190回通常国会 衆議院本会議 第6号-国会発言議事録

   

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第190回国会 本会議 第6号
平成二十八年一月二十二日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第五号
  平成二十八年一月二十二日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説
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○本日の会議に付した案件
 安倍内閣総理大臣の施政方針に関する演説
 岸田外務大臣の外交に関する演説
 麻生財務大臣の財政に関する演説
 甘利国務大臣の経済に関する演説
    午後二時二分開議
○議長(大島理森君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説
○議長(大島理森君) 内閣総理大臣から施政方針に関する演説、外務大臣から外交に関する演説、財務大臣から財政に関する演説、甘利国務大臣から経済に関する演説のため、発言を求められております。順次これを許します。内閣総理大臣安倍晋三君。
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 開国か、攘夷か。
 百五十年前の日本は、その方針すら決められませんでした。終わらない議論、曖昧な結論、そして責任の回避。滅び行く徳川幕府を見て、小栗上野介はこう嘆きました。
  一言以て 国を亡ぼすべきもの ありや、
  どうかなろう と云う一言、これなり
  幕府が滅亡したるは この一言なり
 国民から負託を受けた私たち国会議員は、どうにかなるではいけません。自分たちの手でどうにかする。現実を直視し、解決策を示し、そして実行する。その大きな責任があります。
 経済成長、少子高齢化、厳しさを増す安全保障環境。この国会に求められていることは、こうした懸案に真正面から挑戦する、答えを出すことであります。
 批判だけに明け暮れ、対案を示さず、後はどうにかなる、そういう態度は国民に対してまことに無責任であります。ぜひとも、具体的な政策をぶつけ合い、建設的な議論を行おうではありませんか。
 私たち自由民主党と公明党の連立政権は、決して逃げません。安定した政治基盤のもと、そして、この三年間の大きな実績の上に、いかなる困難な課題にも果敢に挑戦してまいります。
 世界経済の不透明感が増しています。これまで力強く成長を牽引してきた新興国経済に弱さが見られます。
 二十一世紀に入って十五年。安い労働力、緩い環境規制、より安く生産できる地を求め、新興国への投資が拡大しました。工業化は人々を豊かにし、新興国に大きなマーケットを生み出しました。
 しかし、経済が成長すれば、労働コストは上がる、公害も発生します。より安くを追い求めるデフレ型の経済成長には、おのずと限界があります。そのリスクが顕在化する前に、世界が目指すべき新しい成長軌道をつくらねばなりません。
 イノベーションによって新しい付加価値を生み出し、持続的な成長を確保する。より安くではなく、よりよいに挑戦する、イノベーション型の経済成長へと転換しなければなりません。
 模倣、過酷な労働、環境への負荷。安かろう悪かろうは、世界のマーケットから一掃すべきであります。二十一世紀にふさわしい経済ルールを世界へと広げる大いなる挑戦。TPPは、その最初の一歩であります。
 イノベーションを次々と生み出す社会へと変革する。その鍵は多様性であります。三人寄れば文殊の知恵。多様性の中から新たなアイデアが生まれ、イノベーションが起こる。一億総活躍は、そうした新しい経済社会システムをつくる挑戦であります。
 自然との共存の中で育まれた、おいしくて安全な日本の農産物。環境と調和し、最大限の省エネを追求してきたメード・イン・ジャパンの品質。日本は、古来、付加価値の高い物づくりを実践してきました。そのマインドを世界へと広げる。日本のリーダーシップが求められています。
 伊勢神宮、美しい入り江。日本の長い伝統や文化、豊かな自然を感じられる伊勢志摩の地で開く五月のサミットは、その大きな舞台であります。基本的価値を共有する主要国のリーダーたちと、世界経済の未来を論じ、新しい挑戦を始める、そのようなサミットにする決意であります。
 人口八億人、GDP三千兆円を超える巨大な経済圏。TPPの誕生は、我が国のGDPを十四兆円押し上げ、八十万人もの新しい雇用を生み出します。
 一方で、TPPによって農業を続けることができなくなるのではないか、多くの農家の皆さんが不安を抱いておられます。美しい田園風景、伝統あるふるさと、助け合いの農村文化。日本が誇るこうした国柄をしっかりと守っていく。安倍内閣の決意は、決して揺らぐことはありません。
 米や麦、砂糖・でん粉、牛肉・豚肉、そして乳製品。日本の農業を長らく支えてきた重要品目については、関税撤廃の例外を確保いたしました。二年半にわたる粘り強い交渉によって、国益にかなう最善の結果を得ることができました。さらに、生産者の皆さんが安心して再生産に取り組むことができるよう、農業の体質強化と経営安定化のための万全の対策を講じます。
 北海道十勝の雄大な大地が育てた生乳は、現在、ソフトクリームの原料に加工され、輸出を大幅にふやしています。
 二〇二〇年までに農林水産物の輸出を一兆円にふやす。この目標を三年前に掲げたとき、無理だという声が上がりました。できないとも言われた。しかし、輸出額は昨年七千億円規模に達し、その結果、過去最高を三年連続で更新しました。
 一兆円目標も二〇二〇年より前倒しで達成いたします。おいしくて安全な日本の農産物にとって、TPPはピンチではありません。世界に売り込む大きなチャンスであります。
 朝早く起き、額に汗して草を引き、精魂込めて作物をこしらえてきた農家の皆さんの手間暇が真っ当に評価されるようになる。それがTPPです。
 農産物の地理的表示を初め、投資、労働、環境など幅広い分野で、透明で公正なルールが共有されます。日米両国が主導して、よいものがよいと評価される経済ルールを世界へと広げる。TPPはまさに国家百年の計であります。
 その先には、欧州とのEPA、インドや中国を含めたRCEPなど、自由で公正な経済圏をさらに拡大するため、交渉を加速します。経済統合を大胆に進め、海外の活力を日本の成長へと取り込んでまいります。
 この機に、農林水産業の付加価値をさらに高め、農業、農村の所得倍増へ取り組みを加速します。
 夕張メロン、あおもりカシス、神戸ビーフ。農産物のブランド化を支援します。新たな加工品の開発など六次産業化のチャレンジへの支援を強化してまいります。
 意欲ある担い手への農地集約を加速します。農地集積バンクに貸し付けられた農地への固定資産税を半減する一方、耕作放棄地への課税を強化します。大規模化、大区画化を進め、国際競争力を強化してまいります。
 攻めの農政のもと、四十代以下の新規就農者が年間二万人を超え、この八年間で最も多くなりました。
 きつい仕事だが、やりがいがあります。
 和歌山で出会った若手林業者の言葉です。緑の雇用事業で家族とともにIターンして十一年、地域の林業を支える人材となりました。
 若者が将来に夢や希望を持てる農業へと改革する。農政新時代を、皆さん、ともに切り開いていこうではありませんか。
 TPPのもとでは、技術移転を強制するような不当な要求が行われることは一切なくなります。知的財産も保護されます。高い技術力を持つ全国津々浦々の中小・小規模事業者、中堅企業にとって、TPPは大きなチャンスです。
 中小・小規模事業者、中堅企業もまた、グローバルな経営が求められる時代です。
 中小企業版の競争力強化法を制定します。海外も視野に入れた営業活動、高度な経営管理、そのための人材育成を支援します。生産性を高める設備投資については、固定資産税を三年間半減する大胆な減税を行います。世界にネットワークを持つジェトロを中心に、企画段階から販路開拓、商談までを一貫して支援する体制を構築してまいります。
 岩手から世界へ。震災を乗り越えた奇跡のしょうゆは、昨年、フランスへ輸出が始まりました。漁網を編む宮城気仙沼の伝統は、地元の女性たちによって手編みのセーターに生まれ変わりました。福島の土湯温泉では、地熱エネルギーを利用して、新しい産品や体験ツアーを開発し、にぎわいを取り戻そうとしています。
 新しい産業の芽が、東北から次々と育っている。既に二十五回を数えた被災地訪問のたび、地元の皆さんの復興への情熱を感じます。
 来年春までに、計画の八五%に当たる二万五千戸の災害公営住宅が完成し、高台移転も七割で工事が完了する見込みです。
 この春、ほぼ全ての漁港が復旧します。来年には、全ての水産加工施設の再開を目指します。農地は八割が作付可能となる予定です。なりわいの復興も本格化し、復興は新たなステージへと入ります。
 今後五年間を復興・創生期間と位置づけ、六兆五千億円の財源を確保し、被災地の自立につながる支援を行ってまいります。
 福島では、来年春までに、帰還困難区域を除く避難指示を解除し、一人でも多くの方にふるさとへと戻っていただけるよう、廃炉・汚染水対策を着実に進め、中間貯蔵施設の建設と除染を一層加速し、生活インフラの復旧に全力で取り組んでまいります。
 明るい日差しが見えてきた。
 大熊町では復興拠点計画が動き出しました。植物工場、メガソーラー。復興は、単なる復旧であってはならない。新しいものをつくり出す、新しい可能性に挑戦するチャンスです。まさに地方創生の先駆けであります。被災地の皆さんのふるさとへの思い、復興への熱意をこれからも全力で応援してまいります。
 地方創生の原動力。それは、地方の皆さんの情熱であります。
 本年三月までにほぼ全ての自治体で、各地方の創生に向けた総合戦略が策定されます。自分たちの未来を自分たちの創意工夫で切り開く。地方の意欲的なチャレンジを自由度の高い地方創生交付金によって応援します。
 地方の発意による、地方のための分権改革を進めます。自治体が地方版ハローワークを設置し、住民相談や企業支援と一体となった職業紹介が行われるようにします。
 アベノミクスによって、来年度の地方税収は、政権交代前から五兆円以上増加し、過去最高となりました。この果実を全国津々浦々にお届けする。消費税率引き上げ時に、地方法人税を拡充し、中央に偏りがちな税収の再分配を行うことで、過疎に直面する地方にも財源をしっかりと確保してまいります。
 企業版のふるさと納税制度をスタートします。民間の力も大いに生かしながら、ダイナミックに地方創生を進めてまいります。
 安全で安心な暮らしを守るため、サイバー犯罪、サイバー攻撃への対策を強化します。高齢者を狙った悪質商法には、規制を強化し、消費者の迅速な救済を図ります。基礎ぐい工事問題については、再発防止に向け、明確なルールをつくり、適切な施工が行われる体制を整備します。
 先般のスキーバスの事故では、多くの未来ある若者たちの命が絶たれました。亡くなられた方々の御冥福と、負傷された方々の一日も早い回復を心よりお祈りします。徹底して原因を究明し、悲劇を二度と繰り返さないため万全の対策を講じます。
 昨年も関東・東北豪雨を初め自然災害が相次ぎました。堤防の強化対策、避難訓練の実施、的確な防災情報の提供など、事前防災・減災対策に徹底して取り組み、国土強靱化を進めてまいります。
 リニア中央新幹線が本格着工しました。東京と大阪を一時間で結ぶ夢の超特急。最先端技術の結晶です。
 三月に北海道新幹線が開業します。札幌へと工事を続けます。九州新幹線も着実に長崎へと参ります。東京から富山、金沢を貫く北陸新幹線も、敦賀へと延伸することで、大阪へとつながる回廊が生まれます。
 大阪や東京が大きなハブとなって、北から南まで、地方と地方をつないでいく。地方創生回廊をつくり上げ、全国を一つの経済圏に統合することで、地方に成長のチャンスを生み出してまいります。
 外国人観光客は、三年連続で過去最高を更新し、政権交代前の二倍以上、一千九百万人を超えました。二十年前、三兆円の赤字であった旅行収支は、五十五年ぶりに黒字となり、今年度は一兆円を超える黒字が見込まれます。
 次は三千万人、いや、さらなる高みを目指してまいります。戦略的なビザの緩和や、いわゆる民泊を拡大する規制改革を進めます。羽田空港の容量拡大に着手し、国内の税関や検疫、出入国管理の体制を一層拡充してまいります。
 沖縄石垣港を訪れる大型クルーズ船は、この三年で二倍近くにふえました。町で石垣牛を食べ、お土産に黒糖を買う。周辺の島へと足を延ばす観光客もいて、島々が沸いています。二年後の供用開始に向け、新しい岸壁の整備を進めます。アジアとのハブである沖縄の成長の可能性を開花させるため、今年度を上回る予算を確保してまいります。
 免税店の数は、この一年で一気に三倍、三万店にふえました。さらなる手続の簡素化、免税対象金額の引き下げを行い、年三兆円を上回る外国人観光客の旺盛な消費を、地方が誇るふるさと名物の拡大につなげてまいります。
 豊かな自然、文化や歴史、食など、地方にはそれぞれのオンリーワンがあります。それを付加価値へと変えることで、過疎化というマイナスの流れをプラスへと大きく転換する。地方創生の実現に向かって、皆さん、ともに挑戦しようではありませんか。
 金星への挑戦。探査機「あかつき」は、五年前、その挑戦に失敗しました。しかし、くじけなかった。先月、再チャレンジに成功しました。その投入軌道を、二年半、数万通りに及ぶ執念の計算から導き出したのは、一人の女性研究者です。
 家族に感謝したい。
 そう語る廣瀬史子さんは、この五年の間に、結婚、そして出産を経験し、育児休業を取得した後、再びプロジェクトに復帰し、成功の瞬間に立ち会いました。
 女性も男性も、お年寄りも若者も、一度失敗を経験した人も、障害や難病のある人も、誰もが活躍できる社会。その多様性の中から、新たなアイデアが生まれ、イノベーションが沸き起こるはずです。
 一億総活躍への挑戦を始めます。
 最も重要な課題は、一人一人の事情に応じた多様な働き方が可能な社会への変革。そして、ワーク・ライフ・バランスの確保であります。
 労働時間に画一的な枠をはめる従来の労働制度、社会の発想を大きく改めていかなければなりません。フレックスタイム制度を拡充します。専門性の高い仕事では、時間ではなく成果で評価する新しい労働制度を選択できるようにします。
 時間外労働への割り増し賃金の引き上げなどにより長時間労働を抑制します。さらに、年次有給休暇を確実に取得できるようにする仕組みをつくり、働き過ぎを防ぎます。
 女性が活躍できる社会づくりを加速します。妊娠や出産、育児休業などを理由とする上司や同僚による嫌がらせ、いわゆるマタハラの防止措置を事業者に義務づけます。男性による育児休業を積極的に促す事業者には、新しい助成金を創設します。
 障害者総合支援法を改正し、障害者の皆さんが自立した生活を送り、職場に定着、就業を継続できるよう、きめ細かな支援を行ってまいります。
 非正規雇用の皆さんの均衡待遇の確保に取り組みます。短時間労働者への被用者保険の適用を拡大します。正社員化や処遇改善を進める事業者へのキャリアアップ助成金を拡充します。契約社員でも、原則一年以上働いていれば、育児休業や介護休業を取得できるようにします。さらに、本年取りまとめるニッポン一億総活躍プランでは、同一労働同一賃金の実現に踏み込む考えであります。
 介護で自分の人生を犠牲にされたと思わずに済むような社会にしたい、そう訴える介護経験者の方の言葉が胸に刺さりました。
 介護離職者は年間十万人を超えています。離職を機に、高齢者と現役世代が共倒れする現実もあります。日本の大黒柱、団塊ジュニア世代が大量離職すれば、経済社会は成り立ちません。
 介護離職ゼロという明確な目標を掲げ、現役世代の安心も確保する社会保障制度へと改革を進めてまいります。
 在宅介護の負担を軽減します。特別養護老人ホームやサービスつき高齢者住宅など、多様な介護の受け皿を二〇二〇年代初頭までに五十万人分整備します。介護施設には、首都圏などの国有地を安く提供いたします。
 介護福祉士を志す学生には、返還を免除する奨学金制度を充実します。一旦仕事を離れた人が復職する場合には、再就職の準備金を支給します。あらゆる施策を総動員し、今後二十五万人の介護人材を確保してまいります。
 介護休業の分割取得を可能にし、休業中の給付を四〇%から六七%に引き上げます。所定外労働の免除、短時間勤務などを可能とし、仕事と介護が両立できる社会をつくり上げてまいります。
 高齢者の皆さんの七割近くが、六十五歳を超えても働きたいと願っておられる。大変勇気づけられる数字です。
 高齢者も雇用保険の適用対象とし、再就職を支援するなど、多様な就労機会を提供します。さらに、ニッポン一億総活躍プランでは、定年延長に積極的な企業への支援など、定年引き上げに向けた環境を整え、働きたいと願う高齢者の皆さんに道を開いてまいります。
 いつまでも元気で、その豊富な経験や知恵をあたう限り社会で発揮していただきたい。生涯現役社会。単なるスローガンはもう要りません。それを現実のものにしていこうではありませんか。
 一億総活躍の最も根源的な課題は、人口減少問題に立ち向かうこと。五十年後も人口一億人を維持することであります。長年放置されてきたこの課題への挑戦をスタートします。
 希望出生率一・八の実現を目指します。
 一人でも多くの若者たちの結婚や出産の希望をかなえてあげたい。所得の低い若者たちには、新婚生活への経済的支援を行います。不妊治療への支援を拡充します。産前産後期間の年金保険料を免除し、出産の負担を軽減します。妊娠から出産、子育てまで、さまざまな不安の相談に応じる子育て世代包括支援センターを全国に展開してまいります。
 仕事をしながら子育てできる、そういう社会にしなければなりません。
 病児保育の充実など、子ども・子育て支援を強化します。目標を上積みし、平成二十九年度末までに、合計で五十万人分の保育の受け皿を整備してまいります。返還免除型の奨学金の拡充、再就職準備金などの支援を行い、九万人の保育士を確保します。待機児童ゼロを必ず実現してまいります。
 大家族による支え合いを応援します。二世帯住宅の建設を支援します。URの賃貸住宅では近居割を五%から二〇%へと拡大します。新しい住生活基本計画を策定し、三世代の同居や近居に対する支援に本格的に取り組んでまいります。
 子供たちの未来が、家庭の経済事情によって左右されるようなことがあってはなりません。
 一人親家庭への支援を拡充します。所得の低い世帯には児童扶養手当の加算を倍増し、第二子は月一万円、第三子以降は月六千円を支給します。
 幼児教育無償化の実現に一歩一歩進んでまいります。所得の低い世帯については、兄弟姉妹の年齢に関係なく、第二子は半額、第三子以降は無償にします。
 高校生への奨学給付金を拡充します。本年採用する大学進学予定者から、卒業後の所得に応じて返還額が変わる新たな奨学金制度がスタートします。希望すれば誰もが、高校にも、専修学校、大学にも進学できる環境を整えます。
 いじめや発達障害などさまざまな事情で不登校となっている子供たちも、自信を持って学んでいける環境を整えます。フリースクールの子供たちへの支援に初めて踏み込みます。子供たち一人一人の個性を大切にする教育再生を進めてまいります。
 日本の未来。それは子供たちであります。子供たちの誰もが、頑張れば、大きな夢を紡いでいくことができる。そうした社会を、皆さん、ともにつくり上げていこうではありませんか。
 三年間のアベノミクスは、大きな果実を生み出しました。
 名目GDPは二十八兆円ふえました。国民総所得は四十兆円近く増加し、政権交代選挙で国民の皆様にお約束した、失われた国民総所得五十兆円の奪還は、本年、実現する見込みであります。
 来年度予算の税収は十五兆円ふえています。社会保障を初めとする歳出の伸びを抑制し、基礎的財政収支の赤字は、政権交代前の半分以下、十兆円余りにまで減りました。
 経済再生なくして財政再建なし。二〇二〇年度の財政健全化目標を堅持します。行政改革も不断に進めてまいります。来年四月の消費税率引き上げでは、酒類と外食を除く全ての食品について、一〇%に引き上げることなく八%に軽減し、日々の生活で幅広い消費者の皆さんに負担軽減を実感していただけるよう準備を進めます。
 企業収益は過去最高となりました。中小企業の倒産は、政権交代前と比べて二割減り、一昨年、二十四年ぶりに一万件を下回りました。昨年はさらに一割近く減少しています。
 雇用は百十万人以上ふえ、正社員も増加に転じました。正社員の有効求人倍率は、政権交代前より五割上昇し、統計開始以来最高の水準です。昨年は十七年ぶりの高い賃上げも実現しました。
 強い経済、成長の果実なくして、分配を続けることはできません。成長と分配の好循環をつくり上げてまいります。
 介護離職ゼロ、希望出生率一・八という二つの的を射抜くためにも、また、その安定的な基盤の上に、戦後最大のGDP六百兆円というもう一つの的を掲げ、新しい三本の矢を放ちます。
 この春も、企業収益の拡大を賃金の上昇へとつなげる。昨年を上回る賃上げを目指すことで、政府と経済界の認識が一致しました。原材料コストの価格への転嫁など、下請企業の取引条件の改善に官民で取り組みながら、最低賃金についても、千円を目指し、年率三%を目途に引き上げます。
 昨年の七月、八月、九月、企業の設備投資は一年前と比べ一一%以上伸びました。三年後にはさらに十兆円上積みできる。その認識で経済界と一致いたしました。
 法人実効税率を来年度から一気に二〇%台へと引き下げ、国際的に遜色のない水準へと法人税改革を断行します。中小・小規模事業者には固定資産税の大胆な減税を行い、投資収益率を高め、国内の設備投資を後押しします。
 経済の好循環によって内需を押し上げてまいります。
 日本がこれからも力強く成長を続ける。その成否は、イノベーションにかかっています。
 五十年間で五十六億人を輸送し、死亡事故ゼロ。年間十二万本を運行し、おくれは一分以内。新幹線技術は、日本が誇るイノベーションであります。トップセールスが実を結び、インドでその採用が決まりました。エネルギー、都市開発、日本には質の高いインフラがあります。JBICに新勘定を創設し、世界へと売り込んでまいります。
 地球温暖化対策は、新しいイノベーションを生み出すチャンスです。主要排出国を含む全ての国が参加するパリ協定を歓迎します。温室効果ガスの排出量を二〇三〇年度までに二〇一三年度比で二六%削減するとの目標のもと、省エネルギーと再生可能エネルギーの大胆な技術革新、最大限の導入を進めてまいります。十五年間で、次世代自動車の販売を新車全体の七割にまで引き上げ、自動車市場の姿を一変させます。
 人工知能、ロボット、IoT、宇宙など、次世代を切り開く挑戦的な研究を支援し、大胆な規制改革によって新しい可能性を開花させてまいります。国産資源であるメタンハイドレートの商業化を目指し、調査、開発を進めます。
 筋肉が衰える難病。その皆さんが自分の足で歩くことができる。夢のロボットスーツの技術は、筑波大学で誕生しました。企業の協力を得て製品開発に成功。海外の企業とも連携し、欧州に展開する製品となりました。
 国内外の研究機関、大学、企業のオープンな連携から、ダイナミックなイノベーションが生まれる。あらゆる壁を取り払ってまいります。新しい科学技術基本計画の最大のテーマは、オープンイノベーション。研究開発法人には、世界じゅうから超一流の研究者を集めます。大学では、国内外の優秀な人材を集めて経営を革新し、積極的な産学連携など、攻めの経営を促します。
 日本を世界で最もイノベーションに適した国としていく。その決意であります。
 さて、この三年間で、六十三の国と地域を訪問し、首脳会談は四百回を超えました。
 地球儀を大きく俯瞰しながら、積極的な平和外交、経済外交を展開する。そして、アジアから環太平洋地域に及ぶこの地域の平和と繁栄を、確固たるものにしていく。日本こそがその牽引役であり、私たちはその大きな責任を果たしていかなければなりません。
 そのことが、我が国自身の平和を守り、さらなる繁栄を築く道であります。そう確信しております。
 自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有する国々との連携を一層深めます。
 ASEAN、豪州、インド、欧州とは、これまでも、戦略的なパートナーとしてそのきずなを深めてきました。この協力関係を、より広く、より深く強化してまいります。
 韓国とは、昨年末、慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認し、長年の懸案に終止符を打ちました。戦略的利益を共有する最も重要な隣国として、新しい時代の協力関係を築き、東アジアの平和と繁栄を確かなものとしてまいります。
 中国の平和的な台頭は、日本にとっても世界にとっても大きなチャンスです。戦略的互恵関係の原則のもと、関係改善の流れを一層強化します。地域の平和と繁栄に大きな責任を持つ日中両国が、大局的な観点から、安定的に友好関係を発展させることで、国際社会の期待に応えてまいります。
 ロシアとは、世界が直面するさまざまな課題にともに立ち向かう関係を築きたい。ウクライナ情勢については、G7の連帯を重視しつつ対処いたします。領土問題の解決、平和条約の締結に向けて、経済、エネルギー、文化など幅広い分野で関係強化を一歩一歩進めます。あらゆる機会を見つけて対話を重ねてまいります。
 こうした外交を展開するその基軸は、日米同盟であります。
 普遍的な価値で結ばれた日米同盟、世界第一位と第三位の経済大国による日米同盟は、世界の平和と繁栄のため、ともに行動する希望の同盟であります。
 貧困、感染症、気候変動。人間の安全保障にかかわるあらゆる課題に、米国と力を合わせて立ち向かってまいります。
 その強い信頼関係のもとに、抑止力を維持しながら、沖縄の基地負担の軽減に全力で取り組みます。
 西普天間住宅地区は、昨年返還が実現し、病院の建設が決まりました。アクセス道路の設置も日米で合意し、前進を続けています。オスプレイの定期整備は、千葉木更津駐屯地で行います。普天間飛行場や牧港補給地区の一部の返還前倒しも決まりました。一歩一歩、確実に結果を出しながら、負担軽減を進めています。
 学校や住宅に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の全面返還を日米で合意してから二十年。もはや先送りは許されません。名護市辺野古沖への移設による埋立面積は、現在の普天間の三分の一以下に縮小します。普天間が有する三つの機能のうち、二つは本土に移転し、オスプレイの運用機能だけに限られます。日常の飛行経路も海上へ変更され、騒音対策が必要な住宅はゼロになります。
 沖縄の皆さんと対話を重ね、理解を得る努力を粘り強く続けながら、あすの沖縄をともに切り開いてまいります。
 ネパールを襲った、死傷者二万五千人を超える巨大地震。自衛隊は直ちに現地に展開し、不眠不休で医療援助に当たりました。
 部隊が撤収する際、子供の手を引いた一人のお母さんが、隊員に近寄り、あめをプレゼントしてくれました。食料が不足する現地で、それは、心からの感謝の気持ちがこもったあめでありました。
 震災で御主人と家を失ったその女性は、隊員の手を握りながら、ありがとう、ありがとう、何度も繰り返していたそうであります。
 世界のため黙々と汗を流す自衛隊の姿を、世界が称賛し、感謝し、そして頼りにしています。
 その自衛隊が、積極的平和主義の旗のもと、これまで以上に国際平和に力を尽くす。平和安全法制は、世界から支持され、高く評価されています。戦争法案などという批判は、全く根拠のないレッテル張りであった。そのあかしであります。
 先般、北朝鮮が核実験を強行したことは、断じて容認できません。強く非難します。安保理決議への明確な違反であり、国際社会と連携して、断固たる対応をとってまいります。対話と圧力、行動対行動の原則を貫きながら、拉致問題の解決に全力を尽くします。拉致、核、ミサイルの諸懸案の包括的な解決に向けて具体的な行動をとるよう、北朝鮮に強く求めます。
 もはやどの国も、一国だけで自国の安全を守ることはできない時代です。自国防衛のための集団的自衛権の一部行使容認を含め、切れ目のない対応を可能とし、抑止力を高める。平和安全法制の施行に向けて万全の準備を進めます。国民の命と平和な暮らしを守り抜くという政府の最も重い責任をしっかりと果たしてまいります。
 本年から、日本は、安全保障理事会の非常任理事国の重責を担います。国連改革を推し進め、世界の平和と安定にしっかりと責任を果たしてまいります。
 本年は、伊勢志摩サミットに世界のリーダーたちを招きます。アフリカの首脳たちが一堂に会するTICADも開催します。女性が輝く世界に向けた国際女性会議も三年目。日中韓サミットも、日本が議長国を務めます。
 日本が、まさに世界の中心で輝く一年となります。
 日本が世界に誇る文化芸術の魅力を発信する。ソフトパワーを生かし、積極的な文化外交を展開してまいります。
 これまでの国を挙げた努力が実を結び、世界津波の日が国連総会において全会一致で採択されました。世界の防災に、日本の教訓を生かしてまいります。
 中東地域での緊張感が増しています。全ての当事者の自制を求め、その対話を促してまいります。欧州には大量の難民が流入しています。その根本的な解決に向けて、保健医療での協力、経済支援を進め、大きな責任を果たします。
 国際社会とともにテロとの闘いを進めます。水際対策の強化など、国内のテロ対策、危機管理を強化し、安全の確保に万全を期してまいります。
 よりよい未来、よりよい世界を築く、国際社会の挑戦に終わりはありません。そうした世界の中で、日本はしっかりとリーダーシップを発揮してまいります。
 ラグビー日本チームの世界への挑戦。あの歴史的な勝利は、私たち日本人に大きな自信と勇気を与えてくれました。日本で開催されるラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピックの成功に全力を尽くします。
 継続こそ力。三年間の内政、外交の実績の上に、今後も、ぶれることなく、この道を真っすぐに進んでいきます。困難な課題にも真正面から挑戦し、結果を出してまいります。
 挑戦。
 日本で初めての孤児院を設立した石井十次は、児童福祉への挑戦に一身をささげました。たくさんの子供たちを立派に育て上げ、社会へと送り出しました。
 孤児がいれば救済する。天災のたびに子供の数はふえていきました。食べ物が底を尽き、何度も困窮しました。コレラが流行し、みずからも生死の境をさまよいました。
 しかし、いかなる困難に直面しても、決して諦めなかった。強い信念で、児童福祉への挑戦を続けました。
 「為せよ、屈するなかれ。時重なればその事必らず成らん」。
 安倍内閣は、諦めません。目標に向かって、諦めずに進んでいきます。
 一億総活躍の未来を開く。日本と世界の持続的な成長軌道を描く。平和で安定した、よりよい世界を築く。安倍内閣は挑戦を続けてまいります。
 皆さん、ともに挑戦しようではありませんか。そして、結果を出していこうではありませんか。それが、私たち国会議員に課せられた使命であります。
 ただ反対と唱える。政策の違いを棚上げする。それでは、国民への責任は果たせません。
 経済のかじ取りをどうするのか、国民の命と平和な暮らしをどのようにして守るのか。互いの政策を明らかにして、建設的な論戦を行おうではありませんか。
 民主主義の土俵である選挙制度の改革、国の形を決める憲法改正。国民から負託を受けた私たち国会議員は、正々堂々と議論し、逃げることなく答えを出していく。その責任を果たしていこうではありませんか。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
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○議長(大島理森君) 外務大臣岸田文雄君。
    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕
○国務大臣(岸田文雄君) 第百九十回国会に当たり、外交の基本方針について所信を申し述べます。
 本年は、日本の外交にとり、大変重要で責任の大きい一年です。特に、G7議長国として、四月には広島で外相会合、五月には伊勢志摩サミットを主催します。自由、民主主義、法の支配、人権といった基本的価値を共有するG7としてふさわしい課題を取り上げ、国際社会にしっかりとしたメッセージを発信していきます。
 また、本年一月から二年間、国連安保理非常任理事国を務めるほか、日中韓サミット議長国、初のアフリカ開催となるTICAD6など、日本が国際社会の議論をリードする多くの貴重な機会があります。
 こうした貴重な機会を十分に活用し、日本の国益を守り、増進させるとともに、国際社会におけるグローバルな課題の解決のためにも貢献していきます。そして、国際社会における存在感を一層高めるため、引き続き、戦略的な外交を展開してまいります。
 今後も、これまでの成果を土台としつつ、日米同盟の強化、近隣諸国との関係推進、そして日本経済の成長を後押しする経済外交の推進という日本外交の三本柱を中心に取り組みを続けてまいります。
 第一の柱は、日米同盟の強化です。
 日本外交の基軸である日米同盟は、かつてないほど盤石です。日米両首脳は、昨年四月の安倍総理訪米の際、地域や世界の平和と安定の確保に引き続き主導的な役割を果たしていくことを確認し、十一月の首脳会談では、日米同盟を基軸として地域の平和と繁栄のためにネットワークを構築していくことで一致しました。
 新ガイドライン及び平和安全法制は、日米同盟の抑止力の一層の強化に資するものであり、そのもとでの取り組みを推進します。米軍の抑止力を維持しつつ普天間飛行場の危険性を除去すべく、政府として一日も早い辺野古への移設に向けて取り組みます。昨年九月、日米地位協定の環境補足協定を締結し、十二月には沖縄の在日米軍施設・区域の一部の早期返還等に関する日米共同発表を行いました。沖縄の負担軽減にも引き続き全力で取り組みます。
 第二の柱は、近隣諸国との関係推進です。
 昨年十一月、約三年半ぶりに日中韓サミットが開催され、三カ国による協力プロセスが完全に正常化したことを踏まえ、本年、日本が議長国として主催するサミットで具体的な成果が上がるよう取り組んでまいります。
 日中関係は、最も重要な二国間関係の一つです。
 両国は、地域と国際社会の平和と安定のための責任を共有しています。昨年の累次の首脳会談、外相会談を踏まえ、日中関係は全体として改善基調にあります。今後とも、各分野における対話と協力を進め、戦略的互恵関係のさらなる推進に努めます。
 一方で、東シナ海では、中国による尖閣諸島周辺における領海侵入や一方的な資源開発が継続しています。日本として主張すべきは主張しつつ、引き続き、毅然かつ冷静に対応してまいります。
 最も重要な隣国である韓国との関係は極めて重要です。
 昨年、三年半ぶりに開催された日韓首脳会談で、慰安婦問題についての早期妥結に向けて協議を加速化するとの両首脳による指示を踏まえ、十二月の日韓外相会談では、慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認しました。この合意を着実に実施し、日韓関係を未来志向の新時代へ発展させていきます。
 日本固有の領土である竹島については、引き続き日本の主張をしっかり伝え、粘り強く対応いたします。
 北朝鮮に関しては、対話と圧力の方針のもと、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決を目指します。
 北朝鮮による核実験については、日本として断じて容認できるものではありません。安保理非常任理事国として、新たな安保理決議に実効的かつ強力な措置を盛り込むよう国際社会と連携するとともに、日本独自の措置についても毅然かつ断固たる対応をとってまいります。
 同時に、拉致問題については、政権の最重要課題として全力を傾けるとの方針に揺らぎはありません。拉致問題を解決するための対話の窓口を日本から閉ざすことはしません。一日も早く全ての拉致被害者の帰国を実現し、御家族の皆様との再会という積年の思いを遂げるため、あらゆる努力を傾注する決意です。
 ロシアとの間では、最大の懸案である北方領土問題について、昨年の私の訪ロで平和条約締結交渉を再開しました。ことしこそ、日本の国益に資する形で日ロ関係全体が前に進む一年にしなければなりません。北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結すべく、一層力を入れて交渉に当たるとともに、さまざまな機会を活用して政治対話を積極的に行ってまいります。
 また、ウクライナ情勢の平和的解決に向け、G7等との連帯を重視しつつ、G7議長国として積極的な役割を果たします。
 より統合され、繁栄し、安定したASEANは、地域全体の平和と安定にとり極めて重要です。ASEANのさらなる統合に向けた努力を引き続き支援するとともに、ASEAN各国との関係を一層強化し、南シナ海の平和と安定への貢献も含め、引き続き協力してまいります。
 特別戦略的グローバルパートナーシップの関係にあるインドを初め、南西アジア各国との関係を深化させます。
 基本的価値と戦略的利益を共有し、特別な関係にある豪州との協力関係、日米豪の協力を一層強化します。また、島嶼国等大洋州諸国との協力も推進します。
 基本的価値を共有する欧州各国との関係を、EUやNATO等の枠組みも活用しつつ、一層強化します。特に、英国及びフランスとの安保・防衛協力を推進していきます。中央アジア諸国は、ユーラシアの安定に重要な戦略的要衝であり、さまざまな分野での協力関係の拡大を推進します。中南米諸国とも、本年はリオ五輪が開かれることも踏まえ、さまざまな分野で交流と協力を拡大します。
 第三の柱は、日本経済の成長を後押しする経済外交の推進です。
 私自身、これまで、キューバ、イランなどでトップセールスを行い、また、飯倉公館にて地方の魅力を海外に発信するレセプションを開催してまいりました。成長する海外市場の需要を取り込むべく、ODAや投資協定の整備を通じた企業の海外展開支援、インフラシステムや日本産品の輸出などを官民一体となって精力的に進めます。特に、アジアを中心に、質の高いインフラパートナーシップを通じたインフラ投資を一層推進してまいります。
 経済連携の推進は成長戦略の柱の一つです。日米がリードしたTPP協定が大筋合意したことを受け、早期の署名と発効を目指します。また、TPP協定の大筋合意を弾みに、他の経済連携交渉を精力的に進めていきます。
 国連加盟六十周年の本年から二年間、加盟国中最多となる十一回目の安保理非常任理事国を務めます。この機会を通じ、国連との連携を強化し、積極的平和主義の実践として、世界の平和と繁栄のための議論をリードし、日本の考えを世界に発信します。国連PKO等への協力を通じ、幅広い課題に積極的に貢献してまいります。国際機関における日本人職員増強にも努めます。
 国連が国際社会の現実を反映し、課題によりよく対応できるよう、インド、ドイツ及びブラジルとともにリーダーシップを発揮し、安保理改革の推進に努めます。
 四月に広島で開催されるG7外相会合等を通じ、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けて核兵器国と非核兵器国の協力を促し、軍縮・不拡散の取り組みをリードします。
 核テロ阻止は世界の安全保障上重要な課題であり、核テロの阻止のために、アジア地域や世界の核セキュリティー強化に積極的に貢献してまいります。
 持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダを着実に実施し、人間の安全保障の考え方に基づき、保健、女性、教育等の課題や防災の主流化に取り組みます。
 女性の輝く社会の実現は政権の最優先課題です。今後も、国際女性会議WAW!を初めとするさまざまな機会に、女性のアジェンダの推進に全力で取り組みます。
 開発協力大綱のもと、国際社会の平和と安定及び繁栄と、それを通じた日本の国益確保のため、官民一体となって取り組むべく、積極的かつ戦略的にODAを活用してまいります。
 気候変動分野では、COP21で合意された、史上初めて全ての国が参加する枠組みであるパリ協定を歓迎します。この歴史的合意を世界全体の気候変動対策に関する取り組みの前進につなげるよう貢献してまいります。
 昨年九月に私が任命した科学技術顧問のもと、安全保障、グローバル課題、国際協力等、外交のさまざまな局面で日本のすぐれた科学技術を活用していく科学技術外交を推進してまいります。
 鯨類を含む海洋生物資源の持続可能な利用等について、国際社会の理解と支持を得るべく一層努力します。
 初めてのアフリカ開催となるTICAD6を通じ、官民が連携し、アフリカとのパートナーシップをさらに強固にします。
 アジア太平洋地域の安全保障環境は一層厳しさを増しています。また、この一年、海洋安全保障の重要性は急速に増しています。どの国も一国のみでは自国の平和と安全を守ることはできないとの認識のもと、日本、地域、そして世界の平和と安定及び繁栄のため、国際協調主義に基づく積極的平和主義を推進してまいりました。第百八十九回国会においては、この積極的平和主義を実践するためのものとして平和安全法制が成立しました。引き続き、国民の命と平和な暮らしを守るとともに、地域と世界の平和と安定及び繁栄に一層貢献していきます。
 南シナ海において見られる、大規模かつ急速な埋め立てや拠点構築、その軍事目的の利用等、現状を変更し緊張を高めるあらゆる一方的な行動に、深刻な懸念が多くの国より表明されています。これらの行為の既成事実化は認められません。海洋における法の支配を強化していくため、G7議長国として、関係国と連携し、海における法の支配の三原則に基づき、開かれ安定した海洋の維持発展に取り組みます。
 昨年のパリ同時多発テロ事件を初め、無辜の市民の命を奪う卑劣なテロは、平和と繁栄という人類共通の価値への挑戦です。昨年十二月、外務省に設置された国際テロ情報収集ユニットの活動も通じ、政府一丸となって国際テロ対策を強化し、国内外の日本人の安全確保に全力を挙げるとともに、国際社会と連携し、テロとその根底にある暴力的過激主義への対策に一層注力してまいります。
 日本は、中東地域の安定のために、国際社会と協調し、全ての当事者が自制し、対話を通じて事態の鎮静化に努めるよう呼びかけていきます。
 シリア情勢の政治プロセスの進展を支持し、日本としても人道支援を中心に各国と連携しつつ、情勢の改善に尽力していきます。また、地域各国の建設的な役割を働きかけていくとともに、可能な限りの支援を非軍事的な面で実施してまいります。イランの核合意を支持します。日本としても、国際社会と連携しつつ、国際不拡散体制の強化と中東地域の平和と安定に寄与していきます。
 ソマリア沖・アデン湾、アジアにおける海賊対策を通じた海上交通路の安全の確保及び宇宙空間、サイバー空間における法の支配の実現と強化にも尽力します。また、北極における新たな機会と課題に対し、日本としても積極的に貢献していきます。
 主要国並みの外交実施体制の実現を目指し、在外公館の拡充や外交要員の競争力の一層の向上も含め、総合的な外交力を引き続き強化してまいります。また、国際社会での存在感を一層高めるよう、日本の正しい姿や多様な魅力を戦略的に対外発信するとともに、親日派、知日派の育成を強力に推進します。
 外交は人と人とのきずなが重要です。世界各国の外務大臣等とこれまで築いた信頼関係ときずなを大切にしながら、今後も日本の国益の確保のため、着実に外交課題で結果を出してまいります。
 議員各位、そして国民の皆様の御理解と御協力を心よりお願い申し上げます。(拍手)
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○議長(大島理森君) 財務大臣麻生太郎君。
    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕
○国務大臣(麻生太郎君) 平成二十八年度予算の御審議に当たり、財政政策等の基本的な考えについて所信を申し述べさせていただきます。予算の大要を御説明申し上げます。
 安倍内閣における三年間の経済再生に向けた取り組みにより、日本の経済はデフレ不況から脱却しつつあります。企業の経常利益は過去最高となるとともに、雇用・所得環境も確実に改善をいたしております。
 引き続き、民需主導の好循環を確固たるものにしなければなりません。強い経済の実現に向けて、これまでの経済政策を一層強化してまいります。
 また、少子高齢化の進展は、国民の安心を支える社会保障制度の基盤を不安定なものといたしかねません。デフレ不況から脱却しつつある今こそ、少子高齢化という構造的な課題に真っ正面から取り組んでまいります。
 さらに、社会保障制度を持続可能なものとするためにも、財政の持続可能性を維持することが必要不可欠であります。今後、二〇二〇年度の基礎的財政収支の黒字化目標の達成に向けて、昨年策定をいたしました経済・財政再生計画に基づき、デフレ脱却・経済再生への取り組みと、改革工程表を十分踏まえた歳出歳入改革を着実に推進してまいります。
 続いて、平成二十八年度予算及び税制改正の大要を御説明申し上げます。
 平成二十八年度予算は、一億総活躍社会の実現を目指した重要課題に取り組んでいくための予算です。また、経済・財政再生計画の初年度の予算として、その目安に沿って、一般歳出の伸びを対前年度で約四千七百億円に抑制いたしております。経済再生と財政健全化の両立を実現する予算となっております。
 基礎的財政収支対象経費は約七十三兆一千億円であり、これに国債費を加えた一般会計総額は、約九十六兆七千億円となっております。
 一方、歳入につきましては、租税等の収入は約五十七兆六千億円、その他収入は約四兆七千億円を見込んでおります。また、公債金は約三十四兆四千億円であり、前年度当初予算に対し、約二兆四千億円の減額を行っております。
 次に、主要な経費について申し上げます。
 社会保障関係費につきましては、持続可能な社会保障制度を確立していく観点から、その伸びを抑制するため、診療報酬の適正化、社会保障に係る改革工程表に沿った制度改革の着実な実行などに取り組むことといたしております。また、一億総活躍社会の実現に向けて、安定財源を確保しつつ、希望出生率一・八、介護離職ゼロに直結する、子育て支援や介護サービスなどの拡充を図ることといたしております。
 文教及び科学振興費につきましては、教職員定数の効率化と必要な分野への充実を図るほか、大学改革、学校の老朽化対策などを推進いたします。また、科学技術基盤を充実するとともに、イノベーション創出に向けたシステム改革を推進することといたしております。
 地方財政につきましては、地方公共団体の税収増を反映して地方交付税交付金などを縮減しつつ、その一般財源の総額につきましては適切に確保し、地方に最大限配慮してまいります。
 防衛関係費につきましては、中期防衛力整備計画に基づき所要の施策を講じるとともに、沖縄の基地負担軽減などのための在日米軍再編事業を着実に推進することといたしております。
 公共事業関係費につきましては、国民の命と暮らしを守る防災、減災などの課題に対応するため、投資の重点化などを図りつつ、真に必要な社会資本整備等に取り組むことといたしております。
 経済協力費につきましては、伊勢志摩サミットを控え、平和構築やユニバーサル・ヘルス・カバレッジなどの課題への対応に重点化しつつ、ODAは予算、事業費ともに必要な額を確保いたしております。
 中小企業対策費につきましては、生産性向上のための革新的な物づくりなどへの支援をするほか、資金繰り対策などにも万全を期すことといたしております。
 エネルギー対策費につきましては、再生可能エネルギーの導入などに向けた支援を強化するほか、国内資源の開発や海外資源の権益確保などを推進することといたしております。
 農林水産関係予算につきましては、農林水産業の競争力強化などを図るため、輸出の促進や農業基盤整備の充実などに取り組むことといたしております。
 国家公務員の人件費につきましては、給与改定や給与制度の総合的見直し、定員純減などを的確に予算に反映いたしております。
 東日本大震災からの復興につきましては、復興のステージに応じた課題に対応し、復興の加速化を図るため、平成二十八年度東日本大震災復興特別会計の総額は、約三兆二千億円を見込んでおります。
 平成二十八年度財政投融資計画につきましては、成長戦略の実行や地方創生の深化に向け、必要な資金需要に的確に対応し、総額約十三兆五千億円といたしております。
 借換債を含みます国債発行総額につきましては、約百六十二兆二千億円と、依然として極めて高い水準にあり、財政規律を維持しつつ、市場との緊密な対話に基づき国債管理政策を適切に運営してまいります。
 次に、平成二十八年度税制改正におきましては、経済の好循環を確立する観点から、法人税改革として、課税ベースを拡大しつつ、税率を引き下げることで、企業の収益力を高め、投資や賃金引き上げに積極的に取り組むよう促してまいります。
 また、社会保険制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会における国の信認を確保するため、経済財政運営に万全を期し、来年四月には、消費税率の一〇%への引き上げを確実に実施いたします。その際、消費税率引き上げに伴う低所得者への配慮として、軽減税率制度を導入いたします。
 さらに、少子化対策の観点から、三世代同居に対応した住宅リフォームに係る所得税の税額控除を導入するほか、教育再生や地方創生の推進に係る対応を行います。
 このほか、多国籍企業のグローバルな活動、納税実態把握のための報告制度の構築などを行うことといたしております。
 以上、財政政策などの基本的な考え方と、平成二十八年度予算及び税制改正の大要について御説明を申し上げました。
 経済再生と財政健全化の達成は容易な課題ではありませんが、この三年間で確実に成果を上げつつあります。我々の歩んできた方向は、決して間違いではなかったと確信をいたしております。この歩みを確かなものとするべく、全力を傾注してまいります。
 デフレ不況から脱却し、強い経済を実現するためには、本予算及び関連法律案の一刻も早い成立が必要であります。
 何とぞ御審議の上、速やかに御賛同いただくとともに、財政政策等について、国民の皆様及び与野党の議員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。(拍手)(退場する者あり)
    ―――――――――――――
○議長(大島理森君) 国務大臣甘利明君。
    〔国務大臣甘利明君登壇〕
○国務大臣(甘利明君) 演説に先立ち、一言申し上げます。
 今回の週刊誌報道の件でお騒がせしている件については、大変申しわけなく思っております。
 本件につきましては、必要な調査をしっかりと行い、事実を確認の上、国民に疑惑を持たれないよう、しかるべき時期にしっかりと説明責任を果たしてまいります。
 経済財政政策を担当する内閣府特命担当大臣として、我が国経済の課題と政策運営の基本的考え方について所信を申し述べます。
 安倍内閣では、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢から成る経済財政政策を一体的に推進してきました。
 こうした政策のもと、実質GDPは安倍内閣発足時と比べ十二兆円増加をし、名目GDPも二十八兆円増加をしています。企業収益は過去最高、倒産件数は二年連続で一万件を下回るなど、企業を取り巻く環境は改善をしております。
 有効求人倍率は全ての都道府県で上昇し、全国で見れば二十三年ぶりの高水準、就業者数は百十万人以上の増加となったことに加え、賃上げ率は二年連続で前年を上回り、最低賃金は三年連続の大幅な引き上げ、雇用者報酬は名目、実質ともに増加傾向となるなど、雇用・所得環境は改善をしております。
 また、経済環境の改善の効果もあり、来年度の国と地方の税収の合計額は平成二十四年度と比較をして約二十一兆円増加、消費税率引き上げ分を除いても約十三兆円増加すると見込まれるなど、財政状況も改善をしています。
 このようにデフレ脱却・経済再生に向けた取り組みは、全体として着実に前進をしており、景気は緩やかな回復基調が続いております。
 本日閣議決定をした政府経済見通しでは、平成二十八年度の日本経済について、雇用・所得環境が引き続き改善し、経済の好循環がさらに進展するとともに、交易条件が緩やかに改善する中で、堅調な民需に支えられた景気回復が見込まれ、経済成長率は実質で一・七%程度、名目で三・一%程度になると見込んでおります。
 当面の経済財政運営に当たりましては、これまでのアベノミクスの成果の上に、デフレ脱却・経済再生と財政健全化を、双方ともにさらに前進させます。
 デフレ脱却・経済再生につきましては、アベノミクス第二ステージにおいて、戦後最大の名目GDP六百兆円を二〇二〇年ころに達成することを目標とし、これまでの三本の矢を束ねて一層強化した新たな第一の矢である希望を生み出す強い経済を推進していきます。
 経済の好循環が回り始め、多くの人々が自信を回復しつつある今こそ、長くしみついたデフレマインドから決別をし、過去最高の企業収益を攻めの投資や賃金引き上げによる消費の拡大に回していかなければなりません。
 これらの施策による成長の果実を活用して、第二の矢の夢を紡ぐ子育て支援、第三の矢の安心につながる社会保障を推進し、第二、第三の矢が強い経済にも寄与するメカニズムを通じて、新三本の矢が一体となって成長と分配の好循環を強固なものとしていきます。
 このため、昨年十一月末に取りまとめた一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策における強い経済実現に向けた当面の緊急対策、すなわち、投資促進・生産性革命の実現、賃金・最低賃金引き上げを通じた消費の喚起、女性・若者・高齢者・障害者等の活躍促進、ローカル・アベノミクスの推進を通じた地域の付加価値創造力の強化等を着実に実行しなければなりません。
 例えば、投資を促進するため、平成二十八年度には、法人実効税率を二・一四%引き下げることとし、目標としていた二〇%台を改革二年目にして実現してまいります。また、産業界には、過去最大の企業収益を踏まえ、昨年を上回る賃上げを期待するとともに、最低賃金については、年率三%程度を目途として、名目GDPの成長率にも配慮しつつ引き上げをしていくことにより、全国加重平均が千円となることを目指してまいります。
 こうした取り組みによって、六百兆円経済の実現に向けた動きを加速するとともに、デフレ脱却への歩みを確実なものとし、足元の景気をしっかりと下支えしてまいります。
 また、第四次産業革命への対応等の中期的な課題や、賃金、所得の向上を引き出すサプライサイドの強化、多様な潜在ニーズを顕在化させること等を通じた消費喚起、成長と分配をつなぐ経済財政システムの構築などについては、経済財政諮問会議等の場でさらに議論を進め、本年の骨太方針において、六百兆円経済の実現に向けた全体像をお示しいたします。
 日本銀行には、経済・物価情勢を踏まえつつ、二%の物価安定目標を実現することを引き続き期待します。
 経済再生なくして財政健全化なし。我々が目指すのは、経済再生と財政健全化の二兎を得る道です。
 昨年の骨太方針二〇一五において定めた経済・財政再生計画に基づき、二〇二〇年度の財政健全化目標の達成に向けて、デフレ脱却・経済再生、歳出改革、歳入改革を三本柱として、経済・財政一体改革に取り組んでまいります。
 見える化とワイズスペンディングを柱とする経済・財政再生アクション・プログラムにおいて具体化をした改革工程やKPIに基づき、改革の進捗管理、点検、評価を行い、関係者、現場の創意工夫を重んじるボトムアップによる躍動感ある改革、いわば工夫の改革を進めてまいります。
 安倍内閣が進める成長戦略は、強い経済を実現する上でかなめの政策です。未来投資による生産性革命と、ローカル・アベノミクスの推進を車の両輪に、その実行を今まで以上に加速し断行いたします。
 改革の取り組みを始めて三年、大胆かつスピード感を持って強力に施策の実行、実現を図るとともに、いわゆる岩盤規制と呼ばれた分野を含め多くの成果が出始めています。
 日本再興戦略策定以降、これまでに六十本を超える成長戦略関連法が成立しました。これらの法律をしっかりと実行するとともに、引き続き本通常国会でも成長戦略の実行に必要な法案を提出してまいります。
 世界は、第四次産業革命と言われる、IoT、ビッグデータ、人工知能時代を迎えようとしています。このため、産業競争力会議で成長戦略進化のための検討を進めてまいります。また、昨年十月に設置をした未来投資に向けた官民対話等を通じ、未来社会の到来に向けた成長分野、投資分野について、官民でビジョンを共有し、必要な規制・制度改革については政府を挙げて迅速かつ効果的に対応してまいります。
 健康・医療の分野では、昨年四月に設立をされた日本医療研究開発機構を中心に、基礎から実用化まで切れ目ない研究支援を行うなど、健康・医療戦略を着実に推進してまいります。
 TPPは、二十一世紀のアジア太平洋地域に、自由で公正な一つの経済圏を構築する挑戦的な試みです。人口八億人、世界の約四割であるGDP三千百兆円という、かつてない規模の市場を包含する経済連携であり、我が国のGDPを約十四兆円押し上げ、雇用を約八十万人増加させると見込んでいます。
 このような経済効果を具体化させるとともに、TPPの影響に関する国民の不安を払拭するため、昨年、総合的なTPP関連政策大綱を決定し、その一部については平成二十七年度補正予算及び平成二十八年度予算にも盛り込んだところです。
 さらに、農林水産業の成長産業化を一層進めるために必要な戦略や、我が国を貿易・投資のグローバルハブとするための政策などについては、本年の秋を目途に具体化してまいります。
 今後とも、政策大綱に基づき、政府一体となって効果的な政策の実施に取り組むとともに、TPPのメリットを最大限生かし、強い経済を実現するため、協定の早期署名・発効に向けて取り組んでまいります。
 少子高齢化が進展する中で、社会保障の安定財源確保と財政健全化を同時に達成する観点から、引き続き社会保障・税一体改革に取り組んでまいります。
 世界に誇るべき社会保障制度を次世代に引き渡していく責任を果たすため、社会保障の充実、安定化に取り組むとともに、医療・介護情報の見える化を進め、各地域の状況を比較した結果も踏まえて支出の効率化、適正化を図ることとします。また、有識者から成る社会保障制度改革推進会議において、二〇二五年を展望した中長期的な改革の検討を進めてまいります。
 マイナンバー制度については、昨年十月よりマイナンバーの通知が行われ、本年一月よりその利用が開始されたところです。マイナンバー制度の利活用の推進について、関係省庁と連携をとりながら積極的に進めてまいります。
 安倍内閣は経済最優先で取り組み、我が国経済は緩やかな回復基調が続いており、もはやデフレではないという状況まで来ました。十五年以上続いたデフレの重力圏から脱却できるかの瀬戸際にあるとも言えます。
 今後、アベノミクスによる経済の好循環を一層確かなものとしていくためには、我が国の将来への不安を払拭し、消費や投資が積極的に行われる環境をつくっていくことが重要です。その上で、少子高齢化による生産年齢人口の減少という構造的な課題に正面から取り組まなければなりません。
 経済成長の成果を子育て支援や社会保障の基盤強化に分配することにより、培った安心が消費や投資を支えるとともに、社会の多様性の実現が労働参加率の向上やイノベーションを通じた生産性向上を促す、それらがさらなる成長を促し、さらなる分配の原資にもなっていくという成長と分配の好循環を構築するため、全力を尽くしてまいります。
 国民の皆様と議員各位の御理解と御協力をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
○伊藤忠彦君 国務大臣の演説に対する質疑は延期し、来る二十六日午後一時から本会議を開きこれを行うこととし、本日はこれにて散会されることを望みます。
○議長(大島理森君) 伊藤忠彦君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時三十四分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       財務大臣     麻生 太郎君
       総務大臣     高市 早苗君
       法務大臣     岩城 光英君
       外務大臣     岸田 文雄君
       文部科学大臣   馳   浩君
       厚生労働大臣   塩崎 恭久君
       農林水産大臣   森山  裕君
       経済産業大臣   林  幹雄君
       国土交通大臣   石井 啓一君
       環境大臣     丸川 珠代君
       防衛大臣     中谷  元君
       国務大臣     甘利  明君
       国務大臣     石破  茂君
       国務大臣     遠藤 利明君
       国務大臣     加藤 勝信君
       国務大臣     河野 太郎君
       国務大臣     島尻安伊子君
       国務大臣     菅  義偉君
       国務大臣     高木  毅君
 出席内閣官房副長官
       内閣官房副長官  萩生田光一君

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