190回通常国会 衆議院本会議 第15号-国会発言議事録

   

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第190回国会 本会議 第15号
平成二十八年三月十日(木曜日)
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  平成二十八年三月十日
    午後一時 本会議
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○本日の会議に付した案件
 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨説明及び質疑
    午後一時二分開議
○議長(大島理森君) これより会議を開きます。
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 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨説明
○議長(大島理森君) この際、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につき、趣旨の説明を求めます。外務大臣岸田文雄君。
    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕
○国務大臣(岸田文雄君) ただいま議題となりました日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 政府は、日本国に合衆国軍隊を維持することに伴う経費の日本側による負担を図り、日本国に駐留する合衆国軍隊の効果的な活動を確保するためこの協定を締結することにつき、アメリカ合衆国政府と協議しつつ、検討してきました。
 その結果、最終的合意に達しましたので、平成二十八年一月二十二日に東京で、私と駐日米国大使との間でこの協定に署名を行うに至った次第であります。
 この協定は、日本国が、日本国に雇用されて合衆国軍隊等のために労務に服する労働者に対する一定の給与の支払い及び合衆国軍隊等が公用のため調達する電気等の料金または代金の支払いに要する経費を負担することを規定しています。
 また、日本国政府の要請に基づき、アメリカ合衆国が合衆国軍隊の行う訓練を他の施設及び区域またはアメリカ合衆国の施政下にある訓練の場所を使用するよう変更する場合には、その変更に伴って追加的に必要となる経費を負担することを規定しています。
 さらに、アメリカ合衆国がこれらの経費の節約に一層努めること等を規定しています。
 この協定は、二〇二一年三月三十一日まで効力を有するものとされております。
 また、この協定は、現行の協定が本年三月三十一日まで効力を有することとなっておりますので、四月一日に発効させる必要があります。
 この協定の締結は、日米安保条約の目的達成のため日本国に駐留する合衆国軍隊の効果的な活動を確保するためのものであり、ひいては日米関係全般並びに我が国を含むアジア太平洋地域の平和及び安定に重要な意義を有するものと考えられます。
 以上が、この協定の締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。(拍手)
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 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨説明に対する質疑
○議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。篠原豪君。
    〔篠原豪君登壇〕
○篠原豪君 維新の党の篠原豪です。
 民主・維新・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました在日米軍駐留経費負担に係る特別協定、いわゆる思いやり予算に関する特別協定に対し質問をいたします。(拍手)
 初めに、日米同盟が日本外交及び日本の安全保障にとっての基軸であり、一層厳しくなっている我が国を取り巻く安全保障環境を考えれば、我が国の防衛力の整備を進めるとともに、日本における米軍のプレゼンスを確保することが我が国のすきのない防衛体制を構築する上でかなめと考えております。
 さらに、我が国は、平和憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの基本理念に従い、たとえ武力攻撃を受けたときも、防衛力の行使は自衛のための必要最小限にとどめ、自衛隊が他国領域内で武力行使を目的とした軍事作戦を展開することは、一般に憲法上許されません。
 よって、政府方針にのっとり、従来から自衛隊と米軍が盾と矛の役割分担を担ってきた関係上、矛の役割を担っている米軍の駐留経費をある程度負担することは、一定の正当性があると考えます。
 また、我が国の防衛予算が、対GDP比でおおむね一%を下回る水準で維持できたのも、在留米軍の大きな抑止力に負うところが大きいわけです。
 問題は、在日米軍駐留経費の負担割合です。具体的には、米国政府側の発表資料によれば、二〇〇二年度、我が国が負担した額は同盟国中第一位の四十四億一千万ドルで、第二位のドイツ、十五億六千万ドル、第三位の韓国、八億四千万ドルを大きく上回っていることです。米軍一人当たりの負担額で見ても、日本は十万六千ドル、ドイツは二万二千ドル、韓国も二万二千ドルと、日本が突出しております。さらに、負担率を見ると、我が国の七四・五%に対し、ドイツは三二・六%、韓国は四〇%と、我が国の負担率は極めて大きい。こうした傾向は現状でも変わらないと言われています。
 当初の地位協定第二十四条二項では、日本に合衆国軍隊を維持することに伴う経費は米国負担、これを原則とし、施設・区域、路線権を米国に提供するのに伴う経費だけを日本側が負担することを定めています。NATO同盟国では、兵舎や家族用住宅、スポーツジムなどの生活支援施設などを負担することはありませんが、日本では、地位協定を超えて、この特別協定で負担がされてきました。
 そこで、まず、本来、地位協定で負担することとなっている経費と、本協定で負担することになっている経費のそれぞれの日本にとっての意義と違いをお答えください。
 特に、七四・五%という日本の負担割合は、同様に地位協定を結び在留米軍の経費を負担している各国の負担割合と比較し、突出して高いことは明白です。
 そこで、政府は、我が国の負担割合は十分合理性があると考えているのでしょうか。仮にそう考えているのであれば、その根拠をお示しいただきたいと思います。また、政府が述べる根拠に従えば、負担割合の限度はどこにあるのかもお示し願います。
 次に、思いやり予算の正当性についてお伺いいたします。
 いわゆる思いやり予算は、一九七八年六月二十日、当時の金丸防衛庁長官がブラウン米国防長官に対し、米国がアジアへのコミットメント継続を約束する見返りに、在日米軍の駐留経費について、日本が自発的に経費負担の増額に踏み切る考えであると表明したことがきっかけとされています。つまり、思いやり予算は、日本における米軍のプレゼンスではなく、東アジアにおける米軍のプレゼンスを確保するために、我が国として在日米軍の駐留経費の分担をしようとしているものと言えるのではないでしょうか。
 東アジアでは、ベトナム戦争をピークとして、前方展開する米軍が漸減傾向を示しましたが、冷戦の終結は、欧州とは対照的に、アジアにおける米軍の削減ペースにほとんど影響を与えませんでした。したがって、現在でも、日本、韓国、グアム、ハワイの四拠点で十万人規模の兵力を維持しています。
 その大きな理由は、欧州では、通常戦力レベルでは、旧ソ連の脅威に対抗するため、抑止、即応戦力として、航空支援部隊を含む在独米軍を主体に在欧米軍が構成されてきましたが、極東においては、在韓米軍が欧州と同様の脅威を想定し、航空支援部隊を含む陸軍主体で構成されていたほかは、第七艦隊を主体とした洋上兵力及び日本を本拠とする空軍、海兵隊から極東兵力が構成されていたことによるものです。
 極東米軍、とりわけ在日米軍は、抑止、即応戦力であるとともに、パワープロジェクション能力をあわせ持つ兵力構成が特徴となっています。つまり、在日米軍はパワープロジェクション能力に特化した構成を持っているのであり、これは、在日米軍が、単に極東だけではなく、アジア太平洋地域あるいは戦略的に重要な中東湾岸地域への展開をにらんだ部隊であることを雄弁に語っています。
 だとすれば、そうした在日米軍の駐留経費を負担することは、場合によって憲法違反の疑いが出てきますが、政府は、憲法の範囲内の支援と憲法上の制約から説明不可能な支援との切り分けをどのように考えているのか、御説明願いたいと思います。
 次に、第八次協定に基づく支援総額が第七次協定の支援額を上回ったことの正当性についてお伺いします。
 特別協定に基づく思いやり予算は、我が国の国際貢献が問題となったころに重なります。すなわち、イラン・イラク戦争に伴ってペルシャ湾の安全航行が問題となり、米国は既に年間七千万ドル、百億円を負担して米海軍によるタンカー護衛を行っていましたが、一九八七年になって機雷掃海のための費用分担が緊急の問題とされたときのことです。
 このため、米側は、ペルシャ湾の防衛協力で日本に応分の負担を要請し、これが、一九八七年の通常国会で批准、承認を得たばかりの退職手当などについて二分の一までを負担する地位協定二十四条の特別協定を翌一九八八年通常国会において改定し、日本人従業員の退職手当など八手当を全額負担することにつながりました。
 同じ事情は、一九九〇年湾岸戦争でも再現しました。日本政府は、国際協調行動への協力とは別枠として、日本人従業員の本給や光熱費を日本側が新たに負担することとし、一九九一年の特別協定につながっています。
 しかし、一九九七年に新ガイドラインが締結され、以降、周辺事態法など整備がなされたことをきっかけとし、二〇〇一年を起点とする第四次特別協定以降、一転して思いやり予算額が減少に転じ、その傾向は第七次協定が終了する二〇一五年三月まで持続しました。
 しかるに、二〇一六年四月から五年間の支援額を定める今次の第八次協定では再び増額に転じています。すなわち、今後五年間の総額が九千四百六十五億円で、一一から一五年度の総額を百三十三億円上回っているとされるのです。
 近年、米国は、米軍の受け入れ国側の金銭的な負担だけを問題にすることを避ける意味で、バードンシェアリングとは言わず、レスポンシビリティーシェアリングと言っています。これは、金銭的な支援と自衛隊による人的な貢献を総合的に評価するという意味だと解されるわけです。だとすれば、二〇〇一年以降、思いやり予算額が漸減しているのは、テロ対策特措法、イラク特措法を通じて自衛隊が海外での支援活動を行ってきたことに鑑みれば、ごく自然のことだと思います。
 しかし、昨年の、ガイドラインと平和安全法制を整備し、限定的とはいえ集団的な自衛権の行使を可能にし、日本の自衛隊のより深化したコミットメントを示しながら、二〇一六年以降、金銭的な支援もふやすことにどのような正当性があるのかということが気になります。このことについても、誰もが納得できる理由をお示し願えればと思います。
 また、今回の交渉に当たり、昨年十月、財務省の財政制度審議会において、思いやり予算の減額の提案がなされました。
 そこで、財務大臣にお伺いします。
 財務大臣としては、今回の改定交渉での減額を目指すべきだとお考えになったでしょうか。また、今回の交渉に当たり、財務大臣としては外務大臣にはどのようにお考えを伝達されたのか、お答えいただければと思います。
 外務大臣にもお伺いいたします。
 今回の改定協議は非常に厳しいものであったと仄聞しています。そこで、外務省としても減額を目指した交渉を目指したのか、また、そのように担当者に指示をなさったのか、お答えください。
 また、今回、結局減額改定とならなかったことについて、その理由と外務大臣としての受けとめをお答えください。
 次に、ふえ続ける実質的な支援額の問題についてです。
 在日米軍駐留関係経費には、地位協定第二十四条第二項に基づいて支払われる義務的な経費と、いわゆる思いやり予算が含まれます。ところが、在日米軍を支援する関連経費には、それらとは別に、SACO関係経費、沖縄の米海兵隊のグアム移転などを含む米軍再編関連経費があります。その米軍再編関連経費は、二〇一五年度千四百二十六億円に上っているが、二〇一六年度には大幅にふえる見込みで、思いやり予算とほぼ同額になり、全てを合わせた在日米軍関係経費は七千六百億円を超える過去最高水準になる見込みです。
 このことは、思いやり予算の額については、我が国の人的な貢献によってその額が減じてきたと説明できたとしても、一方で、我が国の人的な貢献とは関係なく、名目を変えて負担額をふやしてきたということによって、実質的には、我が国の負担額に明確な論理がない、米側の都合、主に財政的な都合で際限なく負担額をふやしてきたことを物語っています。
 そこで、米軍に支払う経費が全体で増加する一方であることについて、その必要性を明確に御説明ください。
 次に、防衛費との関係についてです。
 二〇一二年末に第二次安倍政権が発足してから、防衛予算は毎年ふえ続けて、来年度予算案の防衛費も過去最高を更新し、初めて五兆円を超えます。安保法制の成立を受けて自衛隊の活動が拡大していけば、その額がふえることはあっても、減る可能性は低いと考えています。
 さらに、米軍普天間飛行場の辺野古移設についても、もし日本政府が本格着工に踏み切れば、経費は大きくふえますが、既に指摘したように、その費用は防衛予算とは別枠で計上をされていますので、実際の防衛関係費はさらに高額であるということになります。
 そこで、財務大臣にお伺いいたします。
 政府は、防衛費のあり方についてどのような歯どめが必要であると考えているのか、お聞かせください。
 さらに、米軍に頼らず、西欧の主要国並みにGDP比二%まで防衛費を費やして自衛能力を高めるとの政策判断を行った場合、現在世界第七位の防衛費が世界第二位の中国に迫って、日本が世界第三位の軍事大国となります。
 しかし、そうした選択が、平和主義を掲げてきた日本として、現実的でなく、国益も損ねるのではないかと考えますが、政府は、特に外交政策との関係で防衛費を主要国並みに増すことについてどのような考え方をお持ちなのか、外務大臣、防衛大臣、それぞれにお伺いをいたします。
 最後に、安全保障法制、政策全般に関して一言申し上げます。
 前国会に強行に成立された、憲法学者の多くが違憲と断じた安全保障法制が今月末に施行されようとしています。このまま、国民の理解を得ないまま、立憲主義に反する安全保障法制を施行することは、将来に必ずや禍根を残すと考えます。我々野党は共同で、一旦安保法制を白紙に戻すべきとして、廃止法案を提出いたしました。
 また、民主、維新統一会派は、現実主義を貫いた、我が国を取り巻く安全保障環境に対する対案も提出をしながら、そしてこれらの法案の一つ一つを丁寧に議論しながら、多くの国民の皆様の理解を得た安全保障政策を進めていく責任が、政府にも、我々国会にもあるんだろうというふうに考えています。
 政府・与党に対しては、我々の提案に耳を傾け、多くの皆様のさまざまな疑問に真摯に答えつつ、国民の多くの皆様から納得を得るよう、国会において改めて安保法制の議論を行うよう強く求めまして、私の質問とさせていただきます。(拍手)
    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕
○国務大臣(岸田文雄君) まず、日米地位協定と特別協定に基づく我が国が負担する各経費の意義と違いについてお尋ねがありました。
 我が国は、日米地位協定に基づき、国有財産の無償提供等により在日米軍の施設・区域を提供しています。また、昭和五十三年度以降、我が国は、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を確保するため、日米地位協定の範囲内で労務費の一部及び提供施設整備費を負担しています。
 さらに、昭和六十二年度以降、我が国は、日米地位協定により米側に負担義務のある経費の一部、具体的には、駐留軍等労働者の基本給等の労務費、光熱水料等及び訓練移転費を、日米両国を取り巻く諸情勢に鑑み、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を確保するため、同協定の特則である特別協定を締結して負担しております。
 次に、諸外国と比較した我が国のHNSの合理性、そして根拠及び限度についてお尋ねがありました。
 御指摘の米側資料にある日米の負担割合については、その算定基準について我が国として承知しておらず、その負担割合を前提としたお答えは差し控えますが、各国が負担している米軍駐留経費の規模は、各国の安全保障環境や防衛費等の種々の要因によるものであり、また、経費の範囲の捉え方の違い等により、単純な比較及び評価は困難です。
 HNSの水準については、我が国の厳しい財政状況を十分に踏まえつつも、現下のこの厳しい安全保障環境のもと、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支えるHNSは引き続き重要である点等を総合的に勘案し、米側との協議により決められるべきものであると考えます。
 そして、新ガイドライン及び平和安全法制と在日米軍駐留経費負担、HNSの水準の関係についてのお尋ねがありました。
 今般の特別協定のもとでのHNSの規模は、最終年度で約一千八百九十九億円であり、これは、現行水準の最終年度である今年度の予算額とおおむね同水準です。
 かかるHNSの水準については、我が国の厳しい財政状況や我が国を取り巻く安全保障環境等を総合的に勘案し、我が国として主張すべきは主張し、米側と協議し、めり張りをつけた結果、日米で意見の一致を見たものであります。
 また、新ガイドラインや平和安全法制のもとで日米同盟の抑止力を一層強化していくこととなりますが、HNSを通じて在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支えることにより、このような取り組みを補完する意義を有するものであると考えます。
 そして、日米交渉の経緯についてお尋ねがありました。
 政府としては、現下の厳しい安全保障環境のもとで、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支える在日米軍駐留経費負担、HNSは引き続き重要であるとの認識のもと、我が国の厳しい財政状況も踏まえ、主張すべきは主張しつつ、米側と協議を行いました。
 かかる協議の結果、今般の特別協定のもとでのHNSの規模はおおむね現状の水準となっており、また、各経費の項目については適切に見直し、めり張りのある経費負担としました。
 今般の結果は、さきに述べたさまざまな要素を総合的に勘案し協議した結果、日米で一致したものであり、日米双方にとり適切かつ一層強固な日米同盟の実現に資する内容になったと考えております。
 そして、外交政策との関係で、防衛費のあり方についてお尋ねがありました。
 我が国が戦後一貫して進めてきた平和国家としての歩みや、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本方針は、これからも決して変わりはありません。また、我が国の安全は、我が国自身の防衛力はもとより、日米同盟の抑止力によっても確保されています。
 我が国の防衛費については、こうした前提のもとで、厳しい財政状況を勘案し、中期防衛力整備計画等に基づき、一層の効率化、合理化の徹底に努めつつ、我が国の防衛に万全を期すために必要な経費を計上してきているところであると承知しています。
 今後とも、我が国に必要な防衛力の整備とともに、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、日米同盟の強化を初めとする外交努力をさらに推進し、我が国として良好な安全保障環境の確保に努めていくことが重要であると考えます。(拍手)
    〔国務大臣中谷元君登壇〕
○国務大臣(中谷元君) 篠原議員にお答えをいたします。
 まず、在日米軍駐留経費負担、HNSが憲法違反である可能性についてお尋ねがありました。
 日本の防衛、またアジア太平洋地域の平和と安全に寄与する抑止力として日米同盟が機能するためには、その中核的要素である在日米軍のプレゼンスが確保されていることが必要です。このような在日米軍は、国会の承認を受けた日米安保条約に基づき、その役割を果たしております。
 HNSは、こうした在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支えるものであり、我が国の安全保障の基軸である日米同盟を一層強固にするものです。HNSを負担することにより、場合によっては憲法違反の疑いが出てくるといった指摘は、全く当たりません。
 次に、HNSを初めとする在日米軍の駐留に関する経費に加え、米軍再編関係経費とSACO関係経費も負担する必要性についてお尋ねがございました。
 HNSは、在日米軍の円滑かつ効果的な活動を確保するため必要な経費です。一方、米軍再編関係経費は、抑止力を維持しつつ地元の負担軽減などに資する措置を実施するために必要な経費であり、また、SACO関係経費は、沖縄県民の負担を軽減するためにSACO最終報告の内容を実施するための経費であります。
 このように、HNS、米軍再編関係経費及びSACO関係経費は、それぞれ性格を異にするものであり、これらが互いに相まって、日米同盟の抑止力及び対処力の向上に資することになります。
 毎年度の予算においては、それぞれの性格を踏まえ、我が国が主体的に必要な事業を精査し、所要額を計上しているものであります。
 最後に、防衛費を主要国並みにふやして自衛能力を高めることについてお尋ねがありました。
 我が国は、民主主義などの基本的価値を共有する米国との間で同盟関係を継続し、その抑止力と我が国みずからの防衛力により、すき間のない体制を構築して、我が国の安全を確保することを防衛の基本としております。
 防衛関係費については、厳しい財政事情を勘案し、中期防に基づき、一層の効率化、合理化の徹底に努めつつ、我が国の防衛に万全を期するために必要な経費を計上してきているところであります。
 我が国といたしましては、いわゆる自主防衛の体制を保持することは検討しておりませんが、その上で、一般論として申し上げれば、仮に、自主防衛体制を目指し、米軍が有するような装備品などを全て我が国自身で整備していくこととなれば、所要の防衛関係費は著しく増加することとなると考えられます。
 いずれにせよ、我が国は、日本国憲法のもと、戦後一貫して平和国家として歩んでおり、我が国の平和国家としての歩みはこれからも決して変わることはありません。今後とも、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの基本方針に従いつつ、実効性の高い総合的な防衛力を効率的に整備してまいります。(拍手)
    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕
○国務大臣(麻生太郎君) いわゆるHNSについてのお尋ねがあっております。
 この予算につきましては、新たな特別協定の締結に際し、安全保障環境や日本の厳しい財政状況などを踏まえつつ、聖域視することなく、その減額を含めて見直しを図るべきと考えておりまして、このような考え方につきましては、外務大臣、防衛大臣に伝えたところでもあります。その上で、米国と協議が行われ、その結果として意見の一致を見たものと認識をいたしております。
 防衛関係費のあり方についてのお尋ねがあっております。
 御指摘の普天間基地の辺野古への移設等、米軍再編経費を含めた防衛関係費については、経済財政計画の定める一般歳出水準の目安の範囲内で歳出改革に取り組むことといたしております。
 また、防衛力整備につきましては、中期防衛力整備計画に定めます予算の総枠の範囲内で、中期防期間中の平成二十六年度から平成三十年度までの予算編成を行うことといたしております。
 政府としては、このような枠組みにより、防衛関係費のコントロールを行っていると思っております。(拍手)
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○議長(大島理森君) 赤嶺政賢君。
    〔赤嶺政賢君登壇〕
○赤嶺政賢君 私は、日本共産党を代表し、在日米軍駐留経費負担特別協定について質問をいたします。(拍手)
 初めに、米軍普天間基地問題です。
 辺野古への新基地建設をめぐり、政府と沖縄県との和解が成立し、埋立工事は中止されました。
 安倍首相は沖縄県の翁長知事と会談し、今後は、誠意を持って沖縄県と協議を続け、円満解決に向けて話し合いたいと述べました。
 ところが、政府は、そのわずか三日後、協議は始まってもいないのに、直ちに沖縄県に是正の指示を出したのであります。これでどうして円満解決に向けた協議ができるのですか。
 和解の成立に先立ち、裁判所が提示した和解勧告文があります。
 そこでは、現在の政府と沖縄県の対立について、国と地方公共団体が、独立の行政主体として役割を分担し、対等、協力の関係になることが期待された九九年地方自治法改正の精神に反すると指摘しています。
 この指摘は、選挙で示された民意を無視し、私人の権利救済を目的とした行政不服審査制度を濫用し、県の権限を剥奪する代執行訴訟に訴えてまで新基地建設を強行してきた安倍内閣の民主主義、地方自治無視の姿勢に向けられたものではないのですか。
 政府は、和解勧告の趣旨を重く受けとめ、国の結論を一方的に押しつける姿勢を改め、沖縄県と誠意を持って協議を行うべきです。答弁を求めます。
 来月十二日で、橋本・モンデール会談から二十年になります。普天間基地の返還が実現しなかったのはなぜか。政府はその根本に目を向けるべきです。
 この二十年、政府の計画は、SACO合意当時の海上へリポート案、軍民共用空港案、米軍再編合意に基づくL字案、そして現在のV字案へと、何度も変更を余儀なくされました。
 そのやり方も、自衛隊の掃海母艦「ぶんご」を投入した環境調査の強行、沖縄防衛局による県庁守衛室への未明の環境アセス評価書の提出、仲井真前知事による県外移設の公約と、環境保全は不可能との立場を覆した埋立承認、そして安倍内閣による代執行訴訟など、前代未聞の暴挙の連続でした。
 それでも、基地はできなかったのであります。政府は、このことを重く受けとめるべきです。
 戦後七十年以上にわたり基地の重圧に苦しめられてきた沖縄で、新たな基地を受け入れられるはずがありません。
 基地のたらい回しは許さない、これが県民の揺るがぬ民意であります。
 これ以上、普天間基地の危険性を放置することは許されません。米軍占領下で、国際法にも違反して住民の土地を強奪してつくった基地は、無条件で撤去するのが当然ではありませんか。
 政府は、建白書に込められた県民の願いに応え、辺野古への新基地建設を断念し、普天間基地を直ちに閉鎖、撤去することを決断すべきであります。答弁を求めます。
 次に、特別協定です。
 新協定の交渉を開始した昨年四月、日米両政府は、新たな軍事協力の指針、ガイドラインに合意をいたしました。
 日米共同声明は、ガイドラインのもとで、日米が長期にわたり、地域とグローバルな安全保障上の課題に共同して対処するとし、日本における安定的で長期的な米軍のプレゼンスがその基礎だと述べています。
 これは、日米安保条約を文字どおり地球規模の軍事同盟に転換し、在日米軍の駐留と日本政府による経費負担をその不可欠の要素に位置づけたものではありませんか。
 政府が思いやりと称して米軍駐留経費の負担を開始してから四十年、最初の特別協定の締結から三十年になろうとしています。
 一九七八年、アメリカの要求に応え、基地従業員の福利費などの負担に踏み切り、隊舎や家族住宅などの施設整備、給与本体、光熱水料、訓練移転へと拡大され、七八年以降の負担総額は七兆円に達しようとしています。
 そもそも、日米地位協定二十四条は、米軍の維持経費は、日本国に負担をかけないで合衆国が負担すると規定しています。米軍のさまざまな特権を定めた地位協定からいっても、日本には負担義務はないのであります。
 にもかかわらず、四十年にわたり、世界に例のない負担を継続してきたことを国民にどう説明するのですか。
 これをさらに続けることは、事実上の恒久化に等しいものと言わなければなりません。明確な答弁を求めます。
 政府は、特別協定締結当時、アメリカの財政赤字を最大の理由とし、暫定的、限定的、特例的な措置だと説明しました。我が国自身が巨額の財政赤字を抱え、国民生活の予算を次々と削り、消費税をさらに引き上げようとしているもとで、どうしてこのような負担を継続するのですか。
 政府の財政制度審議会でさえ、聖域視せず見直しを行い、縮減する必要があると指摘していたのではありませんか。にもかかわらず、日本が負担する基地従業員数を過去最高に引き上げ、五年間の負担総額を百三十三億円の増額としたのはなぜですか。国会と国民に、その明確な積算根拠を示すべきです。
 思いやり予算だけではありません。辺野古の新基地建設や米領グアムの米軍基地増強を初めとする米軍再編経費は過去最高額です。さらに、米軍のF35戦闘機やオスプレイの地域整備拠点まで日本の財政負担で整備しようとしています。
 日本の財政は、アメリカの国防予算を肩がわりするためにあるのではありません。政府の対米従属姿勢を根本から改めるべきではありませんか。
 以上、新ガイドライン実行のための戦争法とともに、思いやり予算と特別協定を廃止することを求め、質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣菅義偉君登壇〕
○国務大臣(菅義偉君) 普天間飛行場の辺野古移設についてのお尋ねがありました。
 政府が行った代執行の手続は、翁長知事が行った埋立承認の取り消し処分という違法な行為を是正するために、やむを得ない措置として講じたものであります。
 その上で、裁判所から和解勧告を受けた新たな状況を踏まえて、総理のリーダーシップのもとに熟慮した結果、国と沖縄県とが訴訟合戦を延々と繰り広げるよりは、国と沖縄県との将来にとって適切な選択であると判断をし、沖縄県と和解することを決定したのであります。
 和解条項では、国と県との訴訟の手続と協議の手続を同時並行的に行うこととされています。今回、国土交通大臣が行った是正の指示は、和解条項の中で訴訟を一本化するための手続として定められており、これは沖縄県も合意している事項であります。
 政府としては、和解条項が定める手続に従って誠実に対応し、沖縄県との協議に丁寧に粘り強く取り組んでまいる所存であります。
 辺野古への移設の断念と普天間飛行場の即時の閉鎖についてお尋ねがありました。
 政府として、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険除去を考えたとき、辺野古移設が唯一の解決であると考えております。
 辺野古への移設により、普天間は全面返還をされます。沖縄の皆さんの願いを現実のものとするためにも、一日も早い返還を実現する、このことがこの問題の原点であると考えております。
 抑止力を維持しながら、目に見える形で負担軽減を図っていく、この二つの両立を図ることは難しい課題ではありますけれども、だからこそ、実現するために力を尽くすのが政治の責任であると考えます。
 政府としては、今般の和解を受け、普天間飛行場の危険性除去と辺野古移設に関する政府の考え方や、沖縄の負担軽減を目に見える形で実現するという政府の取り組みについて、改めて丁寧に説明をし、普天間飛行場の一日も早い返還に向けて粘り強く取り組んでまいる所存であります。(拍手)
    〔国務大臣中谷元君登壇〕
○国務大臣(中谷元君) 赤嶺議員にお答えいたします。
 普天間飛行場の返還についてのお尋ねがありました。
 最も大事なことは、住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならないということです。
 この問題について、約二十年前、沖縄県知事の要請を受けて、普天間飛行場の全面返還を日米で合意いたしました。その三年後には、当時の県知事及び名護市長の同意のもと、普天間飛行場の辺野古への移設を閣議決定いたしました。その後、さまざまな事情により、移設は遅々として進みませんでしたが、安倍政権となってようやく、仲井真前知事から公有水面の埋立承認をいただきました。
 政府は、県や関係自治体と、代替施設の建設計画や環境影響評価手続、普天間飛行場の危険性の除去などについて協議を重ねてきており、また、沖縄の負担軽減のためできることは全て行うという方針のもと取り組んできており、政府のやり方が前代未聞の暴挙の連続であるという御指摘は当たりません。(拍手)
    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕
○国務大臣(岸田文雄君) 新ガイドラインのもとでの日米協力とHNSについてお尋ねがありました。
 新ガイドラインは、日米安保条約及びその関連取り決めの具体的規定に直接根拠を置くもののほか、グローバルな平和と安全のための協力のように、それらの規定に直接根拠を置かない協力も含んでおります。この点は、一九九七年のガイドラインから変わっておらず、日米安保条約及びその関連取り決めに基づく権利義務関係が変更されないことは明記されています。
 また、HNSは、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を確保するため、我が国が一定の経費負担を行うものですが、いずれにせよ、在日米軍が日米安保条約に基づいて行動することに変わりはありません。
 したがって、日米安保条約を地球規模の軍事同盟に転換し、在日米軍の駐留と日本政府による経費負担をその不可欠の要素に位置づけたといった指摘は当たりません。
 そして、HNSの継続の必要性についてお尋ねがありました。
 HNSを考える上では、我が国の厳しい財政状況を十分踏まえつつも、現下の厳しい安全保障環境のもと、在日米軍の存在が引き続き不可欠である点を考慮する必要があります。
 今般の特別協定については、これらさまざまな要素を総合的に勘案し、日米地位協定第二十四条に定める経費負担の原則は原則として維持しつつ、あくまでも暫定的、限定的、特例的な措置として特別協定を締結することが適当との判断を改めて行った次第です。
 そして、HNSの規模及び積算根拠についてお尋ねがありました。
 今般の特別協定のもとでのHNSの規模は、協定期間の最終年度で約一千八百九十九億円であり、これは、現行協定の最終年度である今年度の予算額とおおむね同じ水準です。
 また、各経費項目について適切に見直し、めり張りのある経費負担としました。
 かかるHNSの水準については、我が国の厳しい財政状況や我が国を取り巻く厳しい安全保障環境等を総合的に勘案し、我が国として主張すべきは主張し、米側と協議した結果、日米で意見の一致をしたものであります。
 政府の対米姿勢についてお尋ねがありました。
 現下の安全保障環境のもとでは、我が国としては、日米安保体制を引き続き堅持し、その抑止力のもとで我が国の安全を確保する必要があります。
 在日米軍は日米安保体制の不可欠な要素であり、HNSは、米軍の最新鋭の装備の維持、整備を含め、その活動を支える重要な役割を果たしています。
 また、米軍再編関係経費は、抑止力を維持しつつ、地元の負担軽減などに資する措置を実施するための経費です。
 これらはいずれも、米国と協議しつつ、我が国として主体的に判断したものであり、アメリカの国防予算の肩がわり、あるいは対米従属、こういった指摘は当たりません。(拍手)
    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕
○国務大臣(麻生太郎君) HNS予算の継続理由についてのお尋ねがあっております。
 この予算は、現在の日本をめぐる厳しい安全保障環境や日米の経済財政状況等を踏まえ、引き続き、在日米軍の果たす抑止力の役割が重要であることなどから、個別経費について見直しを行いつつ、HNS予算の負担を継続することといたしたものであります。
 HNS予算に関する財政制度審議会の建議の指摘についてのお尋ねもあっております。
 この予算の規模につきましては、現行の特別協定とおおむね同水準となったものの、その他の財政制度審議会の建議の指摘につきましてはおおむね反映されたものと考えております。
 例えば、駐留軍等労働者に対するいわゆる格差給や語学手当などを廃止しましたほか、日米の安全保障環境などを踏まえ、在日米軍の運用等にかかわる労働者の負担人数をふやす一方、娯楽施設で働く駐留軍労働者につきましては日本が負担する人数を抑制するなど、国民の理解が得られるよう、めり張りある見直しを行ったものと考えております。(拍手)
○議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時五十三分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       財務大臣   麻生 太郎君
       外務大臣   岸田 文雄君
       防衛大臣   中谷  元君
       国務大臣   菅  義偉君
 出席副大臣
       外務副大臣  木原 誠二君

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