190回通常国会 衆議院本会議 第19号-国会発言議事録

   

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第190回国会 本会議 第19号
平成二十八年三月二十四日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十一号
  平成二十八年三月二十四日
    午後一時開議
 第一 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件
 第二 成年後見制度の利用の促進に関する法律案(内閣委員長提出)
 第三 成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案(内閣委員長提出)
 第四 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第五 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第六 戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案(内閣提出) 
 第七 戦没者の遺骨収集の推進に関する法律案(第百八十九回国会、本院提出)(参議院送付)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案を審査するため委員四十五人よりなる環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会を設置するの件(議長発議)
 日程第一 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件
 日程第二 成年後見制度の利用の促進に関する法律案(内閣委員長提出)
 日程第三 成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案(内閣委員長提出)
 日程第四 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第五 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第六 戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第七 戦没者の遺骨収集の推進に関する法律案(第百八十九回国会、本院提出)(参議院送付)
 原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
 国立国会図書館の館長の任命承認の件
    午後一時二分開議
○議長(大島理森君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 特別委員会設置の件
○議長(大島理森君) 特別委員会の設置につきお諮りいたします。
 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案を審査するため委員四十五人よりなる環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会を設置いたしたいと存じます。これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(大島理森君) 起立多数。よって、そのとおり決まりました。
 ただいま議決されました特別委員会の委員は追って指名いたします。
     ――――◇―――――
 日程第一 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件
○議長(大島理森君) 日程第一、放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。総務委員長遠山清彦君。
    ―――――――――――――
 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔遠山清彦君登壇〕
○遠山清彦君 ただいま議題となりました承認案件につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本件は、日本放送協会の平成二十八年度収支予算、事業計画及び資金計画について、国会の承認を求めるものであります。
 まず、収支予算は、一般勘定において、事業収入は七千十六億円、事業支出は六千九百三十六億円でありまして、事業収支差金は八十億円となっております。
 次に、事業計画は、国民・視聴者の信頼と多様な要望に応える質の高い番組の提供、国際放送の充実による海外情報発信の強化、我が国の経済成長の牽引力として期待される4K、8K等の先導的なサービスの推進に重点を置き取り組むこととしております。
 資金計画は、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てております。
 なお、この収支予算等について、おおむね妥当なものと認められるとした上で、その収支予算等の実施に当たっては、子会社による不祥事を厳粛に受けとめ、グループ全体としての協会の改革に組織を挙げて迅速に取り組むこと、協会の経営が国民・視聴者の負担する受信料によって支えられているとの認識を新たにし、業務の合理化、効率化に向けたたゆまぬ改善の努力を行うとともに、国民・視聴者に対する説明責任を果たしていくことが必要であるとする総務大臣の意見が付されております。
 本件は、去る三月十四日本委員会に付託され、翌十五日、高市総務大臣から提案理由の説明を、日本放送協会会長から補足説明をそれぞれ聴取した後、十七日から質疑に入り、二十二日質疑を終局いたしました。次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、本件は賛成多数をもって承認すべきものと決しました。
 なお、本件に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(大島理森君) 討論の通告があります。順次これを許します。高井崇志君。
    〔高井崇志君登壇〕
○高井崇志君 岡山から参りました維新の党の高井崇志です。
 私は、民主・維新・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました平成二十八年度NHK予算につきまして、承認せず、反対の立場から討論を行います。(拍手)
 この二年間は一体何だったのでしょうか。会長の就任以来、相次いで発生する問題への対応に追われ続け、誰が責任を持って何を決めたのか、わかりにくい状況になってしまった。NHKは現場の力で何とか役割を果たしてきたと思います。しかし、そろそろ限界に近づいていると感じています。
 これは、本年二月に退任されたNHK専務理事の経営委員会での最後の言葉です。彼だけではありません。昨年、一昨年に退任した理事や経営委員長代行までもが同じような苦言の言葉を残しています。
 NHKは、言うまでもなく、国民の皆さんからいただく受信料で成り立っている公共放送です。しかし、昨今のNHKにまつわる状況を見ると、国民の皆さんに胸を張って公共放送の職責を果たしているとはとても言えません。
 籾井会長就任以来、さまざまな失言や不祥事が後を絶ちません。ことしになってまた、タクシーチケットの不正、不適切な使用、アナウンサーによる危険ドラッグ所持、NHK子会社社員による出張旅費の不適切処理や架空発注による二億円の着服などが明るみになりました。
 さらに、総務委員会における質疑において、新たな疑惑も発覚いたしました。昨年、再三議論となったNHK関連団体ガバナンス調査委員会、随意契約で五千六百万円もの受信料を使っておきながら十分な成果が出ていないにもかかわらず、同じ時期に同じような調査を、さらに五千万円もの受信料を使って別の監査法人に随意契約していたことも明らかになりました。
 さらに驚くべきことに、三千万円以上の契約には会計検査院への報告義務があるにもかかわらず、この二件とも報告を怠り、このうち一件は、報告すべき時期から一年以上が経過したことしの二月末、総務委員会で指摘されて初めて報告するという失態がありました。年間千三百件近い報告案件の中で、なぜこの二件だけが報告されていなかったのか。担当の専務理事は、失念していましたと答弁。会長に至っては、全く不思議なことでございますと、まるで他人事の答弁です。一億円以上の受信料を使って何ら成果が出ていないことを隠そうという意図があったとしか思えません。
 さらに、NHK子会社にたまった九百億円余りの利益剰余金を使って、子会社九社が入居するビルを建てるため、三百五十億円もの土地を購入しようとしていたことが明らかになりました。執行部内で十分意思疎通を図ることなく、会長と一部の理事のみで進めていたところ、突如、昨年十二月八日の理事会で専務理事、理事から反対の意見が出され、経営委員会で議論した結果、その日のうちに取りやめるという事態となりました。その間の経緯が全く不透明であるため、再三にわたり議事録の公開を求めてきましたが、一時間二十分にわたる議論をわずか数行にまとめた議事録が公表されているだけにもかかわらず、議事録が全てですと答弁し続けました。
 NHKは、国民の受信料で成り立つ公共放送であるがゆえに、受信料を支払う国民・視聴者に対してできる限りの情報を公開する責務がありますが、全くその責務を果たしていません。
 総務委員会での質疑を通じて明らかになったことは、執行部内の意思疎通のなさです。昨年十二月二十二日の経営委員会においても、監査委員から、重要な事項の検討や手順などについて十分な意思統一が図られていないと報告をされています。会長と専務理事、理事との信頼関係のなさは、もはや救いようがなく、一日も早い人事刷新が求められます。
 総務委員会での質疑においても、与党である自民党、公明党の委員からも苦言が呈されました。自民党内での手続においても総務会で三回もかけることになって大変残念、公明党においても党の中央幹事会において実に厳しい声が出されたのも事実との趣旨の発言がありました。こうした事態になっても、NHK執行部からは、記憶にない、議事録のとおりですと、一体誰に責任があるのか全く不分明な答弁しか返ってきておりません。
 このような状況に鑑み、今のNHK執行部の体制のままでは、国民からいただく受信料という公金を取り扱うことは到底不適切であります。
 以上が、平成二十八年度NHK予算について不承認とする理由であります。
 最後に、NHK執行部のていたらくの中にあっても、公共放送の使命を守るため、現場の最前線で懸命に頑張るNHK職員の皆様に一言申し上げます。
 今、NHKは重大な危機に直面をしています。籾井会長と板野放送総局長は、私の質問に対してこう答えました。放送番組の編集権は現場に分掌されている、現場に任せていると。ぜひ皆さんは、決して権力の意向をそんたくすることなく、取材で集めた事実をもとに、みずからが信じる真実を国民に知らせ、国民の知る権利に奉仕するために全身全霊をかけてNHKの再生に取り組んでいただくことを切に望んで、私の討論を終わります。(拍手)
○議長(大島理森君) 梅村さえこ君。
    〔梅村さえこ君登壇〕
○梅村さえこ君 私は、日本共産党を代表して、NHK二〇一六年度予算の承認に反対する討論を行います。(拍手)
 まず、NHK予算に対する総務大臣意見についてです。
 大臣意見は、クローズアップ現代という個別の番組名を挙げ、昨年四月二十八日付で行われた総務大臣による行政指導を踏まえ、再発防止に向けた着実な取り組みを求めています。これは極めて異例であり、重大です。
 事実に基づかない放送など番組内容に問題がある場合、まず、放送事業者の自主的、自律的な検証によって解決すべきです。さらに、NHKと民間放送連盟が設置をする放送倫理・番組向上機構、BPOが、第三者の立場から調査、検証して、再発防止策の提出と、その実効性を求めていくこと、これが言論と表現の自由を確保しつつ正確な放送と放送倫理の向上を図るルールです。
 ところが、四月の大臣による行政指導は、放送事業者に対する事業免許の許可権限を背景にして、番組内容に介入したものと言わざるを得ません。これに続き、予算に対する大臣意見で、行政指導を踏まえた再発防止を繰り返し求めたのは、NHKの番組に対する露骨な介入であり、看過することはできません。
 しかも、重大なことは、こうした大臣意見が、番組内容に対する介入発言を続ける高市大臣のもとで行われたことです。高市大臣は、一つの番組のみでも、放送法第四条の政治的公平性が確保されているとは認められない場合があり、電波法に基づく電波停止もあり得ると発言したのであります。
 憲法第二十一条が保障する言論、表現の自由に基づき定められた放送法は、権力による放送への介入を防ぐことを目的としたものであり、第四条は、政治的公平性など、放送事業者がみずから守るべき倫理規範とすることを定めたものです。番組内容を政府が判断して放送事業者に介入することなど、断じて許されません。
 次に、NHKの経営姿勢です。
 NHKが、放送法に基づき、国家権力からの独立、放送における表現の自由を確保する姿勢を貫き、視聴者・国民の信頼が得られていることが必要です。
 ところが、二年前に就任した籾井会長は、公共放送の会長としてふさわしくない発言を繰り返してきました。慰安婦問題、秘密保護法問題などの発言で、放送法に対する著しい不理解ぶりを露呈し、謝罪と弁明を繰り返してきたのであります。NHKの放送姿勢への視聴者・国民の不信は深刻なものとなり、会長の辞任、罷免を求める声は強まっております。
 こうした籾井会長のもとで不祥事が相次いでいることを指摘しなければなりません。
 会長自身によるハイヤーの私的利用問題に続き、NHK職員のタクシー券の私的利用、子会社における空出張、架空発注における着服、土地購入問題など、不祥事が繰り返されて後を絶ちません。徹底的な全容と原因の解明、視聴者・国民への情報公開と説明、そして再発防止が求められております。
 さらに、二〇一六年度予算は、NHKが初めて株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構に二億円を出資する予定です。これは出資事業者の中で最高金額です。
 この機構は、我が国の民間企業が海外において民間だけでは事業展開ができないような高いリスクのある事業への参入支援を目的としており、政府の成長戦略に位置づけられるものです。
 受信料で成り立つNHKは、本来、営利目的の活動はできないはずです。公共放送の立脚点を崩すものであり、到底、視聴者・国民の理解は得られません。
 最後に、NHKが視聴者・国民の信頼を取り戻すには、政府から独立し、商業主義にくみしないという公共放送としての基本的立場に立ち返ることです。このことを強く求めて、討論を終わります。(拍手)
○議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○議長(大島理森君) 採決いたします。
 本件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(大島理森君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。
     ――――◇―――――
○議長(大島理森君) 日程第二及び第三は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 日程第二 成年後見制度の利用の促進に関する法律案(内閣委員長提出)
 日程第三 成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案(内閣委員長提出)
○議長(大島理森君) 日程第二、成年後見制度の利用の促進に関する法律案、日程第三、成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。内閣委員長西村康稔君。
    ―――――――――――――
 成年後見制度の利用の促進に関する法律案
 成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔西村康稔君登壇〕
○西村康稔君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 まず、成年後見制度の利用の促進に関する法律案についてであります。
 本案は、成年後見制度の利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、成年後見制度の利用の促進について、その基本理念等を定めるとともに、成年後見制度利用促進会議を設置する等の措置を講ずるものであります。
 本案は、昨日、内閣委員会において、内閣の意見を聴取した後、賛成多数をもって委員会提出の法律案とすることに決したものであります。
 次に、成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、成年後見の事務がより円滑に行われるようにするため、成年後見人が成年被後見人に宛てた郵便物等の転送を受け、これを開いて見ることができることとするとともに、成年被後見人の死亡後の相続財産の保存に必要な行為を行うことができることとする等の措置を講ずるものであります。
 本案は、昨日、内閣委員会において、賛成多数をもって委員会提出の法律案とすることに決したものであります。
 何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(大島理森君) 両案を一括して採決いたします。
 両案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(大島理森君) 起立多数。よって、両案とも可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第四 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(大島理森君) 日程第四、地域再生法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。地方創生に関する特別委員長山本幸三君。
    ―――――――――――――
 地域再生法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔山本幸三君登壇〕
○山本幸三君 ただいま議題となりました法律案につきまして、地方創生に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、地域の活力の再生を総合的かつ効果的に推進するため、認定地域再生計画に基づく事業に対する特別の措置として、まち・ひと・しごと創生交付金の交付、まち・ひと・しごと創生寄附活用事業に係る課税の特例並びに生涯活躍のまち形成事業計画の作成及びこれに基づく介護保険事業者の指定等の手続の特例を追加する等の措置を講じようとするものであります。
 本案は、去る三月十五日本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、本委員会に付託されました。
 委員会におきましては、同日石破国務大臣から提案理由の説明を聴取した後、翌十六日から質疑に入り、昨日質疑を終局いたしました。次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(大島理森君) 討論の通告があります。順次これを許します。佐々木隆博君。
    〔佐々木隆博君登壇〕
○佐々木隆博君 私は、民主・維新・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました地域再生法の一部を改正する法律案につきまして、反対の立場から討論を行います。(拍手)
 まず、本法案の委員会での趣旨説明で、石破大臣が昨年の改正案の趣旨説明を朗読するという前代未聞の失態を起こしました。チェックミスがあり陳謝すると述べていますが、最後まで読み切って事務方に言われるまで気づかないという大臣は聞いたことがありません。委員会軽視であり、議会や国民をばかにする、いわゆる緩み、おごりのあらわれであり、こうした政府の姿勢に強く抗議し、猛省を求めます。
 さて、地域を再生していくことにより地方を活性化させる思いは、与野党問わず違いはないと思います。その際、国の地方への関与は、やり過ぎれば地域の自主性や地方分権の趣旨に反します。全く責任を持たないということでは政策の意味がありません。
 安倍総理が描く地方創生の手法は、国が定めた総合戦略を勘案して、地方版総合戦略の策定を努力義務として課すやり方であり、地方が作成する戦略の枠組みも、国の目標をもとに当てはめるものとなり、地方発の自主的な取り組みを国が支援する姿からはほど遠いものとなっています。
 今回、この法案は、そうした地方創生総合戦略を下敷きにしており、地方の自主性を伸ばすという要請に十分に応えられるものなのか、疑問があります。
 以下、反対の理由を申し述べます。
 反対の第一の理由は、地方創生推進交付金について、地方がどれだけ自由度の高い事業を手がけることができるのか見通せず、なおかつ小規模であることであります。
 地方創生推進交付金という地方が使えるツールがふえたことについては評価いたします。問題は、そのツールがどれだけの自由度を持つかです。総合戦略に位置づけられた事業のうち、KPIやPDCAサイクルが効果的に実施される事業で先導的なものという計画の対象事業の条件は、事業展開するときにどれだけ地方に自由度が担保されるのか不明確であり、逆に地方の自由度を縛りつけるものになりかねません。
 そして、金額も小さ過ぎます。地方創生推進交付金一千億円の内訳は、従前からの地域再生戦略交付金と地域再生基盤強化交付金を再編して工面したものであり、いわゆる真水分はわずかでしかありません。
 必要な財源を確保しつつ財政的支援を行うために、使途を狭く縛る個別補助金や、効果検証の仕組みを伴わない一括交付金とは異なる、第三のアプローチを志向すると、新型交付金の創設に大見えを切った割には、結果は余りにも小粒過ぎます。
 反対の第二の理由は、いわゆる企業版ふるさと納税に対する疑問が拭えないことであります。
 企業版ふるさと納税については、現在補助対象となっていない地方の細々と運営する地域資料館などにとっては、資金調達の新たな手法として期待を持っているところもあります。
 しかし、この制度は、計画主体が地方創生総合戦略を策定した都道府県、市町村であって、対象事業も、地方版総合戦略に位置づけられた事業であり、国が認定したものに限られています。総合戦略に基づく計画に入っていなければ、そして国が認めなければ、寄附金が地方の末端まで行き渡る保証はありません。
 一方、企業の認定NPO法人等への寄附金に対する損金算入に比べると、今回の企業版ふるさと納税は優遇措置がさらに増すことから、企業から認定NPO法人への寄附が減り、地方自治体に振りかえられてしまうおそれがあります。
 本来は、市町村の自主的な計画を尊重し、税制優遇措置も地方の自主性を尊重すればいいのですが、ここでも、国が事業計画をチェックするという点で国の関与が強過ぎます。
 また、寄附の要件について、内閣府令等で、寄附の代償として経済的利益を伴わないものであることとしていますが、企業はさまざまな手法を繰り出して、寄附した自治体に便宜を求めるおそれは残ります。本来は、法案に明記すべきものであります。制度の運用いかんによっては、企業と自治体のもたれ合いの関係の温床になりかねません。
 反対の第三の理由は、生涯活躍のまち制度、いわゆる日本版CCRCについて、日本語にもならないこの法案で政府が思い描くとおりに進められるのか、不可解であることです。
 法案に盛り込まれたものは、限られた施策に対する支援措置や手続の簡素化くらいであり、また、日本版CCRCの手本としたアメリカでは、事業者が破綻した事例もあります。どこまで政府が本気度を持って導入しようとしているのか、実効性が湧きません。
 さらに、この生涯活躍のまち制度の導入に当たり、現行の老人福祉法等に基づき市町村が定めている、高齢者が生き生きと充実した社会生活を送ることができるよう、超高齢社会をめぐるさまざまな課題に対して基本的な目標を定め、実現に向かって取り組むべき施策を明らかにするとした高齢者保健福祉計画との整合性と照らしても、不明確な部分が残ります。
 以上、反対する主な理由です。
 地方創生も一億総活躍社会もそうですが、総務省や厚生労働省の施策のおいしいところをつまみ食いして内閣官房が行うことに何の意義があるのでしょうか。安倍政権の姿勢は、まさに中央集権的かつ官邸集権的であり、地方の自由度を束縛するものであります。
 創造すべき地域社会は、住民、事業者、NPO等、それぞれの主体の創意工夫と協働で、人的資源が適材適所で遺憾なく発揮されると同時に、食料、歴史文化、クリーンエネルギーなど、地域資源を最大限に活用した、湧き出るように地域から富を生み出す力を引き出すことであり、地域の政策の自由度を高め、活力ある社会を目指すことです。
 私たちは、それに応えるためにも、一括交付金を改良して復活させることを提唱しています。住民とともに知恵と創意を生かし、より効果的な財源活用を目指すものであり、地域の創意工夫が最大限に発揮される社会を構築していくことを申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)
○議長(大島理森君) 宮本岳志君。
    〔宮本岳志君登壇〕
○宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、地域再生法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。(拍手)
 まず冒頭、石破大臣が三月十五日の地方創生特別委員会において、事もあろうに、昨年の地域再生法改正案の提案理由説明を読み上げるという前代未聞の失態を演じたことを厳しく指摘しなければなりません。
 我が党が本法案に反対する理由の第一は、地方創生推進交付金の創設です。
 地方自治体が住民福祉の増進という役割を果たし、地域の再生に取り組むために国が行うべきことは、地方が必要とする財源の確保に責任を果たすことであります。
 同時に、雇用の確保や子育て、医療等の社会保障の拡充に向け、地方自治体が地域の実情に応じた独自施策を発展させていくための財政支援の拡充が求められています。
 交付金はその一つではありますが、地方自治体の自主性や主体性が発揮され、十分に活用できる交付金でなければなりません。
 ところが、地方創生推進交付金は、自治体からの申請を選別し、政府が先導的であると認定する事業に優先交付するものであり、政府の政策パッケージどおりに誘導しようとするものにほかなりません。
 このようなやり方が、結果として、いかに住民や子供たちの要求や実態と乖離した結果になるかは、私が委員会質疑で明らかにした、自治体が内閣府の交付金の要件や期限を理由に、ろくに市民の声も聞かず、議会での議論も尽くさないまま、交付金の要件に合わせて計画を策定するといった事態まで生んでおります。
 反対理由の第二は、企業版ふるさと納税であります。
 これは本来、営利を目的とする企業が行う地方自治体への寄附行為であります。現行の寄附税制では、公共性の高い国や地方自治体への寄附について、一定の限度額まで全額を損金算入の対象にしております。しかし、それを超える税額控除を容認することは、自治体との癒着を生むことにもつながりかねません。
 また、寄附の対象となる地方創生事業は政府が指定するとしています。寄附を受けた自治体は収入がふえ、企業が所在する自治体は税額控除によって収入減となる、事実上の税源移動が企業の意思で起こるのであります。
 自治体の事業が企業の広告活動の場となる点でも、国の特定政策への誘導に利用されるという点でも問題であり、到底賛成できません。
 第三に、日本版CCRCの問題です。
 これは、昨年六月の地方創生基本方針が、東京圏では、今後十年間で七十五歳以上の高齢者が百七十五万人増加することが見込まれると指摘したことを受け、日本創成会議の東京圏高齢化危機回避戦略なるものをもとに構想されたものであります。
 まさに、増大する社会保障の支出抑制を目的に、中高齢者に地方や「まちなか」での自助、共助の生活を要求し、公的責任を投げ捨てるものにほかなりません。
 今、国と地方自治体が行うべきことは、全ての住民が住みなれた地域で安心して老後を送ることができる環境を整備することであります。生涯活躍のまちを国策として位置づけ、自治体を誘導するようなやり方では、決して地域の再生はできません。
 そもそも、地方衰退の原因は、輸入自由化により農林水産業を潰してきたこと、大店法撤廃による商店街潰し、地方再生の名による都市再開発と東京一極集中の政策、そして小泉改革で地方交付税を削減し、平成の大合併へと地方自治体を追い立ててきた自民党政治にこそあります。
 地方から活力と魅力を奪ったこれまでの自民党政治への総括も反省もないまま、消費税増税やTPPを推進し、安倍内閣の成長戦略のための地方の構造改革を進めるなどというのは、本末転倒です。それは、東京への一極集中の是正にならないばかりか、地域経済の疲弊を一層進める結果にしかならないことを厳しく指摘し、私の反対討論を終わります。(拍手)
○議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○議長(大島理森君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第五 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(大島理森君) 日程第五、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員長山本公一君。
    ―――――――――――――
 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔山本公一君登壇〕
○山本公一君 ただいま議題となりました法律案につきまして、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、本案のうち、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律に関する部分は、最近における物価の変動、選挙等の執行状況等を考慮し、国会議員の選挙等の執行について国が負担する経費で地方公共団体に交付するものの基準を改定しようとするものであります。
 次に、公職選挙法に関する部分は、選挙人の投票しやすい環境を整えるための措置を講じようとするもので、その主な内容は、
 第一に、市町村の選挙管理委員会は、選挙人の投票の便宜のため必要があると認める場合には、投票所のほか、その指定した場所に、当該市町村の区域内のいずれの投票区に属する選挙人も投票をすることができる共通投票所を設けることができるものとしております。
 第二に、期日前投票所の開閉時間について、市町村の選挙管理委員会は、開く時刻を午前八時三十分から二時間以内の範囲内において繰り上げること及び閉じる時刻を午後八時から二時間以内の範囲内において繰り下げることができるもの等としております。
 第三に、選挙人の同伴する幼児、児童、生徒その他の年齢満十八年未満の子供は投票所に入ることができるものとしております。
 なお、この法律は公布の日から施行することとしておりますが、公職選挙法の改正に係る部分については、選挙権年齢を引き下げる公職選挙法等の一部を改正する法律の施行の日から施行することとしております。
 本案は、去る三月十七日に本委員会に付託され、翌十八日に高市総務大臣から提案理由の説明を聴取しました。次いで、昨二十三日に質疑を行い、質疑終局後、本案に対し、自由民主党、民主・維新・無所属クラブ、公明党及び改革結集の会から、期日前投票所の増設等に関する規定及び期日前投票所の開閉時間に係る検討に関する規定を追加する修正案が提出されました。
 修正案について趣旨の説明を聴取した後、原案及び修正案を一括して討論を行い、採決した結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(大島理森君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第六 戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第七 戦没者の遺骨収集の推進に関する法律案(第百八十九回国会、本院提出)(参議院送付)
○議長(大島理森君) 日程第六、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案、日程第七、戦没者の遺骨収集の推進に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長渡辺博道君。
    ―――――――――――――
 戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案及び同報告書
 戦没者の遺骨収集の推進に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔渡辺博道君登壇〕
○渡辺博道君 ただいま議題となりました両案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、戦傷病者等の妻に対し、その置かれた状況に鑑み、これまで特別給付金として国債を支給してきましたが、その償還が終了することから、国として引き続き慰藉を行うため、特別給付金を継続して支給する等の措置を講じようとするもので、その主な内容は、
 第一に、戦傷病者等の妻に対し、特別給付金として、五年償還の国債を二回支給すること、
 第二に、夫たる戦傷病者等の死亡により戦没者等の妻となっている者に対し、戦没者等の妻に対する特別給付金として、十年償還の国債を支給すること
等であります。
 本案は、去る三月十七日本委員会に付託され、十八日塩崎厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取し、昨日、質疑を行った後、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 次に、戦没者の遺骨収集の推進に関する法律案について申し上げます。
 本案は、戦没者の遺族等の高齢化が進展している現状において、いまだ多くの戦没者の遺骨の収集が行われていないことに鑑み、戦没者の遺骨収集の推進に関し国の責務を明らかにするとともに、戦没者の遺骨収集の実施に関し基本となる事項等を定めることにより、戦没者の遺骨収集の推進に関する施策を総合的かつ確実に講じようとするものであります。
 本案は、前国会において本委員会提出の法律案とすることに決定し、本院で原案のとおり可決された後、参議院に送付され、継続審査となっていたものであります。
 今国会においては、去る二月二十四日、参議院において施行期日等を修正の上、本院に送付され、同日本委員会に付託されました。
 本委員会においては、昨日、提案理由の説明を省略した後、採決の結果、本案は全会一致をもって参議院送付案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(大島理森君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(大島理森君) この際、内閣提出、原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。経済産業大臣林幹雄君。
    〔国務大臣林幹雄君登壇〕
○国務大臣(林幹雄君) ただいま議題となりました原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 我が国は、エネルギー基本計画に基づき、使用済み燃料の再処理やプルサーマル等の核燃料サイクルを推進することを基本的方針としているところです。
 他方で、本年四月に電気事業の小売全面自由化が開始されるなど、電力システム改革が進行し、また、原発依存度が低減していく中で、再処理等の事業に必要な資金が安定的に確保されないといった事態が生じ、使用済み燃料の再処理等が滞ることも否定できません。
 こうした新たな事業環境においても、使用済み燃料の再処理等が着実かつ効率的に実施される仕組みを整備するべく、本法律案を提出した次第です。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、現行の積立金制度を廃止し、発電時に再処理等に必要な資金を拠出金として納付することを原子力事業者に対して義務づける拠出金制度を創設します。その際、MOX燃料加工等、再処理工程と不可分な関連事業の実施に要する費用も拠出金として納付させることとします。
 第二に、再処理等事業を着実かつ効率的に行うための主体として、認可法人に関する制度を創設します。認可法人は、使用済み燃料の再処理等の実施に関する計画の策定、拠出金単価の決定、拠出金の収納、使用済み燃料の再処理等の実施を行います。解散については別に法律で定めることとして、自由な解散に歯どめがかかることとします。
 第三に、必要な資金を安定的に確保するのみならず、効率的に事業を実施する観点から、認可法人の運営に関し、有識者を含む運営委員会において意思決定を行うとともに、実施計画の策定を経済産業大臣の認可制とするなど、国が一定の関与を行うこととします。
 以上が、本法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。升田世喜男君。
    〔升田世喜男君登壇〕
○升田世喜男君 民主・維新・無所属クラブの升田世喜男であります。
 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案について質問をいたします。(拍手)
 我が国における核エネルギーの民事利用とは、専ら原子力発電であって、政府は、この原子力発電を、経済性にすぐれ、エネルギー安全保障に貢献し、地球温暖化対策に役立つクリーンなエネルギーとして称揚してまいりました。
 しかしながら、国策として進められた原発政策は、経済的な合理性を欠いたプロジェクトの推進を民間企業に担わせるため、電力事業の地域独占体制の維持がその前提となっておりました。すなわち、電力業界が、七〇年代後半、国策協力に踏み切り、国内での民間再処理工場建設を引き受けたのであります。地域独占体制という無競争状態のもとで、総括原価方式によって一定の利潤を得ることを保障されました。そのことによって、莫大な経済コストを負担することができたのであります。
 しかし、電力自由化が進展する今、民間企業としての電力事業者にそうした余裕はなく、原子力発電の高い経営リスクを回避することが事業存続の前提となっております。
 さらに、二〇一一年の福島原発事故によって安全基準が強化され、原発コストも高騰いたしました。当然、寿命を終えたり安全基準を満たさない原子炉は、自然エネルギーや火力発電によって代替されていくか、もしくは、需要の自然減や省エネにより無用となって、全国の原発が大幅減少となることは避けられないと思います。
 原発の寿命は、原則四十年であります。この原則に従えば、二〇三〇年時点で運転できる原発は、建設中も含めて二十三基にすぎず、総発電量に占める割合も一五%程度にすぎません。したがって、かつてのように、年間千トンと言われた使用済み核燃料を受け入れる必要性はなくなってまいります。
 既存の原発が一定期間稼働し続ける以上は、バックエンド関連施設の整備は不可避であります。我々は、現在、二〇三〇年代原発稼働ゼロを目指し、原子力発電事業からの段階的な撤退を模索しております。したがって、バックエンド関連施設の整備は、そうした政策とも矛盾しないと考えております。
 その上で、青森県六ケ所村にある再処理工場は、既に完成予定から二十年近くたってもいまだ完成しておらず、完成時期は二十三回も繰り返し延期されました。建設費は、約七千六百億から約二・二兆円に膨れ上がっております。
 九七年三月には動燃の東海再処理工場が火災爆発事故を起こしていることともあわせますと、再処理事業がなぜこれほどまでに迷走しているのか、このことについて、経済産業大臣の釈明を求めたいと思います。
 一九九五年十二月、動燃の高速増殖炉「もんじゅ」がナトリウム漏えい事故を起こし、無期限停止状態に陥るまで、高速増殖炉を将来の原子力発電の中心に据えることを予定してまいりました。それは、高速増殖炉によってウラン燃料をほとんど無限大と言ってよいほど再利用できること、高レベル放射性の体積を約七分の一に低減できること、さらには、有害度がもとの天然ウランと同じレベルになるまでに、約十万年から約三百年に短縮できるというメリットがあることが理由でありました。
 したがって、核燃料サイクルも使用済み核燃料の全量再処理を前提としておりましたが、高速増殖炉の実証炉の建設計画は挫折し、「もんじゅ」自体も、昨年十一月、原子力規制委員会からの勧告によって、半年以内に新たな運営組織を見つけられるか、あるいはあり方そのものを抜本的に見直すことを余儀なくされております。
 そこで、「もんじゅ」をどうするかという問題であります。
 既に、本年度末までに建設費と運転維持費で一兆二百二十五億円がかかり、さらに一日当たり五千五百万円の維持費を必要とする中で、「もんじゅ」を存続させることにどのような大義があるのか、誰がその費用を負担するのか、さらには、新たな運営組織のめどがあるのか、文部科学大臣、お答えください。
 二〇一四年のエネルギー基本計画には、廃棄物の減容、有害度の低減や核不拡散関連技術等の向上のための国際的な研究拠点として「もんじゅ」を位置づけることと提言しているわけでありますが、果たしてこのような構想が現実的なものであるのか、その根拠とともに、文部科学大臣の御見解を求めたいと思います。
 仮に、六ケ所村の再処理工場が完成しフル稼働した場合、年八百トンの使用済み核燃料から約五トンのプルトニウムが新たに分離されることになります。
 我が国は、二〇一四年末現在、四十七・八トンのプルトニウムを所有し、さらには、MOX計画がおくれ続けますと、十年後には日本の分離済みプルトニウムの量は約百トンに達することになります。
 五十トン近いプルトニウムを処分するためには、これをMOX燃料に加工して、プルサーマルで燃やす以外に方法がないのでありますが、その見通しも定かではありません。また、余剰プルトニウムをふやさないためには、再処理工場の稼働率を下げれば、処理費用が上がり、MOX燃料代がさらに上昇して、電力会社の経営リスクが高まるという問題が生じるわけであります。
 そこで、今後、日本全体のプルトニウム需給のバランスをどのようにとっていくのかについて、経済産業大臣及び文部科学大臣の御見解を伺いたいと思います。
 さらに、二〇一八年七月には、現行日米原子力協定の三十年の有効期間が到来しようとしておりますが、これをどのようにして乗り切るのか、外務大臣の御見解を伺います。
 国内で貯蔵されている使用済み核燃料は、約一万八千トンに達しております。原発の再稼働が進めば、今後も使用済み核燃料はふえていく一方であります。国が核燃料サイクル事業を推進あるいは中止しようが、この使用済み核燃料の最終処分の問題は、避けて通れない最重要課題であります。
 私の地元青森県には、国から、青森県を最終処分場にしないという旨の確約書が届いております。この約束は必ず守っていただきます。
 しかし、今日、政府は、国が前面に出て、不退転の決意で対応する方針を打ち出しているものの、その言葉以上の具体的な方策が全く聞こえてきません。
 国民の不安を払拭するためにも、最終処分場の選定方法や検討状況、その手続について、経済産業大臣のお考えをお伺いいたします。
 次に、本改正案における責任の所在の明確化についてお尋ねをいたします。
 本改正案は、自由競争のもとで、資金を安定的に確保するための措置を講じることといたしております。そのことによって当面の経営破綻を回避するという狙いは、理解ができるところであります。
 しかし、本改正案では、認可法人は、法律上、再処理事業の主体となる一方で、日本原燃に事業の委託をします。事実上の主体は何ら変わりません。もちろん、引き続き日本原燃の人材や技術の活用が合理的であることは理解ができますが、むしろ、責任の所在が曖昧になるのではないかとの指摘もあります。
 大臣、エネルギー政策は、経済、そして生活の根幹にかかわる重要な施策であります。だからこそ、使用済み核燃料の再処理事業における全ての責任を新法人に任せてよいのでしょうか。
 国、新法人、電力事業者、日本原燃、それぞれの責任のあり方について、経済産業大臣に明確な御答弁を求めます。
 さらに、その新法人には、外部有識者による第三者委員会が設置されます。こうした核燃料サイクル事業全体を、技術的にも経済的にも客観的かつ継続的にチェックできる仕組みは、非常に重要であります。単なるコストカッターにならぬよう、細心の注意が必要だと思います。
 第三者委員会のあり方についてどのようにお考えなのか、経済産業大臣にお伺いいたします。
 次に、新体制と青森県及び六ケ所村との関係についてお伺いいたします。
 青森県がエネルギーの安定確保に果たしてきた役割は、非常に大きいものがあると思います。
 一九八五年、日本原燃と青森県、六ケ所村、電事連が締結した、地域振興を定めた立地基本協定がございます。本改正案によって認可法人が設立された場合においても、当然、地域振興という協定の趣旨はそのまま継承されるべきと考えますが、経済産業大臣の御見解を求めたいと思います。
 最後に、本法律案は、原発政策を半永久的に続けるための法案ではなく、原子力発電事業からの段階的撤退を模索する中、既存の原発が一定期間稼働し続ける以上、それに不可欠なバックエンド関連施設の整備を着実に進める法案であることを再確認して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣林幹雄君登壇〕
○国務大臣(林幹雄君) 升田世喜男議員から六つの質問がありました。
 まず、六ケ所再処理工場等の再処理事業についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、動力炉・核燃料開発事業団の東海再処理工場の一部施設における火災、爆発の発生、六ケ所再処理工場における竣工の延期や建設費等の大幅な増加は事実でございます。
 再処理事業の推進に当たっては、このような問題を真摯に受けとめ、直面する課題を一つ一つ解決していくことが重要です。引き続き、日本原燃に対し、再処理工場の竣工へ向けて着実に取り組むよう、経済産業省としても指導するなどして、再処理事業の着実な実現を図ってまいります。
 プルトニウム需給バランスについてのお尋ねがありました。
 我が国は、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を堅持しています。今までも、この方針を遵守するために、事業者がこの政府の方針を明確に認識した上で事業を実施するよう指導しており、また、プルトニウムの平和利用に係る透明性の向上を使命とする原子力委員会が、事業者が策定する計画の妥当性を確認するとともに、IAEAとの協定に基づく厳格な監視の受け入れ等を行ってきております。
 こうした従来からの取り組みに加えて、今回の法案が成立すれば、経済産業大臣が、認可法人が策定する再処理等事業の実施計画を認可することとなります。政府の方針に反する計画が策定されることは想像しがたいですが、万が一そのような計画が策定された場合には、当然のことながら、認可いたしません。
 こうした取り組みを通じて、プルトニウム需給のバランスに関し、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を堅持してまいります。
 高レベル放射性廃棄物の最終処分についてのお尋ねがありました。
 既に我が国は相当量の使用済み燃料を保管しており、高レベル放射性廃棄物の最終処分場の確保という課題を避けて通ることはできません。現世代の責任として、解決に向けて取り組んでいくため、昨年五月、最終処分法に基づく基本方針を改定し、これまでのいわゆる手挙げ方式を改め、国がまず科学的有望地を提示し、地域の関心や理解を深めながら進めていくこととしました。
 現在、この科学的有望地については、本年中の提示を目指し、審議会において具体的な要件、基準の検討を進めています。また、全国各地でシンポジウムなどを開催し、国民の皆様との対話活動に取り組んでいます。
 最終処分の実現に向け、広く国民の皆様の理解や協力を得ながら、たゆまず地道に努力を続けてまいります。
 新たな認可法人など、再処理事業に関係する者の責任のあり方についてお尋ねがありました。
 安全に関する責任は、現状と変わらず、原子炉等規制法に基づき、使用済み燃料の発生者たる電力事業者及び再処理事業を実際に受託することとなる日本原燃が負うこととなります。
 また、認可法人は、経済的責任や現業以外の事務の責任を負うことになります。
 国は、認可法人の実施計画を初めとする重要事項を認可するなどの責任を果たすこととしています。
 このように、各主体の責任の所在は明確であると認識しております。
 第三者委員会のあり方についてお尋ねがありました。
 再処理等の事業全体を滞りなく運営するためには、単なる効率化にとどまらず、中長期的な技術開発や安全への投資も必要となるなど、さまざまな課題に適切に対応していくことも重要です。
 このため、新たな認可法人の意思決定機関として設置する運営委員会には、再処理等の技術や経済、プロジェクトマネジメントなどに係る外部有識者に加わっていただきます。そして、拠出金単価の決定や事業の実施に関する計画の策定などを通じて、多様な視点から事業全体を客観的かつ継続的にチェックいただくことを想定しています。
 その際、経済産業大臣は、外部有識者の人事や運営委員会が議決した重要事項の認可を通じて、認可法人の運営に関与することとしています。
 このように、第三者の目を活用した運営委員会と経済産業大臣が適切にチェックを行う仕組みをつくることで、安全の確保を前提に、再処理等の事業を着実かつ効率的に進めてまいります。
 立地基本協定と地域振興についてお尋ねがありました。
 使用済み燃料の再処理等事業は、これまで民間主体による事業として実施されてきており、新たな認可法人が設立された後も、その事業は、民間主体である日本原燃に委託されることを想定しております。
 したがって、日本原燃と青森県、六ケ所村が締結している立地基本協定の趣旨は、従前のとおり継続されるものと考えており、現在日本原燃が担っている地元雇用や地域振興が損なわれることはない、このように考えています。(拍手)
    〔国務大臣馳浩君登壇〕
○国務大臣(馳浩君) 升田世喜男議員から三つ質問がありました。
 最初に、「もんじゅ」を存続させることの大義と、新たな運営組織のめどについてお尋ねがありました。
 エネルギー基本計画において、核燃料サイクルの推進は、資源の有効利用や放射性廃棄物の減容、有害度低減等の観点から、我が国の基本的な方針とされており、「もんじゅ」は核燃料サイクルの推進において重要な施設であります。
 本計画において、「もんじゅ」は、克服しなければならない課題について、国の責任のもと十分な対応を進めるとされており、文科省が研究開発を進めるために必要な予算を措置しているところであります。
 また、「もんじゅ」については、原子力規制委員会より、原子力機構にかわる新たな運営主体を特定するよう求める勧告が発出されている状況であり、文科省としては、本勧告に真摯に対応するため、昨年十二月に、私のもとに「もんじゅ」の在り方に関する検討会を設け、検討を進めているところであります。
 文科省としては、可能な限り速やかに、「もんじゅ」を取り巻く課題を解決できるよう、引き続き前面に立って対応を進めてまいります。
 次に、「もんじゅ」を国際的な研究拠点とすることについてのお尋ねであります。
 エネルギー基本計画において、高速炉は、アメリカやフランス等と国際協力を進めつつ、その研究開発に取り組むこととされています。
 国際的には、フランスやロシアといった国々が高速炉の研究開発に積極的に取り組んでおります。その中でも、フランスは、新たな実証炉の計画を有する等、高速炉の研究開発に積極的に取り組んでおり、我が国の「もんじゅ」の活用に大きな期待を寄せております。
 また、立地自治体である福井県は、「もんじゅ」をエネルギー研究開発拠点化計画の中核的な研究拠点として高い期待を寄せています。
 文科省としては、「もんじゅ」が廃棄物減容や有害度低減等のための国際的な研究拠点として果たすべき研究開発を着実に進めていけるよう、課題を速やかに解決してまいります。
 次に、プルトニウムの需給のバランスのお尋ねでありますが、我が国は、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を堅持しております。
 文科省としては、これを実効性あるものとするため、エネルギー基本計画に基づき、アメリカやフランス等と国際協力を進めつつ、高速炉等の研究開発に取り組んでいるところです。
 引き続き、関係省庁とも連携しながら対応してまいります。(拍手)
    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕
○国務大臣(岸田文雄君) 日米原子力協定についてお尋ねがありました。
 日米原子力協定の当初の有効期間は三十年、二〇一八年七月十六日までですが、その後は、自動的に失効するのではなく、日米いずれかが終了通告を行わない限り存続されます。
 現時点において、日米原子力協定の二〇一八年七月以降の取り扱いについて何ら決定されておりませんが、同協定は、日米間の原子力協力のみならず、我が国の原子力活動の基盤の一つをなすものであり、極めて重要です。
 政府としては、米国との間で円滑かつ緊密な原子力協力を確保すべく、今後の日米原子力協定のあり方も含め、日米原子力協力に関するさまざまな課題について、緊密に検討、協議をしていく考えです。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(大島理森君) 藤野保史君。
    〔藤野保史君登壇〕
○藤野保史君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました法律案について質問します。(拍手)
 まず冒頭、三月九日、大津地裁は、関西電力高浜原発三、四号機の運転差しとめを命じる画期的な仮処分決定を行いました。
 同決定は、新規制基準に適合しても、その原発は安全とは言えないと断じています。また、政府には、避難計画をも視野に入れた幅広い規制基準をつくる信義則上の義務があると指摘しています。
 これは、新規制基準に適合したことだけを根拠に再稼働を進める安倍政権の原発政策に対して、根本的な見直しを迫るものです。
 あの東京電力福島第一原発事故から五年がたちました。
 私は先日、福島県いわき市の仮設住宅で、楢葉町から避難している方々からお話を聞いてまいりました。皆さんが口々におっしゃっていたのは、このつらい思いをほかの人に味わわせたくないという言葉です。
 今政治がやるべきことは、原発の再稼働や海外への輸出ではなく、事故の収束と原因究明、全面賠償に全力を尽くすことではないでしょうか。
 次に、法案について質問します。
 本法案は、原発の運転に伴って発生する使用済み核燃料の再処理等を推進するため、国の関与を強め、認可法人や拠出金制度を創設するものです。これにより、電力自由化のもとでも核燃料サイクル政策を維持しようとしています。
 しかし、核燃料サイクルの本命である高速増殖炉「もんじゅ」は、総額一兆円以上投入しながら、もう二十年間、一度も発電していません。昨年十一月には、原子力規制委員会が、「もんじゅ」のあり方を根本的に見直すべきという勧告を出すに至っています。
 再処理で生まれるプルトニウムを加工したMOX燃料を普通の原発で使うプルサーマル発電は、昨年までに十六基から十八基が稼働している計画でしたが、現時点で一基も動いておりません。仮にプルサーマルを強行しても、その後出てくる使用済みMOX燃料の取り扱いについて、具体的な場所や方法は何も決まっていません。本法案により再処理を進めても、核燃料サイクルが回る見通しは全くないのです。
 核兵器に転用できるプルトニウムを日本が四十七・八トンも保有していることに対しては、世界から厳しい目が向けられています。本法案により再処理を進め、プルトニウムをさらにふやすことは、国内外で矛盾を激化させるだけです。
 行き詰まった核燃料サイクルを初め、原発推進路線全体を見直し、撤退を決断すべきではありませんか。
 使用済み核燃料の処分のあり方については、全量を再処理するのか、一部を再処理するのか、直接処分か、当面貯蔵かなど、大きな違いがあります。政府自身、二〇〇五年の現行法制定時には、経済的なコストの大小を含め、この四つのシナリオいずれにするか議論を行っていたはずです。
 ところが、今回は、福島第一原発事故という未曽有の経験をしたにもかかわらず、こうした議論を行った形跡がありません。なぜ直接処分ではなく全量再処理路線なのか、明確な答弁を求めます。
 これに対しては、アメリカからも強い懸念が寄せられています。トーマス・カントリーマン米国務次官補は、三月十七日、米上院外交委員会の公聴会で、経済合理性や余剰プルトニウムの観点から、日本の核燃料サイクル計画は停止することが望ましいとの考えを示しました。
 日本が核燃料サイクルを推進するには、アメリカの包括同意が不可欠ですが、その根拠となる日米原子力協定は、二〇一八年で期限切れを迎えます。政府は、米国としかるべき検討、交渉を続けていくと答弁していますが、どのような検討をし、どのような方針で交渉しているのでしょうか。
 本法案は、青森県六ケ所村の再処理施設に存在する約三千トンの使用済み核燃料だけでなく、全国の原発に貯蔵されている一万五千トン、さらには今後再稼働で生み出される全ての使用済み核燃料にかかる費用を、積立金方式から拠出金方式に変えようとしています。
 また、これまで対象外だったMOX燃料工場の費用も対象としています。アメリカ政府は、建設コストが当初見込みの七倍を超えたことから、二〇一五年度予算でMOX工場の建設を凍結しました。アメリカも撤退するような事業を新たに加えるなど、無謀にもほどがあります。
 現行法制定時の議論であえて対象から外されていたこれらの費用を、なぜ今回は加えるのか。また、それぞれ幾らかかると試算しているのか、答弁を求めます。
 本法案の骨格を審議した経産省の調査会は、昨年十一月の中間報告で、過去に発生した使用済み核燃料に係る資金や将来的に何らかの事情によって事業全体に要する費用が変動した場合も、必要な額を確保するとしています。
 これはまさに、過去、現在、未来にわたって、青天井で、核燃料サイクル全体にかかる費用を対象にするものではありませんか。
 政府は、現行法制定時、再処理などバックエンドに必要な費用は十八・八兆円だと説明していましたが、その後、まともな説明をしていません。
 核燃料サイクル全体で必要となる費用は総額幾らに達するのか。他方、直接処分を選択した場合の費用は幾らなのか、明確な答弁を求めます。
 現行制度では、再処理等の費用の一部は、電気料金という形で国民が負担しています。政府は、本法案によって膨れ上がる巨額の費用についても、電気料金の形で、将来にわたって国民に負担させ、回収するつもりですか。
 安倍政権は、二〇三〇年度に二〇%から二二%の電力を原発で賄う方針を立てています。しかし、福島第一原発事故以後、どの世論調査でも、過半数を超える国民が原発のない日本を望んでいます。この揺るぎない国民世論に反して原発を再稼働し、しかも、再稼働で生まれる核のごみの再処理費用を国民に押しつけるなど、到底認められません。
 最後に、ことしは福島第一原発事故から五年、チェルノブイリ原発事故から三十年の節目の年です。人間社会と原発は共存できない、この原点に立ち返ることを強く求めて、質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣林幹雄君登壇〕
○国務大臣(林幹雄君) 藤野保史議員から七つの質問がありました。
 まず、大津地裁による高浜三、四号機に対する運転差しどめの仮処分決定についてお尋ねがありました。
 今回の仮処分決定に関しては、当事者間で係争中のものであり、内容に関するコメントは差し控えます。
 他方、今回の仮処分に関する世論の反応を聞き、改めて感じたのは、原発の再稼働について、国民の皆様にはさまざまな御意見があるということです。
 政府としては、原発について、国民の皆様の信頼回復に向け、安全最優先を旨とし、国民の皆様の理解が幅広く得られるよう、引き続き、最善の努力を尽くしてまいります。
 原発の再稼働や海外への輸出ではなく、事故の収束と原因究明、全面賠償に全力を尽くすべきとのお尋ねがありました。
 福島第一原発の廃炉・汚染水対策と福島の復興は、経済産業省が担うべき最も重要な課題です。
 廃炉・汚染水対策については、引き続き、東京電力を指導していくとともに、安全確保を最優先に、国も前面に立って全力で取り組んでまいります。
 また、損害賠償については、政府として、東京電力に対し、引き続き、被害者の個別の状況を丁寧に把握した上で、迅速、公平かつ適切に行うよう指導してまいります。
 原子力発電所の再稼働や輸出も含めた原子力政策については、安全神話の信奉が招いた福島第一原発事故を片時も忘れず、真摯に反省し、国会や政府等に設置された事故調査委員会の報告などから得られた教訓を踏まえていくべきことは当然のことと考えます。
 核燃料サイクルを含めた原子力政策についてお尋ねがありました。
 原発への依存度は可能な限り低減させますが、他方で、安定供給の確保、電力コストの引き下げ、CO2排出の抑制の三点を実現しようとすれば、原子力への依存度をゼロにすることはできず、やはり一定程度の原発は稼働させなければ責任あるエネルギー政策を実行できないという判断を行っております。
 その中で、核燃料サイクルについては、エネルギー基本計画において、高レベル放射性廃棄物の量の減少や放射能レベルの低減、資源の有効活用などの観点から推進することとしています。使用済みMOX燃料の扱いも含めてさまざまな課題があることは認識しており、自治体や国際社会の理解を得つつ、一歩一歩着実に進めてまいります。
 また、プルトニウムについては、同計画において、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を堅持し、プルトニウムの回収と利用のバランスを十分に考慮しつつ、その適切な管理と利用を行うこととしています。これを踏まえた政策対応を進めていきます。
 使用済み燃料の処分のあり方についてお尋ねがありました。
 我が国は使用済み燃料を再処理する核燃料サイクルを推進する方針をとっており、そのことはエネルギー基本計画で閣議決定しております。こうした方針の検討に当たっては、総合資源エネルギー調査会に設置された審議会における十七回に及ぶ議論、エネルギーに関係する各分野の行政に責任を持つ閣僚による議論を行いました。
 このような検討を踏まえた上で、我が国としては、高レベル放射性廃棄物の量の減少や放射能レベルの低減、資源の有効利用などの観点から、フランスなどと同様に、使用済み燃料を再処理する核燃料サイクルを推進する方針をとることを決めたものです。
 本法案の対象事業及びその費用の試算についてお尋ねがありました。
 本法案は、競争が進展した環境下においても、使用済み燃料の再処理等を着実かつ効率的に進めることを目的としています。このため、現行の積立金制度の対象としていなかった使用済み燃料についての再処理や再処理の工程と不可分なMOX燃料加工に要する費用も制度の対象としております。
 これらの事業に要する費用について、政府として試算を行っておりませんが、まずは、認可法人において必要な精査がなされることとなります。政府としては、その妥当性を確認した上で拠出金単価を認可することになります。
 核燃料サイクルに必要となる費用についてお尋ねがありました。
 現時点において、核燃料サイクル全体で必要となる費用の総額の詳細や、直接処分を選択した場合の費用について、その試算は改めて行っておりません。
 なお、バックエンド事業の総事業費の大宗を占める再処理事業と最終処分事業の費用については、事業者からの最新の報告によれば、二〇〇四年一月の審議会において示されたものと比べて、大差がないものと認識しております。
 本法案に関する再処理等の費用の回収方法についてお尋ねがありました。
 自由化が進展した環境下では、どのような方法で費用を回収するかは事業者が判断することであります。
 他方で、本法案において制度の対象としたような発電にかかわる費用は、電気の利用者から料金の形で回収することが一般的だと考えられます。
 また、今回、拠出金制度の対象としている費用は、現行制度下でも電気料金で回収することが想定されているものであり、全体としての国民負担を増加させるものではありません。(拍手)
    〔国務大臣馳浩君登壇〕
○国務大臣(馳浩君) 藤野保史議員から二つ質問がありました。
 最初に、「もんじゅ」に関する原子力規制委員会からの勧告についてお尋ねがありました。
 エネルギー基本計画において、「もんじゅ」は、廃棄物減容や有害度低減等のための国際的な研究拠点と位置づけられております。
 昨年十一月には、原子力規制委員会より、原子力機構にかわる新たな運営主体を特定するよう求める勧告が発出されました。
 本勧告に真摯に対応するため、文科省では、昨年十二月に、私のもとに「もんじゅ」の在り方に関する検討会を設け、これまでの課題の総括、「もんじゅ」のあり方の検討、具体的な運営主体の検討という三つのステップで議論を進めているところです。
 文科省として、可能な限り速やかに、「もんじゅ」を取り巻く課題を解決できるよう、引き続き前面に立って対応を進めてまいります。
 次に、核燃料サイクル政策のお尋ねであります。
 エネルギー基本計画において、核燃料サイクルの推進は、資源の有効利用や放射性廃棄物の減容、有害度低減等の観点から、我が国の基本的な方針とされており、この方針に変わりはありません。
 文科省としては、アメリカやフランス等と国際協力を進めつつ、高速炉等の研究開発に取り組んでいるところです。
 引き続き、関係省庁とも連携しながら対応してまいります。(拍手)
    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕
○国務大臣(岸田文雄君) 私には、日米原子力協定についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、日米原子力協定の当初の有効期間は三十年、すなわち二〇一八年七月十六日までですが、その後は、自動的に失効するのではなく、日米いずれかが終了通告を行わない限り存続されます。
 まず、現時点において、日米原子力協定の二〇一八年七月以降の取り扱いについて何ら決定はされておりません。しかし、同協定は、日米間の原子力協力のみならず、我が国の原子力活動の基盤の一つをなすものであり、極めて重要であると考えます。
 政府としては、米国との間で円滑かつ緊密な原子力協力を確保すべく、今後の日米原子力協定のあり方も含め、日米原子力協力に関するさまざまな課題について、緊密に検討、協議していく方針です。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(大島理森君) 木下智彦君。
    〔木下智彦君登壇〕
○木下智彦君 おおさか維新の会、木下智彦です。
 ただいま議題となりました本法案について質問します。(拍手)
 我が党は、原子力発電については、福島第一原発事故の教訓をしっかりと踏まえることが再稼働の条件であると訴えてきました。具体的には、原発再稼働責任法案に示したルールを整備すべきであり、それができないのであれば再稼働すべきではないと考えています。
 そのような立場から、以下の質問をさせていただきます。
 この法案は、我が国の核燃料サイクルの推進のために、必要となる資金を確実に確保することを目的としています。したがって、この法案について問われるべきは、まず、核燃料サイクル自体の正当性であります。
 国際的な正当性という点でいえば、我が国は、日米原子力協定によって核燃料サイクルの運用を認められています。我が党への本法案の事前説明の際、資源エネルギー庁は、この法案は、同協定への対応という面があり、核拡散への疑念を持たれないことが重要であると説明していました。
 ところが、今月十七日、米国のカントリーマン国務次官補が、米国上院外交委員会公聴会で、理性的ではない形で競争が激化している、経済的にも合理性がないと、日本の核燃料サイクル政策や中国、韓国の計画に懸念を示し、事業停止が望ましいとの認識を示しています。
 政府は、現時点で米国の真意をどう理解しているのでしょうか。外務大臣の御認識をお伺いします。
 そして、もし米国が、我が国の核燃料サイクル自体に既に疑念を示しているのであれば、二〇一八年七月に満期を迎える日米原子力協定の継続見込みに影響するのではないでしょうか。この法案で米国の懸念を払拭することができるのか、経済産業大臣の御見解をお伺いします。
 次に、核燃料サイクルに対する国民の理解という点からお伺いします。
 福島原発の事故後、新しい規制基準で原発を再稼働しようとしても、高浜原発三、四号機に見るように、裁判所に仮処分でとめられるケースが出ています。最終処分場も決まらず、候補地の調査さえ進まないのが現状です。
 そんな中、核燃料サイクルを進めて、一度も稼働していない「もんじゅ」を動かそう、再処理に必要な費用を確保する法律をつくろうといっても、国民にはその必要性が全く理解できないのではないでしょうか。
 国民に対して、核燃料サイクルとこの法案の必要性をどう説明されるのか、経済産業大臣に改めてお伺いします。
 最後に、新たな認可法人制度の創設についてお伺いします。
 ここで認可法人という法人形態をとったのはなぜでしょうか。例えば、ほかの法人である独立行政法人については、いまだにいろいろな問題はありつつも、ガバナンスや情報公開については、ある程度は制度が整備されています。
 これに対して、認可法人制度には、独立行政法人通則法のような制度が整備されておりません。そのためか、総務省の行政評価局が平成二十六年六月に行った各種の認可法人に対する調査では、財務諸表の届け出や備え置き等についての不備、さらに、所定の基準に反して、外部監査を行っていない等の事例が見られたため、所管省に対して是正を求める勧告が行われております。
 今回、なぜ独立行政法人ではなく認可法人となったのか、その際、さきの総務省勧告で指摘された種々の問題点を防ぐため、どのような対処を行うのか、経済産業大臣にお伺いします。
 民主党がつくる新党の綱領で、原案の、二〇三〇年代原発稼働ゼロを目指すとの文言が、原発に頼らない社会を目指すと修正となったそうです。労組の一部などから表現を改めるよう要請されたためと報道されております。
 我が党の原子力政策のあり方は、電力事業者や労働組合等からの圧力に屈せず、ただ国民全体の利益のために決すべきものと考えております。今後も、一貫してこれを主張し続けてまいります。
 国民の皆様の御理解をお願い申し上げ、質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕
○国務大臣(岸田文雄君) 米国政府高官の核燃料サイクルに関する言及についてお尋ねがありました。
 御指摘の発言については、一般論として民生用再処理に関する米国政府の従来の見解を述べたものと認識をしております。
 我が国が再処理を含む核燃料サイクルを推進していくとの方針については、米国政府の理解を得ていると考えており、今後とも、米国との間で円滑かつ緊密な原子力協力の確保に努めていく考えです。(拍手)
    〔国務大臣林幹雄君登壇〕
○国務大臣(林幹雄君) 木下智彦議員から三つの質問がありました。
 まず、日米原子力協定をめぐって、本法案と米国の懸念との関係についてお尋ねがありました。
 日米原子力協定に関しては、我が国の原子力活動の基盤の一つをなすものであり、今後とも、米国との間で円滑かつ緊密な原子力協力を確保すべく努めてまいります。
 我が国は、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を堅持しています。今までも、この方針を遵守するために、事業者がこの政府の方針を明確に認識した上で事業を実施するよう指導しており、また、プルトニウムの平和利用に係る透明性の向上を使命とする原子力委員会が、事業者が策定する計画の妥当性を確認するとともに、IAEAとの協定に基づく厳格な監視の受け入れ等を行ってきております。
 こうした従来からの取り組みに加えて、今回の法案が成立すれば、経済産業大臣が、認可法人が策定する再処理等事業の実施計画を認可することとなります。政府の方針に反する計画が策定されることは想像しがたいのですが、万が一そのような計画が策定された場合には、当然のことながら、認可いたしません。
 このため、本法案は、米国との関係でも、国際社会との関係でも、我が国のプルトニウム管理に関する信頼性をより高めるものと考えています。
 核燃料サイクル及び本法案の必要性をどのように国民に説明していくのかについてのお尋ねがありました。
 核燃料サイクルについては、さまざまな課題があることは認識しており、こうした現状を真摯に受けとめ、直面する課題を一つ一つ解決していくことが重要です。
 我が国は、高レベル放射性廃棄物の量の減少や放射能レベルの低減、資源の有効利用などの観点から、フランスなどと同様に、核燃料サイクルを推進しております。この方針はエネルギー基本計画で閣議決定しております。
 その上で、本法案は、本年四月に電力の小売全面自由化が実施されるなど、原子力事業をめぐる事業環境が変化する中でも、使用済み燃料の再処理に関する一連の事業が着実かつ効率的に実施されることを目的としているものです。
 このような核燃料サイクル政策を推進していくためには、国民の皆様や地元の皆様の幅広い理解が重要です。今後とも、さまざまな説明の機会をつくり、しっかり取り組んでまいります。
 新たに設立する法人を認可法人とする理由についてお尋ねがありました。
 使用済み燃料の再処理等事業は、これまで民間主体による事業として実施されてきており、関連する技術や人材も民間に蓄積しています。
 したがって、本法案で設立されることとなる使用済燃料再処理機構は、独立行政法人のような国の機関ではなく、民間主導で設立される認可法人とすることが適切であると考えています。
 その上で、適切なガバナンスや情報開示を確保するため、この認可法人の運営に関しては、外部有識者を含めた運営委員会において意思決定を行います。また、国も、拠出金の単価や事業の実施に関する計画の認可など、重要事項について一定の関与を行うこととしています。これは、平成二十六年の総務省行政評価局による勧告を踏まえた仕組みになっていると考えています。(拍手)
○議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 国立国会図書館の館長の任命承認の件
○議長(大島理森君) お諮りいたします。
 国立国会図書館の館長に羽入佐和子君を両議院の議長において任命いたしたいと存じます。羽入佐和子君の任命を承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、承認することに決まりました。
     ――――◇―――――
○議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時五十三分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       総務大臣     高市 早苗君
       外務大臣     岸田 文雄君
       文部科学大臣   馳   浩君
       厚生労働大臣   塩崎 恭久君
       経済産業大臣   林  幹雄君
       国務大臣     石破  茂君
       国務大臣     加藤 勝信君
 出席副大臣
       経済産業副大臣  鈴木 淳司君

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