190回通常国会 衆議院本会議 第8号-国会発言議事録

   

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第190回国会 本会議 第8号
平成二十八年一月二十七日(水曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第七号
  平成二十八年一月二十七日
    午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)
    午後二時二分開議
○議長(大島理森君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○議長(大島理森君) 御報告することがあります。
 永年在職議員として表彰された元議員藤原房雄君は、昨年十二月二十八日逝去されました。痛惜の念にたえません。謹んで御冥福をお祈りいたします。
 藤原房雄君に対する弔詞は、議長において去る二十一日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
 衆議院は 多年憲政のために尽力され 特に院議をもってその功労を表彰された藤原房雄君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
○議長(大島理森君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。井上義久君。
    〔井上義久君登壇〕
○井上義久君 公明党の井上義久です。
 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました安倍総理の施政方針演説に対し、総理並びに関係大臣に質問します。(拍手)
 冒頭、一月十五日の未明に長野県軽井沢町で発生したスキーツアーバスの転落事故によって、大学生など十五名もの方々がとうとい命をなくされました。心より哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。
 将来ある若い有為な方々が犠牲になった今回の事故は、まことに痛恨のきわみであり、このような事故を二度と起こしてはなりません。再発防止に向けた取り組みを強く求めます。
 安倍総理は、今国会を未来へ挑戦する国会と位置づけ、施政方針演説で、経済成長、少子高齢化、厳しさを増す安全保障環境などの懸案に対し、真っ正面から挑戦し、答えを出すことに強い決意を述べられました。
 日本は今、高齢化と人口減少の同時進行、そして国際情勢の激変という内外ともに極めて困難な時代にあり、政治が未来への責任を果たすため、答えを先送りすることは許されません。
 安倍内閣発足から三年。自民党と公明党の連立与党による安定した政治基盤のもと、的確な政策対応により、経済再生は着実に成果を上げ、デフレ脱却まであと一歩のところまで来ております。
 経済の好循環をさらに加速させて経済再生を確実なものとし、国民一人一人が自分らしく輝き、自己実現できる一億総活躍の社会をつくらなければなりません。そのためにも、安心で持続可能な社会保障制度など、必要な社会基盤の整備を着実に進めることが必要です。
 地方を元気にする地方創生の新たなチャレンジも始まっています。そこに暮らす人に光を当て、一人一人が自分らしく輝く、人が生きる地方創生を進めなければなりません。
 また、我が国を取り巻く国際環境が大きく変わる中で、総合的な日本の外交、安全保障の取り組みも重要です。
 私たち公明党は、政権与党の一翼を担い、これらの課題に果敢に挑戦し、その責任を果たしてまいる決意です。
 三月十一日には、東日本大震災の発災から丸五年を迎えます。道路などのインフラや復興公営住宅、農業や水産業、商工業などのなりわい、新しいまちづくりなど、復興の足音が着実に加速度を増しています。
 四月から、復興・創生期間という新しいステージに入りますが、今なお十八万二千人を超える方々が避難生活を余儀なくされているということを私たちはいっときも忘れてはなりません。
 公明党は、引き続き、被災者に寄り添い、全ての被災者が人間の復興をなし遂げるまで、ともに闘い続けることをお誓い申し上げます。
 以下、諸課題について質問します。
 経済財政政策について伺います。
 安倍内閣発足以来三年間の経済財政政策により、企業収益は過去最高水準に達し、雇用面では、就業者数が百十万人以上ふえ、完全失業率も三・三%に改善しました。また、政労使会議等による取り組みによって二年連続となる高水準の賃金上昇を実現するなど、経済の好循環が目に見える形であらわれ始めています。
 一方で、課題も明らかになってきています。
 これまで、私たちは一貫して、家計へ、中小企業へ、地方へと経済の好循環を行き渡らせる、これが経済再生をなし遂げるための大きな鍵であると申し上げてきました。しかし、その広がりは十分ではありません。特に、国内向けの設備投資や地方における賃金上昇は期待ほどには広がっておりません。日本経済、ひいては日本社会の先行きに対する慎重な見方が企業にも家計にも依然として根強くあるからではないでしょうか。
 また、世界的にも、アメリカの金利引き上げや中国経済の先行き不安、不安定な中東情勢、国際的なテロの拡大による影響などのリスクがあります。
 年初からの揺れの大きい世界経済の状況も十分注視しながら、引き続き、経済再生を最優先に、経済財政運営に努めることが求められます。
 経済の現状認識と今後の経済財政運営についての総理の答弁を求めます。
 我が国経済の再生にとって今最も重要なことは、企業の収益を雇用の改善や賃金の上昇につなげ、内需を拡大することで消費と投資を呼び起こし、再び企業の収益が上がるという経済の好循環を確実なものとすることです。
 そのためにも、国内外にわたる政策を総動員することが必要であり、以下三点について具体的に伺います。
 第一は、経済の好循環の最大のかなめは家計における消費の拡大であり、そのための賃金上昇です。
 国レベルでは、政労使会議等の場を活用して賃金上昇の流れをつくり、また、下請企業への取引価格の適正化についても一定の成果を上げつつあります。こうした流れをさらに加速させるよう、引き続き経済界における努力を強く求めます。
 特に、賃金上昇の流れを中小企業や地方へと波及させるためには、大企業の収益の拡大を、下請代金の支払い等を通じて中小企業の収益の拡大につなげることが必要であり、政府としてもその取り組みを一層強化すべきです。
 また、公明党が提案した地方版政労使会議の設置が全国で広がっています。各地の実情に合わせ、関係者がさまざまな課題を率直に話し合い、連携して対策を講ずることで、地域経済が活性化し、賃金の引き上げや働き方改革にも大きな効果が生まれると期待されます。
 経済の好循環、賃金上昇に向けた今後の取り組みについて、総理に伺います。
 第二は、中小企業を含めた産業全体の生産性の向上です。
 自動車産業を初め、家電や住宅、医療、介護、農業など、さまざまな分野において、ロボットやIT技術などの活用により、生産性向上を図る新たな技術開発や取り組みが進んでいます。
 こうした流れを、大企業のみならず地方の中小・小規模企業にも広げ、生産性を向上することが日本経済の成長には欠かせません。生産性向上に向けた設備投資支援や専門的な経営アドバイスの体制強化など、意欲ある企業の成長を後押しする取り組みが求められます。
 生産性向上に向けた取り組みについて、総理の答弁を求めます。
 第三は、世界経済の成長を取り込む自由貿易や経済連携の拡大と海外展開です。
 TPPはもとより、RCEP、東アジア地域包括経済連携やFTAAP、アジア太平洋自由貿易圏などの経済連携や自由貿易協定を積極的に推進することが重要です。
 特にTPPは、アジア太平洋地域の活力を日本経済に取り込み、今後の貿易・投資ルールの基軸を打ち立てようという挑戦的な試みです。世界全体のGDPの約四割、人口八億人という巨大な自由貿易圏の誕生は、日本経済全体に大きなメリットがあります。二月四日には協定の署名が予定されておりますが、協定の批准とあわせ、国内対策も含めた必要な法整備を早期に行うべきです。
 TPPの意義と効果、今後の批准手続や法整備について、総理の答弁を求めます。
 一方、TPPをめぐっては、農林水産業への影響が強く懸念されてきました。
 将来にわたり、国民に安全で高品質な食料を供給し、中山間地域を含む豊かな農山漁村を維持発展させるためには、経営安定対策や体質強化対策などを着実に実行するとともに、今後とも、生産者の声にきめ細かく対応していく必要があります。
 また、TPPは、若者が希望を持って取り組める魅力ある農林水産業を築くチャンスでもあります。
 希望の持てる農林水産業の実現に向けた取り組みについて、総理の答弁を求めます。
 一億総活躍社会の実現に向けた取り組みについて伺います。
 公明党は、安倍内閣が掲げた希望出生率一・八、介護離職ゼロという目標について、希望する人数の子供を持てない状況や、介護をきっかけに離職せざるを得ない状況を改めることは、一人一人の活躍を支える上で欠かせない取り組みと考えます。
 また、子育てと親の介護が重なるダブルケアの問題も深刻であり、制度横断的な対応も必要です。
 こうした問題意識に立って、この二つの目標を達成するためには、非正規労働者の待遇改善や、子育て、介護と仕事の両立を可能とする働き方改革が不可欠です。
 総理が施政方針演説で言及された同一労働同一賃金の実現は公明党も長年取り組んできた課題であり、雇用形態にかかわらず職務に応じた待遇が確保されるよう、実現に向けた議論を急ぐべきです。
 その上で、早急な対策として、長時間労働の是正を初め、短時間勤務やテレワークなど、柔軟な働き方の推進、介護休業や看護休暇などの取得率向上のための制度改善、育児や介護を理由にした人事評価などの不利益な扱いの防止など、これらの課題を具体化するためには、育児・介護休業法、雇用保険法、男女雇用機会均等法の改正が必要です。
 また、子育てや介護に対する職場の理解が乏しく、制度の利用を断念せざるを得ない状況を改善するため、管理職を初めとする職場内の意識改革が重要です。従来の日本型雇用システムの転換が指摘される中、そのよさを生かしつつ、一人一人のワーク・ライフ・バランスやキャリア形成をチームで支える、新たな職場内支え合いモデルの構築と普及にも取り組むべきと考えます。
 以上、働き方改革を進めるための法整備と職場内の意識改革を含めた新たな支え合いモデルの構築について、総理の答弁を求めます。
 子供の貧困対策について伺います。
 貧困の連鎖を断ち切り、子供の将来が生まれ育った環境に左右されることのない社会をつくることは、一億総活躍社会を実現する上で大切な視点です。
 二〇一三年に子どもの貧困対策推進法が制定され、翌年には子供の貧困対策大綱が策定され、教育支援、生活支援、保護者の就労支援、経済支援の四つの柱に沿って、着実に対策が進みつつあります。
 今後は、特に支援を要する一人親世帯や多子世帯などへの対応を含め、貧困状態からの脱却に向けたさらなる取り組みが重要です。その意味で、公明党が求めてきた児童扶養手当の増額や保育料の負担軽減のための予算が盛り込まれたことは、大いに評価します。
 子供の貧困対策について、今後の取り組みを総理に伺います。
 社会保障と税の一体改革について伺います。
 国民生活の安心の基盤である社会保障制度の機能強化と安定財源の確保は、与野党を通じた共通の課題です。こうした共通認識のもと、二〇一二年、自民、公明、民主の三党が社会保障と税の一体改革について合意し、これまでの年金、医療、介護に子育て支援を加え、消費税財源を活用した社会保障制度の充実と安定化に取り組んできたことは重要な意義があり、その歩みを後退させることがあってはなりません。
 二〇一二年に成立した子ども・子育て支援法や年金機能強化法を初め、一昨年に成立した地域医療介護総合確保法など、一連の法整備を踏まえつつ、現在は、団塊の世代が後期高齢者となる二〇二五年を見据え、それぞれの地域が増大する医療・介護ニーズにどのように対応していくのかが目下の課題となっています。
 その取り組みの大きな柱が、昨年から都道府県で検討が進められている地域医療構想の策定です。病院から地域へという大きな流れの中で、効率的で質の高い医療・介護サービスを提供するには、今後十年間の医療需要を推計した、病床の機能分化や連携、在宅医療・介護の推進などが不可欠です。その一方で、必要な病床数が確保されず、患者の受け皿が不足することのないよう、実効性ある計画策定が必要です。
 公明党は、これまで、住みなれた地域で医療、介護、生活支援などのサービスを提供する地域包括ケアシステムの構築を初め、介護予防や認知症対策の充実などを推進してきましたが、今後は、地域医療構想との一体的な取り組みが重要となります。
 社会保障と税の一体改革の今後の取り組みを確認するとともに、地域の実情に応じた医療・介護提供体制の整備とその計画策定を国としてどのように支援していくのか、総理の答弁を求めます。
 社会保障と税の一体改革に関連して、消費税の軽減税率制度について伺います。
 平成二十九年四月から、消費税の一○%への引き上げに合わせて、軽減税率制度がスタートします。円滑な導入に向け、中小・小規模事業者への対策を含め、政府の万全な取り組みを強く求めます。
 消費税は、収入が低い人ほど負担感が重くなる逆進性があり、また、買い物のたびに税の負担を感じる痛税感を伴います。その対策として、公明党、自民党が与党としてさまざまな制度案の中から最適と判断し導入を決めたのが軽減税率制度であります。
 理由は大きく二点です。
 一つは、日常の買い物で、生活必需品である食料品を買うたびに税負担の軽減を実感し、痛税感が緩和される点です。
 二つ目は、付加価値税を採用している欧州諸国や北米、アジアなど、ほとんどの国で世界標準と言ってよいほど、この制度が導入されているという具体性がある点です。
 給付つき税額控除の方が効率が高いとの主張がありますが、この制度の導入には、個人の所得だけでなく、資産についても正確に把握できる仕組みが必要です。
 しかし、現行のマイナンバー制度でも、その把握は不完全であり、ましてやマイナンバー制度が定着していない上、給付等に必要な事務手続を全消費者に負わせるのは事実上不可能です。
 また、買い物のたびにその場で実感できる軽減税率に対し、給付つき税額控除は、年間数回の給付を受けるときだけしか恩恵を感じられず、消費活動と切り離されているため、痛税感の緩和を実感できません。
 軽減税率制度は、社会保障のために消費税が上がるとしても、せめて食料品は軽くしてほしいとの生活者の切実な声に応えたものです。消費税の持つ逆進性や痛税感を緩和し、消費税制度に対する理解を醸成することで、社会保障と税の一体改革に対する理解も深まるものと考えます。
 その導入に当たっては、財政健全化目標を堅持し、安定的な恒久財源を確保することについて、軽減税率の導入前に与党として責任を持って対応することを明確にしました。
 社会保障の費用は、保険料や税収全体で賄っており、制度の充実を進めながら、歳入歳出を見直して財源を確保していくことは当然です。
 また、軽減税率導入のために社会保障が削られるのではないかとの批判が一部にありますが、その心配は全くありません。自民、公明、民主による三党合意に基づく社会保障と税の一体改革では、消費税率引き上げ分の一%相当分は、待機児童の解消や地域包括ケアシステムの構築など、医療、介護、年金、子育ての各分野の充実に充てることが決まっています。そのことを改めて確認しておきたいと思います。
 消費税の軽減税率導入の意義や財源確保について、総理の見解を伺います。
 次に、がん対策について伺います。
 政府は、昨年末、がん対策加速化プランを策定しました。公明党が昨年八月に提唱したがん対策の充実に向けた提言が盛り込まれており、評価しております。
 公明党が主導したがん対策基本法が成立して十年、がん対策推進基本計画ができて九年で、一つの曲がり角です。
 今や、がんになっても約六割の人が治る時代ですが、課題も多くあります。
 そこで、ことし五月ごろから策定作業が始まる第三期がん対策推進基本計画を前に、以下、具体的に提案します。
 一点目は、がん検診受診率の向上です。
 五〇%を早期に達成し、新たな目標を掲げるときです。そのために、個人への受診勧奨の強化、職域検診の推進などを図るべきです。
 二点目は、医療の基本である緩和ケアです。
 これまで、がん拠点病院を中心に推進してきましたが、拠点病院以外の病院にどう広げていくのか、また、全ての医師に緩和ケアを学ばせるためにどうするのかです。その基本は、痛み、つらさの徹底した除去です。
 三点目は、就労です。離職や給料減などの悲劇解消のため、がんになっても多くの人が働けるという認識を、経営者を含め浸透させるべきです。
 四点目は、児童生徒へのがん教育。これは一大国家事業ですが、ポイントは医師等の確保です。忙しい医師が不安なく教育現場に入れるよう、医師に対する教育、研修等が必要です。未来のために、国を挙げて取り組んでいただきたいと思います。
 最後になりますが、公明党が当初から一貫して主張してきた全国がん登録が今月から始まります。今後の治療や予防などへの活用が期待され、国民、患者の皆さんのために役立つと高く評価しております。
 今後、がんの克服にどう取り組まれるのか、総理の答弁を求めます。
 復興の加速について伺います。
 三月十一日で、東日本大震災の発災から丸五年。四月から、新たな復興・創生期間が始まります。
 被災地では、道路や鉄道などのインフラ整備、災害公営住宅の建設、住宅再建に向けた高台移転など、復興は着実に進んでいます。被災三県全体の鉱工業生産指数は震災前の水準に回復。津波被災地農家は約七割が復旧。水産加工施設は約八割で業務再開。有効求人倍率は一倍を超え、雇用も改善しています。
 しかし、いまだに十八万二千人の方々が避難生活を強いられている現実を重く受けとめなければなりません。原発事故による風評被害や、震災の記憶の風化も懸念されています。
 私たちは、復興を阻むこの風化と風評という二つの風と闘い、復興の取り組みを一段と加速させなければなりません。
 また、避難生活の長期化や分散化などによるストレス、今も津波の後遺症などで苦しむ方々もいます。心身のケアや生きがいづくり、地域コミュニティーの形成など、被災者の状況に応じてきめ細やかな心の復興事業がますます重要な段階に入ります。
 一方で、水産加工業のように、施設設備が復旧しても売り上げが戻ってこない業種もあります。販路の開拓やノウハウの提供、商品開発、人材の確保等を官民連携で支援することが必要です。
 復興・創生期間に向けた総理の決意を伺います。
 続いて、福島の復興再生について伺います。
 福島の復興再生の課題は、廃炉・汚染水対策、中間貯蔵施設の建設と除染の加速、生活インフラの復旧などです。住宅再建や帰還など、避難者の意向に応じたさまざまな対策とともに、放射線による健康被害への不安に対するリスクコミュニケーションの実施、風評被害対策も重要です。
 福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の実現に対する期待と機運が高まっています。原発の廃炉や浜通り地域の再生のため、最先端のロボット研究開発拠点などを整備することにより、新たな産業振興や雇用創出が期待されます。
 福島の復興再生、イノベーション・コースト構想の実現に向けた今後の取り組みについて、総理の答弁を求めます。
 自然災害の脅威から国民生活や社会経済を守る防災・減災対策は政治の重要な課題です。
 昨年も、九月に宮城県や栃木、茨城の両県が記録的な豪雨に見舞われるなど、近年の降雨は局地化、激甚化が進んでいます。また、昨年五月に口永良部島において火山災害が発生するなど、自然災害が頻発をしています。
 ハード、ソフト両面にわたる防災・減災対策の強化が求められています。特に、インフラの老朽化対策は急務です。
 地方自治体への支援も含め、近年、新技術の開発や導入など、体制強化が進んでいます。今後の焦点は、インフラの維持管理だけではなく、老朽化対策を通じて、メンテナンス産業の育成や建設産業の担い手確保へとつなげることが重要です。
 防災・減災対策の取り組みについて、石井国土交通大臣に答弁を求めます。
 次に、外交、安全保障について伺います。
 本年は、日本の国連非常任理事国入りや、G7伊勢志摩サミット、日中韓サミットの日本開催、第六回アフリカ開発会議が初めてケニアで開催されるなど、日本の外交にとって極めて重要な年となります。
 大きな責任が伴うとともに、日本が国際社会をリードするチャンスと考えますが、総理の決意を伺います。
 三月末までに、平和安全保障関連法制が施行されます。
 平和安全法制の整備は、日本をめぐる安全保障環境が大きく変わる中で、国民の生命や財産を守る備えをしていくために、日米同盟の信頼性、実効性を強化し、抑止力を高めることが大きな目的です。
 備えが不十分ですきがあれば、かえって不測の事態を誘発しかねません。戦争法などという批判は、全く根拠のないレッテル張りであり、余りにも無責任です。
 引き続き、国民に対して丁寧な説明を行うとともに、運用のプロセスを通じて、安全保障上の備えに万全を期すことが重要です。
 平和安全法制の今後の取り組みについて、総理の答弁を求めます。
 日中、日韓関係について伺います。
 昨年の日中韓サミットや日中、日韓の首脳会談を通じて、日中、日韓関係は大きく改善されつつあります。
 昨年、私も、自民党の谷垣幹事長とともに、与党として二度にわたって訪中し、日中与党交流協議会の再開にこぎつけました。交流協議会では、人的交流の促進や、さまざまな分野の実務的協力強化のために積極的にプラットホームをつくることなどの提言をまとめました。政府としても、この提言を受けとめ、実現に向けて積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 また、昨年末、日韓両政府の真摯な対話により、慰安婦問題を最終的かつ不可逆的に解決するとの合意がなされました。心から歓迎するとともに、改めて関係者の御尽力に敬意を表します。
 一月十三日には、徐清源会長ら韓日議員連盟の代表が来日し、安倍総理との会談が実現をしました。今後とも、こうした対話を積み重ねて、信頼関係を醸成しながら、日韓両政府が、問題解決に向けて合意事項を誠実、着実に実行に移すことが重要と考えます。
 日中、日韓関係の改善に向けた今後の取り組みについて、総理に伺います。
 最後に、今、我が国は、人口減社会という、かつて経験したことのない未曽有の困難に直面をしています。その困難を乗り越え、世界に誇る、そして活力ある日本を維持発展させ、次世代にバトンタッチしていくためには、経済の再生や持続可能な社会保障制度の確立、地方創生などの課題に果敢に挑戦し、速やかに答えを出さなくてはなりません。それは、私たち世代の責任であると同時に、未来を担う若い人たちにもかかわる問題でもあります。
 ことし夏の参議院選挙では、初めて十八歳選挙権が導入をされます。十八歳と十九歳のおよそ二百四十万人が新たに有権者に加わります。日本が直面している困難な課題に対し、全ての世代が問題意識を共有し、ともに乗り越えていくことが大変大事でございます。そのためにも、若者の声に今こそ真剣に耳を傾け、未来に希望を持てる社会をともに築いていこうではありませんか。
 公明党は、全ての人が輝き自己実現できる社会を目指してともに闘うことをお誓いし、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 井上義久議員にお答えをいたします。
 経済財政運営についてお尋ねがありました。
 アベノミクス三本の矢の政策により、デフレではないという状況をつくり出す中で、全ての都道府県で有効求人倍率が上昇し、また税収もふえ、中小企業の業況DIも改善するなど、地方や中小企業にも明るい動きが広がっています。
 ただ、地方によっては経済環境に厳しさがあるのも事実であります。今後とも、大幅な賃上げや最低賃金引き上げが全国で進むよう環境整備を行っていくとともに、新しく創設する新型交付金により地方創生を本格的に展開していきます。
 世界経済や金融市場の動向についても引き続きよく注視しつつ、全国の皆さんに景気回復を実感していただけるよう、引き続き経済最優先で取り組み、経済の好循環をしっかり回してまいります。
 経済の好循環、賃金上昇に向けた今後の取り組みについてお尋ねがありました。
 中小企業の収益拡大に向け、大企業に対して、政労使会合の遵守や、仕入れ価格の上昇を踏まえた価格転嫁などに取り組むよう要請するとともに、下請代金法に基づく立入検査を行ってきました。
 今後、年度末までに、産業界に対する大規模な調査を実施します。これにより、取引条件の改善の状況や課題を具体的に把握するとともに、中小企業の取引条件改善に向けた機運を高めます。調査結果を踏まえて、必要な対策を講じてまいります。
 地方版政労使会議については、公明党からの御提案を受け、既に四十の都道府県で開催あるいは開催予定です。長時間労働の是正や非正規雇用労働者の待遇改善など、政労使の連携が進むことが期待されます。
 今後とも、経済の好循環を継続させるよう、中小企業の収益が拡大するような環境の整備にしっかりと取り組んでまいります。
 生産性向上についてお尋ねがありました。
 未来投資に向けた官民対話においては、生産性向上に資する、無人自動走行、ドローン、人工知能などを活用した新たなビジネスを可能とするため、規制改革や制度構築の方針を打ち出しています。このような技術が全国津々浦々で活用されてこそ、日本全体として生産性が高まります。
 そこで、生産性向上に向けた設備投資を行う中小企業、小規模事業者に対して、生産設備の固定資産税の大胆な減税を行うとともに、ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金により、新商品の開発等を支援してまいります。
 都道府県においては、さまざまな経営課題についてきめ細かく相談に応じるワンストップ窓口を開設しており、これを拡充します。
 あらゆる施策を総動員し、中小企業、小規模事業者の生産性向上を支援してまいります。
 TPPについてお尋ねがありました。
 TPP協定は、よいものがよいと評価される二十一世紀型ルールによる、世界の四割経済圏を生み出します。日本のGDPを十四兆円拡大する大きな経済効果が見込まれます。基本的価値を共有する国・地域が経済のきずなを深め、その輪を広げていく戦略的意義があります。
 来月四日に予定されているTPP協定の署名後、速やかに、TPP協定案と関連法案を国会に提出し、承認を求めます。日本が率先して動き、早期発効に向けた機運を高めてまいります。
 希望の持てる農林水産業の実現についてお尋ねがありました。
 農は国の基であり、美しい田園風景を守ることは政治の責任であります。
 このため、総合的なTPP関連政策大綱に基づき、TPPをチャンスと捉え、攻めの農林水産業に転換するための体質強化対策や重要五品目関連の経営安定対策など、万全の対策を講じてまいります。
 また、先般、農林水産業・地域の活力創造本部のもとに、さらなる体質強化策を検討するための体制を整備しました。
 今後とも、公明党とも緊密に連携しつつ、現場の声に耳を傾けながら、農政新時代を切り開くための政策を講じ、農林漁業者の皆さんが安心して再生産に取り組めるようにしっかり支えてまいります。
 農林水産業の成長産業化を実現し、若者が将来に夢や希望を持てる、そういう分野にしていく決意であります。
 同一労働同一賃金についてお尋ねがありました。
 希望出生率一・八、介護離職ゼロという目標を達成するためにも、働き方改革の実行は不可欠であり、この春のニッポン一億総活躍プランにおいて、大きな課題として方針を示したいと考えています。
 その働き方改革の重要な柱が、同一労働同一賃金です。
 例えば、女性では、結婚、子育てなどもあり、三十代半ば以降、みずから非正規雇用を選択している方が多いことが労働力調査から確認できます。こうした方々のためにも、非正規雇用で働く方の待遇改善は不可欠です。
 このように、女性や若者などの多様な働き方の選択を広げるためには、非正規雇用で働く方の待遇改善をさらに徹底していく必要があると考え、同一労働同一賃金の実現に踏み込むこととしました。
 我が国の雇用慣行に留意しつつ、待遇の改善に実効性のある方策を打ち出したいと考えております。
 育児・介護休業法等の改正についてのお尋ねがありました。
 一億総活躍社会の実現に向け、子育てや介護を行いながら仕事との両立が可能となるような働き方の改革が不可欠であります。
 このため、子育てや介護を行いながら仕事をしっかり続けられるよう、長時間労働の是正や多様で柔軟な働き方の推進を強力に進めてまいります。
 また、子供の看護のため休暇を半日単位でとることや介護休業を分割でとることを可能にし、介護休業給付の引き上げを行い、仕事を続けながら休みをとりやすくするとともに、妊娠や出産、育児休業などを理由とする職場での嫌がらせ、いわゆるマタハラの防止を事業者に義務づける育児・介護休業法等の改正案を今国会に提出するべく準備しております。
 政府としては、今後とも、仕事と育児や介護を両立し、継続して仕事ができる環境を整え、働き方改革に全力で取り組んでまいります。
 子育てや介護に対する意識改革についてのお尋ねがありました。
 子育てや介護を行いながら仕事との両立を可能とするためには、育児休業制度などの制度の充実に加えて、それらの制度をためらうことなく利用できるよう、職場全体の意識改革を図っていくことが大変重要であると考えます。
 政府としても、企業の取り組みの紹介や管理職の表彰に加え、事業主に対する助成金の支給などに取り組んでいるところです。
 チームで支える職場内支え合いモデルも貴重な御提案と考えており、今後ともさらに、職場の意識改革を促し、働く方々が制度を活用して働くことができる職場環境の構築に取り組んでまいります。
 子供の貧困対策についてお尋ねがありました。
 子供たちの未来が、家庭の経済状況によって左右されるようなことがあってはなりません。
 今般の補正予算及び来年度予算案には、第二子以降への児童扶養手当の加算額の倍増、幼児教育無償化の段階的推進などを盛り込んだところであります。
 今後とも、学校をプラットホームとして総合的な教育支援を行うとともに、社会的孤立を深刻化させることのないよう生活を支援するなど、子供の貧困対策を着実に実施してまいります。
 社会保障と税の一体改革及び地域医療構想等に関するお尋ねがありました。
 少子高齢化が進展する中で、社会保障制度の持続可能性の確保と財政健全化を同時に達成する観点から、引き続き社会保障と税の一体改革に取り組み、世界に誇るべき社会保障制度を次世代に引き渡していく責任を果たしてまいります。
 地域で安心して暮らし続けるためには、患者となっても、介護が必要となっても、その状態に応じた適切な医療と介護が一体として受けられることが不可欠であります。
 病床の機能分化を行う地域医療構想と地域包括ケアシステムの構築を一体として進めるため、自治体の計画策定に対する基本的な方針を示し、基金を通じた支援を続けてまいります。
 軽減税率制度についてお尋ねがありました。
 軽減税率制度については、日々の生活において幅広い消費者が利活用している商品の消費税の負担を直接軽減することにより、議員御指摘のように、消費者の方々に買い物の都度痛税感の緩和を実感していただけるとともに、いわゆる消費税の逆進性を緩和できるといった意義があるものと考えております。
 諸外国においても、飲食料品を対象とした軽減税率制度については、標準税率一〇%以上の付加価値税を導入しているOECD三十カ国のうち、八割の二十四カ国が導入しているものと承知しています。
 必要な財源については、与党及び政府の税制改正大綱を踏まえ、今後、政府・与党でしっかりと検討を進めてまいります。
 なお、軽減税率制度の導入に当たって、安定的な恒久財源を確保することにより、社会保障と税の一体改革における二・八兆円程度の社会保障の充実に必要な財源を確保してまいります。
 がん対策についてお尋ねがありました。
 がん対策は、がん対策推進基本計画及びがん対策加速化プランに基づき、個別に受診を促し、がん検診の受診率の向上を図るとともに、研修や広報を通じた緩和ケアの普及や、がんになっても仕事を続けられるよう、職場や医療機関における支援を充実し、さらに、がん教育のモデル事業の推進などに取り組んでまいります。
 本年春から、第三期の基本計画に向けた議論を開始します。がんによる死亡を減らすとともに、がんになっても安心して暮らせる社会の構築に向けて、がん登録のデータも活用しつつ、対策を進めます。
 東日本大震災からの復興についてのお尋ねがありました。
 井上議員におかれては、公明党の東日本大震災復興加速化本部長として、累次にわたり与党提言の取りまとめを主導していただいており、改めて感謝申し上げます。
 被災地では、住まいの再建やなりわいの再生が着実に進展し、復興は新たなステージを迎えつつあります。その一方で、さまざまな課題を抱えていることもまた事実です。
 このため、心のケアやコミュニティー形成支援など、被災者支援の取り組みの強化、水産加工業の販路回復の支援、観光復興に向けた取り組みなど、新たな課題に官民連携も活用しながら対応することとしております。さらに、風評被害対策、震災遺構の保存支援、国際的な情報発信を強化してまいります。
 四月からは、いよいよ後期五カ年の復興・創生期間が始まります。被災者の方の体の健康や不安な気持ちの解消にこれまで以上に心を砕きながら、被災地の皆さんのふるさとへの思い、復興への熱意をこれからも全力で応援してまいります。
 福島県の復興再生についてお尋ねがありました。
 福島の原子力災害被災地域では、来年春までに帰還困難区域を除く避難指示を解除し、一人でも多くの方にふるさとに戻っていただくことを目指します。
 このため、御指摘のとおり、廃炉・汚染水対策、中間貯蔵施設の建設、除染、生活インフラの復旧、リスクコミュニケーションの実施、風評被害対策等に取り組んでまいります。
 浜通りでは、イノベーション・コースト構想を推進し、廃炉やロボットなどの先端技術を中核とした新たな産業集積をつくります。
 このため、災害対応などで活躍するロボットの共同研究施設や実証拠点を整備し、利用企業に技術や販路開拓を支援するなど、この分野の企業の集積を促します。
 福島の復興なくして東北の復興なし。東北の復興なくして日本の再生なし。
 従来の発想にとらわれることなく、スピード感を持って、全力で復興を加速化してまいります。
 本年の日本外交に関するお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、本年は、安保理の非常任理事国入り、G7伊勢志摩サミット、日中韓サミットの日本開催、TICADの初めてのアフリカでの開催など、日本外交が世界を引っ張っていく一年となります。
 そのハイライトとなる伊勢志摩サミットを初め、これらの機会を通じ、世界の平和と繁栄をいかにして確保していくべきか、そのために我が国はどのような貢献を行うことができるのか、積極的平和主義の考え方に立って、我が国のビジョンを訴え、国際社会をリードしてまいります。
 平和安全法制に関する今後の取り組みについてお尋ねがありました。
 平和安全法制の成立により、日米の信頼関係は大きく向上し、同盟関係は一層強固なものとなりました。抑止力が向上したことは明らかであります。
 また、世界の多くの国々から、強い支持と高い評価が寄せられています。これは、この法制が、決して戦争法などではなく、戦争を抑止し、世界の平和と安全に貢献する法律であることの何よりのあかしであります。
 私たちの子や孫の世代に平和な日本を引き渡していく基盤を築くことができたと確信しています。
 今後とも、国民の皆様にさらなる御理解をいただけるよう、粘り強く丁寧な説明に努めてまいります。
 また、教育訓練を初め、しっかりとした運用体制の整備を行い、あらゆる事態に対し切れ目のない対応ができるよう、万全の備えを行ってまいります。
 日中、日韓関係についてお尋ねがありました。
 中国、韓国との間では、政府間の対話に加え、連立与党においても、井上議員を初めとして、議員間、政党間の交流を積極的に積み重ねていただいてきており、こうした活動は、大局的観点から、日中、日韓関係を発展させていく上で非常に有意義だと考えます。
 本年は、我が国が日中韓サミットを主催します。経済、環境、青少年交流など、幅広い分野で成果の上がるサミットにしたいと考えます。また、その際に、中国、韓国とそれぞれ首脳会談を行い、関係をさらに発展していく所存であります。
 中国とは、戦略的互恵関係の考え方のもとに、関係改善の流れを一層強化していきます。御指摘の日中与党交流協議会の提言等も踏まえつつ、幅広い分野で、さまざまなレベルでの対話と協力を進めてまいります。
 韓国とは、昨年末、慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認し、長年の懸案に終止符を打ちました。日韓両政府がそれぞれ、この合意を着実に実施していくことが重要です。本年を日韓新時代のスタートの年とし、日韓でともに協力し、未来志向の関係を築いてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣石井啓一君登壇〕
○国務大臣(石井啓一君) 防災、減災の取り組みについてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、防災、減災の取り組みは大変重要な課題であります。激甚化する自然災害に対して、ハード対策、ソフト対策を総動員し、事前防災・減災対策等に取り組むことにより、災害被害を未然に防ぐとともに、被害を軽減することに全力を尽くしてまいります。
 また、今後一斉に老朽化するインフラについては、インフラ長寿命化計画等にのっとり、計画的な点検、修繕や、地方公共団体に対する財政的支援、技術的支援を着実に実施してまいります。
 あわせて、老朽化対策をメンテナンス産業の育成、活性化と建設産業の担い手確保につなげていくことが大事であります。
 現在、幅広い業種の企業、団体と意見交換を重ねており、来年度には新たに産学官が総力を挙げて老朽化対策に取り組むインフラメンテナンス国民会議を創設いたします。この国民会議を活用して、民間の新技術の掘り起こしや幅広い業種からの新規参入を促進したいと考えております。
 また、維持管理、更新に係る複数年契約や包括的民間委託の活用を推進してまいります。
 国土交通省の公共事業関係費の半分以上を防災・減災、老朽化対策等に重点化しており、引き続き、国土交通省の総力を挙げて、国民の安全、安心の確保に取り組んでまいります。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(大島理森君) 志位和夫君。
    〔志位和夫君登壇〕
○志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。(拍手)
 冒頭、甘利大臣に、政治と金の疑惑について一問伺います。
 あなたは、二回にわたる五十万円の受け取りについて、記憶を整理したいと述べておられます。それは、五十万円を受け取った記憶はあるが、それを正当化する整理がつかないということですか。それとも、受け取ったかどうかの記憶自体がない、この程度の金銭の授受は日常茶飯事で、記憶にとどまるようなことではないということでしょうか。しかとお答えください。
 総理、甘利大臣の疑惑は、大臣どころか議員の資格にかかわる深刻な疑惑です。本人の説明を待つのではなく、任命権者として真相解明の責任を主導的に果たすべきであります。その覚悟はありますか。答弁を求めます。
 安倍政権は、昨年九月十九日、国民多数の反対の声を踏みつけにして、安保法制、戦争法の強行成立をさせるという暴挙を行いました。
 戦争法ばかりは、数の暴力で成立させられたからといって、それを許したままにしておくことは決してできません。
 戦争法は、まず内容の面で、憲法九条を踏みにじって、自衛隊の海外での武力行使を行う仕組みが幾重にも盛り込まれている違憲立法です。さらに、やり方の面で、戦後六十年余にわたる、憲法九条のもとでは集団的自衛権を行使できないという政府の憲法解釈を、一内閣の勝手な判断で百八十度覆すという、立憲主義の破壊が行われました。
 戦争法は、内容もやり方も二重に憲法違反であり、廃止するしかありません。
 安保法制、戦争法は、日本に極めて重大な危険をつくり出しています。
 第一は、日本の自衛隊が戦後初めて、外国人を殺し、戦死者を出すという現実的な危険が生まれているということです。私は、差し迫った重大な危険として、二つの問題について総理の見解を問うものです。
 一つは、アフリカの南スーダンのPKOに派兵されている自衛隊の任務が拡大されようとしていることです。
 改定されたPKO法では、PKOに参加する自衛隊に、安全確保業務、駆けつけ警護という二つの任務を新たにできるようにするとともに、任務遂行のための武器使用もできるようにしています。総理、南スーダンに派兵されている自衛隊に、こうした任務の追加を行うことを検討しているのですか。
 仮にこうした任務拡大となれば、極めて危険な事態となることを強く警告しなければなりません。
 二〇一三年十二月以来、南スーダンでは、大統領派と副大統領派の武力衝突が起こり、住民を巻き込んでの激しい内戦状態に陥っているからです。数千人が殺害され、二百四十万人が家を追われ、虐殺、レイプ、拷問などの残虐行為が行われ、多数の子供が少年兵として戦うことを強制されています。複数回、停戦が合意されたものの、そのたびに戦闘が再開され、昨年八月下旬の和平合意後も戦闘が続いています。
 こうした状況下で、南スーダンのPKOの主要な任務は住民保護とされ、そのために必要なあらゆる措置をとる権限、武力行使の権限が与えられています。住民保護のためにPKOみずからが交戦主体、戦争の主体となって武装勢力と戦う、これが南スーダンのPKOの実態なのです。
 総理、南スーダンが内戦状態に陥っているという認識はありますか。南スーダンでは、停戦合意を初めとするPKO参加五原則が崩壊し、自衛隊の派兵の法的前提がなくなっているのではありませんか。にもかかわらず、自衛隊の派兵を続け、その任務を拡大するならば、自衛隊が武力を行使し、武装勢力と戦うことになるではありませんか。武装勢力といっても、軍隊と民間人の区別はつきません。自衛隊が一たび少年兵や民間人を撃ってしまったら、取り返しがつきません。
 このような活動は、海外での武力行使を禁止した憲法九条のもとでは絶対に許されないと考えますが、いかがですか。日本の貢献は、憲法九条に立った非軍事の人道支援、民生支援に徹するべきであります。総理の答弁を求めます。
 いま一つは、過激武装組織ISに対して、米国を初めとする有志連合が行っている軍事作戦に、自衛隊が参加する危険です。
 ISのような残虐なテロ組織がどうして生まれたか。きっかけになったのは、二〇〇一年、米国等が開始したアフガニスタン報復戦争でした。対テロ戦争は、テロを根絶するどころか、その温床を広げる結果となりました。さらに、二〇〇三年、米国等が開始したイラク侵略戦争は泥沼の内戦をつくり出しました。この二つの戦争の混乱の中からISという怪物のようなテロ組織が生まれ、勢力を拡大していったのです。
 戦争でテロはなくせない。テロと戦争の悪循環をもたらし、世界じゅうにテロを拡散した。総理、この事実をお認めになりますか。米国によるアフガン、イラク戦争に無条件の支持を与えた自民党政府は、厳しい反省が必要ではありませんか。
 この歴史的教訓に照らしても、今、一部の国が行っているISに対する空爆など軍事作戦の強化では、問題は決して解決しません。それは、多数の罪なき人々を犠牲にし、憎しみの連鎖をつくり出し、テロと戦争の悪循環をもたらすだけではありませんか。
 安保法制、戦争法との関係で私が強く危惧するのは、政府が、ISへの空爆などへの自衛隊の軍事支援について、政策判断として考えていないとしつつ、法律的にはあり得ると答弁していることです。
 総理に伺います。そういう政策判断をしている理由は何ですか。米国が、対IS軍事作戦を拡大し、日本に支援要請をしてきた場合に、それを拒否できますか。戦争法がある以上、拒否できず、軍事支援を行うことになるのではありませんか。
 テロと戦争の悪循環、憎しみの連鎖に日本自身が入り込み、日本国民をテロの危険にさらす、そのような道は断じて許すわけにいきません。
 世界からテロをなくすために何が必要か。私は、国際社会が一致結束して、次の四つの対策に取り組むことを提唱します。
 第一は、国連安保理決議を厳格に実行し、テロ組織への資金、人、武器の流れを断つ断固たる措置をとることです。
 第二は、貧困や格差、民族的、宗教的差別など、テロの土壌となっている問題をなくしていく努力を払うことです。
 第三は、ISが支配地域を拡大してきたシリアとイラクでの内戦を解決し、平和と安定を図るための政治的、外交的努力を尽くすことです。
 第四は、シリア国民の半数以上が難民として苦しむもとで、難民の人権を守り抜く国際的支援を抜本的に強化することです。
 どれも困難を伴う大仕事ですが、この道しかないのではありませんか。総理の見解を求めます。
 第二の危険は、安保法制、戦争法を強行したことによって、日本の政治が立憲主義の破壊という深刻な事態に直面しているということであります。
 立憲主義とは何か。たとえ国会で多数を持つ政権党であっても、憲法という枠組みは守らなければならないということです。国家権力が憲法を無視して暴走を始めたらどうなるか。独裁政治の始まりとなります。
 これは誇張ではありません。例えば、安倍政権が沖縄に対して行っている暴政は、憲法を無視し、法の支配を無視する独裁政治そのものではありませんか。
 昨年十月、沖縄県翁長知事は、知事選挙、総選挙などで繰り返し示された県民の圧倒的民意を踏まえて、名護市辺野古の米軍基地建設の埋立承認を取り消しました。それに対して、安倍政権は、国民の権利救済が目的の行政不服審査法を悪用し、埋立承認取り消しの効力を停止するという違法行為で応えました。さらに、知事にかわって埋立承認取り消し処分を撤回する代執行訴訟を起こしました。
 総理、これらはどれも、憲法が保障する地方自治と民主主義を根底から覆すものではありませんか。安保法制、戦争法と沖縄に対する暴政は、立憲主義の破壊という点で根が一つだと考えますが、いかがですか。
 翁長知事は、歴史的にも現在においても、沖縄県民は自由、平等、人権、自己決定権をないがしろにされてきました、私はこのことを魂の飢餓感と表現しています、政府との間には多くの課題がありますが、魂の飢餓感への理解がなければ、それぞれの課題の解決は大変困難ですと訴えています。
 総理は、翁長知事のこの訴えにどう応えますか。名護市辺野古への新基地建設を中止し、移設条件なしに普天間基地は閉鎖、撤去すべきであります。答弁を求めます。
 安保法制、戦争法の強行によって、日本が、殺し、殺される国になる危険が切迫しています。立憲主義が壊され、法治国家としての土台が壊されつつあります。このような独裁国家、戦争国家への道を断じて許すわけにいきません。
 日本共産党は、憲法違反の戦争法を廃止し、集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回し、日本の政治に立憲主義と民主主義を回復することを強く求めるものであります。
 暮らしと経済の問題について質問します。
 総理は年頭の記者会見で、この三年間で雇用がふえ、高い賃上げも実現し、景気は確実に回復軌道を歩んでいると、アベノミクスの成果を自画自賛しました。しかし、一月の読売の世論調査でも、国民の七一%が、安倍内閣のもとで景気の回復を実感していないと答えています。
 確かに、大企業は、二年連続で史上最高の利益を更新し、内部留保は三年間で三十八兆円もふえ、初めて三百兆円を突破しました。
 一方で、国民の暮らしはどうか。
 総理は、二〇一二年十―十二月期から二〇一五年七―九月期で就業者が百十七万人ふえたと言います。しかし、同じ時期の同じ統計によれば、正社員は一万人減っています。結局、ふえたのは不安定な非正規雇用だけではありませんか。
 総理は、高い賃上げが実現したと言います。しかし、物価上昇を差し引いた労働者の実質賃金はこの三年間でマイナス五%です。年収四百万円のサラリーマンでいえば、年間二十万円もの賃金が目減りしているんです。
 総理は、実質賃金の低下はパートの比率がふえたからだと言いますが、パートを除く一般労働者で見ても、名目賃金の伸びはわずか一・七%、物価上昇分にはるかに及ばず、実質賃金は大幅マイナスです。高い賃上げの実現と言いますが、事実は全く異なるではありませんか。
 総理、都合のいい数字をもてあそぶのはいいかげんにやめるべきであります。国民の暮らしの現実に立ったアベノミクスの三年間の検証と真摯な反省が必要です。大企業をもうけさせれば、その恩恵がいずれ庶民の暮らしに回るという古いトリクルダウンの考えに立ったアベノミクスの破綻は、もはや明らかではありませんか。総理の見解を問うものです。
 暮らし最優先の経済政策への根本的転換が必要です。その際、私は、日本社会の大問題となっている貧困大国からの脱却という問題をしっかりと政策目標に据えることが極めて重要になっていると考えます。
 日本の相対的貧困率は一六・一%。年を追うごとに悪化し、OECD加盟三十四カ国の中で悪い方から数えて六番目です。一人親家庭の貧困率は五四・六%。OECD加盟国で最悪です。国民の多くが、突然貧困に陥る危険と隣り合わせで生活しているのであります。
 貧困大国からの脱却は、全ての国民に健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障した憲法の要請であるとともに、家計という経済の最大のエンジンを暖めて経済の好循環を生み出す鍵となります。
 私は、あらゆる経済政策の是非を判断する物差しとして、貧困と格差の問題を据える、すなわち、その政策の実行が貧困と格差を是正する方向に働くのか、逆に拡大する方向に働くのかを、経済政策の基準に据えるべきだと考えます。総理の見解を求めます。
 日本共産党は、この立場から、貧困と格差を正し、暮らし最優先で日本経済再生を図る四つの提案を行うものです。
 第一は、消費税の一〇%増税の中止です。
 政府が軽減税率と喧伝しているものの実態は、食品などの税率を八%に据え置くというだけで、一〇%への増税で、総額四・五兆円、一世帯当たり六万二千円もの大増税となることが明らかになりました。所得が低いほど重くのしかかる逆進性がさらに強まることも政府は認めました。一〇%への増税が景気悪化への引き金を引き、貧困と格差に追い打ちをかけることは明瞭ではありませんか。
 その一方で、大企業に巨額の減税ばらまきが行われています。安倍政権がこれまで実施した企業減税は三兆円、来年度以降、さらに一兆円。しかし、その結果は、賃金にも設備投資にも回らず、内部留保が積み上がっただけではありませんか。
 庶民から増税で吸い上げ、大企業に減税をばらまく、逆立ちした税制を根本から改めることを強く求めるものであります。
 第二は、社会保障を削減から充実に転換することです。
 安倍政権の三年間で、社会保障費の自然増が毎年三千億から五千億の規模で削減され、介護報酬の削減、生活保護の切り下げなど、貧困と格差に追い打ちをかけました。社会保障をぼろぼろにする自然増削減路線は中止すべきではありませんか。
 年金削減の中止、医療費の窓口負担、国民健康保険料の軽減、特養ホームの入所待ちの解消、保育所の待機児ゼロなど、安心できる社会保障の実現を強く求めます。その財源は、まず何よりも、富裕層と大企業への優遇税制を正し、応分の負担を求める税制改革で賄うべきであります。総理の答弁を求めます。
 第三は、人間らしく働ける雇用のルールをつくることです。
 この三年間、総理が日本経団連にお願いしたにもかかわらず、実質賃金は大きく低下しました。総理は、その原因はどこにあるとお考えですか。
 私は、その最大の原因は、労働法制の規制緩和によって、低賃金、不安定の非正規雇用が四割を超えたこと、過労死を生み出す長時間過密労働の蔓延、この二つの雇用破壊が進んでいることにあると考えますが、いかがですか。
 労働者派遣法を抜本改正し、均等待遇のルールを確立し、非正規から正規への転換を進めるべきです。残業代ゼロ法案を撤回し、サービス残業の根絶、長時間労働の規制を図り、ブラック企業、ブラックバイトを根絶すべきです。フルタイムで働いても貧困から抜け出せない最低賃金を抜本的に引き上げるべきです。答弁を求めます。
 第四は、TPP交渉から撤退し、日本の経済主権を回復することです。
 二〇一三年の国会決議では、農産物の重要五項目、米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖は、関税撤廃を認めない、すなわち聖域にするとしています。そして、自民党は、この決議を守ることを国政選挙の公約にしたはずです。
 ところが、大筋合意では、重要五項目のうち三〇%の品目で関税が撤廃され、米でも関税ゼロの特別輸入枠を新たにつくっています。これは明白な国会決議違反、公約違反ではありませんか。
 日本の食料と農業、食の安全、経済主権を米国に売り渡すTPP交渉からの撤退を強く求めます。農産物の価格保障と所得補償を組み合わせて、安心して再生産できる農業をつくることこそ、政府の責任ではありませんか。
 以上、四点の我が党の提案に対して、総理の見解を問うものであります。
 最後に、憲法改定について質問します。
 総理は、大規模な災害が発生したような緊急時において、国民の安全を守るため、国家そして国民みずからがどのような役割を果たしていくべきかを憲法にどのように位置づけるかについては、極めて重く大切な課題と述べ、緊急事態条項の新設が憲法改定の重要なテーマになるとの考えを示しています。
 そこで、伺います。
 第一に、自民党改憲草案の緊急事態条項では、戦争や大規模災害の際に、首相の緊急事態の宣言のもと、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる、何人も、国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない、すなわち、内閣への権力集中と国民の基本的人権の制約を行うことを明記しています。
 総理は、こうした規定を憲法に明記することが必要だと考えているんですか。
 第二は、災害対策が緊急事態条項の理由になるかという問題です。
 東北弁護士連合会は、災害対策を理由とする国家緊急権の創設に反対する会長声明を発表し、次のように述べています。
 確かに、東日本大震災では、行政による初動対応のおくれが指摘された事例が少なくない、しかし、その原因は、行政による事前の防災計画策定、避難などの訓練、法制度の理解といった備えの不十分さにあると言われている、日本の災害法制は既に法律で十分に整備されている、国家緊急権は、災害対策を理由としてもその必要性を見出すことはできない。
 この批判に、総理はどう答えますか。
 緊急事態条項は、独裁政治、戦争国家に道を開き、憲法九条改定につながる危険きわまりないものであります。
 日本共産党は、解釈改憲とともに、あらゆる明文改憲に断固として反対いたします。日本国憲法の平和主義、立憲主義、民主主義を貫く新しい政治、全ての国民の個人の尊厳を守り、大切にする社会の実現を目指して全力を挙げる決意を表明して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 志位和夫議員にお答えをいたします。
 閣僚の任命責任についてお尋ねがありました。
 組閣に当たって適材を適所の閣僚に任命し、国政を力強く前進させる責任は、もとより内閣総理大臣たる私にあります。そして、政治資金等の問題については、内閣、与党、野党を問わず、一人一人の政治家が政治家としての責任を自覚し、国民に不信を持たれないよう、常に襟を正し、説明責任を果たしていかなければならないと考えております。
 甘利大臣におかれても、まず事実関係をしっかりと調査し、国民に対してきちんと説明責任を果たしていただきたいと考えております。
 平和安全法制と憲法との関係についてお尋ねがありました。
 憲法との関係では、昭和四十七年の政府見解で示した憲法第九条の解釈の基本的な論理は全く変わっていません。これは、砂川事件に関する最高裁判決の考え方と軌を一にするものであります。
 憲法の解釈を最終的に確定する権能を有する唯一の機関は最高裁判所であり、平和安全法制は、その考え方に沿った、判決の範囲内のものであり、憲法に合致したものであります。
 また、平和安全法制は、国会において、二百時間を超える充実した審議の結果、与党のみならず、野党三党の皆さんの賛成も得て成立したものであり、内閣の判断だけで決められたとか立憲主義の破壊との御指摘は当たりません。
 平和安全法制は、その内容と手続のいずれにおいても、現行憲法のもと適切に制定されたものであり、廃止することは全く考えていません。
 南スーダンPKOについてお尋ねがありました。
 南スーダンに派遣している自衛隊にいかなる業務を付与するかについては、今後慎重な検討が必要であると考えており、具体的な方針は決まっておりません。
 また、政府としては、南スーダンPKOの活動地域において武力紛争が発生しているとは考えておらず、派遣の前提となるPKO参加五原則は維持されていると考えています。
 なお、一般論として申し上げれば、PKO法にのっとって、いわゆる駆けつけ警護やいわゆる安全確保業務を行う場合に、自衛隊員による任務の遂行が憲法九条の禁じる武力の行使を行ったと評価されることはありません。
 我が国としては、引き続き、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、PKOや人道支援等を通じ、国際社会の平和と安定に向けた取り組みに一層積極的に協力してまいります。
 テロとの闘いについてお尋ねがありました。
 ISILやアルカイダといった残虐なテロ組織が生まれた背景については、貧困、社会的不満等の複合的な要因があると認識しています。二〇〇一年の九・一一テロ攻撃がアフガン戦争のきっかけとなったのであり、アフガン戦争が残虐なテロ組織が生まれるきっかけとなったとの指摘は当たりません。
 アフガニスタン及びイラクでの米国等の武力行使については、いずれも国際法上正当化されると考えており、政府の判断は妥当であったと考えます。
 政府としては、あらゆる形態のテロを断固として非難し、国際社会によるテロとの闘いを支持していきます。難民、避難民への人道支援など、非軍事分野において、我が国としての責任を果たしていく考えであります。
 ISILへの対応に関する政策判断についてのお尋ねがありました。
 我が国は、難民、国内避難民に対する食糧人道支援など、我が国ならではの支援を拡充し、非軍事分野において、国際社会における我が国の責任を果たしていくことが適切であると考えています。
 政府としては、このような政策判断として、ISILに対する軍事作戦に参加する考えはなく、ISILに対する軍事作戦に対して後方支援を行うことも全く考えていません。
 このため、このような活動について、平和安全法制の要件を満たしているかは判断しておらず、また、その判断をする必要があるとは考えておりません。
 このような我が国の立場については米側にも十分説明していますが、いずれにせよ、我が国がいかなる支援を行うかは、我が国が主体的に判断すべき事柄であります。
 我が国が他国の要請を拒否できず軍事支援を行うことになるといった御指摘は全く当たりません。
 テロ対策についてお尋ねがありました。
 御指摘された四点については、いずれもテロ防止のために重要と考えています。
 かかる観点を踏まえ、我が国としては今後とも、テロ防止、根絶に向けて、国際社会と緊密に協力しつつ、引き続き積極的に取り組んでまいります。
 普天間の移設に関し、憲法や法の支配、執行停止や代執行等の手続についてお尋ねがありました。
 執行停止の決定については、審査庁である国土交通大臣において、双方から提出された書面の内容を十分検討した上で、行政不服審査法にのっとり判断がなされたものです。
 また、政府としては、仲井真前知事による埋立承認に瑕疵はなく、これを取り消した翁長知事の処分は違法であり、普天間の危険性除去を困難とするものであるなど、著しく公益を害することは明らかと考えます。
 そこで、この問題の解決を図るためには、最終的に司法の判断を得ることができる、地方自治法に基づく代執行等の手続に着手することがより適切な手段であると判断したものです。
 今後とも、法治国家として、関係法令にのっとって辺野古移設を進めてまいります。
 憲法を無視し、法の支配を無視する独裁政治であるとか、憲法が保障する地方自治と民主主義を根底から崩すものといった御指摘は全く当たりません。
 普天間の移設と翁長知事の御発言についてのお尋ねがありました。
 住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間の固定化は、絶対に避けなければなりません。
 県知事の御発言の逐一について政府としてコメントすることは差し控えますが、沖縄の基地負担の軽減を図ることは政府の大きな責任であり、現実と向き合いながら、一つ一つ着実に改善を進めています。
 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、辺野古への移設は、米軍の抑止力を維持しながら、同時に普天間の危険性の一刻も早い除去を図るための唯一の解決策です。普天間の一日も早い全面返還を現実のものとするためには、移設を着実に進める必要があります。
 今後とも、政府の取り組みについて説明を尽くし、御理解を得るための努力を続けてまいります。
 平和安全法制と普天間飛行場の移設などについてお尋ねがありました。
 繰り返し御説明しているとおり、平和安全法制は、憲法に合致したものであり、また、憲法のもと、適切な手続により制定されたものであります。
 沖縄の基地負担の軽減については、できることは全て行うとの方針のもと、全力で取り組んでいるところであり、普天間飛行場の移設は、法治国家として、関係法令にのっとって進めているものです。
 このように、いずれも、立憲主義の破壊といった御指摘は全く当たりません。
 立憲主義にのっとって政治を行うことは当然であり、また、我が国が民主主義国家であることは言うまでもありません。国民の命と平和な暮らしを守るために必要不可欠な平和安全法制を廃止したり、閣議決定を撤回するといったことは全く考えていません。
 アベノミクスの成果についてお尋ねがありました。
 安倍内閣の三年間において、正規雇用はプラスに転じ、有効求人倍率は二十三年ぶりの高水準となりました。正社員の有効求人倍率も、調査開始以来最高水準に達しています。賃金についても、昨年は十七年ぶりの高い賃上げが実現し、パートで働く方の時給も二十二年間で最高水準となり、国民みんなの稼ぎである総雇用者所得は、名目で見ても実質で見ても増加傾向にあります。
 また、安倍内閣では、企業が高収益を上げ、それが賃金という形になって国民の所得がふえていくことによって消費がふえ、また企業の収益がふえていくという経済の好循環の実現、さらには地方経済の底上げを目指し、取り組んできました。
 この結果、全ての都道府県において税収が増加するなど成果が上がっていますが、これは、一部のグローバル企業から果実が徐々に均てんされるというトリクルダウンとは全く異なるものであります。
 経済最優先のアベノミクスを強力に進め、企業の過去最高の収益を三巡目のしっかりした賃上げにつなげ、全国にも浸透させることにより、成長と分配の好循環の拡大を図ってまいります。
 経済政策についてお尋ねがありました。
 これまで、安倍内閣では、デフレ脱却を目指して経済再生に取り組む中で、格差が固定化しないよう、最低賃金を三年連続で大幅に引き上げ、パートタイム労働者と正社員との均衡待遇を推進するなど、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 成長によって分配が可能となり、分配によって持続的な成長が可能となる。その際、格差が固定化しないよう、また、許容し得ない格差が生じないよう、しっかりと目配りをしていく。アベノミクス第二ステージにおいては、新しい第三の矢を放ち、こうした成長と分配の好循環をつくり上げてまいります。
 消費税率引き上げと社会保障制度についてお尋ねがありました。
 来年四月の消費税率一〇%への引き上げは、世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの国の信認を確保するため、リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り、確実に実施します。
 その増収分は、全額、社会保障の充実、安定化に充てることとしており、特に所得の低い方々に対しては、国民健康保険料等の保険料軽減の拡充等を講じています。同時に、社会保障制度の持続可能性を確保するため、不断に重点化、効率化に取り組むことも必要です。
 なお、消費税には、税収が安定している、特定の者への負担が集中しないといった特性があり、社会保障費の財源としてふさわしいと考えています。
 また、今般の法人税改革は、課税ベースの拡大等により、法人実効税率二〇%台を改革二年目にして実現するものであり、投資拡大や賃上げといった取り組みにつながっていくことを期待しています。
 今後も、賃上げを含めた経済の好循環を継続させ、アベノミクスの成果を国民の皆様に一層実感していただけるよう、各種政策にしっかりと取り組んでまいります。
 雇用に関するお尋ねがありました。
 実質賃金については、景気が回復し、雇用が増加する過程で、パートで働く人がふえ、一人当たりの平均賃金が低く出ることがあります。雇用や賃金の状況が改善していることは、先ほど申し上げたとおりであります。
 昨年成立した労働者派遣法改正法は、正社員を希望する方にその道が開けるようにし、派遣を積極的に選択している方については待遇の改善を図るものであります。
 また、働き過ぎの是正については、企業に対する長時間残業の監督指導の徹底や企業名の公表など、対応を強化しています。
 労働基準法改正案では、企業に対する休暇指定の義務づけや、中小企業における時間外労働への割り増し賃金率の引き上げを行うこととしており、その早期成立を目指しております。
 学生アルバイトの労働条件については、業界団体に対し法令遵守の要請を行い、今後は、周知啓発や企業に対する監督指導を徹底してまいります。
 さらに、ニッポン一億総活躍プランでは、働き方改革の一つとして、同一労働同一賃金の実現に踏み込むとともに、長時間労働の是正について、法規制の執行強化を含めて実効的な具体策を盛り込んでまいります。
 最低賃金の引き上げについては、三年間連続で引き上げ、合計約五十円の大幅な引き上げを行いました。
 名目GDP六百兆円を目指す中で、年率三%程度、全国加重平均千円を目指します。
 TPPについてお尋ねがありました。
 TPP交渉においては、重要五品目を中心に、関税撤廃の例外をしっかり確保し、関税割り当てやセーフガードの措置を獲得しました。
 交渉結果が国会決議にかなったものかどうかは、最終的に国会で御審議いただくこととなりますが、政府としては、国会決議の趣旨に沿うものと評価していただけると考えております。
 TPP協定は、新たなルールによる世界の四割経済圏を生み出します。これにより、日本のGDPが十四兆円拡大する大きな経済効果が見込まれます。食品安全や国民皆保険制度が脅かされるようなルールは一切ありません。
 協定を発効させることこそが国益にかなうと考えます。協定の署名後、速やかに国会に提出し、承認を求めてまいります。日本が率先して動くことで、早期発効に向けた機運を高めてまいります。
 農林水産業については、生産者が安心して再生産に取り組めるよう、体質強化対策や経営安定対策など万全の対策を講じていきます。農林水産業の成長産業化を実現し、若者が将来に夢や希望を持てる分野にしていく決意であります。
 自民党憲法改正草案における緊急事態条項等についてのお尋ねがありました。
 憲法改正草案は、自由民主党として将来のあるべき憲法の姿を世の中にお示ししたものですが、その個々の内容について、政府としてお答えすることは差し控えさせていただきます。
 その上で申し上げれば、大規模な災害が発生したような緊急時において、国民の安全を守るため、国家そして国民みずからがどのような役割を果たすべきかを憲法にどのように位置づけるかについては、極めて重く大切な課題と考えています。
 同時に、どの条項をどのように改正するかについては、国会や国民的な議論と理解の深まりの中で定まってくるものであると考えています。
 国民主権、基本的人権の尊重、平和主義など、現行憲法の基本原理を維持することは当然の前提として、新しい時代にふさわしい憲法のあり方について、国民的な議論と理解が深まるよう努めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣甘利明君登壇〕
○国務大臣(甘利明君) 週刊誌報道に関するお尋ねがありました。
 このたびの週刊誌報道の内容には、私の記憶と違う部分があり、慎重に確認を重ねる必要があると考えております。そうした趣旨から、記憶を整理したいと申し上げたものであります。
 本件については、必要な調査をしっかりと行い、事実を確認の上、国民に疑惑を持たれないよう、しっかりと説明責任を果たしてまいります。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    ―――――――――――――
○副議長(川端達夫君) 馬場伸幸君。
    〔馬場伸幸君登壇〕
○馬場伸幸君 おおさか維新の会の馬場伸幸です。
 私は、安倍総理が提案をいたしました平成二十八年度予算案について、おおさか維新の会を代表し、質問をさせていただきます。本予算への賛否決定と組み替え動議を提案することを目的に、質問をさせていただきます。(拍手)
 おおさか維新の会は、与党でもない、野党でもない、提案型責任政党として、国民本位の政策の提案を行う政党を目指して、有的放矢の考え方のもと、政治に新しい風をつくり上げてまいります。
 おおさか維新の会は、創業者である橋下徹前代表の政治哲学である地方分権改革の実現、つまり中央一極集中を根本から改革する、そのことを目的として創設された政党であります。この地方分権改革の実現は、明治維新以来の壮大な大改革であり、日本の根幹を変えることになるのです。しかし、このチャレンジは決して簡単なものではありません。日本じゅうが注目する中で行われた大阪都構想の賛否を問う住民投票を見ても、おわかりいただけることと思います。
 しかし、私どもおおさか維新の会は、いかなる厳しい環境においても、国民のためになる政策目的を達成するために、決してひるむことなく前に進んでまいります。
 また、私どもは、選挙に勝つためなら理念を捨て野合することなどもいたしません。大阪都構想に反対するためなら、民主党が自民党と連携し、共産党が自民党を積極的に支援し、異様な光景でありました。自民党を一番熱心に支持した共産党と、国会で自民党に対立している共産党は、一体どちらが本当の共産党なのでしょうか。我々おおさか維新の会は、こうした無責任な諸政党とは戦い、自民党にできない改革を進めてまいります。
 それでは、安倍総理、これから十一問の質問をさせていただきます。誠心誠意のお答えをよろしくお願いいたします。
 まず、統治機構改革についてお伺いをいたします。
 明治維新の改革以降、日本の都道府県制度は全く変わりませんでした。東京一極集中から多極分散型の道州制へ移行し、真の地方創生を図ることで、おおさか維新の会は、我が国の人口減少、少子化、高齢化問題を解決してまいります。
 自民党は、野党時代の二〇一二年に、道州制基本法案を作成し、衆院選の政権公約に、道州制基本法の早期制定後五年以内の道州制導入を目指すと明記していました。にもかかわらず、政権復帰すると、基本法案の国会提出すら見送ってしまいました。
 総理、みずからがおつくりになった道州制基本法案について、今後どのように進めていくつもりなのか、御答弁ください。
 我々おおさか維新の会は、その綱領の冒頭で統治機構改革を国民に示し、地方自治体が国家の意思決定に関与できる新しい仕組みを創設するために、統治機構改革実現のための憲法改正を提案いたします。
 また、さきの安保国会の質疑で、委員会は、遺憾ながら、違憲論議で終始をいたしました。日本においても、憲法裁判所、最高裁憲法部を創設することで、憲法論議がわかりやすいものになると思います。そのための発議に必要な参議院での三分の二の議席確保を目指してまいります。
 また、今国会では、議員立法で副首都法案を提案し、大阪を副首都として明確に位置づけてまいりたいと思います。
 総理は、憲法改正に必要な三分の二の議席確保のために、参議院選挙において、憲法改正を争点とすることを明確に国民に提示するおつもりがあるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 その憲法改正の最初の項目は、我が党は統治機構改革を行うべきだと考えておりますが、そのことについても御答弁ください。
 また、憲法裁判所の設置に関するお考え、私どもが提案する副首都法案についても総理の見解をお聞かせください。
 こうした統治機構改革は、後ほど述べます成長戦略と一体のものとして捉えるべきであります。大阪を副首都と明確に位置づけることで、日本の成長を担うエリアと位置づけられます。日本経済を二つのエンジンで引っ張ることが、一極集中型の国家を分権型国家に大転換させるために不可欠であります。
 そこで、総理に質問します。
 二〇二〇年に東京で開催されるオリンピック・パラリンピック大会に加えて、二〇二五年に予定されている国際博覧会、いわゆる万博を大阪に誘致すべきではありませんか。総理の御見解をお伺いします。
 私どもおおさか維新の会は、自助、共助、公助の範囲を明確にし、小さな行政機構をつくり、政府の過剰な関与、一部の人のための既得権を排除し、そこで生まれた財源を真の弱者支援と消費者サイドへの投入をいたします。これは、身を切る改革を断行するおおさか維新の会でなければできない政策です。
 私どもおおさか維新の会は、新たな成長戦略として、大阪府、大阪市の実績に基づいて、各種団体の民営化を提案いたします。民ができることは民に任せる。この成長戦略こそが日本経済を成長させることにもなると考えます。
 民営化政策は、一石三鳥の妙手でもあります。
 まず第一に経営効率化と経済成長、第二に財政の健全化、そして第三に天下り先の廃止による硬直した行政のスリム化です。
 安倍政権に欠けている政策は、この民営化視点での成長戦略です。これにより、最終的に政府のバランスシートを改善し、予算というフローばかりに着目しない国家運営を行うこともできます。
 甘利大臣の疑惑で話題となっているURについて、これまで幾度も民営化の俎上にのせられてきたにもかかわらず、自民党は民営化を先送りしてきました。
 URは、中堅勤労者向けの住宅供給という当初の政策目的を終了しているにもかかわらず、民間と同様の家賃水準で経営していることは民業圧迫であります。おおさか維新の会は、URを初め、百近くある独立行政法人を徹底して見直し、民営化を進めていくべきだと考えています。
 そこで、総理にお伺いをいたします。
 大阪府、大阪市における民営化政策の評価をお聞かせください。そして、成長戦略の大きな柱として、政府関係法人の民営化政策を安倍内閣で進めるおつもりはないか、御見解をお伺いいたします。
 財政健全化の手段として、安易な増税には絶対に頼るべきではありません。我が党は、来年四月からの消費税一〇%への税率アップに反対し、八%の据え置きを提案します。
 おおさか維新の会は、消費税の再増税には以下の前提が最低条件と考えております。
 まず、身を切る改革です。
 大阪では、五年前の統一地方選挙で過半数を獲得した直後に、府議会の定数二割削減を断行しました。昨年の人事院勧告についても、本日、松井知事が、大阪府では勧告を実施せず、身を切る改革を引き続き強力に実行していくことを決めました。
 国会でも、まず、国民との約束である議員定数の削減を断行すべきです。今回、衆議院に提案された小選挙区七増十三減等の案では国民は納得できないでしょう。身を切る改革とは、大阪府議会で行われた、定数を二割、百九議席から八十八議席に減らすような大幅削減のことです。今回のような靴の上から足をかくようなものであってはなりません。
 増税の前にやるべきこととして、政府内資産の徹底した見直しもあります。厳しい財政状況に鑑み、売れる資産は売却すべきです。
 次に、マクロ経済への配慮です。
 中国危機の影響が懸念される現状では、安倍総理は早急に来年四月からの消費税一〇%への増税見直しを行い、八%への据え置きを市場にアナウンスすべきであります。
 また、増税以前に、徹底した規制改革等の成長戦略を断行するべきです。現在掲げられている政策メニューでは、各分野での岩盤規制改革が全く足りず、十分な成長戦略とは言えません。
 以上、安倍政権は、必要な前提を欠いたまま、消費税を増税しようとしています。その上、軽減税率という不公平きわまる制度を出してきました。対象品目は、どう線引きしても不公平となり、高所得者も恩恵を受け、新たな利権も生み出します。
 総理、身を切る改革も政府資産見直しもなく、景気への配慮や成長戦略もないまま、来年四月からの消費税の一〇%への引き上げは行うべきではないとおおさか維新の会は強く考えております。総理のお考えをお聞かせください。
 我が党は、教育と就労の機会の平等を実現するため、教育の完全無償化を訴えています。大阪府では、二〇〇九年に、私立高校授業料の無償化を実現しました。我々は、この政策を徹底させ、日本全国に広げたいのです。
 総理、おおさか維新の会は、教育の完全無償化のための憲法改正を行うべきと考えています。教育完全無償化に対する考え方と憲法改正に盛り込むべきだという二つの提案について、お考えをお聞かせください。
 次に、TPP交渉について伺います。
 日本は、国際的なルールづくりに積極的に関与し、グローバル経済のイニシアチブを発揮すべきであります。
 しかしながら、安倍政権が進める農業を中心とした国内対策については、おおさか維新の会として評価できない施策が数多くあります。
 政府は、ウルグアイ・ラウンドの反省もなく、補助金など既存制度を前提に、TPPによる関税引き下げ、撤廃の影響を受ける農家への補填に重点を置いた施策を進めています。
 これでは、食料自給率の低下、農業人材の高齢化などの農業基盤の弱体化をとめるものにはなりません。生産性向上や輸出拡大につながる攻めの農業、抜本的な農業改革を進めていくことが不可欠であります。
 TPPの参加によって日本の農業がどのように成長するのか、生産額をもって具体的に御説明ください。
 また、ウルグアイ・ラウンドの際は、六兆円の予算を対策費として使いましたが、今回のTPP対策予算の総額を最終的にどのくらいにしようとお考えになっているのかもお聞かせください。
 次に、安全保障法制について質問します。
 昨年の通常国会、安保国会において、政府・与党の安保法制に対して、対案を提出いたしました。
 民主党は、国会外のデモなどと連携し、国会内においてもプラカードを持ち込み、反対のための反対に終始いたしました。私どもおおさか維新の会は、このような反対のための反対の国会戦略はいたしません。
 一月十二日、菅官房長官や中谷防衛大臣の会見で、沖縄尖閣諸島周辺に、中国軍艦等が我が国領海内に侵入した場合に、我が国は自衛艦を派遣し、海上警備行動をとる可能性がある旨を中国側に伝達いたしました。この意図と背景について御説明ください。
 防衛省は、他国による領海、領空侵犯の頻発する状況を踏まえ、昨年五月に、電話による閣議決定によって迅速化を図る意思決定を行うことといたしました。
 しかし、このような安易な仕組みではなく、武器使用基準も含めた法的枠組みをきちんと構築する必要性があると思います。
 現在の南シナ海、東シナ海における国際情勢を鑑みると、中国への伝達というようなことのみで領海侵犯行為がなくなるとは思えません。グレーゾーン事態に対応するため、切れ目のない対処を行う観点から、法的な根拠を定める立法をすべきだと考えています。
 おおさか維新の会は、仮称国境防衛法案を議員立法とし、日本の領空、領海侵犯に対する早急な対応を行うべく考えております。おおさか維新の会が議員立法として提案を予定している、仮称国境防衛法案についての総理のお考えをお聞かせください。
 沖縄問題についてお伺いをいたします。
 沖縄問題イコール普天間基地の辺野古移設問題であります。つまり、辺野古移設問題の解決なくして、沖縄問題の解決はあり得ないということであります。
 辺野古移設問題の現状は、国と沖縄県が激しく対立し、お互いがみずからの主張だけを言い続けております。この国と沖縄県が政治、行政、司法、工事手続などで対立していることは、沖縄県民は残念な思いをお持ちであると思います。
 戦後、沖縄県民は、二十七年間を異民族支配で苦しみ、四十三年間は全国の米軍基地の七〇%以上の過重な負担を背負い、日米安保条約の根幹を支えるために、みずからの土地をみずからの意思に反して米軍に提供し続けてまいりました。その沖縄県民が、いかなる理由であれ国から裁判によって訴えられることに、じくじたる思いがあります。
 この問題は、行政、司法によって解決が図れるようなものではありません。安倍総理と沖縄県の翁長知事が、政治家として胸襟を開いた真摯な交渉を行い、解決すべきです。
 辺野古問題は、強引に進めては、今後も日米安保の根幹を支える沖縄県が混乱し、長期的なビジョンから見て、正しい選択ではありません。安倍総理と翁長知事は、もう一度、総理主導のもと対話の窓口を開き、政治交渉を行うべきです。そして、行政、司法のみを重視しない解決策を模索するというメッセージを発するべきです。総理のお考えをお聞かせください。
 我が国は、外交、安保の基軸を日米同盟に置き、法の支配、自由主義、民主主義の価値観を共有する国々との連携を図りながら、世界平和に貢献していくべきです。
 また、北朝鮮問題については、拉致問題、核問題を圧力と対話の外交戦略を組み立てながら早急な解決を図り、拉致被害者家族の皆さんに笑顔が戻るために政治が努力しなければなりません。
 この北朝鮮問題の解決には韓国との連携が死活的に重要であることは言うまでもありません。今回の慰安婦問題の解決は、拉致問題と核問題の解決を図る上においても大きな前進であったと高く評価するものであります。
 しかし、日本国民の中に、慰安婦像の早急な撤去を望む声が強くあります。韓国との信頼関係を構築しながら、早急に解決をしていただきたいと思います。
 そこで、お伺いします。
 総理、韓国との連携のもと、どのように拉致問題を解決するための戦略をお持ちなのか、お聞かせください。
 私は以上十一項目の質問をさせていただきましたが、うち六つが、おおさか維新の会からの新たな提案です。
 私どもは、政権交代政党として国民から選ばれたいという強い思いで、国会運営において批判よりも提案を重視しております。それは国民が望む政党の姿であると信じているからです。これから始まる予算委員会の審議においては、多くの政策を提案してまいります。
 私どもおおさか維新の会は、与党でもない、野党でもない、提案型責任政党として、国会の場において政権に対して真正面から論戦を挑んでまいりたいと考えています。
 今国会は、私どもおおさか維新の会にとっては初陣であります。安倍総理にも私たちの挑戦、提案をしっかりと受けとめていただき、国民から見た国会がわくわく、どきどきするものとなるよう……
○副議長(川端達夫君) 馬場伸幸君、申し合わせの時間が過ぎましたから、簡潔にお願いいたします。
○馬場伸幸君(続) 私たちの持てる力を全て出し切り頑張ってまいることをお誓いし、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 馬場伸幸議員にお答えをいたします。
 道州制についてのお尋ねがありました。
 道州制の導入は、地域経済の活性化や行政の効率化などを目指し、国と地方のあり方を根底から見直す大きな改革です。
 現在、与党において、基本法案の取り扱いを含め、道州制の議論を前に進めるべく検討が重ねられているところであり、政府としても、連携を深め、取り組んでまいります。
 いずれにせよ、国と地方のあるべき姿、地方分権改革については、御党の御主張なども含め、引き続き建設的な議論を続けてまいります。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 自由民主党は、党是として、立党以来ずっと憲法改正を主張してきており、今後とも、これまで同様、公約に掲げ、しっかりと訴えてまいります。
 御党がこの問題に真摯に取り組み、具体的な改正項目を検討されていることに敬意を表しますが、どの条項をどのように改正するかについては、国会や国民的な議論と理解の深まりの中でおのずと定まってくるものであり、今後、御党を初め、各党各会派で広く御議論いただいた上、国民的な議論を深めていくことが必要であると考えています。
 大阪への万博の誘致についてお尋ねがありました。
 万博を国内に誘致することは、開催国の魅力を丸ごと世界に発信する絶好の機会です。国民が広く参加することで、日本が元気になる起爆剤となります。
 現在、大阪府が二〇二五年の万博の誘致に取り組んでいると承知しております。
 昨年大阪府が開催した検討会においては、地元の機運の醸成やコンセプトづくり等が課題として挙げられています。誘致に当たっては、地元の支持の状況や、テーマや期間、収支計画等について、国が博覧会国際事務局の審査を受けるため、他国と競争できるよう、これらの具体化が求められます。
 政府としては、今後、大阪府の検討状況をよくお伺いしながら、計画の実現性を見きわめていきたいと考えています。
 民営化政策についてお尋ねがありました。
 民間の資金、経営能力、技術的能力を活用することは、産業競争力の強化のみならず、財政健全化を図る上でも極めて重要です。
 例えば、大阪が地下鉄やバス等の民営化を通じてコスト削減とサービス向上の双方を実現しようとしている点には注目しています。
 独立行政法人については、民でできることは民でという原則にのっとり、民営化を含む組織の見直しを行い、平成二十五年十二月には百あった法人を、平成二十九年四月までに八十七へと整理することとしております。
 御指摘のあったURについては、既に分譲住宅や新規のニュータウン開発から撤退し、現在は、子育てや高齢者世帯などが安心して住み続けられる賃貸住宅、都市再生事業、被災地の復興事業などに役割を重点化しています。引き続き、民業補完を徹底してまいります。
 行政改革は不断の見直しが必要です。御党とも精力的に議論しながら、改革を前に進めてまいりたいと考えております。
 消費税率の引き上げについてお尋ねがありました。
 御党の主張する身を切る改革についてですが、私は、今回衆議院選挙制度に関する調査会から出された答申を各党各会派が尊重し、真摯に議論を行い、早期に結論を得ることによって、国民の負託にしっかり応えていくべきであると考えています。
 政府の保有資産については、不要な資産の売却とともに、有効活用の観点を踏まえ、適切な管理処分を進めてまいります。
 来年四月の消費税率一〇%への引き上げは、世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの国の信認を確保するためのものであり、リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り、確実に実施します。
 今後も、賃上げの流れを続けるとともに、成長戦略を進化させ、イノベーションを促すことにより、経済の好循環を力強く回し、そのための経済状況をつくり出してまいります。
 教育の無償化についてお尋ねがありました。
 子供たちの未来が家庭の経済事情によって左右されることがあってはなりません。このような思いについては御党とも共有しているのではないかと考えております。
 政府としては、来年度予算において、幼児教育無償化の段階的推進、奨学金や授業料免除の拡大などを盛り込んでおります。今後とも、教育費負担の軽減に努めてまいります。
 なお、憲法改正には国民の理解が必要不可欠であり、具体的な改正の内容についても、国会や国民的な議論の深まりの中でおのずと定まってくるものと考えております。
 TPPと農業の成長についてお尋ねがありました。
 TPPの農林水産分野への影響については、関税削減等の影響で、価格低下により約一千三百億円から二千億円の生産額の減少が見込まれるものの、体質強化対策による生産コストの低減や品質の向上、経営安定化対策などの国内対策により、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されるものと見込んでおります。
 これに加え、安倍内閣では、六十年ぶりの農協改革など、農政全般にわたる抜本的な改革を進めてきております。特に輸出については、総合的なTPP関連政策大綱において、平成三十二年の農林水産物、食品の輸出額一兆円の前倒し達成を目指すことを目標として掲げ、さらに拡大していくこととしております。
 以上のような取り組みを通じ、TPP協定のもとで農林水産業の成長産業化を実現してまいります。
 TPP対策予算の総枠についてお尋ねがありました。
 ウルグアイ・ラウンド対策の問題は、内容の具体化よりも規模の積み上げが先行したことでありました。TPP対策については、金額ありきではなく、あくまで必要な施策を具体化することが先決です。
 農業に関しては、総合的なTPP関連政策大綱に基づき、攻めの農業に転換するための体質強化策や重要五品目関連の経営安定対策など、万全の措置を講じてまいります。今般、さらなる体質強化策を検討する体制も整備しました。
 大切なことは、意欲ある生産者が安定して再生産に取り組めるようにしていくこと、そして、若者が将来に夢や希望を持てる分野にしていくことです。そのために必要な政策を具体化し、効果的、効率的に推進してまいります。
 尖閣諸島周辺における海上警備行動の発令についてお尋ねがありました。
 政府においては、昨年五月、我が国の領海等で無害通航に該当しない航行を行う外国軍艦への対処に関し、海上警備行動を発令し、自衛隊の部隊により退去要求等の措置を行うことを基本とする旨閣議決定し、公にいたしました。
 なお、政府は、例えば昨年十一月、中国海軍の情報収集艦が尖閣諸島周辺を反復航行した際等に、外交ルートを通じた関心表明を実施していますが、外交上の具体的なやりとりについてはお答えを差し控えさせていただきます。
 政府としては、我が国の領土、領海、領空を守るため、引き続き緊張感を持って、情報収集や警戒監視等に万全を期してまいります。
 日本の領空、領海侵犯への対応についてお尋ねがありました。
 政府においては、昨年五月、武力攻撃に至らない侵害に際し、いかなる不法行為に対しても切れ目のない十分な対応を確保するため、海上警備行動等の発令手続の迅速化のための閣議決定を行ったところです。
 また、警察や海上保安庁などの関係機関において、対応能力の向上、情報共有、連携の強化、各種訓練の充実など、必要な取り組みを一層推進しているところであります。
 これらにより、現下の安全保障環境において、武力攻撃に至らない侵害に際し、切れ目のない十分な対応を確保するための体制を整備したところであり、現時点では、新たな法整備が必要であるとは考えていません。
 もとより、我が国の領空、領海を守るため、その時々の情勢に最も適した対応は何かについて、御党の御主張なども含め、今後とも建設的な議論を続けてまいります。
 普天間飛行場の移設についてお尋ねがありました。
 学校や住宅に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の全面返還を日米で合意してから二十年がたちました。もはや先送りは許されません。一日も早い全面返還を現実のものとするためには、辺野古への移設を着実に進める必要があります。
 このような重要な課題に真正面から向き合い、結果を出していくことは、政治に課せられた大きな使命であります。
 沖縄県との間では、昨年、一カ月にわたり集中的に協議を行い、安倍内閣としての負担軽減や沖縄振興にかける思いを申し上げました。
 政府が行った代執行等の手続は、著しく公益を害する違法な行為を是正するため万やむを得ない措置であり、我々は、対話の窓を閉ざすことは決してありません。沖縄県との協議を継続していく考えであります。
 沖縄の皆さんと対話を重ね、理解を得る努力を粘り強く続けながら、あすの沖縄をともに切り開いていく覚悟であります。
 拉致問題についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、北朝鮮への対応に当たっては、日韓の緊密な連携が極めて重要です。
 慰安婦問題に関する合意があったからこそ、北朝鮮による核実験の直後に、朴大統領に電話し、日韓で緊密に協力して対応していくことを確認することができました。
 韓国は、戦略的利益を共有する最も重要な隣国であり、慰安婦問題に関する合意も踏まえ、拉致問題への対応を含む日韓間の協力体制を一層強化していきたいと考えます。
 政府としては、引き続き、関係国と緊密に連携しつつ、対話と圧力、行動対行動の原則のもと、拉致問題の解決に向けて全力を尽くしてまいります。(拍手)
○副議長(川端達夫君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(川端達夫君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十八分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       財務大臣     麻生 太郎君
       総務大臣     高市 早苗君
       法務大臣     岩城 光英君
       外務大臣     岸田 文雄君
       文部科学大臣   馳   浩君
       厚生労働大臣   塩崎 恭久君
       農林水産大臣   森山  裕君
       経済産業大臣   林  幹雄君
       国土交通大臣   石井 啓一君
       環境大臣     丸川 珠代君
       防衛大臣     中谷  元君
       国務大臣     甘利  明君
       国務大臣     石破  茂君
       国務大臣     遠藤 利明君
       国務大臣     加藤 勝信君
       国務大臣     河野 太郎君
       国務大臣     島尻安伊子君
       国務大臣     菅  義偉君
       国務大臣     高木  毅君
 出席内閣官房副長官
       内閣官房副長官  萩生田光一君
 出席政府特別補佐人
       内閣法制局長官  横畠 裕介君

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