中国の一帯一路戦略の行方〜POSOW(戦争に至らない準軍事作戦)から考える〜

   

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以前の記事で、「中国の南太平洋地域への進出」について言及をした。その際には、中国が自らの莫大なマネーを用いて南太平洋各国で影響力を高めようとする様子を映し出したが、その勢いは収まる気配を見せない。

南太平洋地域に忍び寄る中国 高まるチャイナマネーの影響力

中国の経済支援は“支援”と呼べるのか?

パキスタンのグワダル港(Photo by Umargondal )

そしてその様子を観てきた筆者が今思うのは、それが純粋に経済支援と呼べるかどうかだ。経済支援というと、純粋にはお金に余裕がある国はそうでない国の発展や安全に寄与するために資金を援助することが想像できるが、近年の中国による多額の資金援助というものは決して“優しい援助”とは呼べないだろう。

一般的に経済援助の多くが融資であるが、多額の資金援助を必要とする小国に一定期間のうちに多額の返済が可能かどうかは想像に難くなく、中国の経済援助というものにはそれ以上の思惑が見て取れる。例えば、スリランカは2017年12月、チャイナマネーで建設された南部のハンバントタ港の運営権を債務軽減と引き換えに99年間中国へ貸し出すことを決定し、パキスタンも2015年に南西部にあるグワダル港の運営権を中国に43年間譲渡することを合意した。

筆者には、現在の習近平政権が被援助国の融資の返済が困難なことを十分承知の上で、あえて多額の経済援助を行っているように感じられる。仮にそうであるならば、それはそもそも経済支援と呼べず、経済支援そのものが“目的”というより、何らかの目的を達成するための“手段”ということになるだろう。これは経済の武器化とでも表現できるのかも知れないが、中国には自ら得た莫大な資金を用いて、他地域への影響力拡大を狙う戦略的意図があると考えられる。

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和田 大樹(わだ・だいじゅ)オオコシセキュリティコンサルタンツ シニアアナリスト兼アドバイザー/清和大学講師。国際政治学や安全保障論を専門とし、国際テロ分野においてアカデミアを中心に、シンクタンク、コンサルティング会社など幅広く活躍。2014年5月に主任研究員を務める日本安全保障・危機管理学会から奨励賞を受賞。著書に『テロ・誘拐・脅迫 海外リスクの実態と対策』(2015年7月 同文舘出版)など。

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