米大使館のエルサレム移転を考える

      2018/05/23

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エルサレム

去年12月、米国のトランプ大統領は大使館をテルアビブからエルサレムに移転させると公言し、世界を驚かせたが、今月14日、とうとうそれが現実のものとなった。式典にトランプ大統領は出席しなかったが、長女のイバンカ氏や婿のクシュナー氏、またムニューシン財務長官らが参加し、移転を大々的に祝った。同式典には86カ国が招待されたが、多くの欧州諸国は欠席し、参加したのは米国同様に大使館移転を宣言しているグアテマラやパラグアイのほか、ハンガリー、チェコなど33ヶ国に留まった。

そして多くの者が予想していたとおり、パレスチナ側から大規模な反発が生じ、一部のパレスチナの若者はイスラエル軍と衝突するなどして14日までに50人以上が死亡、2700人以上が負傷した。また、イスラム過激派の動向の監視組織「サイトインテリジェンス(SITE)」が更新した情報によると、国際テロ組織アルカイダのアイマン・ザワヒリ指導者は14日、トランプ政権による米国大使館のエルサレム移転を非難し、「米国にジハード(聖戦)で抵抗しなければならない」とイスラム教徒に米国への攻撃を呼び掛けた。現在のところ、それに関連するテロは起きていないが、トランプ政権による米大使館のエルサレム移転は、イスラム過激派の活動と彼らの言う聖戦に一定の正当性を与えかねない。

なぜ移転したのか

有権者に向けて演説をするトランプ大統領

では、なぜトランプ大統領は移転を実行したのか。その答えを一言で言えば、11月の中間選挙を見据えての支持者層へのアピールだろう。米経済とユダヤマネーの強い結びつきの話は周知の事であろうが、その8割近くがトランプ氏を支持しているというキリスト教福音派は、米国民の実に4分の1を占め、中間選挙で勝利したいトランプ大統領にとって福音派の支持者たちへのアピールは最も重視するところだろう。今回の移転ついても、福音派の人々は高く評価しているという。

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和田 大樹(わだ・だいじゅ)オオコシセキュリティコンサルタンツ シニアアナリスト兼アドバイザー/清和大学講師。国際政治学や安全保障論を専門とし、国際テロ分野においてアカデミアを中心に、シンクタンク、コンサルティング会社など幅広く活躍。2014年5月に主任研究員を務める日本安全保障・危機管理学会から奨励賞を受賞。著書に『テロ・誘拐・脅迫 海外リスクの実態と対策』(2015年7月 同文舘出版)など。

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