持続するイスラム国の求心力とブランド 〜ラマダン直前のテロから考える〜

   

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週末、5月15日(6月14日まで)から始まるイスラム教の断食月(ラマダン)を前に、過激派組織イスラム国(IS)が関連するテロ事件が2件発生した。

1件目は12日夜、フランスのパリ中心部でナイフを持った男が通り魔的に人々を次々に刺し、1人が死亡、4人が負傷した。刺した男は駆け付けた警察官によって射殺されたが、フランス警察の対テロ要注意人物のリストに載っており、以前から治安当局にマークされていた。そのリストによると、男は1997年ロシア・チェチェン共和国に生まれたフランス国籍保持者で、犯罪歴はなかったというが、現在、警察は男の両親から話を聞いて事件の背景を調査しているという。

2件目は13日朝、インドネシア第2の都市スラバヤにあるキリスト教会3か所で同時多発的な自爆テロが発生し、これまでに実行犯6人を含む13人が死亡、40人以上が負傷した。爆発当時、日曜礼拝のため多くの信者がキリスト教会にいたが、実行犯6人は父母と息子2人(18歳と16歳)、娘2人(9歳と12歳)の家族で、ISと関連があるインドネシアのイスラム過激派組織「ジャマー・アンシャルット・ダウラ(JAD)」と関係があり、シリアへの渡航歴もあるとみられる。ちなみに、この家族は当初警察施設を標的としていたが、警備が厳重だったことから標的を教会に切り替えたとの報道もある。

執筆中の現在、この両事件において、IS傘下のアマーク通信が犯行声明を出しているが、ISと実行犯たちの具体的な関係などについては明らかになっていない。しかし、ISはパリの事件の実行犯がISのバグダディ容疑者に忠誠を誓う瞬間の動画を公開するなどしており、今後さらに両事件の背後関係について明らかになってくると思われる。

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和田 大樹(わだ・だいじゅ)オオコシセキュリティコンサルタンツ シニアアナリスト兼アドバイザー/清和大学講師。国際政治学や安全保障論を専門とし、国際テロ分野においてアカデミアを中心に、シンクタンク、コンサルティング会社など幅広く活躍。2014年5月に主任研究員を務める日本安全保障・危機管理学会から奨励賞を受賞。著書に『テロ・誘拐・脅迫 海外リスクの実態と対策』(2015年7月 同文舘出版)など。

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