WeChatとApple:Mini Apps(微信小程序)をめぐる戦争

   

スポンサーリンク

林

こんにちは!政治プレス新聞社 学生記者 東北大学大学院経済学研究科の林冰清(リン ビンチン)です。

私たちの生活に欠かせないスマートフォン。皆さんはどんなアプリを普段使っていますか?

毎日使うアプリに「LINE」を思い浮かべた人も多いのではないでしょうか。

私の母国・中国でもそれは同じで、メッセージアプリ「WeChat(微信)」を使っている人が沢山います。

WeChatはチャット機能をはじめ、毎日のニュースを読めたり、決済もできたりと中国の人の生活に欠かせないものになっています。

そんなWeChatを有するテンセント社ですが、新機能「Mini Apps」をめぐり、現在スマートフォン界の雄・Appleと激しく対立しています。

両社の間でいったい何が起きているのでしょうか?詳しく解説してみたいと思います。

WeChat vs Apple

WeChatの「Mini Apps」とは

image1

WeChatが新しくリリースした「Mini Apps(微信小程序)」はWeChatを土台としてテンセント社が開発したプログラムです。

代表的なものとして、『中国版Uber』と呼ばれる滴滴出行(Didi Taxi)や、有料課金ができる動画配信をする爱奇艺(Qixi)等があります。

このMini Appsでは、ユーザーと企業が直接取引をして、売買をすることが可能です。WeChatの中に小さなアプリストアがあるようなイメージです。

「Mini Appsはルール違反?」WeChatとAppleの熾烈な対立

Apple_logo_black.svg

このスマートフォン界の巨人・Appleがこの新機能をめぐって、WeChatを運営するテンセントとにらみ合いを続けています。

今年4月19日にAppleは、WeChat上で実施されているゲームアイテムや音楽、動画コンテンツへの課金を全て禁止するとしました。

専門家はAppleのこの行動を、WeChatのMini Apps内の利益の一部を自分の手に入れたいためと判断しています。

Appleの定める「アプリ内課金(In-App Purchase:IAP)」

一般的にiPhoneユーザーは、AppStoreの決済を通じて音楽や小説を購入しており、この売上の30%がAppleに入ります。

この方法をAppleは「アプリ内課金(In-App Purchase:IAP)」と呼び、

昨年6月にはこれを使わず独自の方法でユーザーに課金させた場合、アプリをAppStoreに掲載しない方針を出しました。

WeChatに降り注いだ火の粉

WeChatのMini Appsでは、ユーザーと企業が直接取引をして、売買をすることが可能です。ここにAppleが介入する必要はありません。

中国で現在、この「アプリ内課金」の方法を取っているのは銀聯、アリペイだけで、WeChatはまだこの「アプリ内課金」を行っていませんでした。

そのため、WeChatのMini Apps内での売買は、AppStoreの定める「アプリ内課金」外の課金とみなされてしまいます。

AppleはWeChatがガイドライン違反を理由に、WeChatアプリをAppStore上から削除することもできます。

去年の6月から今まで、AppleとWeChatの運営元のテンセントは真っ向から対立した立場を取っています。

テンセントはWeChatがAppStore上で特例的な立場を得るために、議論を重ねています。

中国でなくてはならない存在のWeChat。Appleの選択は正しい?

The Wall Street Journalは5月31日に「中国の消費者は、iPhoneよりWeChatを選択する」という記事を発表しました。

データから見ると、中国のiPhone購入数は年々下がるトレンドにあり、これは世界でも珍しい現象です。

今Appleの相手にしているのは10億人のユーザーを有するWeChatです。中国ではどんな人でもWeChatを使わないと生活もできなく、家族や友達とも連絡できなくなります。

また、WeChatはiOSとAndoidの両方で使えるので、もし必要に迫られたら、iPhoneを諦めることもできます。

今Appleが相手どっているのはテンセントだけですが、実はWeChatに限らず中国全体でアプリ内支払いがトレンドです。

他の有名なアプリもそのように発展する見込みです。Appleがこのトレンドに反対するのは、本当にいい選択なのでしょうか?

使ってみてわかった、Mini Appsの良い所と悪い所

各社がリリースするMini Appsの画面。ダウンロードやインストールが不要な手軽さがあるが、「かゆいところに手が届かない」不満が残る。

一方実際に、Mini Appsはそこまで「超すごいプログラム」なんでしょうか?

確かにチケットの予定や、『中国版Uber』滴滴出行(Didi Taxi)などの生活に身近なアプリはとても人気です。

ただ、もっと複雑なアプリはMini Appsでは簡単な機能だけで、大部分の機能は本来のアプリでしか使えません。

また、音楽を流しながら、ほかの機能を使うこともできないので、必要なアプリはダウンロードしなければいけないですね。

スタートアップ企業にとっては、このMini Appsは時間とアプリ開発の費用を大幅に節約し、お客様の拡大も簡単にできるものです。

しかしもっと成熟した企業なら、Mini Appsでは簡単なページだけを作って、ほどんどの機能は自社開発したアプリで行ったほうが正解かなと思います。

WeChatとAppleの戦争はまだ続く

まだ課題もあり、将来の可能性もまだ未知数のWeChatのMini Appsですが、

Appleとテンセントという世界的な巨大企業どうしの対立に火をつけてしまったことは確かです。

中国という国は、AppStoreのシェアを考えても、iPhoneの将来可能性を考えても、二重の意味でAppleにとっては魅力的な巨大市場です。

しかしながら、AppStoreで自社の権益を維持しようとすればiPhoneを中国で売りにくくなり、

AppStoreで特例を許し、Mini Appsが中国市場で存在感を増すようになれば、

AppStoreの現在のプレゼンス、長期的にはiPhoneやAppleというブランドのイメージ棄損につながります。

どちらをとってもAppleにとっては苦渋の決断。この戦争がどのように発展するのか、引き続き注目していきたいと思います。

スポンサーリンク
林冰清 (リン ビンチン)
1991年生まれ。中国杭州市出身。アメリカ・マイアミ大学卒業、現在東北大学経済学研究科在学中(修士1年生)。専門は経済史と対比研究。政治プレス新聞社・学生記者。

 - 社会ニュース , , ,