テロの温床が拡大するアフガニスタン 長期化する、忘れ去られる対テロ戦争

   

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米国による対テロ戦争の最前線となったアフガニスタンでは、9.11同時多発テロから15年が過ぎる今日でも治安の悪化に歯止めが掛からない状況が続いている。

今月6日には、アフガニスタン東部ホストにあるイスラム教礼拝所(モスク)で爆発が起き、少なくとも14人が死亡、30人以上が負傷した。このモスクは今年10月にアフガニスタンで実施される下院選挙の有権者登録所になっており、選挙の妨害を狙ったテロ攻撃の可能性が示唆されている。先月22日にも、首都カブールにある有権者登録所(政府情報施設)付近で自爆テロ事件が発生し、少なくとも57人が死亡した。カブールの事件では、過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出しているが、近年ISによるものとされるテロ事件がアフガンでは後を絶たない。トランプ政権は既に1500人を増派し、1万5500人規模でアフガン国軍や警察の訓練、指導に当たっているが、その効果は見える形で現れていない。

雪解け以降、活動を活発化させていく反政府勢力タリバン

また、反政府勢力タリバンの活動が今後活発化していくことが予想される。タリバンは先月25日、今後攻勢を加速化させていくとの声明を発表したが、これは例年のことで、タリバンは雪解けのこの時期に同様の声明を繰り返し発信している。上記のとおり、同国では10月に下院選挙が予定されているが、タリバンも同選挙の妨害を目的とするテロ攻撃を活発化させていくことだろう。

あまり日本のメディアでは取り上げられないが、今年2月にCNNが明らかにしたところによると、アフガン政府の支配地域は国土全体の56%で、2015年11月時点の72%から大幅に減少している一方、タリバンなど反政府勢力の支配地域は2015年11月の7%から14%(2017年10月時点)と倍近くにまで拡大しているという。

しかし、治安維持を担う軍・警察は十分に機能していない。今年1月現在での軍・警察の要員は約29万6400人で、前年同期比で3万5300人減少したとされ、定員33万4000人に対して充足率は88.7%に留まるという。

このようなデータから予測すれば、治安が改善に向かう見通しが全く見えないことは容易に想像できる。

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和田 大樹(わだ・だいじゅ)オオコシセキュリティコンサルタンツ シニアアナリスト兼アドバイザー/清和大学講師。国際政治学や安全保障論を専門とし、国際テロ分野においてアカデミアを中心に、シンクタンク、コンサルティング会社など幅広く活躍。2014年5月に主任研究員を務める日本安全保障・危機管理学会から奨励賞を受賞。著書に『テロ・誘拐・脅迫 海外リスクの実態と対策』(2015年7月 同文舘出版)など。

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