナ、ベルリン、ストックホルム、ニースなど各地でテロ事件が発生したことで、欧州ではテロの脅威が止む気配が見えない。そのような中、筆者は9月中旬から下旬にかけて、ローマとパリを訪れた。国際的なテロ情勢を研究・分析することは日本においてもできるが、やはり現地を訪れ、その雰囲気を肌で感じることは非常に重要である。ここでは現地を訪れ、筆者が肌で感じたことをお伝えしたい。

大規模なテロ事件が起こっていないイタリア

ローマのテルミニ駅(photo by Hide1228 )

ローマのテルミニ駅( photo by Hide1228 )

まず、筆者はイタリアのローマを訪れた。近年欧州各国ではテロ事件が断続的に発生しているが、実は、イタリアにおいて大きなテロ事件は発生していない。またISに流れ込む戦闘員の数も、人口比でみてイタリアはフランスや英国などよりもかなり少なくなっている。

ローマでは仕事のほかでは、中心駅のテルミニ駅、コロッセオ、ローマの観光名所であるフォロロマーノ、スペイン広場、トレビの泉、バチカンなどを訪れた。ローマの人々は普段と変わらない日常の生活を送っており、スリや置き引きなどは別として、特に治安が悪いと感じることはなかった。基本的な注意事項を守っていれば、犯罪に巻き込まれるようなことはあまりないようにも感じた。

しかし、1つ特徴的な姿がそこにはあった。市民は日常と変わらない生活を送っているものの、テルミニ駅やコロッセオ、スペイン広場やバチカンの入り口など、多くの市民や観光客で賑わう場所には、必ずと言っていいほど、2人から3人の武装した兵士が辺りを警戒しながら巡回していた。兵士はショットガンやライフルのような銃器を常に持ち、ある者が無差別に銃を乱射したり、ナイフで人を刺したりすれば、容赦なく犯人を撃ち殺すかのような雰囲気にも見えた。バチカンの入り口やコロッセオなどでは、観光客の楽しそうな声があちらこちらから聞こえてきたが、そのすぐ横では体格のいい兵士が銃器で武装しているという、日本ではまず見られない姿がそこにはあった。そしてその兵士たちの姿は、怪しい行動を取った者に対しては容赦なく対応するというような、正に、“相手の行動を抑止させる警備”のように感じられた。

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和田 大樹(わだ・だいじゅ)オオコシセキュリティコンサルタンツ シニアアナリスト兼アドバイザー/清和大学講師。国際政治学や安全保障論を専門とし、国際テロ分野においてアカデミアを中心に、シンクタンク、コンサルティング会社など幅広く活躍。2014年5月に主任研究員を務める日本安全保障・危機管理学会から奨励賞を受賞。著書に『テロ・誘拐・脅迫 海外リスクの実態と対策』(2015年7月 同文舘出版)など。

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