マハティール政権誕生がアジア諸国の政治と経済へ与えた示唆

      2018/05/17

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今月9日にマハティール・モハマド氏(92)の率いる連合政党・希望連盟が、マレーシア連邦下院総選挙でナジブ・ラザク氏率いる与党連合・国民戦線(BN)に勝利した。マハティール氏側の勝利は、マレーシア国内の世代交代や民族間の融和という、昨今の社会情勢の変化を体現したものであった。それと同時に、同氏が政治の表舞台に返り咲いたことは、アジア諸国にとって大きな意義をもつことになる。

新世代が近代マレーシアの父・マハティールを政治の表舞台に呼び戻す

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日本をロールモデルとした経済発展モデルの復活

(出典:マハティール氏Facebook)

マハティール氏は日本の集団主義と勤労倫理を取り入れることを目的としたルック・イースト政策(Look East)や、2020年までに先進国になることを宣言した「Vision 2020」を東南アジア諸国で始めた最初の政治リーダーであった。

こういった政策を提起してきたマハティール氏が政権の座を獲得したことにより、マレーシアの発展戦略には二つの帰結がもたらされることになる。

一つ目は、西欧ではなくアジアの価値を重視する姿勢である。マハティール氏はその発展の目標として日本をロールモデルとして挙げているが、裏を返せば、そこには西欧諸国とは一線を画す発展を成し遂げていこうとする意図がある。また、かつてマレーシアは、東アジア(東南アジア)で急激な経済発展を遂げてきた香港・シンガポール・韓国・台湾に次ぐ「5番目の虎」として注目を集めたものの、2000年代以降はいわゆる「中所得国の罠」に直面し、成長を停滞させていた。マハティール氏は総選挙において、ナジブ政権下で低迷していた経済を立て直すことを有権者に約束した。

二つ目は、一つの国に過度な依存をしない自立した経済発展を模索する姿勢である。ナジブ前政権の下、マレーシア経済は低迷しており、かつ中国経済へ大きな依存をしていた。その象徴が高速鉄道の建設や、海上シルクロードのハブとして期待されたマラッカ海峡における港湾開発であった。これに対してマハティール氏は、中国とは今後ある程度距離をとりながら付き合っていくことを明言した。

これら二つの転換から言えることは、今後日本の政府や企業が、マレーシアにおいて様々な経済交流を行うことによって、同国の発展を共に促進していく可能性が見いだせるということである。

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Putthida Kijdumnern
東北大学文学研究科博士課程(研究生)日本政府奨学金奨学生。中国、浙江大学公共管理学院修士課程修了(2017)。タイ、タマサット大学政治学部卒業(2015)。現在、東南アジアの華僑について文化と政治の観点から研究をしている。

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