北朝鮮は実は「孤立」していない?積極外交がもたらす新たな緊張の高まり

      2018/09/03

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「板門店宣言」に署名した後、握手を交わす北朝鮮・金正恩委員長と韓国・文在寅大統領(出典: www.koreasummit.kr )

「板門店宣言」に署名した後、握手を交わす北朝鮮・金正恩委員長と韓国・文在寅大統領(出典: www.koreasummit.kr )

昨今の北朝鮮を巡る朝鮮半島情勢をどう評価できるだろうか。米朝首脳会談が6月に開催され、国際社会の中では何かしらの進展が見られるのでは?と期待の声が一部には聞こえたが、それから2か月が経過する今日において、危険な前兆が漂っているように見える。国際社会からの孤立に追い込まれたにも関わらず、奇妙な落ち着きを見せているこの国は、今現在どのような状況に置かれているのだろうか。

北朝鮮に生じた初めての「孤立」

周知のとおり、今年に入って朝鮮半島情勢は大きな変動を見せたが、そうさせた1つの背景には、中国が国連安保理の決議に同調し、日米など国際社会と共に北朝鮮への経済制裁を強化したことがある。北朝鮮がこれまで長い間に渡って核開発やミサイル発射などで強気の姿勢を貫いてきた背景には、中国の存在がある。最大の援助国である中国は、国際社会からの外交的プレッシャーがある中でも北朝鮮の行動を庇い、黙認してきた。しかし、中国までもが国際社会の側についたことで、真の意味での北朝鮮の孤立化という状況が生じるようになった。

非孤立化を目指す北朝鮮

こうなったことで、北朝鮮は非孤立化を目指す戦略を積極的にとるようになった。それは正に、融和ムードを強調する文在寅(ムン・ジェイン)政権の韓国への接近、それに付随する米国への接近、それに懸念を持つ中国からの譲歩というシナリオだった。それらによって、今日の朝鮮半島情勢で北朝鮮は見事に孤立化から脱却することに成功した。今年に入ってこれまでに、北朝鮮は南北会談を1回、米朝会談を1回、中朝会談を3回も行っており、如何に早く孤立化から脱却し、自らに有利な外交環境を作るかに集中しているかがうかがえる。

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和田 大樹(わだ・だいじゅ)オオコシセキュリティコンサルタンツ シニアアナリスト兼アドバイザー/清和大学講師。国際政治学や安全保障論を専門とし、国際テロ分野においてアカデミアを中心に、シンクタンク、コンサルティング会社など幅広く活躍。2014年5月に主任研究員を務める日本安全保障・危機管理学会から奨励賞を受賞。著書に『テロ・誘拐・脅迫 海外リスクの実態と対策』(2015年7月 同文舘出版)など。

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