190回通常国会 衆議院本会議 第2号-国会発言議事録

   

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第190回国会 本会議 第2号
平成二十八年一月六日(水曜日)
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 議事日程 第二号
  平成二十八年一月六日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑
    午後一時二分開議
○議長(大島理森君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
○議長(大島理森君) 国務大臣の演説に対する質疑に入ります。岡田克也君。
    〔岡田克也君登壇〕
○岡田克也君 民主党代表の岡田克也です。
 私は、民主、維新両党で結成した統一会派民主・維新・無所属クラブを代表し、安倍総理の海外出張に関する報告及び麻生財務大臣の財政演説について質問します。(拍手)
 質問に先立ち、先ほど、北朝鮮が水爆の実験を行ったと発表しました。看過できない暴挙です。強く抗議するとともに、政府には、引き続き、情報収集、分析、危機管理、そして国民に対する情報公開に万全を期すことを求めます。
 やっと国会が開かれました。ここに至るまで、安倍総理は国民に対して説明を行うことから逃げて、逃げて、逃げ回ってきたことを、まず指摘しなければなりません。
 我々が臨時国会の召集を正式に要求したのは、昨年十月のことです。にもかかわらず、安倍総理は臨時国会の召集を拒否しました。憲法五十三条には、通常国会の召集をもって臨時国会の召集にかえることができるとは、どこにも書いていません。明らかな憲法五十三条違反です。国民の声を聞こうとしない安倍総理の体質そのものです。安倍総理の謝罪と説明を求めます。
 次に、国民は、その八割が説明不足と指摘する中で行われた安全保障法制の採決強行を決して忘れてはいないと、力を込めて申し上げなければなりません。今も、全国各地で抗議の声が上がり、活動が続いています。昨日も新宿で大集会がありました。私たちは、憲法違反の法律を絶対に認めるわけにはいきません。
 安倍総理は、採決強行の直後に、国民の皆様の理解がさらに得られるよう、政府としてこれからも丁寧に説明する努力を続けていきたいと明言しました。安倍総理は、いつ、どこで国民に対する丁寧な説明を行ったのですか。国民にみずから約束したことですから、責任ある答弁を求めます。
 また、国民の理解を得るために、今国会でも引き続き徹底的に議論する覚悟があるのか、安倍総理の答弁を求めます。
 次に、安倍政治の先送り、ばらまき姿勢を見事に体現した補正予算案について質問します。
 今回の補正予算案は、一・九兆円の税収上振れ分を、アベノミクスの果実だから自由に使ってよいとばかりに、まさしくばらまくものです。しかし、今は円安、株高もあって税収がふえていますが、税収見通しは、上振れすることもあれば、下振れすることもあります。楽観的な見通しに立って、財政健全化への取り組みが先送りされています。今こそばらまき歳出を徹底的に見直し、将来に備えて国債を思い切って減額すべきだと私は考えます。安倍総理の答弁を求めます。
 最も疑問なのは、三千六百億円が計上された年金生活者等給付金です。何のために、一千百万人の高齢者に一人当たり三万円を配るのでしょうか。安倍総理の答弁を求めます。
 民主、自民、公明の三党合意に基づき平成二十九年度から実施される年金生活者支援給付金の前倒しとも説明されていますが、この制度の対象者は六百万人であり、今回の一千百万人は明らかに拡大しています。まさにばらまきそのものではありませんか。安倍総理の答弁を求めます。
 困っているのは高齢者だけではありません。働く世代でもアベノミクスの成果を実感している人は限られています。市町村民税非課税世帯を対象にするのであれば、働く世代と年金者を区別する理由はありません。安倍総理の言う一億総活躍社会には、働く世代やその子供たちは含まれていないのでしょうか。なぜ年金生活者に限ったのか、安倍総理の答弁を求めます。
 あわせて、なぜ公明党が熱心に取り組んできた子育て世帯臨時特例給付金を廃止したのかについても、答弁を求めます。
 この一人三万円、総額三千六百億円は、参議院選挙直前の五月、六月に配られるといいます。余りにも露骨過ぎませんか。国民の税金を使ったばらまきの選挙対策です。ここまで政治が劣化してしまったのかと私は暗たんたる気分です。政治に対する国民の信頼を失わないために、この三千六百億円のばらまきは断固やめるべきだと考えます。安倍総理の答弁を求めます。
 安倍総理が唱える一億総活躍社会の具体策として、認可保育所等の整備を十万人分、介護施設等の整備を十二万人分、前倒し、上乗せすることが決定されました。これら追加的施設整備のための予算の大部分が補正予算案に計上されています。
 問題は、人手が足りるかどうかです。保育十万人で必要とされる人員は二万人、介護十二万人で五万人と想定されていますが、果たして確保できるのでしょうか。
 保育も介護も人手不足に苦しんでいます。最大の原因は給料が安いことです。保育、介護の仕事は好きだけれども、低賃金で結婚もできないとの悲鳴が上がっています。しかし、今回の補正予算案と来年度予算案には、この問題に対する根本的な対策は講じられていません。
 保育、介護の現場で働く二百三十万人の処遇改善をきちんと実現する覚悟があるのか、安倍総理の明確な答弁を求めます。
 保育、介護の施設整備のための予算は、それぞれ安心こども基金に五百一億円、各都道府県の地域医療介護総合確保基金に九百二十一億円を積み増すことになっています。極めて大きい金額です。
 特に、今回の介護施設十二万人分の整備は二〇二〇年代初頭が目標で、五年以上先です。五年先にどのような介護施設が各都道府県にどの程度必要かということについて、現時点で把握できているとは到底考えられません。具体的なニーズの把握もないままのばらまき、そして無駄遣いに終わることを強く懸念します。
 五年以上先の施設整備予算を、なぜ補正予算として計上し、一挙に各都道府県に配分する必要があるのか、財務大臣の答弁を求めます。
 今回の補正予算案には、TPP協定交渉の大筋合意を受けた関連予算三千四百三億円も計上されています。しかし、協定交渉の具体的な内容について、臨時国会も開催されず、政府はほとんど説明していません。TPP協定の是非が国会で議論されないまま、国会承認を前提とした補正予算が先行することに強い違和感を覚えます。このような前例はあるのでしょうか。そして、少なくとも、TPP協定案を今国会で十分な時間を充てて徹底審議することを約束すべきです。それぞれ安倍総理の答弁を求めます。
 私も全国の農業者の方々と会い、直接お話を伺ってきました。果たして農業が続けられるのか、不安を訴える声は数多くあります。
 そもそも、二〇一二年の衆議院選挙で、自民党議員の多くはTPP絶対反対と叫び、自民党自身、うそつかない、TPP反対、ぶれない、TPPへの交渉参加に反対、そういったポスターを全国に張りました。皆さんも張ったんじゃないですか。全国の農業者は、その公約違反と不誠実さに怒っているのです。
 自民党がぶれまくったことについて、自民党総裁として国民に謝罪すべきです。安倍総理の答弁を求めます。
 次に、消費税の軽減税率について質問します。
 安倍総理は、軽減税率の範囲を外食を除く飲食料品全体に拡大し、そのために一兆円の財源が必要となりました。この問題をめぐって、自民党と公明党、そして総理官邸は迷走を重ねました。本日は基本的な点だけ指摘しますので、明確な答弁を求めます。
 第一に、一兆円の財源の確保のために、自己負担の総合合算制度の導入を見送ることとされています。医療、介護、保育、障害者支援など、さまざまな社会保障制度には、所得に応じてそれぞれ自己負担の上限が設けられています。総合合算制度は、これらの自己負担の総額に上限をかけるもので、所得の少ない人の負担軽減のためになくてはならないものです。高所得者ほど恩恵を受ける軽減税率のために、なぜ、自民、公明、民主三党で合意したこの意義ある制度を断念することにしたのでしょうか。安倍総理の答弁を求めます。
 第二に、消費税を一〇%に引き上げたときに、一%相当分二・八兆円を社会保障の充実に充てるということが前提となっていました。総合合算制度の導入は、その重要な柱でした。
 これをやめて軽減税率の財源とすることは、一%相当分は社会保障の充実に充てるという国民に対する重要な約束を破棄するものです。安倍総理の明確な答弁を求めます。
 第三に、一兆円の財源手当てが不明確です。これが最大の問題です。
 どの社会保障予算を削減するのか、それとも赤字国債で賄うのか。そのことが明らかでない中で一兆円の軽減税率の妥当性を判断することは、到底できないはずです。先送りそのものであり、かつ国民に対する不正直です。年金、医療、介護、どこをどう削るのですか。まさか、子ども・子育て予算の削減はないんでしょうね。
 安倍総理には、一兆円の財源を直ちに明らかにする責任があります。逃げずに答弁ください。
 安倍総理は、十二月にインドを訪問し、日印原子力協力協定について合意に達したと発表しました。しかし、協定の中身は全く明らかになっていません。正直に説明すべきです。
 日印原子力協力協定の最大の課題は、インドが核実験を行ったときに日本が協力を停止することを明確にすることです。一昨日の海外出張報告で安倍総理もこの点に言及していますが、核実験を行った際の協力停止は協定に明記されているのでしょうか。また、核実験が行われたとき、既に稼働中または建設中の原子力発電所も協力停止の対象となるのでしょうか。
 ここまで踏み込まないと、インドに核実験を断念させることについて、実効性は確保できません。日本の非核政策にとって極めて重要な一線です。それぞれ、安倍総理の明確な答弁を求めます。
 地球温暖化は、人類が直面している極めて深刻な問題であり、次の世代のためにどうしても乗り越えなければならないというのが世界の共通認識です。しかし、安倍総理は、内閣の最重要課題として取り組むと言いながら、どこまで本気なのか、大いに疑問です。
 日本政府は、温室効果ガスの削減目標を二〇三〇年に二〇一三年比二六%削減としていますが、一九九〇年比でいえば一八%削減にすぎません。このペースでは、二〇五〇年に八割削減という日本政府の国際約束は到底実現できません。
 なぜ、四十年かけて一八%しか削減できないものが、その後の二十年で八〇%削減に至るのでしょうか。無責任な解決先送りそのものではありませんか。八割削減への具体的な道筋を示す責任が安倍総理にはあります。答弁を求めます。
 民主党政権時に、固定価格買い取り制度と地球温暖化対策税をスタートさせました。いずれも、市場メカニズムを活用しながら温室効果ガスを削減するものです。
 制度に問題がないわけではありません。しかし、これをよりよく有効活用せずして、二〇五〇年八割削減はあり得ません。安倍総理にその意思はあるのでしょうか。答弁を求めます。
 昨年末、慰安婦問題について合意に至ったことを私は率直に評価します。
 ただ、日韓両外相共同記者発表には、安倍内閣総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたり癒やしがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明するとありますが、安倍総理は一度も御自身では語っていません。
 ぜひ、安倍総理みずからの言葉として、この場で日韓両国民に対しはっきりと述べることを求めます。
 衆議院に設置された選挙制度改革に関する有識者調査会が答申原案を取りまとめました。定数の削減が不十分であることは極めて残念ですが、民主党の提案と大枠では一致するものであり、評価します。
 答申原案にはさまざまな異論もあるでしょう。しかし、これ以上この問題を先送りすることは絶対に許されません。我々は今、昨年十一月に最高裁が違憲状態と判断した議席配分のもとで国会審議を行っていることを忘れてはなりません。
 少なくとも、一票の格差是正については、調査会答申受け入れで自民党内をまとめる責任が、自民党総裁である安倍総理にはあります。私も党内をまとめます。先送りすることなく、安倍総理の断固たる決意をこの場で示してください。明確な答弁を求めます。
 安倍総理は、これからも経済最優先だと明言してきました。経済成長のために一億人総活躍社会なのでしょうか。GDP六百兆円達成のための担い手不足解消の手段として、希望出生率一・八、介護離職ゼロを掲げているようにしか、私には見えません。
 経済成長は、一人一人の幸福実現のための手段であって、目的ではありません。仕事と子育てを両立させることも、充実した介護も、一人一人の幸せのために必要だからこそ、政治は責任を果たさなければならないのです。国が号令をかける一億総活躍ではなく、一人一人が尊重され大切にされる社会こそ、政治が実現しなければならないと私は確信しています。一人を見捨てる政治が、一億人を幸せにできるはずはないのです。
 国民の皆さん、日本は乗り越えなければならない多くの課題に直面しています。いずれも日本の将来や私たちの生活に直結する問題です。しかし、安倍総理は、これらの重要課題について国民に正直に説明することなく、本当の解決を先送りし、ただただばらまきの政治を行ってきたとしか見えません。その最大の被害者が若者です。今般の補正予算はその典型です。
 百五十日間の通常国会がスタートしました。ことしは十八歳選挙権元年になります。日本の将来、そして国民一人一人にとって本当に大切な国会です。私そして民主党は、統一会派を組む維新の党とともに、徹底的に論議し、対峙し、安倍政権の暴走をとめることを国民の皆さんにお約束します。そして、若者にとって、一人一人の国民にとって、希望の見える国会とすることを誓って、私の代表質問といたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 岡田克也議員の質問にお答えいたします。
 北朝鮮は、先ほど、核実験を実施したことを発表しました。政府においては、直ちに緊急参集チームを招集し、国家安全保障会議四大臣会合を開催しました。
 今回の核実験の実施は、我が国の安全に対する重大な脅威であり、断じて容認できません。強く非難します。これまでの安保理決議への明確な違反であり、国際的な不拡散体制への重大な挑戦です。
 我が国としては、非常任理事国として、国連安保理での対応を含め、米国、韓国、中国、ロシアと連携し、国際社会と連携し、北朝鮮に対し断固たる対応をとってまいります。
 国会の召集についてお尋ねがありました。
 昨年の臨時国会召集の要求に対しては、政府としてこれに適切に対応するため、現下の諸課題を整理し、補正予算、来年度予算の編成などを行った上で、新年早々、本通常国会の召集を図ったものであり、迅速かつ適切に対応していると考えております。
 国会閉会中でも、衆参両院の予算委員会に私も出席をし、岡田代表とも論戦を闘わせていただきましたが、衆参合わせて六十時間を超える閉会中審査において、TPP、COP21など当面する政治課題につき、政府としても説明責任を果たしてまいりました。
 岡田代表がおっしゃるように、国民の声に耳を傾けるべきは当然のことであります。しかし、そのためには、まず私たち国会議員が国民に対して自分たちの政策をしっかりと示さなければなりません。政治の責任を国民に丸投げするようなことはあってはなりません。それぞれの政党が政策の選択肢を国民に提示すべきであります。
 ただ反対と声をそろえるだけなら簡単です。しかし、それぞれの政党が、経済政策でも外交・安全保障政策でも、日本を取り巻く現実を直視し、その解決のための政策を国民に提案することから逃げて、逃げて、逃げ回っているようでは、国民の負託に応えることはできません。
 ぜひ、この通常国会において、それぞれの具体的な政策を国民の前で明らかにしながら、正々堂々の議論を行っていただきたいと思います。
 平和安全法制に関する御質問がございました。
 いかなる事態においても国民の命と平和な暮らしを守り抜く、これは政府の、そして我々政治家の最も重い責任であります。このことに与党も野党もありません。
 さきの通常国会では、戦後最長となる延長を行い、二百時間を超える充実した審議の結果、野党三党の皆さんの賛成も得て、より幅広い合意のもとで平和安全法制が成立したことは、大きな意義があったものと考えています。これにより、私たちの子や孫の世代に平和な日本を引き渡していく基盤を築くことができたと確信しています。
 法案成立後も、私自身そして関係閣僚もさまざまな機会を捉えて国民の皆様への説明に努めています。また、首相官邸ホームページを通じて、その必要性や趣旨、目的、具体的内容について説明を行っています。引き続き、国民の皆様のさらなる御理解をいただけるよう、丁寧な説明に努めてまいります。
 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、今後とも、現実を直視し、みずからの政策、立場を明確にした上で建設的な議論を行っていきたいと思います。
 補正予算についてお尋ねがありました。
 今般の補正予算は、一億総活躍社会の実現やTPP関連政策大綱の実現などのため、必要性、緊急性の高い施策を実施するものであり、ばらまきとは考えておりません。
 また、補正予算においては、財政健全化目標を堅持し、民主党政権下では残念ながら行われることのなかった国債発行額の減額を我々は二年連続で実施しております。
 今後とも、経済・財政再生計画を踏まえ、経済再生を進めながら、財政健全化にしっかりと取り組んでまいります。
 年金生活者等への臨時給付金の意義についてのお尋ねがありました。
 GDP六百兆円の実現に向け、ことし前半にかけての個人消費の下支えを行い、経済の下振れリスクにも対応することが必要です。
 現役世代には賃金引き上げの恩恵が及びやすい一方、こうした恩恵が及びにくいのは高齢者です。こうしたことを踏まえ、アベノミクスの果実を活用し、低所得の高齢者に対し一人三万円の臨時的な給付金の支給を行うことといたしました。
 一年余り前、私は、消費税の引き上げの延期を決断しました。延期をした以上、給付と負担のバランスの観点から、消費税の引き上げを前提とした施策を全て行うことはできません。そこで、年金生活者支援給付金については先送りする苦渋の決断をいたしました。
 しかし、子育て世代を含む現役世代への支援は、消費税引き上げの延期にかかわらず、しっかりとやってきました。待機児童解消加速化プランは着実に進めるとともに、昨年四月から子ども・子育て支援新制度を開始しました。若者を含む現役世代については、賃金引き上げや最低賃金の引き上げを推進していきます。また、希望出生率一・八に向けた施策は、まさに現役世代への支援策であります。
 先送りの決断をした年金生活者支援給付金については、どうか思い出していただきたい、一昨年の総選挙のとき、私はこう申し上げました。経済を成長させていけば税収は上振れしていく、その果実はしっかりと社会保障の分野に投入していきたいと申し上げました。
 そのお約束のとおり、税収増というアベノミクスの果実が生まれた今、その果実を活用し、臨時的な給付金の支給を行うこととしたものであります。これは、社会保障・税一体改革の一環として平成二十九年四月から始まる年金生活者支援給付金の前倒し的な位置づけにもなります。
 その同じ総選挙の際、十二月一日に行われた党首討論会において、当時の海江田代表は、先送りした年金生活者支援給付金について何と言われたか、皆さん、覚えていますか。当時、海江田代表はこう言ったんです。この給付金のような政策は財源を見つけて行っていくべき、そういう趣旨の発言をされたのであります。
 今回の給付金は、ことし前半にかけての個人消費の下支えの観点や、実務上の対応可能性を踏まえ、年金生活者支援給付金の対象よりも幅広い方に対し、一回限りの措置として支給するものであります。ばらまきとの指摘は全く当たりませんし、ましてや選挙対策という批判は全く的外れであります。海江田代表の発言を踏まえれば、まさに皆さんは、天に唾どころか、天に対してブーメランを投げているようなものであります。
 なお、子育て世帯臨時特例給付金は、もともと一回限りの臨時的な措置として実施されたものであります。
 また、平成二十七年度補正予算や平成二十八年度予算において、保育サービスの充実や低所得の一人親家庭、多子世帯に対する支援など、公費ベースで〇・七兆円の子育て支援の拡充を行ってまいります。これにより、希望出生率一・八の実現に向け、結婚、妊娠、出産、子育てに関する希望がかなう社会づくりを進めてまいります。
 保育、介護人材の確保策と処遇改善についてのお尋ねがありました。
 一億総活躍社会の実現のため、希望出生率一・八や介護離職ゼロの実現は重要であります。このため、保育サービスの整備量や介護施設等の整備量をそれぞれ約五十万人分に上積みすることとしています。必要な人材の確保については、就業促進や離職の防止などに総合的に取り組んでいくこととしています。
 具体的には、今回の補正予算及び来年度予算では、保育の人材確保策として、保育士を目指す学生に返済を免除する奨学金制度の拡充、一旦仕事を離れた人が再び仕事につく場合の再就職準備金の創設、保育士の勤務環境改善に取り組む事業者に対して保育補助者の雇用を支援する仕組みの創設など、必要な措置を盛り込んでいます。
 また、介護の人材確保策として、介護福祉士を目指す学生に返済を免除する奨学金制度の拡充、一旦仕事を離れた人が再び仕事につく場合の再就職準備金の創設、介護ロボットの活用促進や、ICTを活用した生産性向上の推進などに取り組むこととしています。
 現在、保育や介護の現場で働いている方々の処遇改善については、保育人材の処遇については、平成二十七年度の当初予算において、消費税財源を活用した三%相当の処遇改善を行い、介護人材の処遇については、平成二十七年度介護報酬改定において、一人当たり月額一万二千円相当の処遇改善加算の拡充を図ったところであります。
 このような取り組みを行うことにより、保育や介護の人材の確保と処遇の向上にしっかりと取り組んでまいります。
 TPP協定の国会審議についてお尋ねがありました。
 大筋合意後、多くの中小企業から、TPPを活用した海外展開の準備を直ちに始めたい、支援してほしいとの声が寄せられています。農林水産業の現場からも、体質強化策を早期に示してほしいとの声が上がっています。
 こうした声に早期に応えるため、昨年十一月に総合的なTPP関連政策大綱を取りまとめ、緊急に実施すべき対策について補正予算に計上したところです。
 なお、これまでにも、国際約束の国会審議に先立って、関連予算を計上し、国会で御審議いただいた例はあります。
 TPPは、署名後速やかに国会に提出し、十分御審議をいただきたいと考えています。
 自民党の公約との関係についてお尋ねがありました。
 TPP交渉に臨んで、私は、攻めるべきは攻め、守るべきは守る、繰り返しこのように述べてきました。中でも農産物については、聖域なき関税撤廃は認めることができない、これが交渉参加の大前提でした。
 交渉の結果、米などの重要品目については、関税撤廃の例外をしっかり確保しました。さらに、牛肉などの輸入が万一急にふえた場合には、緊急的に輸入を制限することができる新しいセーフガード措置を設けることも認められました。
 日本が交渉を積極的にリードすることで、厳しい交渉の中で国益にかなう最善の結果を得ることができた。その結果、自由民主党がTPP交渉参加に先立って掲げた国民の皆様とのお約束はしっかりと守ることができたと考えております。
 社会保障と税の一体改革における総合合算制度と社会保障の充実についてお尋ねがありました。
 三党合意を経て成立した税制抜本改革法において、消費税率引き上げに伴う低所得者への配慮の観点から、総合合算制度は、給付つき税額控除、複数税率と並ぶ検討課題の一つとして掲げられています。
 こうした中で、日々の生活において幅広い消費者が消費、利活用しているものの消費税の負担を直接軽減することにより、買い物の都度、痛税感の緩和を実感できることが特に重要であるとの判断により、軽減税率制度の導入が決定されました。
 これに伴い、他の二つの施策は、消費税率引き上げに伴う低所得者対策としては実施することはなく、総合合算制度の見送りにより生じる財源は、軽減税率制度の導入に当たっての財源となるものと考えています。
 今後、軽減税率制度の導入に当たっては、政府税制改正大綱を踏まえて検討を行い、安定的な恒久財源を確保することにより、社会保障と税の一体改革における二・八兆円程度の社会保障の充実に必要な財源は確保する考えであり、御指摘は当たらないと考えております。
 消費税の軽減税率制度の導入に当たっての財源確保についてお尋ねがありました。
 与党及び政府の税制改正大綱において、消費税の軽減税率制度の導入に必要な財源については、財政健全化目標を堅持するとともに、社会保障と税の一体改革の原点に立って安定的な恒久財源を確保するとの観点から、平成二十八年度末までに歳入及び歳出における法制上の措置等を講ずることとされていることを踏まえ、今後、政府・与党でしっかりと検討を進めてまいります。
 なお、軽減税率制度の導入に当たって、安定的な恒久財源を確保することにより、社会保障と税の一体改革における社会保障の充実のための財源は確保してまいります。
 日印の原子力の平和利用に関する協定についてのお尋ねがありました。
 日本は唯一の戦争被爆国であり、核兵器廃絶に向けた国際社会の取り組みを主導してきています。インドとの協定交渉においても、これを十分に考慮し、米仏がインドと締結した協定以上の内容を目指して交渉してまいりました。
 仮にインドが核実験を行った場合には、日本からの協力を停止します。稼働中または建設中の原子力発電所にかかわる協力の扱いについても、このような我が国の立場を踏まえて交渉してきています。
 この協定の具体的な文言については引き続き調整中でありますが、かかる我が国の立場はインド側も了解しており、今般の原則合意もこれを踏まえたものであります。
 この協定は、原子力の平和利用についてインドが責任ある行動をとることを確保するものであり、このことは、インドを国際的な不拡散体制に実質的に参加させることにつながります。これは、核兵器のない世界を目指し、不拡散を推進する日本の立場に合致するものであります。
 温室効果ガスの削減目標についてお尋ねがありました。
 温室効果ガスの排出水準は、技術水準や社会経済構造に大きく左右されるものであり、中長期的な削減にはさまざまな道筋があり得ます。
 昨年決定した我が国の二〇三〇年度の削減目標は、無責任な先送りなどではなく、欧米からも高い評価を得ています。まずこれを達成し、二〇五〇年目標を達成することは十分可能だと考えます。
 なお、具体的な対策や技術の裏づけなく、いたずらに野心の高い目標を国際的に公約した民主党政権こそ、無責任だったのではないでしょうか。
 固定価格買い取り制度と地球温暖化対策税の活用についてお尋ねがありました。
 温室効果ガス排出の抜本的削減と経済成長を両立させる鍵は、イノベーションです。日本がすぐれた技術を開発し、内外で活用し、世界の気候変動対策に貢献していく、安倍政権の一貫したこの方針は、ゼロサム的発想で膠着しがちな交渉の力学を変え、パリ合意を導く大きな推進力となりました。
 固定価格買い取り制度については、国民負担を抑制する観点から、制度を見直しつつ、再生可能エネルギーの導入を最大限進めるため、着実に運用していきます。
 地球温暖化対策税については、着実に実施し、その税収により、省エネルギーや再生可能エネルギーの導入を進めます。
 慰安婦問題についてお尋ねがありました。
 慰安婦問題に関する私の立場は、昨年末の日韓外相会談の終了後に行われた共同記者発表において岸田外務大臣から明確に表明したとおりです。さらに、その後に行った日韓首脳電話会談において、私から朴槿恵大統領に直接この立場を伝え、慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認いたしました。
 八月の総理談話で申し上げてきたとおり、我々は、従来、歴代の内閣が表明してきたとおり、反省とおわびの気持ちを表明してきました。その思いに今後も揺るぎはありません。
 私は、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子供たちに、謝罪し続ける宿命を背負わせるわけにはいかないと考えております。今回の合意は、その決意を実行に移すために決断したものであります。
 慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決される今回の合意を踏まえ、日韓両国で力を合わせて日韓新時代を切り開いていきたいと考えております。
 衆議院の選挙制度改革についてお尋ねがありました。
 一票の格差是正を含む衆議院の選挙制度のあり方については、衆議院議長のもとに設置された第三者機関、衆議院選挙制度に関する調査会で議論が行われてきたところであり、今月その答申が出される予定と承知しています。各党各会派において、答申の内容をしっかり受けとめ、十分な議論を行い、早期に結論を得ることによって、国民の負託にしっかりと応えていくべきであると考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
○議長(大島理森君) 議員諸君にお願いを申し上げます。
 この本会議中、各議員に発言者の声が聞こえないようなことがあってはいけません。節度を持った対応を望みます。
    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕
○国務大臣(麻生太郎君) 保育、介護の施設整備のための予算についてのお尋ねがあっております。
 保育につきましては、女性の就業率上昇などを背景とする申込者数の大幅増により、待機児童数は前年より増加をいたしております。このため、受け皿整備は緊急の課題であり、昨年十一月に一億総活躍国民会議が取りまとめられた緊急対策の中でも、平成二十九年度末までの整備目標を四十万人から五十万人とするとされたところであります。
 また、介護につきましても、年間十万人を超える離職者と自宅待機をせざるを得ない特養入所希望者をともに解消することが緊急の課題となっております。このため、同じく緊急対策におきまして、二〇二〇年代初頭までに介護の受け皿の整備量を十二万人分前倒し、上乗せすることとされたところであります。
 この介護施設の整備につきましては、運営主体の選定や用地確保などに相応の期間を要します。したがいまして、地域の実情も踏まえつつ、相当の期間にわたり計画的に進める必要があります。今般の上乗せ分を期限に間に合わせるには、目標年度までの予算の全体像を事業の実施主体であります自治体に明確にすることが必要であります。
 今般の補正予算では、以上のような保育、介護の緊急課題に対応して、全国の自治体が迅速かつ計画的に必要な政策を実施できるよう対応をとったものであります。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(大島理森君) 松本純君。
    〔松本純君登壇〕
○松本純君 私は、自由民主党政調会長代理の松本純でございます。
 自民党を代表して、政府の財政演説に対して質問いたします。(拍手)
 質問に入る前に、安倍総理の外交報告を拝聴いたし、一言申し上げたいと思いますが、本日午前、北朝鮮で揺れが観測されたとの報道がありました。そして、十二時三十分、北朝鮮中央テレビは特別重大報道として、水爆実験が実施されたと報道しました。事実関係と政府の対応について、私からも総理にお伺いいたします。
 さて、総理は就任以来、地球儀を俯瞰する外交を積極的に推進され、訪問国は地域を含め延べ八十六カ国、飛行距離にして地球十九・四七周と歴代総理の中でもぬきんでています。
 昨年の通常国会終了後も、年末にかけて精力的に外交に注力され、とりわけ三年ぶりとなる日中韓サミットの開催は、中国、韓国との関係改善を印象づけるものでありました。その後の慰安婦問題に関しての韓国との合意は、日韓両国の新たなスタートとなることでしょう。わずか三カ月の間に中身の濃い外交活動をしてこられた総理に、改めて敬意を表します。
 本年は、我が国においてG7伊勢志摩サミットが開催されます。各国の指導者が一堂に会するこの機会に、積極的平和外交を前面に打ち出して、安倍総理のリーダーシップを遺憾なく発揮していただきたいと思います。
 平成二十四年十二月、再び安倍内閣が発足して、丸三年が経過いたしました。この間、大胆な金融政策と機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略、いわゆる三本の矢を次々と放ち、我々は経済政策を最優先するアベノミクスを強力に推進してまいりました。
 その結果、実質GDPは、二〇一二年十―十二月期と比べ、昨年七―九月期には十二・四兆円増加し、有効求人倍率も一・二四倍と二十三年ぶりの高水準であるなど、多くの数値が改善し、税収も、過去最大、一九九一年度以来、二十五年ぶりの高水準となる見込みであり、デフレ脱却までもう一息のところまで来ました。
 しかし、我々はこの結果に安住しているわけにはいきません。
 昨年九月、安倍総理は自由民主党総裁に再選され、その直後、記者会見において、三十年、四十年、そして五十年先を見据えながら、私たちの子や孫の世代のために、新たな国づくりを進めていく、一億総活躍の時代を切り開くため、これからの三年間、全身全霊を傾注すると高らかに宣言されました。安倍総理の強い覚悟を、私は今でも鮮明に覚えております。
 総理の目指す一億総活躍社会とは、どんな社会なのでしょうか。今なぜ目指す必要があるのでしょうか。
 私は、第二ステージに入ったアベノミクスを本当に成功させるために、我が国に潜む根本問題を解決しなければならないからだと理解しています。経済社会を支える働き手が必ず減少していくという根本的問題である少子高齢化、この問題を解決しない限り、経済再生への道は必ず行き詰まってしまいます。
 そこで、新三本の矢が必要となるわけです。従来の三本の矢を束ねて、さらに強力な新第一の矢として放ち、希望を生み出す強い経済を目指すこととし、それに加えて、新第二の矢で希望出生率一・八の実現を目指し、新第三の矢で介護離職者をゼロにするという具体的な目標を打ち立てました。
 新しい第二、第三の矢で、子育てや介護の心配が解消され、仕事との両立がしやすくなることによって、誰もが働くことが可能となり、NPOなど、さまざまな社会活動に参加することも可能となります。これによって、消費の底上げや投資の拡大が促され、経済の好循環がより一層高まっていくことになります。
 このような成長と分配の好循環をつくっていくことが不可欠であると考えます。一億総活躍社会とは、そのようなことを可能とする社会であって、国民の一人一人の個性と多様性が尊重され、家庭で、職場で、地域でそれぞれが生きがいを感じることができる社会であると考えています。
 私はこのように理解するわけですが、国民の方々に十分理解が行き届いていないのではないかという懸念もあります。総理のおっしゃる一億総活躍社会とはどんな社会を目指すのか、改めて総理の言葉で国民の皆さんにわかりやすく御説明いただきたいと思います。
 特に、一億総活躍の鍵を握る第二の矢である希望出生率一・八の実現についてお伺いいたします。
 急激な人口減少は、我が国の経済社会にさまざまな形で深刻な影響をもたらすことになり、希望出生率一・八の実現という明確な目標を掲げられたことは大変意義あることと考えますが、非常にハードルが高い目標であろうかとも思います。
 この目標に向け、どのように取り組んでいかれるのか、総理のお考えをお伺いいたします。
 さらに、第三の矢である介護離職ゼロについてお尋ねいたします。
 我が国のような超高齢化社会においては、誰でも親の介護をしなければならなくなる可能性があり、働き盛りの時期と重なる場合も多くあります。介護と仕事の両立を図ることができる環境を整備し、希望に応じて仕事を続けられるようにすることは、まさに一億総活躍のために重要であり、正鵠を射たものと考えます。国民の皆さんの介護問題への関心、政府の取り組みへの期待は非常に高いと実感しています。
 そこで、介護離職者ゼロに向けて、具体的にどのように取り組んでいかれるのか、総理のお考えを伺います。
 具体的に、低所得の高齢者への臨時給付金についてお伺いします。
 GDPの六割を占める消費の回復がおくれていることは、我が国にとってゆゆしき問題です。中でも、職業についていない無職世帯の消費支出が低迷していることが調査で明らかとなっています。勤労者世帯は、二年連続の賃上げ等により、アベノミクスの恩恵を受けています。しかし、年金だけで生活されている高齢者の方々は、賃上げの恩恵を受けることができず、その負担感によって財布のひもがきつくなっているものと思われ、消費が伸びないのも当然です。そのような方々への支援は確かに必要だと思います。
 しかし、一方で、高齢者優遇ではないかなど、疑問の声も上がっていることも事実です。我が党の議論でも、財政再建への配慮が足りないのではないか、給付後に効果をしっかりと検証すべきではないかなど、若手議員からさまざまな意見がありました。皆さんの理解を得るためには、給付に一工夫が必要かもしれません。
 給付の対象になる高齢者の方々は、正式な職につくことは難しいかもしれませんが、地域のボランティア的な活動は可能だと思います。給付する際、単に給付するのではなく、地域活動の紹介、マッチングを行うなど、一工夫することが必要ではないでしょうか。そうすれば、一億総活躍の一助にもなり、若者からも理解が進むのではないでしょうか。
 この臨時給付金については、総理の強い思い入れがあるとも伺っております。改めて、低所得の高齢者への臨時給付金を行う意義について、総理のお考えをわかりやすく御説明いただきたいと思います。
 さて、今回の補正予算は、第二の矢、希望出生率一・八の実現と、第三の矢、介護離職ゼロに焦点が当たったため、従来の三本の矢、大胆な金融政策と機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略はどこに行ってしまったのかとの御意見をよく耳にします。
 これは、新第一の矢に結束されているのですが、私は、強い経済をつくる新第一の矢は、成長と分配の好循環を構築する前提とも言えるものだと考えています。
 足元の経済状況を見ると、七―九月期の実質GDP成長率はプラスに転じ、二四半期連続のマイナスは回避できたものの、設備投資が企業収益の伸びに比べて弱い状態となっています。また、個人消費の回復テンポもおくれが見られるなど、地方によってはいまだに厳しい経済環境にあります。このために、引き続き機動的な財政運営が必要であるとの声も強く、名目GDP六百兆円を目指す新第一の矢への期待も大きいものがあると認識しております。
 そこで、新第一の矢によって、いかにして希望を生み出す強い経済をつくっていくのか、具体的な目標値である名目GDP六百兆円をどのようにして達成するのか、総理のお考えをお伺いします。
 次に、TPPについてお伺いします。
 昨年、アトランタでの閣僚会合において、TPP交渉が大筋合意に至りました。安倍総理が国家百年の計として決断され、平成二十五年七月に交渉に正式参加して以来、甘利大臣は各国と国益をかけた厳しい交渉を積み重ねてこられたものと承知しております。
 アベノミクスの成長戦略の切り札と位置づけられるTPPが我が国にとってどのような意義を持つのか、交渉の司令塔として命がけで交渉に臨んでこられた甘利大臣に改めてお伺いします。
 TPP協定は農産品や自動車の関税だけを扱うものではなく、それだけでメリットをはかることは適切ではないと考えます。非関税措置の削減、撤廃や、投資、サービスの自由化など、さまざまな分野において経済効果をもたらすことが期待されています。
 政府は昨年末にTPP協定の経済効果の分析結果を公表していますが、改めて、甘利大臣から、TPPのもたらす経済効果をわかりやすく御説明願います。
 TPPの大筋合意によって、我が国の農林水産業は農政新時代ともいうべき新たなステージを迎えました。政府・与党一体となって、TPPの影響に対する農家の方々の不安を払拭するとともに、夢と希望の持てる農政新時代を創造し、努力が報われる農林水産業を実現する必要があります。
 そこで、農林水産大臣に、農家の皆さんの不安を払拭するとともに農政新時代を創造するために、どのような政策を進めていくことが必要であるとお考えなのか、また、具体的に、補正予算にどのような施策を盛り込んだのか、御説明をお願いいたします。
 さて、我々は、今まで経済再生に全力を傾注してきましたが、同時に、財政再建も着実に推進してきました。来年度は、経済・財政再生計画の初年度に当たるため、引き続き経済再生と財政再建の両立を目指していく決意です。今回の消費税の軽減税率の議論においても、我々は財源問題を重視し、一年かけて財源を確保することとしました。将来の子供たちにツケを残してはいけません。
 そこで、財政健全化は必ずやり遂げるとの麻生財務大臣の強い決意表明をお願いいたします。
 我が党の新しいポスターが今全国で張り出されています。そのポスターには、「経済で、結果を出す。」とのコピーで、総理の並々ならぬ決意があらわされており、全てはこの言葉に集約されているように思われます。
 最後に、総理の経済再生に対する決意を改めてお伺いし、私の質問を終わりたいと思います。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 松本純議員にお答えをいたします。
 北朝鮮は、先ほど、核実験を実施したことを発表しました。政府においては、直ちに緊急参集チームを招集し、国家安全保障会議四大臣会合を開催いたしました。
 今回の核実験の実施は、我が国の安全に対する重大な脅威であり、断じて容認できません。強く非難します。これまでの安保理決議への明確な違反であり、国際的な不拡散体制への重大な挑戦です。
 我が国としては、非常任理事国として、国連安保理での対応を含め、米国、韓国、中国、ロシアを初め国際社会と連携し、北朝鮮に対して断固たる対応をとってまいります。
 一億総活躍社会の姿についてお尋ねがありました。
 デフレ脱却が見えてきた今こそ、安倍内閣は、半世紀後の未来でも人口一億人を維持するため、少子高齢化という構造的課題に真正面から立ち向かいます。一億総活躍社会への挑戦であります。
 私の地元山口県長門市の歌人、金子みすゞの有名な歌に、こんな一節があります。
  鈴と、小鳥と、それから私、
  みんなちがって、みんないい。
 十人十色、それぞれの特色があって、それぞれの希望がかない、それぞれが生きがいを持てる社会、一億人の一人一人が、家庭で、地域で、職場で、それぞれの能力を発揮して輝くことのできる社会、若者もお年寄りも、女性も男性も、難病や障害のある方々も、一度失敗を経験した人も、みんなが活躍できる社会をつくる。そのために、一人一人の希望を阻むあらゆる制度を取り除いていく。
 こうした思いから、一億総活躍社会の実現という目標を掲げました。
 その実現のため、戦後最大のGDP六百兆円、希望出生率一・八、介護離職ゼロという三つの明確な的を掲げ、新しい三本の矢を放ちます。
 最初から設計図があるような簡単な課題ではありません。困難はもとより覚悟の上であります。必ず実現できるという強い意思を持って、内閣の総力を挙げて、一億総活躍社会の実現に向け取り組んでまいります。
 希望出生率一・八の実現に向けての取り組みについてお尋ねがありました。
 希望出生率は、結婚して子供を産みたいという人の希望がかなえられた場合の出生率であり、二〇一〇年実施の調査では約一・八でした。子供を産みたいのに何らかの事情で産めない方の事情を取り除いていくことにより、この希望出生率を実現したいというのが基本的な考え方です。この希望出生率一・八の実現のため、夢を紡ぐ子育て支援をしっかりと実行してまいります。
 具体的には、若者の雇用の安定と待遇の改善、結婚、妊娠から子育ての各段階の負担、不安を解消するための支援の充実、待機児童解消を確実に実施するため、保育サービスの整備を四十万人から五十万人に拡大し、保育人材の確保などを図っていくこととしており、今回の補正予算及び来年度予算に必要な措置を盛り込んだところであります。
 少子高齢化という構造的な課題に真正面から立ち向かい、府省庁の枠組みを超えて、これまでの発想にとらわれず、大胆に政策を実施してまいります。
 介護離職ゼロに向けた取り組みについてのお尋ねがありました。
 介護離職ゼロは、二〇二〇年代初頭までに、介護を原因とした離職を防ぎ、特養への入所を希望しながら自宅待機せざるを得ない方をなくす、一億総活躍社会の実現のための重要な政策の柱です。このため、安心につながる社会保障をしっかりと実行してまいります。
 具体的には、介護施設、在宅サービス及びサービスつき高齢者向け住宅を合計で約十二万人分、当初の予定より整備量を上積みし、約五十万人分とし、求められる介護サービスを提供するために必要な介護人材の育成・確保等を図るとともに、介護休業が活用しやすくなるよう制度の見直しを行うこととしており、今回の補正予算及び来年度予算に必要な措置を盛り込んだところです。
 介護離職ゼロの実現に向け、果敢に挑戦していきます。希望出生率一・八と同様、府省庁の枠組みを超えて、これまでの発想にとらわれず、大胆に政策を実施してまいります。
 年金生活者等への臨時給付金の意義についてお尋ねがありました。
 GDP六百兆円の実現に向け、今年前半にかけての個人消費の下支えを行い、経済の下振れリスクにも対応することが必要です。
 現役世代には賃金引き上げの恩恵が及びやすい一方、こうした恩恵が及びにくいのは高齢者です。年金額については、デフレの影響もあり、特例水準の解消も含め、伸びませんでした。また、一般的には、高齢者層は、他の年齢層に比べ消費性向が高い傾向にあります。
 こうしたことを踏まえ、アベノミクスの果実を活用し、低所得の高齢者に対し一人三万円の臨時的な給付金の支給を行うこととしました。
 一年余り前、私は、消費税の引き上げの延期を決断しました。延期をした以上、給付と負担のバランスの観点から、消費税の引き上げを前提とした施策を全て行うことはできません。そこで、年金生活者支援給付金については先送りする苦渋の決断をいたしました。その際、私は、経済を成長させていけば税収は上振れしていく、その果実はしっかりと社会保障の分野に投入していきたいと申し上げました。
 そのお約束のとおり、税収増というアベノミクスの果実が生まれた今、その果実を活用し、臨時的な給付金の支給を行うこととしたものであります。これは、社会保障・税一体改革の一環として平成二十九年四月から始まる年金生活者支援給付金の前倒し的な位置づけにもなります。
 同時に、若い世代への支援も極めて重要であります。若者を含む現役世代については、賃金引き上げや最低賃金の引き上げを推進していきます。また、平成二十七年度補正予算や平成二十八年度予算において、保育サービスの充実や低所得の一人親家庭、多子世帯に対する支援など、公費ベースで〇・七兆円の子育て支援の拡充を行い、幅広い支援を行ってまいります。
 名目GDP六百兆円実現への道筋についてお尋ねがありました。
 アベノミクス三本の矢の政策によって、デフレではないという状況をつくり出す中、名目GDPは二十八兆円ふえ、雇用・所得環境も確実に改善しています。この流れをさらに加速し、日本経済を上昇気流に乗せるため、戦後最大のGDP六百兆円という目標に向かって新たな第一の矢を放っていきます。
 具体的には、賃上げを通じた消費の拡大や民間投資拡大に向けた生産性革命により、経済の好循環を力強く回し続けます。最低賃金についても、年率三%程度を目途に引き上げ、全国加重平均で千円を目指します。
 また、TPPについて、総合的なTPP関連政策大綱に沿った施策を展開するとともに、地方創生も本格化させます。
 さらに、希望出生率一・八や介護離職ゼロという新たな第二、第三の矢の目標に向けた施策を強力に推し進め、安心できる社会基盤を築くことにより、成長と分配の好循環をつくり出します。
 あらゆる政策を総動員していくことで、潜在成長率を押し上げ、GDP六百兆円を実現してまいります。
 経済再生への決意についてお尋ねがありました。
 この三年間、二十年近く日本経済を停滞させる原因となってきたデフレと戦い、経済の再生に全力を挙げてきました。その結果、日本経済はデフレ脱却まであと一息というところまで来ました。今後、賃上げ、設備投資による経済の好循環が力強く回るよう、政府としても全力で取り組んでまいります。
 さらに、アベノミクスの果実を活用し、成長と分配の好循環を通じて一億総活躍社会をつくり上げます。TPPがもたらす経済拡大効果を政策を総動員して実現します。
 新しい挑戦の始まりであります。決して容易な道のりではありませんが、日本経済の揺るぎない再生に向け果敢に取り組んでいく、その決意であります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕
○国務大臣(麻生太郎君) 今後の財政健全化に向けた決意についてのお尋ねがあっております。
 日本の財政が大変厳しい状況にあるのは御存じのとおりであります。社会保障制度を持続可能なものとして次世代に引き渡す、同時に、財政に対する信認を確保するため、財政健全化は避けて通ることができません。
 このため、安倍政権発足以来、経済再生と財政健全化の両立を進め、経済再生に着実に取り組んできたところであります。今般提出いたしました二十七年度補正予算では、国債発行額を二年連続で減額いたしております。基礎的財政収支の赤字半減目標の達成も見込み得るものとなっております。
 また、安倍内閣におけるこれまでの三本の矢の取り組みによって、企業の利益は過去最高となっております。政権交代前と比較して、税収は十五兆円増加、国税です。この税収増と歳出抑制の努力もあって、新規の国債発行額は十兆円減額できております。
 このように、経済再生と財政健全化の両方に一定の成果を上げていると考えております。
 消費税の軽減税率制度の導入に当たっても、与党での御議論を踏まえ、政府税制改正大綱において、財政健全化目標を堅持するとともに、社会保障と税の一体改革の原点に立って安定的な恒久的財源を確保するとの観点から、二十八年度末までに歳入及び歳出における法制上の措置を講ずることといたしております。その上で、その趣旨を、軽減税率制度を創設する規定を盛り込んだ平成二十八年度税制改正法案において明記することといたしております。安定的な恒久財源の確保について揺るぎない姿勢を明確に示しておるものだと考えております。
 今後とも、二〇二〇年度における国、地方の基礎的財政収支の黒字化を達成できますよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えます。(拍手)
    〔国務大臣甘利明君登壇〕
○国務大臣(甘利明君) 松本議員の御質問にお答えをいたします。
 TPPの意義についてのお尋ねがありました。
 TPP協定は、二十一世紀のアジア太平洋に自由で公正な一つの経済圏を構築する挑戦的な試みであります。人口八億人、GDP規模三千百兆円というかつてない規模の市場をカバーしました経済連携でありまして、世界の成長センターであるこの地域の成長を取り込むことで日本経済が今後長期にわたって力強く成長していく、アベノミクスの成長戦略の切り札とも言えるものであります。
 具体的には、共通化されたルールのもとで安心して投資や事業展開することを可能とし、新しいバリューチェーンの構築を促進することであります。それによりまして、多様な企業、産業間の連携やイノベーションが促進されることで、日本を含めた域内全体の生産性が向上する経済効果が期待をされます。
 また、TPPは、今後、アジア太平洋地域に参加国・地域が広がっていくことが想定をされておりまして、既にウエーティングサークルには、参加に関心を示す国・地域が列をなしております。
 さらに、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国々とともに、新たなルールをつくり上げ、経済的な相互依存関係を深めていくことは、この地域の安定にも資する戦略的意義を有しているものであります。
 次に、TPPの経済効果についてのお尋ねがありました。
 昨年十二月二十四日に、TPP協定が発効した場合に我が国のマクロ経済に与える経済効果分析を公表いたしました。分析に当たりましては、関税に関する効果に加えまして、貿易円滑化等の非関税措置によるコスト削減、貿易・投資促進効果、さらには、貿易が促進されることで生産性が向上することによる効果等も含めた総合的な経済効果分析を行いました。
 分析の結果、実質GDPにいたしまして二・六%増、二〇一四年度のGDP水準を用いて換算すると、約十四兆円の拡大効果が見られます。また、この際、労働供給は一・三%増、二〇一四年度の就業者数を用いて換算すると、約八十万人の増加が見込まれます。さらには、今回の十四兆円という分析結果は、日豪EPA等、既存EPAの効果を除いたネットの効果でありまして、TPPの効果を、これらを含めたグロスで算出すれば、二十兆円を超えるGDPの押し上げ効果が見込まれます。最新のGTAPモデルを用いて算定したものであります。
 こうした効果は、一時的な需要増加ではなく、我が国の生産力が持続的に高まるものであり、TPPを契機とする貿易・投資の拡大によって、生産性が上昇をし、労働供給と資本ストックが増加することで、真に強い経済が実現することになります。(拍手)
    〔国務大臣森山裕君登壇〕
○国務大臣(森山裕君) 松本純議員の御質問にお答えいたします。
 農家の不安を払拭し、農政新時代を創造するための政策及び補正予算に盛り込んだ具体的な施策についてのお尋ねがありました。
 昨年取りまとめました政策大綱に基づき、農業者の懸念と不安を払拭し、協定発効後の経営安定に万全を期すため、経営安定対策の充実等を図るとともに、攻めの農林水産業への転換として、競争力強化、体質強化対策を集中的に講ずることとしております。
 また、農林水産業の成長産業化を一層進めるため、政策大綱の検討の継続項目に掲げられた十二項目について、幅広く御意見を伺い、本年秋を目途に具体的内容を詰めてまいります。
 平成二十七年度補正予算においては、経営感覚にすぐれた担い手の育成、水田、畑作、野菜、果樹の産地イノベーション、畜産、酪農の収益性向上、輸出など需要フロンティアの開拓、合板、製材の国際競争力の強化、持続可能な収益性の高い漁業の操業体制への転換など、政策大綱に掲げられた競争力強化、体質強化対策を強力に推進することとしたところであります。
 本年は農政新時代元年です。政策大綱に掲げられた施策を着実に実行するとともに、中山間地域を含め、付加価値の高い農林水産物の生産や六次産業化の取り組みを積極的に支援するなど、農政改革をさらに前に進めてまいります。
 これにより、新たな国際環境のもとでも、強くて豊かな農林水産業、美しく活力ある農山漁村をつくり上げてまいります。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(大島理森君) 松野頼久君。
    〔松野頼久君登壇〕
○松野頼久君 維新の党の松野頼久です。
 統一会派民主・維新・無所属クラブを代表して質問いたします。(拍手)
 冒頭、北朝鮮は、本日の午前中、水爆の実験を実施し、成功したと発表しました。これは国際社会の平和と安全に対する重大な脅威であり、とりわけ我が国の安全に直結する問題として深刻に受けとめ、北朝鮮の非道に強く非難するものであります。
 まず冒頭、昨年十月、野党五党と無所属の議員が連名で、臨時国会の召集を要求した件についてただします。
 先ほども議論がありましたが、憲法五十三条では、「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」いいですか、もう一回言いますよ。「内閣は、その召集を決定しなければならない。」と憲法に書いてあるんですよ。なのに、にもかかわらず、安倍内閣は臨時国会を召集しませんでした。これは明らかに憲法違反なんですよ。
 昨年成立した安保法制についても、ほとんどの憲法学者や元内閣法制局長官らが違憲と断じたことを無視して強行採決をしました。
 もはや安倍内閣には憲法を守る意思が全くない、そう言わざるを得ません。
 世論の反対が続く安保法制、TPP、軽減税率、そして新閣僚のスキャンダルなど、山積する問題の追及から逃げ、国会を軽視して、憲法九十九条で国務大臣に課された憲法尊重擁護義務さえ無視をする。そのような態度は、本当に立憲主義や議会制民主主義を破壊する行為であり、許されるものではないと考えます。厳重に抗議をし、猛省を促すとともに、なぜ総理は臨時国会を召集しなかったのか、お答えをいただきたいと思います。
 あわせて、総理は憲法を守る気があるのかないのか、そのこともお答えをいただきたいと思います。
 安倍総理は、年頭の記者会見で、憲法改正について、参院選でしっかり訴えていくと明言されましたが、憲法を守らない人が自分で憲法を改正するというのは、ブラックジョークとしか思えません。
 憲法は、国民の生命、安全その他権利を守るために政府を縛るためのものであります。憲法に縛られずに権力を振りかざしている安倍総理が、国民を守るための憲法などつくれるわけはない、このことも申し上げておく次第です。
 さて、補正予算の問題点について質問します。
 平成二十七年度補正予算は三兆三千二百十三億円。そして、昨年末に決定された二十八年度の本予算は一般会計総額が九十六兆七千二百十八億円、四年連続で過去最大を更新しているんです。両予算案を合計すると、実に百兆円規模の歳出になっている。補正予算案では、税収の上振れ分と余剰金を合わせて四兆円強の余剰財源を計上しています。
 しかしながら、我が国の財政状況は、余剰財源が生じたからといって規律を緩めてよい状況では全くない。税収は五十七兆台に対して、政府の債務残高は千二百兆、GDPの二・三倍と、主要先進国中最悪の水準であり、歴史的に見てもさきの大戦末期を超える水準であります。
 にもかかわらず、今回の補正予算では、せっかくの税収の上振れ分を、借金の返済ではなくて歳出の膨張に充当しています。
 我が党は、消費税増税の引き上げなど、国民に負担をお願いする前に、まず身を切る改革を断行するべきと主張してまいりました。
 OECD加盟国の中でも、財政再建に成功した国は増税よりも国家公務員の人件費と補助金などの歳出削減に力を入れているのに対して、財政再建に失敗した国は歳出削減よりも増税を先行している、このことがわかっているんです。
 ところが、我が国は、議員定数の削減、国家公務員総人件費の削減といった歳出削減に手をつけず、消費税を引き上げようとしています。諸外国の成功例とは反対の方向に向かっているんです。
 我々維新の党は、結党以来、国会議員定数の三割削減、歳費の三割削減を訴え、そのための法律も国会に提出をしてまいりました。公務員についても、国家公務員総人件費の二割削減を目指す、これが我々の政策であります。財政再建に本気で取り組むならば、まず我々が提案する身を切る改革を断行するべきであります。
 特に、国会議員定数の削減は、二〇一二年の十一月、当時の野田総理と自民党の安倍総裁の党首討論で交わされた約束だったはずではないですか。二〇一〇年の自民党の政策集には、国会議員定数、三年後に一割削減、六年後には三割削減と明記しているんです。国会で多数を占めているんですから、やろうと思えばすぐにできるはずですが、全く約束が果たされていない。
 昨年末、衆議院の選挙制度調査会が定数を十削減する答申案をまとめたようですが、安倍総裁は議員定数を幾つ削減するおつもりか。よもや調査会の十減案でお茶を濁すわけではないでしょうね。当時の野田総理と約束をした安倍総裁にお伺いをしたいと思います。
 次に、補正予算案のうち、農業予算について伺います。
 昨年十月のTPP交渉妥結を受けて、今回の補正予算案では、TPP関連政策大綱実現に向けた施策として、攻めの農林水産業への転換に三千百二十二億円が計上されています。
 その表題だけを見ると、我が党が主張してきた大胆な規制改革の実行による市場志向の農業への転換が盛り込まれているようでありますが、その内訳に関して、昔ながらの政策が並んでいるんです。農業農村整備事業に九百四十億円。これは、土地改良事業、公共事業です。そして、農産物の農地パワーアップ事業に五百五億円。これは、収益向上計画をつくった取り組みに対して農業機械の導入等を補助するものであります。
 今回の対策も、結局は、土地改良事業という公共事業と補助金が中心なのではないか。農地の大規模化につながる規制改革を同時に行わなければ、小規模で非効率なところが温存され、単にそこに予算をばらまいただけで終わるのではないか。
 昨年十一月、衆議院予算委員会の閉会中審査で、ウルグアイ・ラウンド対策費が、温泉ランドやプチホテル等を数多くつくる等、農業の発展とは直接関係ないことに使われてしまった点を私は追及しました。それに対して安倍総理は、今回はそんなことはやらないと明言したはずです。にもかかわらず、肝心の改革には手をつけず、またぞろ農業土木を復活させ、これでも攻めの農林水産なのだと言い切って逃げようとしている。
 せっかくの余剰財源をなぜ効率の薄い公共事業や補助金に費やすのか、やはり自民党は変われないのか、お答えをいただきたいと思います。
 補正予算を組むこと自体、歳出削減に逆行することですが、今回の補正予算の中身を見ても、厳しい精査のある本予算には組み入れることができなかった必要性の薄い事業や、選挙目当てのばらまきを計上していることは明らかであります。
 徹底的に無駄遣いを省いて少しでも国民の負担を抑える、税収の上振れ分があれば借金の返済に充てる、そういうのが当然の財政原則です。ところが、安倍政権は、そうした努力をせずに、増税も含めた税収の上振れ分があれば、すぐに公共事業や給付金に回し、使い切ってしまう。その使い道も、TPP対策に名をかりた農業土木や効率の薄い補助金であり、そのツケは全て次世代、次の世代に回ってしまいます。自分たちさえよければいい、今さえよければいいという政治姿勢は、旧態依然の政治そのものと言わざるを得ません。
 大胆な改革ができるのは我々であるというこの思いを強くして、我が国の立て直しの先頭に立つことを改めてお誓い申し上げ、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 松野頼久議員にお答えをいたします。
 国会の召集と憲法についてお尋ねがありました。
 統一会派を結成された民主党の岡田代表と御質問が似ているため、答弁が一部重複いたしますが、御容赦いただきたいと思います。
 昨年の臨時国会召集の要求に対しては、政府としてこれに適切に対応するため、現下の諸課題を整理し、補正予算、来年度予算の編成などを行った上で、新年早々、通常国会の召集を図ったものであり、迅速かつ適切に対応していると考えております。
 国会閉会中でも、衆参両院の予算委員会に私も出席をし、松野議員とも論戦を闘わせていただきましたが、衆参合わせ六十時間を超える閉会中審査において、TPP、COP21など当面する政治課題について、政府としても説明責任を果たしてきたと考えております。
 内閣は国会に対し連帯して責任を負うこと、また、憲法を尊重し擁護すべきことは言うまでもありません。
 この通常国会においては、松野議員を初め維新の党の皆さんとも建設的な議論を行わせていただきたいと考えております。
 さきの国会での平和安全法制の審議において、日本を取り巻く厳しい安全保障環境、その危機感を共有し、独自の対案を提出された姿勢に改めて敬意を表する次第であります。国民にしっかりと政策の選択肢を提案する政策こそが政党の命であります。権力闘争を優先し、最も重要な政策の違いを棚上げしていては、国民からの負託に応えることはできません。
 どうか、この通常国会では、維新の党ならではの具体的な政策を国民の前で明らかにしていただきながら、正々堂々の議論を行わせていただきたいと考えております。
 議員定数削減についてお尋ねがありました。
 議員の定数に関する問題は議会政治の根幹にかかわる重要な課題であることから、御指摘の党首討論においても述べたとおり、小さな政党にも配慮しながら、各党各会派が真摯に議論を行うことが重要であると考えております。
 衆議院の選挙制度のあり方については、衆議院議長のもとに設置された第三者機関、衆議院選挙制度に関する調査会で議論が行われてきたところであり、各党各会派において、今月出される答申の内容をしっかり受けとめ、十分な議論を行い、早期に結論を得ることによって、国民の負託にしっかり応えていくべきであると考えています。
 TPP農業対策についてお尋ねがありました。
 安倍内閣では、農業の活性化に向け、これまで、農地集積バンクの創設、輸出促進や六次産業化の推進、六十年ぶりの農協改革など、農政全般にわたる抜本的な改革を進めてきております。今回の補正予算においても、総合的なTPP関連政策大綱を踏まえ、攻めの農林水産業への転換に必要な経費を計上しております。
 農業農村整備事業につきましては、農業の体質強化に直結する生産基盤の整備、具体的には、意欲ある担い手への農地集積、集約化を加速し、生産コストを大幅に削減するための農地のさらなる大区画化などに特化して支援していきます。
 また、産地パワーアップ事業につきましては、地域一丸となった高収益な作物や栽培体系への転換など、産地が行う収益力強化に直接資する取り組みを支援いたします。
 このように、今回の補正予算においては、過去のガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策における集落排水施設や温泉施設の整備などのように、農業の体質強化に関係のない事業に対する支援は行わないこととしており、効果の薄い公共事業などに財源を費やそうとしているとの指摘は全く当たりません。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(大島理森君) 古屋範子君。
    〔古屋範子君登壇〕
○古屋範子君 公明党の古屋範子です。
 私は、公明党を代表し、安倍総理の海外出張に関する報告並びに平成二十七年度補正予算についての財政演説に対して質問いたします。(拍手)
 初めに、北朝鮮は、本日、朝鮮中央テレビを通じて、初の水爆実験を行い、成功したと発表しました。事実とすれば、安保理決議違反であり、日朝平壌宣言にも違反するものであります。
 また、国際社会の平和と安全に対する重大かつ深刻な挑戦であり、北東アジア、ひいては国際社会に対する重大な脅威であるとともに、核兵器不拡散条約、NPTを中心とする国際的な軍縮・不拡散体制に対する重大な挑戦であります。
 我が国の安全に対する重大な脅威であって、断じて容認できません。強く非難します。
 また、サウジアラビアなどがイランとの外交関係を断絶したことで、中東地域が一層不安定化しています。このため、シリアの和平プロセスやテロとの闘いなどにも悪影響を与えかねません。
 国際社会が連携、協調し、対話を通じて事態の鎮静化を図ることが必要ではないのでしょうか。総理のお考えを伺います。
 昨年の通常国会閉会後、総理は、三カ月弱の間に、国連総会や日中韓サミット、G20首脳会議、APEC首脳会議、インド訪問など、七回にわたる外遊を重ね、多くの成果を上げられました。まず、精力的に首脳外交を進めていることに改めて敬意を表します。
 複雑多様化する今日の世界情勢にあって、テロや紛争の未然防止、難民問題等の解決のため、国際社会が一致して明確なメッセージを発信できたことは、大変有意義であり、高く評価できるものであります。
 また、G7伊勢志摩サミットなどを控える本年は、我が国が平和国家にふさわしい役割と国連安全保障理事会の非常任理事国に選出された責任を果たすべく、国際的な議論を主導し、世界の安定と繁栄に積極的な貢献を果たしていくべきと考えます。
 今般の首脳外交が果たした役割と成果を踏まえつつ、外交の重要課題に取り組む総理の御決意を伺います。
 昨年末、日韓両政府の間で、慰安婦問題について画期的な合意がなされました。高く評価します。これからが重要です。揺るぎない日韓関係構築に向けて、この合意を日韓両国が不退転の決意で実現しなくてはなりません。
 ことしは、日本で日中韓首脳会談が開催されます。この好機を捉え、日韓関係、日中関係を着実に揺るがぬ未来志向の関係にしていかなければなりません。
 日中韓関係を後戻りさせない関係構築にどう取り組むのか、総理の御決意を伺います。
 内政面では、これまで安倍内閣が進めてきたデフレ脱却・経済再生への取り組みが、企業業績の改善に伴う雇用の拡大や賃金の上昇を後押しし、着実に経済の好循環を生み出しつつあります。
 こうした流れを強く確かなものとするためには、引き続き、個人消費や設備投資の拡大を促しつつ、人口減少や少子高齢化など、我が国が直面する構造的な問題にも真っ正面から取り組まなければなりません。
 一億総活躍社会の実現やTPP発効に備えた対策を柱とする今般の補正予算は、まさにこうした要請に応える重要な予算であり、早期の成立と執行が必要と考えます。
 以下、具体的な質問に移ります。
 まず、軽減税率導入の意義、運用の課題等について伺います。
 昨年十二月、自民、公明両党は、酒類、外食を除く飲食料品に対し、二〇一七年四月一日より軽減税率を導入することを決定しました。これにより、該当の飲食料品は消費税引き上げ後も税率八%に軽減されることが決まりました。与党協議に当たられた関係者の御努力に敬意を表したいと思います。
 自公両党は、一昨年十二月の選挙後にまとめた連立政権合意で、消費税の引き上げに合わせて軽減税率を導入することを公約に掲げた経緯があります。
 軽減税率の導入は、国民の痛税感の緩和や逆進性対策のための施策として大きな意味があると考えます。また、消費を冷やさず、経済の失速を防ぐという観点から、景気・経済対策としても効果が期待されます。
 軽減税率の導入の意義について、総理の見解を伺います。
 軽減税率に関して、事業者のインボイス導入は二〇二一年からと決まりました。正確な納税事務や転嫁のしやすさなど、画期的な改革だと思います。
 しかしながら、事業者にとってこの時期は、マイナンバー制度の準備やストレスチェックの義務化等が重なり、負担が大きいという指摘があります。政府は、こうした切実な声に応え、中小・小規模企業の事業者負担の軽減のために迅速な対応をすべきです。
 どのような対策を講じるのか、総理に伺います。
 一億総活躍社会の実現に向けた取り組みについて伺います。
 公明党は、政府が掲げる一億総活躍社会とは、女性や若者、障害者を初め全ての人が輝き活躍できる社会と位置づけ、その取り組みを加速化させることによって、希望と活力ある日本を再構築していくべきと考えます。
 また、新三本の矢に掲げられた夢を紡ぐ子育て支援や安心につながる社会保障は、我が党が長年取り組んできた分野であり、多様な保育サービスや介護基盤の充実など、一人一人の活躍を支えるきめ細かな取り組みを具体化させることが重要です。
 まず、介護人材の確保と離職防止について伺います。
 政府は、介護離職ゼロを目指し、特養ホームなどの介護の受け皿を約五十万人分整備する目標を掲げました。そのためには、介護基盤を支える人材の確保が急務となります。
 公明党は、介護離職ゼロを実現するために、まずは介護職員の離職者ゼロを目指すことが重要であると申し上げてきました。介護従事者の処遇改善を通じて離職を防止するとともに、新たな人材の養成確保、離職者の再就職支援などを一体的に進めることが重要です。
 政府の取り組みについて、総理に伺います。
 待機児童解消の加速化と保育士確保について伺います。
 政府はこれまで、保育士確保プランに基づき、修学資金貸し付け、潜在保育士の再就職支援などを進めてきました。
 今般、二〇一七年度末までの保育の受け皿を四十万人から五十万人分へと拡充したことに伴い、さらなる保育士確保が必要となりました。
 賃金や就業時間などが希望と合わず、保育職への就業をためらう方が多い中、魅力ある職場づくりに向けて、業務負担の軽減や賃金引き上げなど、より一層の待遇改善が必要です。
 必要な保育人材を確保しつつ、どのように五十万人分の受け皿を整備していくのか、総理のお考えを伺います。
 不妊治療の助成拡充についてお尋ねします。
 体外受精や顕微授精など、高額な費用負担に苦しむ切実な声にお応えするため、公明党は、特定不妊治療助成事業の創設と拡充に尽力してきました。
 今般の補正予算では、初回の助成額の増額や男性不妊治療の助成拡大が盛り込まれておりますが、その目的や効果、助成内容等について、塩崎厚生労働大臣の御説明を求めます。
 マタハラ対策について伺います。
 一億総活躍社会に向けて、女性の活躍が重要なことは言うまでもありません。しかし、妊娠や出産などを理由に不当な扱いを受けるマタニティーハラスメント、マタハラが社会問題化しています。
 マタハラをめぐっては、公明党の提案を受け、厚生労働省が就業形態別の実態調査を初めて行いました。その結果、マタハラを経験した女性は、派遣社員では約五割、正社員で約二割に上ることがわかりました。調査の中で、男性のみならず女性の上司からマタハラを受けたという事例も少なくありませんでした。
 妊娠、出産が退職や降格につながるような社会の意識を変えなければなりません。マタハラ防止策の強化は急務です。法改正を含め、厚生労働大臣の見解を求めます。
 がん対策の推進について伺います。
 がん対策は、がん対策推進基本計画に沿って進められています。しかし、二〇〇七年度から十年でがんの死亡率二〇%削減の全体目標の達成は難しいのが現状です。
 そのため、政府は、がん対策加速化プランを策定しました。中でも、個別計画の大きな柱であるがん検診受診率五〇%以上の目標達成に向けて、個別受診勧奨、コール・リコールの強化が不可欠です。また、受動喫煙対策や就労支援の充実等も喫緊の課題です。
 がん対策加速化プランの狙いについて、厚生労働大臣の見解を求めます。
 年金生活者等への臨時福祉給付金について伺います。
 賃金引き上げの恩恵が及びにくい年金生活者等への支援は、個人消費の下支えや所得全体の底上げを図る観点から必要な施策と考えます。
 公明党は、社会保障と税の一体改革の中で低年金者等への加算制度を提案し、消費税一〇%導入時から月額で最大五千円の福祉的給付がスタートすることとなりました。
 この低年金者等への加算制度との関係を含め、今般の給付金の意義について丁寧に説明をするとともに、詐欺被害の防止を含めた広報の徹底など、対象者への適正かつ迅速な支給に万全を期すべきと考えます。総理の答弁を求めます。
 補正予算のもう一つの柱、TPP対策について伺います。
 TPPのメリットを生かし、日本経済を活性化させ、農林水産業に安心と希望をもたらすために、公明党は、昨年、TPPの国内対策を提言しました。
 その内容の多くは、政府が決定した総合的なTPP関連政策大綱に反映され、今般の補正予算にも一部計上されています。
 農林水産業については、女性や若者など多様な担い手が希望を持って活躍できるよう、畜産、酪農を初め水田、畑作、野菜、果樹など、収益の向上に向けた支援、畜産クラスター事業、産地パワーアップ事業を早期に充実すべきです。
 今回の補正予算はTPP対策のスタートであり、幅広く国民の理解を得るために、消費者の目線も重視しながら、今後さらに対策を進化させていくべきと考えますが、総理のお考えを伺います。
 防災・減災対策について伺います。
 昨年の九月、関東・東北豪雨により、鬼怒川の堤防が決壊して深刻な浸水被害が発生しました。また、一昨年九月の御嶽山噴火の被害も記憶に新しいところです。水害や火山など自然災害対策を急がなくてはなりません。
 あわせて、道路や橋、トンネルなど、高度経済成長期に整備されたインフラが老朽化しており、その整備も不可欠です。二〇一二年十二月、中央自動車道笹子トンネルで起きた天井板崩落事故から三年が経過しました。私は、事故発生後、事故現場に駆けつけ、老朽化した社会インフラの危険性を痛感しました。
 水害や火山など自然災害対策とともに、インフラ老朽化対策にどのように取り組むのか、石井国土交通大臣の見解を求めます。
 学校の耐震化など施設整備について伺います。
 災害発生時、地域住民の避難場所となるのが公立小中学校です。児童生徒の安全、安心はもちろん、地域住民のためにも、学校の耐震化を初め施設整備は重要です。
 現在、学校の耐震化は、廃校舎などを除くと今年度中にほぼ一〇〇%を達成する見通しとのことですが、トイレや冷暖房改修も喫緊の課題です。馳文部科学大臣の所見を求めます。
 今、世界を見たとき、テロや難民問題など課題は山積しています。世界の平和と安定に向け、我が国の役割はますます大きくなっていると実感いたします。内政においては、一億総活躍社会の実現を目指し、まさに大きな一歩を踏み出すときを迎えています。今後の内外にわたる総理のリーダーシップの発揮を期待して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 古屋範子議員にお答えをいたします。
 北朝鮮は、先ほど、核実験を実施したことを発表しました。政府においては、直ちに緊急参集チームを招集し、国家安全保障会議四大臣会合を開催いたしました。
 なお、日本は、米国と共同で、安保理議長宛てに安保理の緊急会合招集を要請いたしました。
 今回の核実験の実施は、我が国の安全に対する重大な脅威であり、断じて容認できません。強く非難します。これまでの安保理決議への明確な違反であり、国際的な不拡散体制への重大な挑戦です。
 我が国としては、非常任理事国として、国連安保理での対応を含め、米国、韓国、中国、ロシアを初め国際社会と連携し、北朝鮮に対して断固たる対応をとってまいります。
 中東情勢についてのお尋ねがありました。
 我が国は、サウジアラビアを初めとするアラブ諸国とイランとの関係悪化を懸念しており、中東地域の安定のためにも、議員御指摘のとおり、全ての当事者が、自制し、対話を通じて事態の鎮静化を図り、平和的に問題を解決するよう、国際社会と連携して働きかけてまいります。
 外交の重要課題に取り組む決意と、中国、韓国との関係についてお尋ねがありました。
 本年、我が国は、御指摘のとおり、G7伊勢志摩サミットの議長国や国連安保理の非常任理事国を務めるなど、日本外交が世界を引っ張っていく一年となります。
 経済や安全保障の観点から、国益を増進し、国際社会が直面するさまざまな課題について、世界と緊密に協力し、リーダーシップを発揮して取り組んでいく決意であります。
 韓国、中国との関係については、本年、我が国で日中韓サミットを開催する際に、日韓及び日中の首脳会談も開催したいと考えています。
 韓国とは、日韓新時代にふさわしい未来志向の関係を構築し、中国とは、戦略的互恵関係に基づく関係改善の流れを一層力強いものにし、韓国、中国との関係を、互いに協力しながら着実に発展させてまいります。
 消費税の軽減税率制度の導入の意義についてのお尋ねがありました。
 消費税の軽減税率制度については、税制抜本改革法第七条に基づく消費税率引き上げに伴う低所得者への配慮として、消費税率が一〇%に引き上げられる平成二十九年四月に導入することとしております。
 この制度のもと、ほぼ全ての人が毎日購入している酒類及び外食を除く飲食料品等の税率を八%に据え置くこととしており、これにより、所得の低い方ほど収入に占める消費税負担の割合が高いという、いわゆる消費税の逆進性を緩和することができ、また、日々の生活の中で、買い物の都度、痛税感の緩和を実感していただけるものと考えております。
 いわゆるインボイス制度を含む軽減税率制度の導入に向けた事業者への配慮についてのお尋ねがありました。
 御指摘のありましたいわゆるインボイス制度については、複数税率のもとで適正な課税を確保するため、平成三十三年四月に導入することとしています。
 他方、それまでの間は、事業者の準備負担に配慮し、簡単な方法によることとし、さらには、複数税率に対応した区分経理が困難な中小事業者等もいることを想定し、税額計算の特例を設けることとしております。
 また、軽減税率制度の導入に当たり混乱が生じないよう、政府に必要な体制を整備するとともに、事業者の準備状況等を検証しつつ、軽減税率制度の円滑な導入、運用のための必要な対応を行うこととしております。
 その一環として、事業者に制度の周知徹底を行うとともに、中小の小売事業者等が複数税率に対応するために必要なレジの導入やシステムの改修等について、準備が滞ることがないよう、資金的支援を実施するための経費について予備費や補正予算で手当てしております。
 いずれにせよ、平成二十九年四月の軽減税率制度導入に向け、政府として万全の準備を進めてまいります。
 介護人材の確保についてのお尋ねがありました。
 介護人材の確保については、基金の活用により都道府県の取り組みを支援するとともに、介護報酬により処遇改善を実施し、介護職員の離職防止と就業促進を進めてまいりました。
 さらに、介護離職ゼロを実現するため、今般、十二万人分の介護サービスの整備量を上積みし、約五十万人分とし、今回の補正予算及び来年度予算において、介護福祉士を目指す学生に返済を免除する奨学金制度の拡充、一旦仕事を離れた人が再び仕事につく場合の再就職準備金の創設、介護ロボットの活用促進や、ICTを活用した生産性向上の推進などに取り組んでまいります。
 今後とも、介護離職ゼロの実現に向けて果敢に挑戦してまいります。
 保育人材の確保についてお尋ねがありました。
 待機児童解消のため、四十万人から五十万人へと保育サービスの整備量を上積みし、これに必要となる約九万人の保育人材の確保に向けて、処遇の改善、就業促進や離職の防止など、総合的に対策を講じてまいります。
 保育の人材確保については、平成二十七年度からの子ども・子育て支援新制度において、消費税財源を活用し、三%相当の処遇改善を行うことなどにより取り組みを進めてまいります。
 また、今回の補正予算及び来年度予算では、保育士を目指す学生に返済を免除する奨学金制度の拡充、一旦仕事を離れた人が再び職につく場合の再就職準備金の創設、保育士の勤務環境改善に取り組む事業者に対して保育補助者の雇用を支援する仕組みの創設など、必要な措置を盛り込んだところであります。
 これらの対策に総合的に取り組むとともに、引き続き、保育人材のさらなる処遇の向上についても財源を確保しつつ取り組んでまいります。
 低所得高齢者への臨時給付金についてのお尋ねがありました。
 GDP六百兆円の実現に向け、今年前半にかけての個人消費の下支えを行い、経済の下振れリスクにも対応することが必要です。
 現役世代には賃金引き上げの恩恵が及びやすい一方、こうした恩恵が及びにくいのは高齢者です。年金額については、デフレの影響もあり、特例水準の解消も含め、伸びませんでした。また、一般的には、高齢者層は、他の年齢層に比べ消費性向が高い傾向にあります。
 こうしたことを踏まえ、アベノミクスの果実を活用し、低所得の高齢者に対し一人三万円の臨時的な給付金の支給を行うこととしました。これは、社会保障・税一体改革の一環として平成二十九年四月から始まる年金生活者支援給付金の前倒し的な位置づけとなります。
 給付金を支給するに当たっては、対象者への適正かつ迅速な支給が可能となるよう、詐欺被害の防止も念頭に適切な広報活動を展開するとともに、給付事務を担う市町村を支援してまいります。
 TPPについてお尋ねがありました。
 TPPについては、総合的なTPP関連政策大綱を決定し、緊急に実施すべき施策を補正予算に計上しました。
 農林水産分野では、収益力向上の支援策を早期に実施するため、二十七年度補正予算に畜産クラスター事業や産地パワーアップ事業などを盛り込みました。
 本大綱に掲げた主要施策については、既存施策を含め、不断の点検、見直しを行ってまいります。
 これに加え、農林水産業の成長産業化、我が国の産業の海外展開、事業拡大や生産性向上については、さらに検討を進め、本年秋を目途に政策を具体化することとしております。
 引き続き、他の分野も含め、幅広く国民の理解を得て、政策大綱で提示したTPP関連政策の目標を効果的、効率的に実現するよう取り組んでまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣塩崎恭久君登壇〕
○国務大臣(塩崎恭久君) 古屋範子議員にお答えを申し上げます。
 まず、不妊治療の助成拡充についてお尋ねがございました。
 現在、不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、高額な医療費がかかる配偶者間の体外受精に要する費用について、一回十五万円を上限に六回まで助成をする事業を実施しております。
 今回の補正予算案では、早期の受診を促すため、出産に至る割合が高い初回治療の助成額を十五万円から三十万円に拡充するとともに、不妊の原因が男性にある場合に精子回収を目的とした手術療法を実施した場合、高額な医療費の負担を軽減するため、さらに十五万円を上限に上乗せして助成することとしております。
 こうした拡充を通じて、子供を持ちたいと願いながらその機会に恵まれてこなかった夫婦の希望が一日も早くかなうよう支援してまいりたいと考えておるところでございます。
 いわゆるマタニティーハラスメント対策についてのお尋ねがございました。
 妊娠、出産等を理由とする事業主による不利益取り扱いにつきましては、既に男女雇用機会均等法等によって禁止されており、事業主に向けた周知啓発のほかに、法に違反する事業主に対しては、都道府県労働局において厳正な是正指導等を行っているところでございます。
 しかしながら、近年では、男女問わず、上司、同僚からの嫌がらせ等も問題となっているところでございます。
 このため、昨年末、上司、同僚からの嫌がらせ等の行為を防止するための措置を事業主に義務づけるとともに、派遣労働者については、当該防止措置を派遣先事業主についても義務づけること等を内容といたします労働政策審議会の建議が行われたところでございまして、これを受けて、法改正に向け、検討しておるところでございます。
 妊娠、出産が退職や降格につながることのない社会の実現に向けて、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
 がん対策加速化プランの狙いについてのお尋ねがございました。
 がん対策加速化プランにおいては、がん対策推進基本計画に示されている分野のうち、おくれているため加速することが必要な分野、加速することにより死亡率減少につながる分野について、予防、治療研究、がんとの共生の三つの柱として、短期集中的に実行すべき具体策を明示したところでございます。
 予防に関しましては、検診受診率の向上に向け、個別受診勧奨の徹底やかかりつけ医等による受診勧奨の推進、東京オリンピック・パラリンピックに向けた受動喫煙防止対策の強化、学校におけるがん教育等を進めることとしております。
 治療研究に関しては、がんのゲノム医療、小児がんや希少がん対策等に取り組むこととしております。
 がんとの共生に関しましては、がんになっても安心して暮らせるよう、がん診療連携拠点病院における就労に関する相談支援の実施、ハローワークにおける病院と連携した就職支援の全国展開、治療と職業生活の両立のための企業向けガイドラインの策定等を進めることとしております。
 基本計画で掲げた目標を達成するため、プランに基づいて、がん対策をより一層推進してまいります。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣石井啓一君登壇〕
○国務大臣(石井啓一君) 古屋範子議員から、自然災害対策及びインフラ老朽化対策の取り組みについてお尋ねがございました。
 国民の命と暮らしを守るため、ハード、ソフトを総動員した防災・減災対策を進めるとともに、戦略的なインフラ老朽化対策に取り組むことが重要と考えております。
 まず、水害対策につきましては、関東・東北豪雨の教訓を踏まえ、より実効性のある住民目線のソフト対策、氾濫した場合にも被害を軽減する危機管理型ハード対策などを総動員し、社会全体で洪水に備える水防災意識社会の再構築を図ってまいります。
 火山災害対策につきましても、御嶽山噴火の教訓を踏まえ、地震計等の観測機器の増強、火山活動に応じた機動観測の適切な実施による観測監視体制の強化に努めているところであります。
 次に、インフラ老朽化対策につきましては、高度経済成長期以降に整備したものが今後一斉に老朽化することから、戦略的な維持管理、更新を推進していくことが重要であります。
 このため、直ちに緊急点検を行うとともに、平成二十六年度に策定をいたしましたインフラ長寿命化計画や維持管理の統一的な基準、マニュアルにのっとり、計画的な定期点検や修繕、地方公共団体に対する財政支援や研修等の人的支援を実施してまいります。
 現在、国土交通省の公共事業関係費の半分以上を防災・減災、老朽化対策等に重点化しており、引き続き国民の安全、安心の確保に全力で取り組んでまいります。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣馳浩君登壇〕
○国務大臣(馳浩君) 古屋範子議員にお答えします。
 公立小中学校のトイレや冷暖房の改修についてお尋ねがありました。
 学校施設は、子供たちの学習、生活の場であるとともに、災害時には地域住民の避難所にもなる施設であります。また、地域コミュニティーの拠点ともなり、一億総活躍社会の実現のために極めて重要な施設であります。
 このため、トイレ改修や空調設置など、公立学校の施設整備にしっかりと取り組んでまいります。
 以上です。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    ―――――――――――――
○副議長(川端達夫君) 穀田恵二君。
    〔穀田恵二君登壇〕
○穀田恵二君 質問に先立ち、冒頭、一言します。
 本日、北朝鮮は、水爆実験を実施したと発表しました。北朝鮮による核実験の強行は、地域の平和と安定に対する極めて重大な逆行であり、一連の国連安保理決議、二〇〇五年九月の六カ国協議共同声明、日朝平壌宣言に明確に違反する暴挙であり、日本共産党は、厳しく糾弾するものであります。
 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。(拍手)
 ことしは、日本国憲法公布七十年という節目の年です。憲法は、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」と高らかにうたっているのであります。
 ところが、安倍自公政権は、昨年の通常国会で、この憲法の精神をじゅうりんし、歴代政府の憲法解釈を百八十度転換して、集団的自衛権の行使を可能とする安保法制、すなわち戦争法の強行成立という暴挙を行いました。憲法違反、立憲主義、民主主義の否定の暴挙であり、断じて許すことはできません。
 この暴挙に対して、国民的運動は空前の広がりを見せました。強行成立の後も、世論調査では戦争法反対が国民の多数であります。主権者の一人として暴挙を決して忘れない、安倍政治を許さないと、戦争法の廃止、立憲主義の回復を求める運動として一層の広がりを見せています。総理、この声が聞こえているのですか。
 私たちは、戦争法の廃止と集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回を断固として求めるものであります。答弁を求めます。
 総理は、強行成立後、今後も誠実に粘り強く説明を行っていくと述べました。ところが、野党が憲法五十三条に基づいて求めた臨時国会の召集さえ無視して、戦争法の具体化、実行にひた走っています。
 十一月には、新たな日米間の同盟調整メカニズムと共同計画策定メカニズムの設置に合意しました。
 これらの仕組みを通じて、平時から緊急事態まで切れ目なく、地球規模で軍事協力を推し進め、そのための共同計画を策定、更新するとしています。これは、アメリカが世界の紛争に軍事介入したときに、いつでも、どこでも、どんな戦争でも、日本が参戦するための体制づくりそのものではありませんか。
 戦後初めて五兆円を超す軍事費の増大も見逃すわけにはいきません。財政の面から戦争法を支えるものにほかならないではありませんか。これをどう説明するのですか。お答えください。
 パリで同時テロ事件が発生し、アメリカを初めとする有志連合は、過激派組織ISに対する空爆を初めとした軍事作戦を強化しようとしていますが、軍事作戦の強化では問題は解決しません。逆に憎しみの連鎖を生み、テロと戦争の悪循環をつくり出すことになります。自衛隊を派遣することは絶対にやってはなりません。
 問題は、世界からどうやってテロをなくすのかということです。
 私たちは、一つ、国連安保理決議に基づき、テロ組織への資金提供の遮断、テロリストの国際的移動の阻止、テロリストの武器入手の防止など、テロ組織を直接抑える、二つ、貧困や政治的、宗教的差別など、テロの土壌となっている問題をなくしていく努力を行う、三つ、シリアとイラクでの内戦、混乱を解決し、平和と安定を図るための政治的、外交的努力を図る、四つ、難民として苦しんでいる人々の人権を守り抜くための国際的な支援を抜本的に強める、以上の四点を提案するものです。総理の見解を求めます。
 沖縄の米軍基地問題です。
 沖縄県の翁長知事は、昨年十月、名護市辺野古への米軍新基地建設にかかわる埋立承認を取り消しました。これに対し、政府は、私人の権利救済を目的とした行政不服審査制度を悪用して工事を再開し、承認の取り消しそのものを消し去ろうと翁長知事を裁判に訴え、さらに、露骨な地域振興策で住民を分断しようとしています。
 沖縄は、第二次世界大戦の末期、本土決戦、国体護持のための捨て石にされ、県民の四人に一人が犠牲になった苛烈な地上戦が繰り広げられました。戦後もサンフランシスコ講和条約第三条によって本土から分断され、その後も米軍の統治下に置かれ続けました。そのもとで、国際法にも違反し、住民の土地が強権的に奪われ、広大な米軍基地は構築されたのであります。この歴史を総理はどう認識しているのですか。
 普天間基地について政府は、一日も早い危険性の除去を強調しますが、そもそも、一九九六年に返還を合意しながら、移設条件をつけ、世界一危険な基地を放置してきたのは誰か。深夜、早朝の米軍機の飛行を野放しにし、米軍のオスプレイ配備計画をひた隠しにしてきた事実を忘れたのですか。住民の安全よりも米軍の運用を優先してきた政府の姿勢こそ改めるべきであり、今こそ移設条件つきをやめ、普天間基地を直ちに閉鎖、撤去することを強く要求するものであります。
 次に、経済と暮らしの問題です。
 安倍政権の三年間が進めてきたのは、世界で一番企業が活動しやすい国をつくることを標榜し、大企業がもうければ国民も潤うという経済政策でした。このもとで、経済と国民の生活の状態はどうでしょうか。
 大企業の経常利益は六割以上も増加、史上最高の大もうけで、内部留保も三百兆円を突破しています。他方、国民の所得と消費は、実質で見れば三年前を下回ったままで回復していません。生活保護の受給者数は過去最高となり、いわゆるワーキングプアは一千百万人を超えるなど、アベノミクスが深刻な格差拡大と貧困をもたらしたのであります。今や安倍総理の経済政策の誤りは明瞭ではありませんか。答弁を求めます。
 そもそも経済とは、経世済民、すなわち世を治め、国民の苦しみを救うことです。公正な分配、富の再配分をすることが求められているのです。
 にもかかわらず、安倍政権は、経団連の意向を受け、税制改正大綱に、「「稼ぐ力」のある企業等の税負担を軽減する」と明記し、大企業に対する優遇税制をさらに拡大しようとしており、一六年度以降に法人実効税率を二〇%台にしようとしていることは重大です。
 しかも、この減税の財源を、法人の課税ベースの拡大、外形標準課税の拡大により確保するとしています。これまで法人税を負担していない赤字企業や中堅企業への課税を強化しようというのであります。赤字企業などに増税を行い、それを財源として、もうけ過ぎで内部留保をため込んでいる大企業に減税するなど、とんでもない税制です。稼ぐ企業にこそ応分の負担を求めるべきではありませんか。答弁を求めます。
 一方で、国民には、一七年四月の消費税一〇%への大増税を押しつけようとしています。軽減税率と称していますが、何が軽減ですか。食料品や新聞などの税率を八%に据え置くだけにすぎません。新たに四・五兆円を超える国民負担を押しつける口実であり、一世帯当たり、今より四万円以上の大増税になるのは明瞭ではありませんか。
 消費税率を一〇%に引き上げることは、低所得者ほど負担割合が高い消費税の逆進性がますます進むことになります。これは政府も認めてきたことではありませんか。低所得者対策を言うならば、消費税増税を中止し、消費税頼みの道から転換すべきです。
 その上、この間の社会保障改悪に続けて、来年度は、年金の給付引き下げ、入院給食費の負担増、福祉給付金の半減や診療報酬の減額などの改悪をしようとしています。総務省や厚労省の調査でも、全ての年齢層で社会保険料の負担がふえ、所得が少ない人ほど負担割合は増加しています。社会保険料と消費税が、二重三重に国民の家計に負担を押しつけ、苦しめています。憲法が保障する生存権を侵害するという状態と言わなければなりません。総理の見解を求めます。
 東日本大震災、福島原発事故による被災者の問題です。
 あと二カ月で、東日本大震災、東京電力福島第一原発事故から五年がたちます。五年がたとうとする今でも、十八万人を超える被災者が避難生活を強いられています。災害関連死は三千三百三十八人にも達しています。政府が、復興計画による大型事業を推し進める一方、医療費や介護保険料の負担減免など被災者に対する支援を早々と地元に押しつけてきたことが、こうした深刻な事態を引き起こしているのではありませんか。被災者の基本的人権がないがしろにされている現状をどう認識しているのでしょう。
 被災自治体に自立を促すとして地元負担を押しつけることは、一日も早い復興に努力している被災者や被災自治体に水を差すことになりかねないではありませんか。
 商店が成り立つためにも、人手不足の水産加工業など、なりわいと地場産業を復興する上でも、住まいの再建は待ったなしの状況にあります。そのためには、被災者生活再建支援金を最低でも五百万円、住宅が再建できる水準に引き上げることが不可欠ではありませんか。
 福島原発事故について、事故による被害が続いているにもかかわらず、一方的に避難指示を解除し、帰還するかどうかの選択を迫り、東京電力が損害賠償を打ち切るなどは言語道断です。直ちに改めるべきであります。
 東電福島原発事故そのものの原因究明はいまだ不十分です。収束どころか、ふえ続ける汚染水問題解決のめどさえ立っていません。原発事故が発生した際の住民の避難対策や生活再建を保障する対策も曖昧なまま、川内原発を初め既存の原発を再稼働させるなどは、決して行うべきではありません。
 最後に、民主主義と政治のあり方についてです。
 憲法の前文は「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」と始まります。
 一昨年の総選挙で、自民党は、全有権者の一七%にすぎない支持で二百九十もの議席を獲得しました。小選挙区制による虚構の多数議席の力で、憲法違反の戦争法の成立まで強行したのです。これが正当な代表と言えるのか、主権者の声を聞け、これが国民の声です。国民は、国会の議席と民意の乖離を根本から改めることを求めています。
 七十年前の女性参政権以来、選挙権年齢が十八歳からに拡大することし、国民の代表の選び方について国民的議論をすべきです。
 選挙制度の基本原則は、国民の多様な民意を鏡に映すよう正確に国会の議席へ反映するものでなければなりません。これに逆行する現行小選挙区制は廃止すべきであります。同時に、金の力で政治をゆがめる企業・団体献金の全面禁止、憲法違反の政党助成金の廃止を求めるものであります。
 総理、立憲主義とは何でしょうか。たとえ国会で多数を持つ政権党でも、憲法の枠組みに反する政治をしてはならないということではありませんか。
 立憲主義、民主主義、平和主義の擁護と再生は、誰もが自由で尊厳ある暮らしを送るための前提となるもの、これは多くの市民の共通の思いです。立憲主義を踏みにじり、暴走に暴走を重ねる安倍政権が憲法改正を口にするなど、断じて許されません。
 日本共産党は、憲法の精神が息づく日本の政治の歴史的転換の年とするため全力を尽くす決意を表明して、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 穀田恵二議員から御質問がございました。
 平和安全法制と閣議決定についてお尋ねがありました。
 平和安全法制に対しては、世界の多くの国々から強い支持と高い評価が寄せられています。これは、この法制が決して戦争法などではなく、戦争を抑止する法律であり、世界の平和と繁栄に貢献する法律であることの何よりのあかしであります。
 国民の命と平和な暮らしを守るために必要不可欠なこの法律を廃止したり、平成二十六年七月の閣議決定を撤回することは、全く考えておりません。
 引き続き、国民の皆様のさらなる御理解をいただけるよう、丁寧な説明に努めてまいります。
 同盟調整メカニズム及び共同計画策定メカニズムについてお尋ねがありました。
 我が国の平和と安全を確保していくためには、強固な日米同盟のもと、自衛隊と米軍との緊密な連携が必要であり、日米両政府は、これらのメカニズムのもと、安全保障、防衛協力を推進し、同盟の抑止力、対処力を一層強化していく考えです。
 もとより、自衛隊の全ての活動は、日本国憲法及び国内法令等に従い、我が国の主体的な判断のもとで行われるものであり、いつでもどこでも米国の戦争に参加するなどの御指摘は全く当たりません。
 平成二十八年度の防衛関係費についてお尋ねがありました。
 防衛関係費については、中期防衛力整備計画等に基づいて着実な予算編成を行っており、平成二十八年度については、人事院勧告などを踏まえた自衛隊員の人件費の増加及び普天間飛行場の移設など米軍再編の着実な実施のための経費が増加分の大半を占めています。
 また、平和安全法制の施行を前提とした経費は計上していません。
 いずれにせよ、戦争法を支えるものといった御指摘は、これも全く当たりません。
 テロ対策についてのお尋ねがありました。
 委員御指摘の四点については、いずれもテロ防止のために重要と考えています。
 我が国としても、関連の国連安保理決議を完全に履行するとともに、貧困や差別を削減し、テロの根底にある暴力的過激主義を生み出さない社会を構築するための支援を行っていきます。さらに、シリア情勢の安定化、イラク政府の支援のために、日本の強みを生かした可能な限りの非軍事的貢献を行っていく考えであり、難民問題への対応には、人道支援と開発支援の連携促進を重視してまいります。
 我が国としては、今後とも、テロ防止、根絶に向けて、国際社会と緊密に協力しつつ、引き続き積極的に取り組んでまいります。
 沖縄の歴史についてお尋ねがありました。
 我々は、沖縄が、さきの大戦において筆舌に尽くしがたい悲惨な地上戦を経験し、また、サンフランシスコ平和条約の発効以降も返還までに多くの時を要したという苦難の歴史を忘れてはならないと考えております。戦後七十年を経て、なお沖縄に大きな基地負担を背負っていただいている事実も重く受けとめる必要があると考えております。
 政府といたしましては、こうした歴史を十分に心に刻み、沖縄の方々の気持ちに寄り添いながら、沖縄の基地負担の軽減や、沖縄の振興に全力を尽くしてまいります。
 普天間飛行場についてお尋ねがありました。
 沖縄の基地負担の軽減を図ることは政府の大きな責任であり、安倍政権は、現実と向き合いながら一つ一つ着実に改善を進めています。
 普天間飛行場については、沖縄の皆様の強い要望を踏まえ、米国との間で、沖縄県内に代替施設を建設することを前提に、全面返還することに合意したものであります。
 最も大切なことは、住宅や学校で囲まれ、市街地の真ん中にある普天間の固定化は絶対に避けなければならないということであり、これは政府と沖縄との共通認識だと考えています。
 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、辺野古への移設は、米軍の抑止力を維持しながら、同時に普天間の危険性の一刻も早い除去を図るための唯一の解決策であり、この考え方に変わりはありません。
 普天間の一日も早い全面返還を実現するため、関係法令に従い、政府一体となって、住民の生活や環境への影響に配慮しながら移設を進めてまいります。
 安倍内閣の経済政策についてお尋ねがありました。
 安倍内閣においては、デフレ脱却を目指して経済再生に取り組む中で、格差が固定化しないよう、最低賃金を三年連続で大幅に引き上げ、パートタイム労働者と正社員との均衡待遇を推進するなど、さまざまな取り組みを行ってきました。
 その結果、雇用環境については、就業者数は百十万人以上ふえ、有効求人倍率は二十三年ぶりの高水準となり、パートで働く方々の時給はここ二十二年間で最高の水準となりました。大きな改善が見られています。
 今後とも、非正規雇用労働者のキャリアアップや待遇改善に向けた取り組みを進めていくこととしています。
 教育費負担については、高校の奨学給付金や大学の奨学金など、幼児教育から大学までの各段階において必要な支援を行い、負担の軽減に努めています。
 生活保護世帯は、高齢者世帯の増加などにより近年増加していますが、生活保護世帯の増加ペースは鈍化しており、高齢者を除く世帯で見ると、平成二十五年三月以降は減少しております。いずれにせよ、今後とも、生活保護受給者の支援や、生活困窮者が生活保護に至る前の段階での自立支援の強化に取り組むこととしております。
 そして、今般、国民一人一人が、家庭で、地域で、職場で、それぞれの能力を発揮して輝くことのできる社会、すなわち一億総活躍社会の実現に向けた挑戦を開始しました。誰にでもチャンスのある社会を目指し、内閣を挙げて全力で取り組んでまいります。
 なお、今般の法人税改革は、企業が収益力を高め、より積極的に賃上げや設備投資に取り組むよう促す観点から行うものです。もちろん負担能力のある企業には応分の負担をいただく必要がありますが、我が国においては一部の企業に税負担が偏っているとの指摘もあることから、そうした状況を改善し、広く負担を分かち合う構造としていくことも必要です。改革に当たっては、中小・中堅企業への影響に十分配慮してまいります。
 消費税引き上げについてお尋ねがありました。
 消費税率の引き上げは、国の信認を確保するとともに、社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡し、子育て支援を充実していくためのものです。
 その増収分は全額、社会保障の充実、安定化に充てることとしており、所得の再分配に資するものです。特に、所得の低い方々に対しては、国民健康保険料等の保険料軽減の拡充などを講じております。
 さらに、消費税率の一〇%への引き上げに当たっては、軽減税率制度を導入し、所得が低い方ほど収入に占める消費税負担の割合が高いという、いわゆる消費税の逆進性の緩和を図ることとしています。
 いずれにせよ、消費税には、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定している、勤労世代など特定の者への負担が集中しないといった特性があります。年々増加する社会保障費の財源としてふさわしいと考えています。
 社会保障の見直しと、社会保険料と消費税の家計への負担についてお尋ねがありました。
 社会保障については、世界に冠たる国民皆保険、皆年金を初めとする制度をしっかりと次世代に引き渡していくため、消費税率の引き上げにより社会保障の充実、安定化を図るとともに、不断に制度の重点化、効率化を行うことが必要と考えています。
 消費税率の引き上げによる増収分は、全額、年金、医療、介護、子育て支援の充実、安定化に充てられ、社会保障給付として国民に給付されます。
 社会保険料についても、消費税率の八%への引き上げにより、所得の低い方について、平成二十六年度からは国民健康保険料等の軽減の拡充、平成二十七年度からは介護保険料の軽減の拡充を実施するなど、負担能力に応じた負担となるように配慮しています。
 このような取り組みを通じて、所得の低い方々にはきめ細かく配慮を行い、憲法二十五条に基づき、国が社会保障の向上、増進に努める責務をしっかりと果たしてまいります。
 東日本大震災からの復興についてお尋ねがありました。
 東日本大震災からの復興は安倍内閣の最重要課題であり、住宅の再建、なりわいの再生、心のケアなどを着実に進めてまいります。
 こうした中、医療保険や介護保険の窓口負担や保険料を自治体が減免した場合に、その費用については、自治体の負担が過度にならないよう配慮し、国が財政支援を行っているところです。
 また、二十八年度以降の復興については、一部の事業について自治体に御負担をお願いすることといたしましたが、御負担をいただくに当たっては自治体の財政状況に十分配慮しているところであり、被災自治体におかれては、今後とも安心して復興に進んでいただきたいと考えます。
 なお、被災者生活再建支援金の引き上げについては、他の制度とのバランス、国や都道府県の財政負担などを勘案して、慎重に検討すべきものと考えます。
 東北の復興なくして日本の再生なし。安倍内閣においては、閣僚全員が復興大臣であるとの意識を共有し、被災者の方々の心に寄り添い、従来の発想にとらわれることなく、スピード感を持って、復興のために全力を尽くしてまいります。
 福島原発事故後の対応及び原発再稼働についてのお尋ねがありました。
 避難指示の解除は、線量の低下、インフラや生活関連サービスの復旧を確認し、自治体や住民の方々とのさまざまな場における対話を重ねた上で行っています。決して一方的なものではありません。
 東京電力による損害賠償については、政府としては、同社に対し、引き続き、被害者の個別の状況を丁寧に把握した上で、迅速、公平かつ適切に行うよう指導してまいります。
 福島の復興や廃炉・汚染水対策は、最優先の課題として引き続き全力で取り組みます。
 原子力発電所の再稼働については、東京電力福島原発事故を片時も忘れず、真摯に反省し、その教訓を踏まえていくべきことは当然のことです。高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働していきます。
 選挙制度、企業献金、政党助成金のあり方についてお尋ねがありました。
 現行の衆議院の選挙制度は、平成六年に、政策本位、政党本位の選挙制度を実現するため、民意を集約する小選挙区選挙と、民意を反映する比例代表選挙の二つの選挙を組み合わせて、小選挙区比例代表並立制を採用したものと認識しています。
 また、政治活動に対する献金のあり方については、長年の議論を経て、企業・団体献金は政党等に対するものに限定されるなど、種々の改革が行われてまいりました。政党助成制度については、こうした改革にあわせて、政策本位、政党本位の政治を目指す理念のもと、導入されたものと承知しております。
 いずれにしても、選挙制度や政治資金のあり方は、議会政治や政治活動の根幹にかかわる重要な課題であるので、各党各会派においてしっかりと議論していただくべきものと考えております。
 憲法に関するお尋ねがありました。
 立憲主義にのっとって政治を行うことは当然であり、安倍内閣においても、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を基本原則とする憲法のもとで、国民の命と平和な暮らしを守る責任を果たしていく考えであります。
 憲法改正については、立党以来、自由民主党が党是として主張しているものです。言うまでもなく、改正には国民の理解が必要不可欠であり、引き続き、国民的な議論と理解が深まるよう努めてまいります。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(川端達夫君) 馬場伸幸君。
    〔馬場伸幸君登壇〕
○馬場伸幸君 おおさか維新の会の馬場伸幸です。(拍手)
 まず冒頭、先ほど、北朝鮮政府が水爆実験を行ったと公式に発表いたしました。このことは大変な暴挙であり、許しがたく、まことに遺憾であります。北朝鮮政府を強く非難するとともに、我が国政府には、正確な情報収集に努め、速やかに情報を国会に報告するとともに、万全の態勢をとっていただくことを強く求めておきたいと思います。
 さて、中国の政治家であった范仲淹による「岳陽楼記」という書物の中に先憂後楽という大変有名な格言があります。漢字でいえば、先に憂い、後で楽しむと書きます。その意味は、政治家たるものは、国民より先に難題を憂い、自分たちが楽しむのは国民の後であるべきだというものです。これこそが我々おおさか維新の会の真髄、まさに維新スピリッツを言いあらわした言葉です。
 我々おおさか維新の会は、こうした維新スピリッツを共有する同志が相集い、昨年末に結党した新しい政党であります。党の創設者は橋下徹前代表であり、地方から国を変えていくという強い思いを持って結党した地方分権政党であります。
 これまでも地方分権を声高に叫ぶ政党は少なくありませんでしたが、本気で地方分権に取り組んだ政党は皆無であります。今、我が国の最大の課題である人口減少と少子高齢化が同時に進行する中において、国民は地方消滅の不安を感じています。こうした国民の不安を解消し、国家を再生させるため、我々は、首都圏一極集中から多極分散型の道州制国家に移行し、地方を再生させることを提案いたしております。
 おおさか維新の会は、綱領の冒頭に統治機構改革を明記し、そのための憲法改正を掲げ、地方自治体が国家の意思決定に関与できる新しい仕組みを創設することを国民に提案しています。
 そして、首都機能を担える副首都大阪の実現をセンターピンとして、新しい国の形として、国からの上意下達ではなく、地域や個人の創意工夫による社会をつくり上げてまいります。
 つまり、党名のおおさかの四文字は、単なる地名ではなく、地方から国の形を変えていくという統治機構改革の覚悟を示したものであります。
 今、国民が政党に期待しているのは、反対のための反対に終始する万年野党ではなく、政府・与党と切磋琢磨できる責任政党です。政権運営に緊張感を持たせる政権担当能力を備えた責任政党の存在が、今、日本の政治には必要なのであります。
 私たちおおさか維新の会は、いいものはいい、悪いものは悪いと明確にし、与党でもない、野党でもない、新しい政党の姿として、憲政史上初めての対案提示型責任政党を目指します。
 おおさか維新の会の創設者である橋下徹前代表は、昨年十二月の結党大会において、おおさか維新の会は戦後自民党ができなかったことをやる政党であると宣言しました。まさに、既存政党ができなかった改革を断行するために、私たちはおおさか維新の会を結成したのであります。
 地域政党大阪維新の会が大阪府議会において最初に取り組んだ身を切る改革は、議員定数の二割削減という政治家みずからの痛みを伴う改革でありました。すなわち、国民に負担を押しつける前に、政治家がまず身を切る改革を実行する。大阪府議会で断行した政治決断を私どもはこの永田町においても進めてまいります。
 少子高齢化時代に対応した国民が安心できる社会保障制度を維持していくためには、国民にも応分の負担を求め、既得権を排除し、政府は教育の無償化を含む真の弱者支援に徹するなど、効率的で小さな行政機構を再構築していく必要があります。そのためには、何度も申し上げますが、身を切る改革が大前提となるのです。
 しかし、一昨日、政府・与党が国会に提出した給与法改正案は、人事院勧告の実施により公務員の平均年間給与を五万九千円引き上げる内容となっており、その総予算は七百億円に上る非常識きわまりない法案です。来年四月に予定されている消費増税のみならず、マクロ経済スライドを通じた年金給付の圧縮、社会保険料率の累次の引き上げ等によって国民に負担を押しつける一方、削減するべき公務員総人件費を七百億円も増額給付するのです。
 民主党と維新の党は、国家公務員人件費の二割削減で政策合意されたと仄聞しております。この合意に基づき、今回の給与法改正案には反対することを国民の前に明確にすべきであると申し上げておきます。
 一方、補正予算案の中身に係る最大の懸念点は、TPP対策など成長戦略への投資と財政再建とのバランスであります。
 一昨日の財政演説で、麻生財務大臣は、二〇二〇年度までに国、地方の基礎的財政収支を黒字化する財政再建目標を堅持すると強調されましたが、低所得の年金受給者に対する三万円給付のための三千億円、国家公務員に七百億円、さらには軽減税率に一兆円といったばらまきを展開しているようでは、参議院選挙を念頭に置いた選挙対策とのそしりは免れません。
 そこで、麻生財務大臣にお尋ねいたします。
 今回の三兆三千億円の補正予算の経済効果をどのように見積もられていますか。主要項目ごとにお示しください。
 私どもおおさか維新の会は対案提示型責任政党を目指すと申し上げました。今国会においてこれから政府が提案するさまざまな法案について、それが真に国民のためにならない場合には、ただ単に反対するのではなく、修正案を提示したいと考えております。
 そこで、安倍総理にお尋ねいたします。
 私どもおおさか維新の会が今国会においてこれから提案するであろうさまざまな修正案に対して、協議に応じるおつもりがあるのかどうか、お考えをお聞かせください。
 次に、消費税の軽減税率について、考え方を述べさせていただきます。
 消費税の増税に伴う軽減税率の導入については、逆進性対策にならない、線引きが困難で公正さに欠き、新たな利権の温床となり、中小企業の事務手続が複雑になるといった問題点が指摘されております。そして、何よりも問題なのは、軽減税率の導入によって、我が国も欧州などの二〇%を超える高税率への扉を開くことになるのではないかということです。
 私たちは、このような問題の多い軽減税率を導入するのではなく、現下の経済情勢にも鑑みて、来年四月の消費税率一〇%引き上げ自体を延期すべきと考えていますが、安倍総理の考えをお聞かせください。
 橋下徹前代表は、おおさか維新の会の結党大会において、五年以内に衆議院で過半数をとると宣言いたしました。
 おおさか維新の会は、身を切る改革を通じて政治家の覚悟を示すとともに、改革の果実として、教育の無償化を含めた教育改革を実行します。また、大阪維新の会の同志とともに、副首都法案を整備し、統治機構改革のための憲法改正を目指します。さらに、公務員制度改革を初めとする財政再建に向けた行財政改革を断行するとともに、沖縄の基地問題を初めとする安保政策を前に進めてまいります。
 最後に、私どもおおさか維新の会は、今回提案の補正予算に対する賛否については、予断を持たずに、この代表質問や予算委員会での答弁を十二分に検証した上で判断をいたします。このことも、与党でもない、野党でもない、対案提示型責任政党の新しい国会運営の姿であると考えております。
 そして、国民がわくわく、どきどきするような国会をつくり、国民の夢をかなえていくことをお約束し、私の代表質問といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 答弁に先立ちまして、先ほどの穀田恵二議員への、テロ対策についての答弁を補足いたします。
 ISILに対する空爆を初めとした軍事作戦に自衛隊を派遣することは、決してありません。
 馬場伸幸議員にお答えをいたします。
 修正案が提案された場合に協議に応じるか否かについてお尋ねがありました。
 私たち連立与党は、政策の実現を目指す責任野党とは柔軟かつ真摯に政策協議を行ってまいります。これは不動の方針であります。
 さきの国会での平和安全法制の審議において、当時の維新の党は、日本を取り巻く厳しい安全保障環境、その危機感を共有し、独自の対案を提出されました。当時、党内ではさまざまな議論があったと推察しますが、馬場議員を初め対案提出にリーダーシップを発揮された皆様に、改めて敬意を表する次第であります。
 ぜひこの通常国会で、それぞれの立場、それぞれの具体的な政策を国民の前で明らかにしながら、正々堂々の議論を行わせていただきたいと思います。その上で、建設的な協議を行わせていただきたいと考えております。
 消費税の軽減税率制度の導入と消費税率の一〇%への引き上げについてのお尋ねがありました。
 アベノミクス第二ステージでは、これまでの三本の矢の政策を一層強化して束ねる新たな第一の矢によって、名目GDP六百兆円を目指します。
 より強化した経済政策のもとにおいても、経済再生なくして財政健全化なしという方針に変わりはありません。今後も、賃上げの流れを続け、雇用や所得の拡大を通じた経済の好循環を回すことによって、デフレ脱却を確かなものとしていきます。
 来年四月の消費税率一〇%への引き上げは、世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会から国の信認を確保するため、リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り、確実に実施します。経済の好循環を力強く回すことにより、そのための経済状況をつくり出してまいります。
 また、消費税率が一〇%へ引き上げられる来年四月に、消費税率引き上げに伴う低所得者対策として、軽減税率制度を導入いたします。日々の生活の中で痛税感の緩和を実感していただけるよう、酒類、外食を除く飲食料品及び一定の新聞の定期購読料の税率を八%に据え置くこととしており、混乱なく制度を導入できるよう、政府として万全の準備を進めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕
○国務大臣(麻生太郎君) 補正予算の経済効果についてのお尋ねがあっております。
 今般の補正予算は、少子高齢化という構造的課題への取り組みを含めた一億総活躍社会の実現や、TPPの効果を真に経済再生、地方創生に直結させるために、緊急に実施すべき施策を講ずることを主眼としております。需要を追加することを目的とした景気対策を実施するものではありません。
 こうした趣旨を持つ本補正予算については、主要な歳出項目ごとにその経済効果を見積もるような性格のものではないと考えております。
 なお、補正予算全体としての経済効果につきましては、内閣府において試算を既にされております。それによりますと、実質GDPを〇・六%程度押し上げると見込まれております。その内訳としては、対実質GDP比で、民間最終消費を〇・一%、民間企業設備を〇・二%、政府最終消費支出を〇・一%程度、そして公的固定資本形成を〇・二%、それぞれ押し上げると見込まれております。(拍手)
○副議長(川端達夫君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(川端達夫君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       財務大臣     麻生 太郎君
       総務大臣     高市 早苗君
       法務大臣     岩城 光英君
       文部科学大臣   馳   浩君
       厚生労働大臣   塩崎 恭久君
       農林水産大臣   森山  裕君
       経済産業大臣   林  幹雄君
       国土交通大臣   石井 啓一君
       環境大臣     丸川 珠代君
       国務大臣     甘利  明君
       国務大臣     石破  茂君
       国務大臣     遠藤 利明君
       国務大臣     加藤 勝信君
       国務大臣     河野 太郎君
       国務大臣     島尻安伊子君
       国務大臣     高木  毅君
 出席内閣官房副長官及び副大臣
       内閣官房副長官  萩生田光一君
       財務副大臣    坂井  学君
 出席政府特別補佐人
       内閣法制局長官  横畠 裕介君

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